2019年01月16日

◆ 名古屋城にエレベーター?

 再建する名古屋城にエレベーターを付けるべきか? 

 ──

 再建する名古屋城にエレベーターを付けるべきか……という問題が議論を呼んでいる。
 名古屋市長が木造天守の再建を目指しているが、そこにエレベーターが設置されないことになり、障害者団体から強い反発を受けている。
 名古屋城天守は徳川家康の命で1612年に建てられ、300年以上その姿をとどめてきたが、太平洋戦争末期の空襲で焼け落ちた。戦後、市民の寄付などによってコンクリート製で再建され、屋内外に計3基のエレベーターが取り付けられた。
 河村市長は、焼失前の天守の実測図や写真などが豊富に残ることから「寸分たがわぬ復元」を公約に掲げ、2017年の市長選で4度目の当選を果たした。
 河村市長は昨年5月、「史実に忠実な復元のため」として新天守にエレベーターを設けないと決めた。
( → 天守のエレベーターで激論 忠実な復元かバリアフリーか:朝日新聞

 賛否両論とも自説を強く主張して、容易に結論が出ないようだ。

 《 設置反対論 》

 古くからある伝統的な木造構造にこだわったのだから、近代的なエレベーターなんか付けたら、近代建築っぽくなってしまう。それでは観光資源としての価値がなくなる。あくまで歴史的な建造物であることを優先するべきであって、一部の観光客の都合なんかは二の次でいい。あくまで商売が大事。金が大事。地元振興が大事。そのためには、弱者のことなんか、気にしていられない。万事は、カネ・カネ・カネ。

 《 設置賛成論 》

 障害者や高齢者だって、再建された名古屋城を楽しむ権利はある。娯楽設備は、ただの無用なオマケではなくて、人間にとって絶対的に必要不可欠なものなのだ。人間は、ホモ・ルーデンスと言われるほどにも、遊びが重要なのだ。この絶対的に重要な権利を侵害することはあってはならない。ゆえに、どれほど大きな犠牲を払おうとも、エレベーターを設置するべきだ。

 ※
 ちょっと戯画的に表現したが、どっちも似たり寄ったりで、勝手なことばかり言っている。

 ──

 さて。では、どうするべきか? 「困ったときの Openブログ」と言いたいところだが、うまい案があるわけではない。とはいえ、現実的な案を出すことはできる。こうだ。
 「両者がどちらも譲りがたいときには、足して二で割るような折衷案こそが、唯一の解決策である」

 これはつまり「妥協」ということだ。これだけが現実的に取れる案だろう。

 ──

 では、折衷案とは? それが問題となる。エレベーターを「設置する」と「設置しない」の中間となるような、折衷案はあるのだろうか? 
 「ある」というのが私の見解だ。これこそ「うまい案」とも得る。それは、こうだ。
  ・ 大きなエレベーターでなく、ごく小さなエレベーターにする。
  ・ 最上階までは通さず、途中階まで通すだけにする。

 
 (1) 小さなエレベーター

 駅の昇降用のエレベーターのような、ごく小さなものにする。これならば、設置しても、あまり目立たないので、弊害は少ないだろう。(見映えの点で。)

 (2) 途中階まで

 最上階は狭いので、そこにエレベーターがあると、いかにも目立ってしまって、興醒めだ。だから最上階には、エレベーターを通さない。途中階までだけにする。(4階建てならば、2階か3階まで。)
 これだと不満に思えるかもしれないが、そもそも、普通の天守閣では、最上階への階段がすごく急傾斜なので、普通の人でさえ、最上階にまで上るのは大変だ。普通の人でさえ、最上階には行きにくいのだから、障害者や高齢者がそうできないとしても、仕方あるまい。

 ──

 さらに、次のアイデアもある。
 「天守閣の最上階のレプリカ(模擬建築)を、通常の低い建物として設置する。そこにはエレベーターを通す」

 つまり、「歴史的建造物としての意義なんか気にしないで、とにかくアクセスが便利なアミューズメント施設がほしい」という遊び人が多いのだから、そういう遊び人のために、専用のアミューズメント施設を設置すればいいのだ。それは、低層の建物としてできるのだから、ごく安価の入場料で利用できるようにすればいい。
 一方、本物の天守閣の最上階は、入場制限をする必要があるので、高額の利用料を取るといい。
 一例としては、下記だ。
  ・ 本物の最上階   …… 2000円、30分ごとの入れ替え制。
  ・ レプリカの最上階 …… 300円、時間制限なし。

