2019年02月02日

◆ 自動運転車と PL法

 自動運転車に根源的な欠陥があって自動車事故が起こった場合、責任は誰が取るべきか? 自動車会社か、運転手か?

 ──

 この問題は、下記で示された。
  → 自動運転車の事故はだれが責任をとるべきか | 東洋経済

 特に、次の場合が問題となっている。
 「悪意ある設計者が、事故を起こしやすい自動車を設計して、それで事故を起こす」

 引用すると、こうだ。
 悪意ある人間は、追及を免れるために、事件を事故に見せかけ、自身の関与の痕跡を消し去ろうとする性向があることもわれわれは知っている。
 そのような人間が、自動運転車に悪意ある操作を行うだろうことは十分に想像の範囲内であるし、その方法も無数に想定できる。開発者がデバッグに備えてコードを残しておいたとするなら、そのコードを利用して操作を乗っ取り、自動運転車に事故を起こさせることはできそうなことである。
 その自動運転車に通信による監視と外部操作の機能が備わっている場合、そのプロトコルが流失してしまえば、第三者がその種の自動運転車を運転できることになる。
 自動運転車を構成する部品の外注先に賄賂を渡したり脅迫したりして、外部操作を可能にさせるチップを取り付けさせるのもいいだろう。

 これはまあ、テロみたいなものだ。そういう悪質な犯罪的な行為にどう対処するべきか、ということだ。

 ──

 実は、この問題はすでに、法的に解決が済んでいる。それは「PL法」(製造物責任法)だ。
 一般に、自動運転車に限らず、製造物に根源的な欠陥が含まれていれば、それは、それを製造した会社に責任がある。そのことは、電器製品でも、日用品でも、あらゆるものに適用される。もちろん、自動運転車にも適用される。

 本件に当てはめれば、こうだ。
 「自動運転車の製造会社は、根本的な欠陥が含まれないように、十分に留意する義務がある。その義務を果たさなければ、賠償責任を負う」

 つまり、悪意ある設計などが含まれないように、十分に注意することが、製造会社には求められる。その注意が不足して、悪意ある設計を含んだまま商品を販売したならば、それはその会社が注意義務を果たしていないということになるのだから、会社に賠償責任が発生するのだ。

 こうして、すべては「PL法」で解決が付く。それはすでに法的に制度化されていることだ。問題は解決済みである。
 そのことに気づかないのは、冒頭の著者が法的に無知であるからだ。それだけのことだ。

( ※ 著者の肩書きを見たら、東洋大学文学部哲学科准教授だという。哲学者か。なるほど。これで、法律には無知である理由がわかった。法律音痴が法を語る。)



 [ 付記1 ]
 根源的な欠陥ではなく、ただの性能不足で、事故が起こることもある。この場合には、保険で対処すればいい。
 たとえば、日産の自動ブレーキは性能が低くて、衝突事故を起こしやすい。それで実際に事故が起こったら、保険で対応すればいいのだ。
 あとは、「日産車の保険料は高くする」というふうに保険会社が料率設計すればいいのだが、そうしなくても構わない。保険会社が余計に金を払う(= 損をする)だけのことだ。

 [ 付記2 ]
 なお、「自動ブレーキがないせいで事故が起こった」ということは、実際に頻発しているが、すべて保険で対応されている。
 たとえば、「高速道であおり運転をしたせいでトラックが衝突」という先日の事故( → 前々項 )もそうだ。これについてはトラックの保険で対応がなされる。運転者には「前方不注意」の罪も生じるが。(この例は「完全自動運転」ではないので、運転者に責任が生じる。)

 この事故で、トラック運転者の責任については、参考記事がある。
  → 東名煽り運転ってただのトラックの前方不注意じゃないの? - 知恵袋
  → 東名あおり事故、追突した運転手「両親奪い申し訳ない」:朝日新聞
  → 東名高速道路での追突事故 トラック運転手も罪に問われる可能性も
  → 東名の煽り運転の事件でトラック運転手だけが不起訴って... - 知恵袋
posted by 管理人 at 09:00| Comment(5) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 [ 付記2 ]を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2019年02月03日 08:39
>十分に留意する義務がある。

この十分だったか否かの判断を裁判所が下すことになると思いますが、相当時間がかかるんじゃないかと。”三菱リコール隠し事件”ですら結構時間がかかりました。
Posted by 作業員 at 2019年02月03日 13:39
 ミスによる欠陥は、どっちみち避けがたい。ときどき起こるものだ。最近ではスバル。

 本項では、悪意による故意の欠陥を防ぐ方法はある、という話。会社がしっかりしていれば、悪意の介在は防ぐことができる。

 例外は、独裁体制下における、トップ自身の悪意。それがゴーンの不正。
 ただしこれも、監査役を十分に設置すれば、防げたはずだった。監査役を拒否する独裁者がいたら、どうしようもないが、そういう会社だということは、すでに公開されている。
 企業の監査体制が甘いのは、日本の制度が甘いから。自民党政治だと、どうしてもそうなる。
Posted by 管理人 at 2019年02月03日 14:18
>根源的な欠陥ではなく、ただの性能不足で、事故が起こることもある。この場合には、保険で対処すればいい。

この場合確かに賠償はなされますが、本稿のメインテーマの責任は誰が取る?の件はどうなるのでしょうか。
 もし車が追突すれば、運転手がその責任を負い点数を減らされ、運悪く被害者が大怪我、死亡すれば立件されます。もし自動運転車が外部からのハッキング等なしで追突して被害者が死亡したらPL法により自動車会社の責任となり、自動車会社の誰かが書類送検されたり時には交通刑務所に送られるとお考えなのでしょうか。それとも自動運転車の所有者、乗員でしょうか。あるいは誰も刑事罰を受けることはない?
Posted by daimong at 2019年02月04日 23:13
 性能不足なら、性能不足を認識している必要がある。だから、その認識の上での対処となる。たとえば、ブレーキは、ちょっと踏めば一挙に停止するものではない。そうわきまえておくべし。

 回避可能なのに回避策を取らなかったなら、運転者の責任。
 誰がやっても回避不能だったなら、責任なし。自動運転の場合も同様。

 常識で考えればわかる。
Posted by 管理人 at 2019年02月04日 23:22
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