2019年02月08日

◆ 飲酒運転の罰を軽減せよ

 飲酒運転の罰は、重すぎるので、もっと軽減するべきだ。たとえ人を死なせたとしても、もっと軽い罪にするべきだ。  [皮肉]

 ──

 ……という話を聞くと、頭が熱くなる人も多そうだ。だが、よく読めば私の話に理があるとわかるはずだから、きちんと読んでほしい。

 ──

 とりあえず、歴史を見よう。
 飲酒運転の罰は、もともとは軽かった。
  ・ 当初(1960年)には、罰がなかった。
  ・ 1970年になって、罰ができた。2年以下の懲役または10万円以下の罰金である。
  ・ 2002年に罰則強化がなされた。3年以下の懲役または50万円以下の罰金である。
  ・ 2007年・2009年には、さらに罰則強化がなされた。5年以下の懲役または100万円以下の罰金である。
 出典は下記。
   → 飲酒運転の厳罰化の歴史

 これだけではない。人身事故の場合には、「自動車運転過失運転致死傷罪」となる。7年以下の懲役または100万円以下の罰金である。
 アルコールの量が多くて酩酊運転となって、人身事故を起こした場合には、危険運転致死傷罪となる。相手が負傷すると15年以下の懲役、相手が死亡すると1年以上の有期懲役である。
  → 飲酒運転で逮捕された際の罰則と罰金|刑事事件弁護士ナビ

 以上のように、飲酒運転の罪はきわめて重罰化されるようになった。重罰化の程度がきわめて急激に進んでいることがわかるだろう。これほどにも急激に重罰化が進んだのは、飲酒運転だけだ。

 直感からしても明らかなように、これは明らかにバランスを失している。
 比喩的に言えば、「煙草を吸ったら死刑」というような感じだ。なるほど、煙草を吸えば他人に迷惑がかかる。しかし、煙草を吸うことは、昔は何ら咎められることがなかった。それなのに、煙草を吸ったことぐらいで「死刑」というのは、重すぎるだろう。人の腕を一本ちょん切っても、死刑や無期懲役にはならないのに、煙草を一本吸ったぐらいで、死刑になるのはおかしい。それはバランスを失している。

 そして、同様のことが、飲酒運転にも当てはまる。

 ──

 さて。これからが本題だ。扱うのは、次の事件だ。つまり、「スマホを見ながら運転して死傷事故を起こす」という事件だ。
 まず、事例はこうだ。
 男は約20秒間スマホの地図を注視し、赤信号を無視して交差点に進入。別の車と接触した後、母子をはねた。
( → 20秒スマホを注視…ながら運転、今も「妻は無駄死に」:朝日新聞

 処罰についての解説もある。
 スマートフォンなどを使いながら車を運転する「ながら運転」。全国で死亡事故につながるケースも多いことから、警察庁は昨年末、罰則を強化する試案をまとめた。
 警察庁は昨年12月に公表した道路交通法改正試案に「ながら運転」の罰則強化を盛り込んだ。
 運転中の携帯電話使用などで危険性を生じさせた場合の罰則は、現在は懲役3カ月以下または罰金5万円以下。試案では、懲役1年以下または罰金 30万円以下に引き上げるほか、行政処分の反則金限度額も引き上げる。人身事故を起こした場合は免許効力の仮停止の対象となる。
 警察庁によると、携帯電話の使用が原因となった人身事故は、2011年に全国で 1280件だったが、15、16年にはそれぞれ約2千件に急増し、17年は 1885件
( → 20秒スマホを注視…ながら運転、今も「妻は無駄死に」:朝日新聞

 記事中にあるように、スマホでながら運転をした場合には、最高でも、「現在は懲役3カ月以下または罰金5万円以下。試案では、懲役1年以下または罰金 30万円以下」である。
 「人身事故を起こした場合は免許効力の仮停止の対象となる。」ということだから、人身事故を起こしても、行政処分が追加されるだけで、特に刑罰は加算されないようだ。(飲酒運転の場合とは違って。)
 つまり、たとえ人を死なせても、これだけの軽い罪で済まされるのだ。(現在なら懲役3カ月、改正後でも懲役1年。)
 これは明らかにバランスを失している。

 ──

 まとめて言おう。
 飲酒運転 で死傷させたら …… 7年以下の懲役または罰金。
 酩酊運転 で死傷させたら …… 1年以上の有期懲役
 ながら運転で死傷させたら …… 3カ月以下の懲役か罰金5万円以下


 これは明らかにバランスを失している。
 そもそも、悪質さという点では、飲酒運転は悪質さは低い。なぜなら、人が酔っ払うと、「酔っ払い運転してはいけない」という判断力がなくなるからだ。「判断力のない人間の罪は罰しない or 軽減する」という近代法の原理に従えば、酔っ払い運転の運転者は、罰を軽減されてしかるべきなのだ。特に、酩酊運転をした人の場合には、直前には判断力が非常に薄くなっているので、罪を軽減してもいいはずだ。また、重罰化しても、その効果には限度がある。(酔っ払いには何を言っても理解されない。)
 
