2019年02月12日

◆ くら寿司の従業員の問題

 くら寿司の従業員が悪ふざけをした動画が拡散して、くら寿司が法的措置を取るという問題を考える。

 ──

 くら寿司の従業員が悪ふざけをした動画が拡散して、くら寿司が法的措置を取ることを表明した。詳しくはネットで情報が流れているから、そちらを参照してほしい。
 動画は下記。(食材をゴミ箱から取り出して、マナ板の上に載せた、という動画。)







  ※ twitter の動画は削除されたので、
    YouTube の動画を掲載しておきます。



 さらに、次のことも明らかになっている。
  ・ 当の従業員は高校生である。
  ・ くら寿司(該当店)の賃金は、最低賃金である。
    ※ あちこちのくら寿司の募集状況でわかる。


 この事実に対して、ネット上では、バッシングとも言える状況が起こった。「バカな従業員を巨額の罰金で懲らしめよ」というふうに批判し、「くら寿司の対応は立派だ」と称賛する。
 ま、仮にその理屈が成立するとしても、「幼児の大量虐殺をした凶悪犯を非難する」かのごとき壮大な非難が襲いかかる様は、尋常ではない。ほとんど「日本人、総発狂」というありさまである。それはちょうど、韓国人が「日本人を理不尽に攻撃する」というのに、そっくりだ。あおり運転で人殺しをした人だって、これほどにも非難されなかった。あまりにもひどいバッシングであると言えるだろう。
( ※ 似た状況は、イラク人質事件の際にもあった。)

 これに対して、「くら寿司が最低賃金で従業員を雇用していたことこそ問題だ」という批判が出た。たとえば、下記だ。
  → くら寿司もセブンイレブンもアルバイト店員の時給が安すぎるー繰り返される「バイトテロ」問題

 すると、バッシングする側は、反論した。
 「賃金と愚行は無関係だ。賃金を上げたからといって、愚行がなくなるわけではない」
 と。これに賛同する人が大半だ。
  → はてなブックマーク

 以上が、現状だ。
 このあと、私の見解を示す。
   ※ 例によって、バッシングを問題視する。
     バッシングする側を批判する。

 ──

 (1) 論理

 「賃金を上げたからといって、愚行がなくなるわけではない」
 というのは、論点が狂っている。それは藁人形論法だ。
 「賃金を上げれば、愚行をしなくなる」
 という主張はなされていない。(一部にはそういう人もいるかもしれないが、そういう人はほとんどいない。)
 実際になされているのは、こうだ。
 「賃金を上げれば、バカを雇用しないで済む」
 つまり、賃金を上げると、バカが利口になるのではなく、バカを最初から排除できる。(最初から雇用しないで済む。)
 それだけのことだ。だから、くら寿司としては、「従業員の賃金を上げる」という対処をすればいいのではなく、「現状の従業員をすべて解雇してから、高賃金で従業員を選び直す」というふうにすればいいのだ。
 論点を間違えてはいけない。

 (2) 責任

 「こんなひどい愚行に対して、従業員の責任は免除されない」
 という声もある。だが、これも論点が狂っている。
 「従業員には責任がない」
 とは誰も言っていない。従業員にも責任はある。だが、その責任は限定的だ。むしろ、くら寿司にこそ、大きな責任があるのだ。この責任を見失ってはならない。
  ・ 下級従業員を監督する責任
  ・ 従業員教育をする責任
  ・ 仕事に見合った賃金を払う責任

 くら寿司にはそういう責任があるのに、その責任を一切放棄している。最低賃金で雇った下級労働者に、店の監督責任を含む最高度の仕事を委ねている。
 比喩で言えば、次のことに似ている。
  ・ 心臓手術をバイトにやらせる
  ・ 一流料理店のコック長をバイトにやらせる
  ・ 銀行金庫の厳重警備をバイトにやらせる

