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「性能がいいから売れるんだ」
という説は、わかりやすいが、信頼しがたい。反証となることがいくつもあるからだ。
・ ホンダ車は、米国でよく売れるが、欧州では売れない。
・ トヨタ車も、同様の傾向がある。
・ 日産車は、米国では不人気だが、他地域ではよく売れる。
(ただし日産車で売れるのは、大衆車と SUV だけ。)
・ ベンツと BMW は、米国でもよく売れる。
いずれにせよ、売れ行きには、濃淡がある。「性能がいいから売れるんだ」という説が成立するなら、日本車はどれもが世界中でよく売れるはずだが、地域別にメーカーや車種で濃淡が生じるのだ。また、ドイツ車も、メーカー別で濃淡が生じる。(ベンツと BMW とポルシェがよく売れるのはわかるが、フォルクスワーゲンが不人気なのが説明しがたい。)
いったいどうしてこういうことが起こるのか? 以上のすべてを説明する理由はあるのか?
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ここで、ベストカーという雑誌の最新号を読んでいたら、面白い記事を見つけた。
https://amzn.to/2UvyOtD
趣旨は次の通り。
自動変速機には、トルコンAT、CVT、DCT など、いろいろあるが、今日では最も高性能のものは、多段式トルコンAT である。CVT はスリップしやすくて伝達効率が悪い(燃費が悪い)し、DCT は焼き付き故障や変則段差があったりするが、トルコンAT はそういう問題がない。ただ一つ、伝達効率の悪さが問題だったが、近年、多段式の AT が開発され、これだと(ロックアップのおかげで)効率が良い。各種変速機のなかで、頭一つ抜け出している。ただし、価格が高いのが難で、中・高級車にしか使えない。
以上の話を読んで、冒頭の問題に解決が得られた、と思った。つまり、こうだ。
日本車が米国で人気なのは、多段式トルコン AT の技術が優れているからである。特に、トヨタとホンダは優れている。しかも最近では、カムリの8速 AT やアコードの 10速 AT みたいに、傑出した高性能のものが出ている。同様に、ベンツや BMW も多段式トルコン AT を出している。だからこれらのメーカーは、米国で売れている。
一方、日産はダメだ。日産は FF 車ではまともな多段式トルコン AT の技術がなくて、インフィニティ・QX60 のような高級車でさえ CVT を使っているが、これでは、ドライバビリティが悪くて、評判が悪い。最新型のアルティマも、カムリやアコードよりも1年遅れで登場したのにもかかわらず、米国での評判ではカムリやアコードよりも1段下の評価しか得られていない。その理由は、変速機( CVT )だ。これが非常に質感が悪くて、安物という評価を与えられている。ただし、安物 SUV や安物小型車だと、CVT が大きなデメリットとならないので、価格の安さだけを売りにして、そこそこ売れているようだ。
フォルクスワーゲンは、CVT のかわりに DCT を使っているが、これも評判が良くない。欧州のように高速道路が発達している国では、燃費のいい DCT がよさそうだが、米国のようにガソリンの安い国では、燃費の良さはメリットにならない。むしろ、段差の付く変速が好まれない。また、高温の地域では故障しやすい。いずれにせよ、多段式トルコン AT には負けている。
こうして、冒頭の謎については、回答が与えられた。つまり、日本車が米国で売れているのは、トヨタとホンダの多段式トルコン AT が優れているからだ。(日産はそれに当てはまらない。)
一方、トヨタとホンダが欧州ではあまり売れないことも、これで説明される。多段式トルコン AT が優れているということは、欧州ではたいしてメリットにならないからだ。(欧州では DCT と MT が主流であって、トルコンAT は不人気だ。)
[ 付記1 ]
ついでに、以上のことから各社に評価を与えると、こうだ。
トヨタは、ほぼ盤石だ。ハイブリッドも強い。ただ、 欧州では、DCT がないのが弱点となっている。( ※ あと、デザインだけは、どうにもいただけない。スープラなどのデザインを見ると、涙が出そうなほど、情けなくなる。)
ホンダは、米国では強いが、販売が米国一辺倒になっていて、非常に不安定だ。トランプ大統領が日本車の制限をしたら、一挙に倒産ということになりかねない。(ちなみに、曙ブレーキは、米国市場でシェアを失ったせいで、倒産した。→ ニュース )
日産は、変速機の技術が遅れている。多段式トルコン AT の技術では、トヨタやホンダの後塵を拝している。こんなことでは、中級車以上ではまともなシェアを望めない。エンジンやサスペンションなどの技術がいくら優れていても、変速機の技術が劣っていては完敗してしまうのだ。