 一方で、スマホのながら運転をする人は、精神が正常な状態にある。それでいて、スマホのながら運転をするのだから、悪質さは非常に高い。また、こういうことを実行する人が多いせいで、事故が頻発しているのだから、重罰化をする意義はとても大きい。
 朝日新聞の記事でも、被害者の遺族がこう語っている。
「スマホを見ながら運転するなんて、危険に決まっている。もはや過失じゃない」

 まさしくその通り。これは過失ではないのだ。わざと危険なことをやっているのだから、「未必の故意」があると言ってもいい。その意味で、人を死なせた場合には、「殺人罪」が適用されてもいいくらいだ。にもかかわらず、「3カ月以下の懲役か罰金5万円以下」が現状である。
 あまりにもバランスを失している。

 ──

 とすれば、バランスを考えれば、次のようにするべきだろう。
  ・ 飲酒運転の罪を現行よりも軽くする
  ・ ながら運転の罪を現行よりも大幅に重くする


 これならば、バランスを失しない。また、「懲役刑の罪人が多くなりすぎて、刑務所があぶれてしまう」という問題も回避できる。人々をやたらと刑務所にぶち込むわけには行かないのだから、飲酒運転の人は刑務所から出して、ながら運転の人を刑務所に入れるべきだ。
 そもそも、酔っ払って罪を犯す人よりは、素面(しらふ)で罪を犯す人の方が、ずっと罪深いのだ。

 今の社会は、スマホ利用者に甘すぎる。だからスマホ利用者の罪に甘いのだろうか? これじゃ、泥棒が泥棒の罪を決めて、罰を軽くしているようなものだ。まるでジョークだな。
 
posted by 管理人 at 22:03| Comment(10) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>今の社会は、スマホ利用者に甘すぎる。

国庫の財源確保の一つの方策として課税を提案してみます。
Posted by 作業員 at 2019年02月08日 23:23
深く同意します。飲酒とスマホの差は、窃盗と詐欺の量刑の差よりももっと大きくしたい、そう感じます。
Posted by 船橋のひと at 2019年02月09日 05:58
ながらスマホは自転車運転中や歩行中でも危険なので
移動中は画面が消えるような規制が必要になるのかもしれませんね。
Posted by 横断中 at 2019年02月09日 07:37
> 移動中は画面が消えるような規制

 移動中は画面が消えるようだと、普通の乗客がみんな困ってしまいます。たとえば通勤電車の乗客。

 一部の不心得者だけを規制すればいいので、そのためには、十把一絡げに全員を規制するよりは、一部の不心得者だけに重罰を科すのが常道です。
Posted by 管理人 at 2019年02月09日 08:12
飲酒運転の厳罰化がされても、2016年の事故件数は3,757件、死亡事故件数は213件となっており、飲酒運転の撲滅、飲酒運転による犠牲者ゼロには道半ばの状況が続いています。
Posted by skyblue at 2019年02月09日 18:34
> 移動中は画面が消えるようだと、普通の乗客がみんな困ってしまいます。たとえば通勤電車の乗客。

前から気になっていたのですが、おサイフケータイで改札口を通過したら、緊急通報以外の通話を機械的に禁止出来ないんですかね。

それができれば、通勤電車の移動以外に絞って移動中のスマートフォンを禁止できます。
Posted by 名無しの通りすがり at 2019年02月10日 08:06
> 通勤電車の移動以外

 自動車の助手席・後席。バスの乗客。
Posted by 管理人 at 2019年02月10日 08:25
> 自動車の助手席・後席。バスの乗客。

全ての例外を救えないならば、一つの例外を救うことは無意味とおっしゃいますか?

「100%以外は0%と同じ」というネットワーカーのような極論に読めますけど。
Posted by 名無しの通りすがり at 2019年02月10日 16:15
 「自動車の助手席・後席。バスの乗客」については、「移動中のスマートフォンを禁止」できない・しない、ということです。
 つまり、運転者だけにスマホ使用を禁止すればいい。同乗者は禁止の対象とならない。
Posted by 管理人 at 2019年02月10日 18:29
> つまり、運転者だけにスマホ使用を禁止すればいい。同乗者は禁止の対象とならない。

どんな禁止事項も例外を見つける輩が出てきます。助手席の人物にスマートフォンを持たせて、運転者が操作するケースも考えられます。

機械的に判別する場合は、人間にとって100%都合よく切り替えることは無理でしょうね。
Posted by 名無しの通りすがり at 2019年02月13日 20:01
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