2018年12月07日

◆ 原発はオワコンか?

 原発の海外輸出が不可能になりつつある。コストが当初の2倍になるせいで。
 となると、原発にはもはや 未来はないのだろうか?

 ──

 トルコに原発を輸出するはずだったのだが、コストが当初の予定の2倍になったので、契約解除となるそうだ。(三菱重工)
 一方、英国への輸出も、コストが当初の予定の2倍になったので、契約解除となりそうな雲行きだ。(日立)
 日本政府と三菱重工業が、トルコの原発建設計画を断念する方向でトルコ政府と調整に入った。原発の安全対策費がかさみ、事業費が当初の想定の2倍超にふくらむ見込みとなり、トルコ側との交渉が進まなくなっていた。
 ──
 断念が相次ぐ。12年にはリトアニアの国民投票で反対多数となり、内定していた日立製作所の原発輸出が凍結された。10年に合意したベトナムの計画は16年に撤回された。日立や東芝、三菱重工などがかかわる台湾での計画も14年に凍結が発表された。原発輸出に最も熱心だった東芝は、子会社のウェスチングハウスが経営破綻し、海外の原発建設事業からの全面撤退に追い込まれた。
 実現の可能性が唯一残るのが英国西部で日立が原発2基を建設する計画だが、こちらも先行きは不透明だ。
 総事業費が当初想定より最大で2倍前後にふくらむとされる。日立は英国政府に資金支援を要請中で、完成後につくる電気の高値での買い取り保証も求めているが、交渉は難航。
( → トルコへの「原発輸出」断念へ 事業費が想定の2倍超:朝日新聞

 というわけで、どっちもこっちも、すべて挫折する見込みだ。その理由は、コストが当初予定の2倍にまで上昇することになったから。
 では、どうしてこうなった? 理由は、同じ記事に記してある。
 
 背景には、福島の事故で原発に対する視線が世界的に厳しくなっているのに加え、安全対策の強化で建設費は1基当たり1兆円超と高騰化していることがある。再生可能エネルギーのコスト削減が進む中、コストが増える一方の原発は太刀打ちできなくなっている。

 「安全対策の強化」。これが理由だ。福島原発事故のあとで、安全対策を強化することになり、そのせいでコストが大幅に上昇している。
 一方で、太陽光発電や風力発電の発電コストはどんどん低下しているので、もはや原発には勝機がない。おおむね 2〜3倍ぐらいのコストになっているからだ。
( ※ 例外的に日本では太陽光発電のコストが高いが、それでも、今後の新設原発ぐらいのコストだろう。日本以外では、太陽光発電・風力発電の方が圧倒的にコスト安だ。)

 こうなると、もう「原発はオワコンだ」ということになりそうだ。
 なるほど、遠い将来になれば、人類の技術が向上して、原子力をうまくコントロールできるようになるだろう。しかし、その時期は、今ではないし、近い将来でもない。たぶん、あと 100年ぐらいはかかりそうだ。それまでは、「原発はオワコンだ」と言ってよさそうだ。そして、100年ぐらいたったら、「死んだ原発が復活する」というふうになりそうだ。そのときまでは、ウランやプルトニウムは、地下に保存しておくしかあるまい。



 [ 付記 ]
 原発の安全対策費がこれほどにも高騰するとなると、既存の原発の安全対策費も高騰しそうだ。
 逆に言えば、既存の原発があっさりと再稼働し始めるのは、安全対策を疎かにしているせいかもしれない。「抜本的に安全」ではなく、「応急修理的に安全」というぐらいで、中途半端の安全さで、再稼働が認められているのかもしれない。
 関西電力の大飯原発とか、九州電力の川内原発とかは、こういういい加減な安全対策で、再稼働が許されたらしい。
 そういえば、中部電力の浜岡原発もある。これも、いい加減な安全基準で再稼働が認められることになりそうだ。その後は、(南海トラフ地震のときに)首都圏直撃で、日本は大地震と原発被害のダブルパンチで、壊滅状態になりそうだ。
 日本がオワコンになる。(浜岡原発を動かそうとする安倍首相のせいで。)