ま、自社の技術がダメなら、ボルグワーナーなどから技術を買うという手もあるのだが、買うだけでは済みそうにない。どうしても自社開発が必要だろう。といっても、その技術が一朝一夕に誕生するわけでもない。技術開発を惜しんだゴーン経営のツケが回ったと言える。今後は何年もかけて、多段式トルコン AT の技術を開発するしかあるまい。ただしそれには、巨額の開発費の捻出が必要だ。先はあまり明るくない。
( ※ これまでは好決算のために利益を計上してきたが、それは開発費を惜しんできたからだった。そのツケが回っている。ゴーン経営のツケ。かなりひどいね。……ただし、株価は、それを反映している。日産の株価は、利益の割には、とても安い株価だ。将来性がない、と市場に判定されているわけだ。)
( ※ 日産の技術開発がダメなのは、「技術の日産」を口にしていながら、実際には「技術軽視の日産」であったからだ。それというのも、代々の社長が、文系ばかりで、技術のことをまったく理解できないからだ。理系・技術系の社長は、久米豊ぐらいで、他のほとんどは、財務の出身だ。ゴーンもそうだし、志賀もそうだし、西川もそうだ。こういう連中が、技術開発を無視して、財務をいじって利益だけを増やそうとしたところに、日産の悲劇がある。……そこで、「日産の技術はダメだ」というふうに述べるのが、本サイトだ。つまり、「王様は裸だ」と告げる。)
[ 付記2 ]
もうちょっとよく調べたら、日産の変速機は、JATCO製。JATCOは、日産・三菱・スズキが共同出資で設立したトランスミッション専業メーカーだが、安物の CVT ばかりをやっていて、多段式トルコン AT の開発はほったらかしだ。日産と同じで、ゴーンによってコストカットばかりを強いられてきたせいらしい。会社は別会社だが、ゴーン経営の負の面を押しつけられた形だ。
日産としては、あとは e-Power と電気自動車に頼るしかないのかも。これらは変速機がないから、「ダメな変速機」という問題を回避できる。
換言すれば、日産でまともなのは、 e-Power と電気自動車と安物大衆車だけ。あとは、変速機がダメだから、まともな商品はないも同然だ。
たとえば、エクストレイルが CVT というのは、呆れるばかり。「安いのだけが取り柄」という商品だから、それ以外を求める人には、買ってもらえないね。
[ 余談 ]
「下町ロケット」というドラマが、先日に放送されていたが、そこでは、「町工場がちょっと努力したら、優秀な変速機を生産できるようになった」という話があった。
これを見て、呆れたものだ。町工場がちょっと努力したぐらいで、優秀な変速機を生産できるわけがないだろうが。日産自動車が莫大な投資をして、何年もかけても、まともな変速機を生産できないのだ。町工場がゼロから初めて、いきなりまともな生産ができるはずがない。
しかも、ドラマでは、月産 1000台以下という少量生産。これでは、とうてい採算に乗らないだろう。
いくら架空のドラマだとはいえ、あまりも現実離れしているので、呆れたものだ。
( ※ 別の点でも、twitter で大批判された。 → 記事 )
タイムスタンプは 下記 ↓
”マジレスすれば、日産の人材は世界水準で一流レベルです。(中略)
兵は一流、将は三流。”
と記されています。この見方と、本エントリの
”「日産の技術はダメだ」というふうに述べるのが、本サイトだ。”
はなんだか整合性がとれていないように思えるのですが...全ての原因は”将は三流”に帰結する、ということなんでしょうか。兵が一流であるならば、もう少し技術に反映されていてもいいような。
逆に言えば、今後、新社長が金をかければ、人は優秀なので、技術開発は可能です。
とはいえ、最低でも数年間はかかる。モデルチェンジは3年ぐらいはかかるので。数百億円と数年の時間をかければ、復活は可能でしょう。
※ 数百億円といったが、プロジェクトごとの費用だ。総額では、数年間で数千億円の投資が必要だろう。ゴーンはそれほどにも投資を渋って、日産を弱体化させた。
”技術者は優秀だけど、技術はダメだ”は仕事をしないか、させないことによるわけですが、だからといって”技術者は優秀”が確か否かは解りません。
話せば長くなるので、割愛。本項の話題ではない。
知りたければ、自分で調べましょう。
なお、本サイトでも何度か言及したので、サイト内検索をすれば、いくらかわかるかも。
http://j.mp/2BeA0dy
そんなことは書いてないでしょ。原文を引用しましょう。 文中に記したのは
「日産車は、米国では不人気だが、他地域ではよく売れる。」
です。「売れない」ではなく、「不人気」です。
米国での人気ランキングなどを見るとわかります。
あと、ホンダは米国市場で大きな利益を上げているんですが、日産は大幅値引きで台数を出しているだけで、利益がほとんど出ていないんです。
ま、全然不人気なわけじゃないし、ローグは人気もあるんだけど、それは一部の例外ということで。
あなたがやたらとけないしているCVTを誉めているレビューもかなりありますが。
日産は米国以外の地域で売れている
ホンダの販売は日産の少し上
これら3つは同時になりたたないのでは?