 いずれも高度な仕事だ。なのに、最低賃金のバイトに任せたら、とんでもない結果になるのは当然のことだ。
 ここでは、バカなことをやった従業員にも問題はあるだろうが、高度な仕事をバカに任せた経営側にこそ、大きな責任があると言えるだろう。この責任を無視してはならない。
 具体的に言えば、今回の事件では、バイトの責任はあるにしても、「悪ふざけをした責任」だけであって、せいぜい十万円ぐらいだろう。
 一方、最低賃金で雇った高校生に高度な仕事を任せた(店の監督者もいなかった)というような無責任経営をした会社には、大きな責任がある。ネット上で風評被害のような被害を受けたとしても、それは、くら寿司の経営がひどいことに対する風評被害だ、と思った方がいい。なのに、経営のミスで起こった被害の分まで、責任を従業員に負わせるのは、責任転嫁である。
 くら寿司は、「自分は間違っていない。悪いのは従業員だ院だ」というふうに見せかけるために、法的措置を取る。自己正当化だ。そして、それにだまされて、「会社側は悪くない。悪いのはすべて従業員だ」と思い込むのが、バッシングをする人々だ。会社側の作戦に引っかかって、まんまとだまされている。

 (3) 能力/未成年

 法的措置が取られた場合、従業員には巨額の賠償金の支払いが求められるだろうか? 会社側は求めるだろうが、判決ではそれが認められる公算はほとんどない。なぜなら、実行したのは、未成年だからだ。未成年には、大きな責任がかかることはない。
 ここまで見れば明らかだろう。本件で最大の問題は、「従業員の能力が足りなかったこと」ではなく、「従業員が未成年であったこと」なのだ。(そのせいで倫理観がなかった。)
 逆に言えば、会社側は、このような責任ある立場には、未成年を就業させてはいけなかったのだ。未成年雇用するなら、せいぜい、皿洗いや掃除ぐらいの留めるべきだった。店の全権を任せるというようなことは、未成年にやらせてはいけなかったのだ。

 (4) 最低賃金

 未成年にやらせてはいけなかったのに、未成年にやらせた。ではなぜ、くら寿司はそんなことをしたのか? 
 理由は明らかだ。賃金が安すぎたからだ。いや、それは不正確だ。単に安かったのではなく、最低だった。最低賃金だった。そのせいで、人材も最低レベルとなった。他のどこでも雇ってもらえないような最低レベルの人材しか、応募してこなかった。
 人材募集のバイトの広告を見ると、くら寿司は最低賃金。一方スシローは、10円ぐらい高い時給だ。
 したがって、普通の人ならば、くら寿司には行かず、スシローや他の店に行く。そして、そういうところには就職できなかったような最低レベルの人材だけが、くら寿司にやって来る。
 つまり、「最低賃金」とは、「最低レベルの人材」をもたらすのだから、こういう愚行が起こりがちなのは当然なのだ。
 そして、だからこそ、こういう人材には責任ある仕事を任せてはならなかった。最低レベルの人材には、皿洗いや掃除ぐらいの仕事を任せるだけに留めるべきだった。
 なのに、くら寿司は、最低レベルの人材に全権を委ねて、食品を提供する、という経営をした。……ここに、この事件の本質がある。つまり、責任の 99%ぐらいは、会社側にある。高校生の側にも責任はあるが、それは、あくまで未成年責任であるから、1%ぐらいしかない。本来ならば、この程度の悪ふざけは、「お尻ペンペン」ぐらいで片付けてしかるべき問題だ。
 そして、それによる経済的被害が莫大になったとしても、そういう被害が起こった責任は経営側にある。その責任を従業員の側にかぶせるのは、責任転嫁であるにすぎない。
 そして、その責任転嫁を信じて、だまされた人々が、未熟な未成年を批判する。詐欺師にだまされたカモと同様だ。……これが、今回の社会的バッシングの真相だ。



 [ 付記 ]
 この程度の悪ふざけは、「お尻ペンペン」ぐらいで片付けてしかるべき……と述べた。その理由を説明しよう。
 なぜそうかというと、未熟な高校生には、「これが店に大きな被害をもたらす」ということが理解できないからだ。「ちょっと悪ふざけをした」というぐらいの意識でしかないからだ。
 このような悪ふざけをする若者はいずれも、「これが大きな社会的問題になる」ということを理解できていない。あまりにも判断力が幼稚だ。
( ※ 今回の高校生も、汚れた食材の寿司を客に提供したわけではない。人を殺したわけでもない。そのような明白な犯罪行為はやっていない。あくまで、本人感覚では「いたずら」と見なしている程度のことだ。実際には店に風評被害が起こりそうだが、本人にはその認識をするだけの判断力がないわけだ。)