 なお、レプリカに入りたがる人が多いだろうから、レプリカは三つぐらい作るといいだろう。(最上階の面積は小さいので、大勢の観光客が入りきらない恐れがある。)

 ともあれ、いろいろと工夫することで、何とか妥協点を探り当てることができるだろう。



 [ 余談 ]
 先週、上野のムンク展に行ったのだが、ものすごい人出だった。都内にたくさんの展覧会があるのに、ムンク展だけでこのような大勢の人出がある。
 大阪城という、さんざん見慣れたものでさえ、すごい人出があるのに、名古屋城なんていう唯一のものが新たにできたら、とんでもない人出になりそうだ。あの狭い天守閣に、大勢の観光客が入りきるはずがない。
 
 「何とかして観光資源に役立てたい」というのが、名古屋市の思惑なのだろうが、「いくら大勢の観光客を呼び寄せても、内部に入りきらない」という収容不足の問題が発生する。そっちの心配をした方がよさそうだ。
 一方、本項の提案ならば、本物とレプリカで多数の最上階ができるので、収容不足の問題が発生しにくい。これこそ、一石二鳥の賢明な案というものだ。
 


 【 追記 】
 実は、名古屋城再建は実現するかどうか、おぼつかないらしい。
 というのは、石垣に問題があって、これをきちんと整備することが容易ではないということが有識者によって指摘されているからだ。木造の天守閣そのものは構築可能だとしても、その下にある石垣が現状維持できるかどうかおぼつかないのだ。
 となると、「親亀こけたら皆こけた」というふうになりかねないわけだ。あるいは「砂上の楼閣」みたいなものだ。
 人々は上物の論議ばかりをしているが、肝心要の基礎部分があやふやなわけだ。
 詳しい話は、私もよく知らないので、関心がある人は、調べてみるといいだろう。

 ──

 ちなみに、木造再建の費用は、何とかなるらしい。ものすごく巨額になるのだが、入場料収入ではまかなえないとしても、地元から浄財の寄付をたくさん受け入れれば、何とかなるらしい。過去に似た形の再建の例はある。

 名古屋城の木造再建が、地元の資金だけで足りて、国の資金を必要としないのであれば、あえて反対する理由はない……と思えたのだが、よく考えると、そうでもない。熊本城は、地震で損壊すると、ほぼ全額を国の資金で、再建してもらおうとする。とんでもない国庫依存だ。とすれば、名古屋城もそうなりかねない。
 心配なのは、南海トラフ沖地震だ。名古屋城はその近くにある。2030年ごろに完成したとして、その直後に南海トラフ沖地震ですべて崩壊する……ということも考えられる。(耐震性は震度7ぐらいまでだから、利用不可能な程度まで損壊することは考えられる。)
 となると、500億円以上をかけて再建するが、たちまち地震で崩壊して、そのあとは国庫に依存してまたも再建してもらう……というふうになりかねない。何か、馬鹿げていますね。
 大地震で壊れたあとに再建する方がいいんじゃないの? それなら再建はいっぺんで済む。



 【 関連項目 】
 再建される名古屋城は、木造なので、耐震性が不足する懸念がある……という話を前にしたことがある。
  → 名古屋城(木造)の耐震性: Open ブログ
 





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posted by 管理人 at 19:28| Comment(4) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
耐震性云々のお話はともかくとして、
『レプリカ』は良いと思います。

要は、観光客を呼べるテーマパークにすれば
良いってことですよね。
本丸御殿だってそのノリの要はレプリカなんだから、おんなじ感じ。

現在の城
 → 法律に則って、耐震補強

木造レプリカ
 → 最上階とかその下の階とか、低層木造で極力当時の状況に近く「再現」

あとはVRか何かで疑似体験


愛知県の企業出資で『ナゴヤランド』でも作りますか。
Posted by けろ at 2019年01月16日 21:40
 最後の少し前に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2019年01月16日 23:30
東京都もアホな税金のばら撒きをやめて、江戸城復元すればいいのに。
中村彰彦氏みたいな反対意見もあるだろうけど、そこまで考えて観光する人は皆無に近いし。
Posted by 名無し at 2019年01月17日 13:07
 関連項目
  → 江戸城を再建せよ/皇居を開放せよ
    http://openblog.seesaa.net/article/440417693.html
  
Posted by 管理人 at 2019年01月17日 19:45
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