2019年01月08日

◆ ゴーンに脱税罪?

 ゴーンは特別背任を否定したが、だとすれば、その所得に対して、贈与税または所得税の脱税罪を適用できるか?

 ──

 事件の概要はこうだ。
 地検捜査の焦点は、ゴーン容疑者の資産管理会社が新生銀行と契約したデリバティブ(金融派生商品)取引。2008年金融危機の際の円急騰時に同取引で1670万ドルの評価損が生じた。
  東京地検はゴーン容疑者がこの損失を日産自に付け替え、その後、自分の資産管理会社に戻したが、この際にジュファリ氏が新生銀への信用保証で協力したとみている。
( → サウジ実業家:日産からの16億円の支払いは正当−特別背任事件 - Bloomberg

 つまり、金は次のように流れた。
    ゴーン ← ジュファリ氏 ← 日産自動車


 ここで、「ジュファリ氏 ← 日産自動車」という流れについて、ゴーンは「正当な業務への対価だ」と述べている。ま、それは裁判の争点なので、ここでは論じない。

 問題は、「ゴーン ← ジュファリ氏」という金の流れだ。これは、贈与または業務上所得なので、贈与税または所得税の対象となる。その税を払っていなかったとすれば、脱税になる。
 では、今回の事例では、脱税になるか?

 調べてみたところ、「条件となる時期が境界線にあるので、納税義務があるかどうかは微妙」という結論となった。
 贈与税については、贈与者が外国居住の場合には、受贈者(ゴーン)に納税義務があるのは、次の場合だ。
 「受贈者が 10年以上、国内に住所を有すること」
   → No. 4432 受贈者が外国に居住しているとき|国税庁

 ゴーンの場合は、1999年に日産社長となって居住したので、2009年の時点では、「10年」という条件を満たすかどうか、微妙である。境界線上にあって、はっきりとしない。
 冒頭の記事では「ゴーン ← ジュファリ氏」という流れがあった時期は不明である。2008年のリーマンショックよりはあとであるが、そのあと、日産に払ってもらったり何だりで、いくらか手間取っているので、実際に金の流れがあったのが 2009年なのかどうかも判然としていない。
 というわけで、「脱税をしたかどうかは微妙だ」(はっきりとしたことは不明だ)という結論になる。国税庁あたりがしっかり調べることで判明するだろう。

 ※ 以上は贈与税の場合。所得税の場合は、もっとはっきりとした「脱税」と認定されそうだが、所得に該当するかどうかは問題となりそうだ。

 ──

 もう一つ、「時効」の問題がある。脱税の時効は、通常は5年で、悪質なものは7年だ。今回は悪質なので、7年となる。
 脱税の時期が 2008年だと、すでに 10年以上が経過しているので、もはや時効だと思えそうだが、さにあらず。ゴーンは国外居住の期間がとても長いので、その間は時効停止になっている。近年ではほとんど日本に来ないそうだから、時効停止になっている期間は十分に長そうだ。というわけで、時効になっている可能性は低い。
 とはいえ、これもはっきりとしたことは言えないので、ひょっとしたら、すでに時効になっている可能性もある。脱税についても成否は「微妙」だ。

 ま、とりあえずは、「贈与税の脱税になっている可能性はある」とだけ指摘しておこう。
( ※ 脱税罪については、ほとんど報道されていないようだ。検察は脱税罪の適用を考えていないのかもね。)

 ──

 ただし、「現時点では時効になっていないが、国税庁がグズグズしていたせいで、2019年2月に時効が成立した」というようなことになる可能性もある。
 で、3月ごろにそれに気づいて、「しまった! 1月中に起訴しておけばよかった!」と後悔するハメに。……こうなると、もはやギャグだな。



 【 関連項目 】

 ゴーンの不正について「脱税」という話題で言及したことは、前にも何度かある。ただし、軽く言及した程度で、本項のように詳しく論じたことはない。

 とはいえ、一つだけ詳しく論じたことがある。それは、「海外の不動産の取得」についての脱税だ。
  → ゴーンの海外住宅は脱税か?: Open ブログ
 これは、明白な脱税だと思えるのだが、今になってよく考えてみると、どうも微妙だ。というのは、これは国外犯なので、海外における犯罪となるだけで、国内における犯罪にはならないのかもしれない。詳細は不明。何とも言えない。
 


 【 関連動画 】



posted by 管理人 at 21:14| Comment(1) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
脱税の時効の話、どなたもコメントされていないので自信はありませんがコメントします。

10年前なら海外滞在の有無にかかわらず賦課権はなくなっている。未納の税、重加算税等は納める必要がない。
10年前の脱税の刑事罰の時効は5年。海外滞在で停止。5年以下の懲役もしくは500万円以下(但し脱税額が500万円を超えている場合は脱税額以下)の罰金または両方。


(1)賦課権の除斥期間
いろいろあり。3,5,6,7,9年。
原則として停止とか中断はない。
よって、海外滞在で停止することはない。


(2)脱税(偽りその他不正の行為による)の罰則
海外滞在で停止。

平成22年の一連の税制改正で

(改正前)「5年以下の懲役もしくは500万円以下(情状により脱税額以下)の罰金または併科」。公訴時効は5年

(改正後)平成22年6月1日以後の違反行為に適用。「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下(情状により脱税額以下)の罰金または併科」。公訴時効は7年
Posted by nb at 2019年01月11日 22:17
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