 なお、こういうことを起こすのは、高校生ぐらいの若者に限られる。このくらいの年代には、「ネットで情報が拡散する」ということすら理解できていない人が多い。そもそもインターネットという概念すら理解できていないことが多い。「ググる」という知識すらないことも多い。その典型は下記だ。
  → 「私が反ワクチンにハマりそうになった経緯と旦那の対応」が話題に。我が子を守るためにこそ冷静な判断を!旦那さんの対応に称賛が集まる - Togetter
 ここでは、「正しい情報を得るために、インスタで検索する」という話が出てくる。インスタグラムは、画像・動画を検索するためのツールなのだが、そのことすら理解できない。なぜなら、多くの十代の若者にとって、「ネット」とは「インスタとYouTube 」のことだけであるからだ。「ググる」というような発想は最初からないのだ。
  → ティーンはFacebookを捨てYouTube、Instagram、Snapchatに走る | TechCrunch Japan
  → 【若年層のSNS利用状況関連の調査まとめ】若年層のネット利用状況とは? テレビは見ないがネット動画は毎日見る。

 これらの若者には、「ネットに掲載した動画が社会的な影響をもつ」というようなことなど、最初から念頭にない。「狭い仲間内(フォロワー)の間で受ければいい」という発想しかない。
 ゆえに、こういう連中(未成年)に、責任ある仕事を任せてはならないのだ。その程度の知識をすら有しない会社側にこそ、ネット時代のリテラシーが不足していると言える。



 【 追記 】
 その後に犯人の特定が進んだ。
  ・ 実行者は、高卒の専門学校生(18〜20歳)
  ・ 撮影者は、高校二年生

 とのことらしい。
 とすると、本文中の「犯人は高校生」というのは、妥当ではなかったようだ。「高校生」でなくて「未成年」と記述するのが正しいようだ。
 ただし、情報は未確定なので、現時点でははっきりとしたことは言えない。
 
 なお、帽子の色から、役割は「セクションリーダー」という主任格であることが判明している。
  https://www.sora-ten.com/toyodome-kurasushi-kao/
posted by 管理人 at 08:00| Comment(8) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
正規雇用だけでなく非正規の、いわゆるバイトであっても賃金の高低とは別に身元保証書の提出を求められる場合がります。

その中には、
”故意、又は重大な過失による会社に損害を与えた場合には損害賠償の義務を負う”
といったような内容が記されていて、(成人であっても)これに本人と保証人が署名捺印することになっています。

くら寿司に該身元保証書が提出されていたなら、例え未成年であっても本人と保証人に対する一定の責任は免れないと考えます。くら寿司が身元保証書を求めていなかったならば、未成年でもあり免責もあり得るかも。

賃金だけでなくそういった保証書も一定の抑止力が期待できるのではないでしょうか。低賃金で身元保証書まで要求されてそれで求人に応募があるかは知りませんけど。
Posted by 作業員 at 2019年02月12日 16:51
> 損害を与えた場合には損害賠償

 直接的な損害は、魚の具材の代金で、2000円ぐらいでしょう。他に何かを合わせても、せいぜい十万円。
 
 一方、風評被害は、会社の労務体制が原因なのだから、もともと会社は請求する資格がない。
 そもそも、損失を与えることは、意図されていないので、故意ではない。「重大な過失」でもない。悪ふざけではあるので、お尻ペンペンぐらいの罰は必要だが。
Posted by 管理人 at 2019年02月12日 19:20
賃金を上げれば、バカを雇用しないで済む

人出(特に若年労働者)が不足している現状では、賃金を上げてバカではできないちょっと難しい仕事を担っていた人が、比較的楽かもしれないこの仕事に廻ると、そのちょっと難しい仕事の担当者が減るので、その仕事の業界は人員確保(引き止め)の為に賃金をあげるでしょう。
そうするとやはり比較的楽かもしれないこの仕事は人出不足なので、一定数のバカを雇うことになりそうです。

