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この件は、政府が「空母保有」という方針を出したあとで、朝日の社説が反対している。
政府は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」を改修し、垂直着艦ができる米国製の戦闘機F35Bの運用を検討してきた。年末に改定する防衛計画の大綱に、それを可能とする表現を盛り込む方針だ。
2015年に就役した「いずも」は艦首から艦尾まで通じる飛行甲板を持つ。護衛艦と称しているが事実上のヘリ空母だ。設計段階から、戦闘機を載せる改修が想定されていた。
政府や自民党は離島防衛や太平洋の防空への活用を強調しているが、「いずも」が現在担っている対潜水艦の警戒能力が低下すれば本末転倒ではないか。太平洋の防空を言うなら、自衛隊のレーダーや哨戒機の運用を見直すのが筋だろう。
有事を想定した場合、敵のミサイルや潜水艦からどうやって空母を守るのか。
( → (社説)防衛大綱改定 「空母」導入には反対だ:朝日新聞 )
朝日の立場は、「専守防衛からの逸脱は明らかで、認めるわけにはいかない」というものだが、私はこの立場とは異なる。「専守防衛」というのは、「敵が銃を撃ったら、弾を空中で止める」というようなものであるから、無理難題だ。ここでは「敵が銃を撃つ前に、敵の銃をたたき落とす」ということが必要となる。とすれば、そのためには、「専守防衛」という方針を捨てることが必要となる。
大事なのは「自衛権」だけであって、そのためには、「専守防衛」という方針は不要なのだ。そんなものは捨てていい。
( ※ 個人だって、攻撃してくる相手を攻撃するのは、「正当防衛」として認められる。)
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また、「空母の保有」という点でも、私は別に反対ではない。日本が将来的に多額の防衛支出をするようになったら、その多額の金で空母を導入することにはやぶさかではない。(防衛費を大幅に増やすかどうかは別問題。仮に大幅に増やすとしたら、という仮定の上での話だ。)
一方、現状のように予算が限られている状況で、空母を導入しようとしたら、どうなるか? 次のようになる。
・ 現在のヘリ空母を空母に改造する。
・ そのせいで、空母が増えた分、ヘリ空母が減る。
・ ヘリ空母が減ると、敵の対潜哨戒ができなくなる。
・ 日本近海では敵の潜水艦がのさばる。
・ 日本の船舶はすべて、敵の潜水艦の脅威にさらされる。
端的に言えば、こうなる。
「空母を守るためのヘリ空母がないと、たとえ空母があっても、その空母は敵の潜水艦によって撃沈される。さらには、イージス艦などもすべて、潜水艦によって撃沈される」
これはあまりにもひどい。だから、そうならないように、現状ではヘリ空母が最優先で配備されている。
そもそも海においては、最も強力な艦船は、潜水艦である。「水上艦は2次元にしか動けないのに、潜水艦は3次元に動けるのだから、潜水艦の優位は明らかだ」というような話が、「沈黙の艦隊」にあった。
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では潜水艦は無敵か……というと、そんなことはない。さすがの潜水艦も、(空を飛ぶ)対潜ヘリには弱い。ソノブイをたくさんばらまかれて、位置を検知されたあとで、爆雷を投与されたら、潜水艦は海の藻屑となりかねない。対潜ヘリの網に取り囲まれた潜水艦は、「クモの糸に引っかかった虫」も同様で、哀れにも餌食となるしかない。
したがって、現在の海上自衛隊で最も重要なのは、ヘリ空母である。だからこそ、これまではヘリ空母を最優先で配備してきたのだ。
ところが、それを理解できないのが、ボンクラ政治家だ。ヘリ空母という最大の防御力を捨ててまで、空母という最強の攻撃力を備えようとする。
なるほど、空母があれば、安倍首相の大好きな「集団的自衛権」を発揮するために、中東に派遣して、米軍の艦船を守ることができるだろう。まさしく米軍にとっては、願ったり叶ったりりだ。
しかしそのせいで、日本の本土の防御力は「もぬけの殻」も同然となる。敵の潜水艦にさらされて、艦船は次々と撃沈される。日本の潜水艦も少しは対抗できるが、潜水艦と潜水艦が広い海で出会うことは滅多にない。結果的に、日本の艦船は敵の潜水艦の餌食となるばかりだ。まずはイージス艦と護衛艦と駆逐艦がすべて撃沈され、次にはタンカーや商用船が撃沈される。日本は原油も食料も得られなくなり、あっという間に兵糧攻めで敗北する。
これが「空母配備」の結果だ。
つまり、「空母配備」をめざす安倍首相は、日本敗北を狙っているわけで、売国奴も同然だと言える。中国かロシアのスパイだな。(どちらも潜水艦を持っている。)
それにしても、「攻撃力だけに専念して、防御力を疎かにする」なんて、まるで子供の作戦だ。「頭はブリキでできているのかよ」と問いかけたくなるね。
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( ※ なお、いずも では、対潜ヘリと F-35B のどちらも搭載可能となるようだが、あまり意味がない。F-35B を搭載すれば、その分、対潜ヘリを減らす必要があるからだ。どっちみち、トレードオフである。あちらが立てば、こちらが立たず。)
《 加筆 》
「それを理解できないのが、ボンクラ政治家だ」