 ※ 浜岡を止めた菅直人は、実に偉かった。その菅直人が不評で、安倍首相が高支持率なんだから、日本はやっぱりオワコンだ。



 [ 余談 ]
 オワコンといえば、Google のサービスは次々と終了になっている。最近では Google+ (ぐぐたす) の終了が話題になったが、他にもいろいろとある。
  → 「Google+」だけじゃない! これまでに終了したグーグルの17のサービス

 こう書いている本日も、また一つ終了となった。今回は、「 Google Allo 」というメッセージサービス。
  → Googleのメッセージングサービスがわずか2年で終了を発表 - INTERNET Watch

 似た例では、はてな が次々とサービスを終了させている。最近では、「はてなダイアリー」と「はてなハイク」の終了が告知された。

 ※ 実は、はてな は他にも 12 サービスを終了している。
    → はてな、「はてなOne」「はてなまとめ(仮)」など12サービス終了 - ねとらぼ
    → はてなが10月に終了する12サービスが3分でわかるまとめとネット上の反応

posted by 管理人 at 23:15 | Comment(10) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>※ 浜岡を止めた菅直人は、実に偉かった。そ
>の菅直人が不評で、安倍首相が高支持率なんだ
>から、日本はやっぱりオワコンだ。

禿同!
Posted by H at 2018年12月08日 00:50
>遠い将来になれば、人類の技術が向上して、原子力をうまくコントロールできるようになるだろう。

依存度は下げるべきですが、研究は続けるべきですね。脱原発を叫んで、研究することすらけしからんと言い出す扇動者にみんなが騙されなければいいんですが。。
Posted by 大学生 at 2018年12月08日 10:21
原発といじめはカッコ悪い。
Posted by まりも at 2018年12月08日 12:58
>研究することすらけしからんと言い出す扇動者

そんなこと言っている奴がいるんですか?
反対派はみんなそんなこと言っているんですか?
Posted by とーりすがり at 2018年12月08日 15:02
研究は続けるべきでしょう。
というか、今まさに福島第一という研究(そしてどうしても何とかして対処せねばならない)対象があるのですから、続けないという選択はありえないでしょう。(実際、ものすごいカネをかけてる)

けれど、商用運転ということになると、
やめたほうが良いと思います。
せめて、福島の炉心の状況をちゃんと調査できて、
余すところなく事故原因を究明できて、それに対する対策を構築できて、万一の事故時にも速やかに収束させる手立てを確立できて、それからですね。

事故デブリの取り出し目標が40年後……やっぱ、あと100年くらいはかかりそうだ。

賛成派も反対派も、福島第一を見てきたら良いと思います。一度と言わず、何度も。
Posted by けろ at 2018年12月10日 03:04
ここは反安倍、立憲民主党支持者の集まりですか?
Posted by 七紙 at 2018年12月10日 07:25
理屈で考えれば事故の影響が最小のところに移転するのが正解。日本で言えば東の端で人口密度も少ない根室。その上で再エネの余剰電力で海水ウランを精製して燃料とすれば原発も再エネの仲間入り。永久に活用できる。原発の関係者はそういう長期戦略はまったく描けないようだ。
Posted by vaceba at 2018年12月10日 12:44
根室は確かに日本の端っこで人口密度が低いですが、ロシア軍がうようよしていて攻撃対象にされやしないかと懸念してしまいます。。。
Posted by 反財務省 at 2018年12月10日 14:20
 消費地から遠すぎると、電力損失の問題が。……
Posted by 管理人 at 2018年12月10日 19:06
高圧直流送電なら損失は1000kmで3%とwikiに。周波数問題もなくなる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/直流送電
Posted by vaceba at 2018年12月14日 12:33
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