あとホンダの利益をいま支えているのは好調な二輪部門で、四輪部門はボロボロです。
他人とは意見が違うこともあります。別に論争しているわけじゃないんだから、いちいち正面から否定する必要もない。異論の存在は認めます。
ホンダの二輪と四輪の収益は
https://response.jp/article/2018/02/02/305617.html
https://response.jp/article/2019/02/02/318709.html
別にボロボロというほどひどくはない。また、「世界規模でなく米国に限定すれば、そこそこ高収益である」ことと矛盾しない。(他地域で売れないだけだ。)
興味があるので教えてほしいんですが。
なお私は日本車以外の各国の主要メーカの販売する各車種が米国、欧州、中国市場において、各月何台ずつ売れているかを知っている上で聞いております。
フォルクスワーゲンをドイツメーカーというだけでBMWやダイムラーと同列に語ろうとしたり、トヨタが欧州で売れていないとしたり、ジャトコを知らずに日産を批判したり、自動車メーカーの力関係が見えていないようです。
売れていないじゃなくて、不人気。何度言ったらわかるんだか。人の話を読みましょう。
> 各月何台ずつ売れているかを知っている
これも同じ。台数の話をしているんじゃない。
この手の人は、自分の誤読を正しいと信じた上で、人の話を徹底的に聞かないんですよね。議論が成立しない。
> 明確なソース
各種の品質評価や、ユーザーのコメントです。出典は多数の集団。
声で圧倒的に多いのは、「日産車は品質は劣るが値段が安いから買う。値引きも多いし」というもの。
わかった? 「売れない」んじゃないんですよ。台数の話はもともと関係ない。
あなた、本文をまったく理解していないんですね。「日産車は不人気だけど安いから、安物を買う人に売れている」と記しているんだが。読めないの?
日産デイズの旧型もそうで、燃費が悪くて欠陥履歴で、すごく不人気だったが、値引きが多いので、結構売れていた。
人気かどうかは、台数じゃなくて、値引き額を見ればわかる。商売のイロハだ。
日産は大幅減益で、さらにはアルティマは大幅に販売大数減です。トヨタもホンダも、それほどひどくはありません。
あなた、本文をまったく理解しないで、自分の脳内情報だけを信じているんですね。人の話を聞いても信じないで、誤った情報ばかりを信じているのなら、他人の話を聞いても無駄じゃないの? いつまでも誤った情報にばかりこだわって、修正するつもりがないんだから。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2019
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-01/PM9NSXSYF01S01
ホンダの利益率低下は、北米じゃなくて、北米以外で。主として欧州で。
重要なのは、米国の自動車の評価で、ホンダのアコードの評価が圧倒的に高いこと。これはつまり、値引きしないでも売れるということ。逆に、評価が低いのがアルティマで、大幅値引きしないと売れない、ということ。
四輪と二輪の話は、すでにコメント欄で何度か言及されたこと。
あなたはコメント欄も読まないで、自分の説ばかりを語っている。少しは人の話を読みましょう。
> 4輪部門は好調な2輪部門に食わしてもらっている状態
また嘘をつく。または、データを読めないのか? 二輪の方が儲けの量は多いが、四輪は決して赤字ではなく、そこそこの黒字を出している。北米に限れば、四輪も大幅な黒字を出している。他地域では赤字っぽいけど。
https://diamond.jp/articles/-/201710