と文中に書いたが、肝心の防衛省はどうか? ここにいるのは、もちろん軍事の専門家だから、「ヘリ空母をなくせば日本の防衛力は弱体化する」ということは、わかっている。これまで必死に努力してきた戦力充実を、ないがしろにされるのも同然だからだ。
だから内部の人は「いずもの空母化には反対だ」と思っているらしい。実際、現役かどうかは知らないが、自衛隊の関係者(退職者?)が「個人的には、いずもの空母化には反対だ」と言っているという記事が、朝日に掲載された。
で、そういう専門家の意見を抑えて、いずもを空母化して、日本を弱体化しようとしているのが、売国奴の政治家たちだ。
※ 攻撃ばかりを重視して、防御を疎かにする、というのは、将棋ではこう言われる。
「ヘボ将棋 王より飛車を かわいがり」
[ 余談 ]
こういう馬鹿げた案が、どうして今ごろ出てきたのか? それはたぶん、漫画の「空母いぶき」のせいだろう。
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この漫画を見て、「空母ってすごい。空母がほしい」と思って、「だったら、ヘリ空母を改造すれば、すぐに空母が手に入るぞ」と思ったわけだ。
こういうふうに、ブリキの頭で考えたわけだ。元の漫画のは「ヘリ空母をなくす」なんてことは書いてないのだが、勝手に迷案を思いついたわけだ。ブリキの頭で。
日本の政治家のレベルは、漫画の大好きなオタクレベル。日本の防衛力は、漫画マニアの妄想で決められている。
[ 付記 ]
朝日新聞に、戦艦大和を巡る連載記事があった。なかなか興味深い。(宇宙戦艦ヤマトとの対比)
→ (大和とヤマトをたどって:2)圧倒的な相手とどう戦うか:朝日新聞デジタル
→ (大和とヤマトをたどって:6)「艦隊決戦」という呪縛:朝日新聞デジタル
戦艦大和が米軍と対決して勝てる見込みはまったくなかったのに、「遠距離からの艦対艦の対決」という「ありえない対戦」を想定して、「これで勝てる」と思い込んだ。現実には、そういう対戦は起こらず、「近距離からの艦対飛行機」の対決となった。こうして戦艦大和は海の藻屑となった。自分勝手に空想した状況で「勝利するはずだ」と見込んだことの結果だ。独りよがり。
これとそっくりなことを、今また、日本の政治家がやろうとしている。
戦艦大和はよみがえる。「空母いずも」という形で。
【 追記 】
「対潜ヘリ以外にも、対潜哨戒機がいっぱいあるぞ」
という意見が、コメント欄に寄せられた。詳しくは、コメント欄を参照。
※ 対潜哨戒機は、現地に届くのに時間がかかるので、離島防衛には向いていないが。
【 関連サイト 】
→ 政府が事実上の空母導入を検討 護衛艦「いずも」を改修
→ 護衛艦「いずも」事実上の空母化へ 防衛大綱に盛り込む方針 - FNN
→ いずも型護衛艦が空母になり、F35Bを運用すれば=中国メディア
→ いずも空母化。F-35B搭載に必要な改修は?(dragoner)

対潜哨戒ヘリは基本的に自艦、および艦隊防衛が基本任務です。
P-1 や P-3C で、広域を知ることはできない。ソノブイの数だって限られているんだし。
そもそも P-1 や P-3C は爆雷を詰んでいないので、潜水艦を発見しても、攻撃できない。艦船が到達したころには、潜水艦はすでに逃げている。
F-35の大量買いをやめて、無人の早期警戒機と無人のミサイルキャリアー(数十発のミサイルを搭載した航空機)を配備するとか、対潜ヘリの代わりにドローン(海上に浮いて休める)を大量に飛ばすとかやり方はいくらでもあります。
でも、それを実行できないのが日本の自衛官と政治家。
P-1もP-3Cも爆弾槽に12式単魚雷と150kg対潜爆弾を搭載しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/12式魚雷
https://matome.naver.jp/odai/2140079409262483001?page=2
潜水艦を攻撃できない対潜哨戒機はあり得ないでしょう。w
実際P-1はハワイでハープーン対艦ミサイル実射演習を行いました。
http://navyfan.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2010/10/06/reimg_0714.jpg
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/image/i32p0810.png
https://www.flickr.com/photos/134105816@N05/19300552333
これは私の間違いでした。失礼しました。情報ありがとうございます。
まあ、機体の数が限られているので、大きな効果は望めないとしても。
※ P-3 は老朽化して退役。P-1 は 19機のみ。同時飛行はありえず、半分は整備なので、実際に飛ぶのは 10機ぐらいだけ。
※ 対潜哨戒機は、そもそも遠隔地まで届くのに、時間がかかる。海で浮いているヘリ空母ならば、すぐだが。対潜哨戒機は、本土防衛には向いているが、離島防衛には向いていない。つまり、前線で敵をたたく機能は弱い。
p-3はともかくp-3cはアメリカ以外の国ならバリバリ現役で日本みたいにp-8相当のp-1がある国が珍しいくらい。
ちなみに現在の日本のp-3cの保有機数は54機とのこと。p-1と足せば73機。冷戦華やかなりしころはp-3cのみで100機くらいですから、それほど保有機数が減ったわけではありません。ましてやp-1の能力はp-3cより段違いに上がっているのでもう少しp-3c相当で換算するならもうちょっと多めにカウントしても不公正ではありません。