一方、企業業績が上がっていない状態で、法や条例で定める最低賃金を上げると、体力のない中小企業は隣国の様に雇用人員数の削減(解雇)で対処することになります。
これの結果としてバカを雇う理由がなくなるのであれば、こういうトラブルは減りますが、アルバイター、フリーターの失職という副作用が生じそうです。
Posted by 京都の人 at 2019年02月12日 22:47
> その仕事の業界は人員確保(引き止め)の為に賃金をあげるでしょう。

 いや、つぶれるんじゃない? 最低賃金しか払えない会社や産業は、どんどんつぶれてくれて構わない。くら寿司もね。
 くら寿司は単価を上げると、やっていけないだろうが、スシローは少し単価を上げても、やっていけそうだ。
  http://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20190212151631

 低賃金のクズ企業は、(人手不足で)どんどんつぶれていい。

> アルバイター、フリーターの失職という副作用が生じそうです。

 人手不足のときなら、失職しても、すぐに別の仕事に就ける。人手不足のときには、最低賃金を上げても大丈夫。
Posted by 管理人 at 2019年02月12日 22:55
>直接的な損害は、魚の具材の代金で...
損害が直接的なものに限定されるのか、当該行為がなかった場合に得られたであろう逸失利益を含むのかは判断が分かれるところでしょう。故意については”故意に損失を与える”ということではなく、”損失を与えると予測できる行為を故意に行う”という意味だと思いますが。過去にはバイトの悪ふざけによって廃業に追い込まれた蕎麦屋、閉店に至ったコンビニもあったかと。

ただ実際に損害賠償の請求まで至る場合は割合としては低く、責任感を自覚させるという教育の意味合いの方が大きいのでは、とみています。

くら寿司が該バイトに身元保証書を提出させていたか否か事実は存じませんが、結果をみればとても提出があったとは思えません。提出させて事前に説明していればもう少しバイトテロを未然に防止できたはずです。
Posted by 作業員 at 2019年02月12日 23:35
> ”損失を与えると予測できる行為を故意に行う”

 具材をゴミ箱に捨てたからといって、それだけで店がつぶれるわけではない。同様のことをした人は前にもいたかもしれない。発覚しなかっただけで。

 被害が出たのは、それが撮影されて、ネットに拡散したから。しかし撮影した人は、従業員ではないので、会社とは何の関係もない。身元保証書もない。ただの通りすがりだ。しかも、ただの未成年・高校生だ。会社は撮影者に巨額を請求する権利がない。


 
Posted by 管理人 at 2019年02月13日 07:08
>具材をゴミ箱に捨てたからといって、それだけで店がつぶれるわけではない。

一度ゴミ箱に捨てた魚を拾って、あたかも客に提供するが如くまな板に載せた動画では?

>同様のことをした人は前にもいたかもしれない。発覚しなかっただけで。

いたかいなかったか不明のことを取り上げても無意味では?ただ、発覚しなかったからといってゴミ箱に捨てた魚を拾ってまな板の上に載せるのは行為として如何なものかと。

>しかし撮影した人は、従業員ではない...ただの通りすがりだ。

高校生のアルバイト従業員では?

>身元保証書もない。

採用時に提出しているかどうかは不明では?

>会社は撮影者に巨額を請求する権利がない。

確かに従業員でない撮影者に会社が請求する権利はありませんけど、撮影者は高校生のアルバイト従業員ではなかった?

そして、実行者と撮影者が従業員であるならば、くら寿司が二人に賠償を請求する権利はあると考えます。ただ、認められるか否か、或いはどこまで認められるかは別の話で裁判所に判断が委ねられることになるのでは。

ちなみにくら寿司側はそこまで考えての請求ではない、と見立てています。
Posted by 作業員 at 2019年02月13日 23:38
>> 撮影した人は、従業員ではない

 これは、私の勘違いでした。撮影した人も、従業員でした。公式のページでそう表現されています。
 お詫びして、訂正します。
Posted by 管理人 at 2019年02月14日 00:22
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