2018年11月09日

◆ 給食にピーマンを使うな

 給食のせいでピーマン嫌いになる子供がいる。ならば、給食にピーマンを使うべきではない。

 ──

 セクハラでも何でも、「イヤがる相手に無理強いする」というのは悪いことだ……というのが、現代の人々の共通理解だ。
 ところがどういうわけか、学校教育の場では、このようなことが堂々とまかり通っている。「給食の完食を無理強いする」という形で。「嫌いなものも残さずきれいに食べなさい」というふうに。

 これで好き嫌いが直るのならいいが、逆効果になることも多い。
 「給食のピーマンを無理やり食べさせられたのがトラウマになったので、大人になってもピーマンを食べられない」
 という人もいるそうだ。それどころか、無理強いする早親を恐れて、親子関係が破綻してしまった例もあるそうだ。
 「給食指導」の名の下に、このような人権侵害・虐待が長年行われてきたのです。そして、いまだに根強く行われています。
 雑誌の編集者である林さんは、子どもの頃ピーマンが嫌いでした。ある日、それがお母さんにバレて、たびたび強制的に食べさせられました。彼はお母さんが怖いので我慢して食べていましたが、大人になった今はピーマンが食べられません。
 子どもの頃、ピーマン以外にもブロッコリーやゴーヤも嫌いでしたが、今はそれらは普通に食べられます。でも、ピーマンは食べられません。彼は「強制的に食べさせられたトラウマだ」と言っています。それだけが原因ではないようですが、お母さんとは冷え切った関係になっています。お母さんのことは「嫌い」というより「怖い」そうで、できるだけ会わないようにしているそうです。
( → 学校給食は「残すな」より「食べ残せ」が正しい | 東洋経済オンライン

 この記事では、「給食は残していい」という形で結論している。
 しかし私としては、「給食にピーマンを使うべきではない」という形で、ピーマンを給食から排除することを提案したい。
 これならば、問題は完全に解決するからだ。(ピーマンを給食に入れなければ、給食のピーマン嫌いという問題は完全にゼロとなる。)

 ──

 これは一見、暴論と思えるかもしれない。しかし、暴論だと思う人の方が無知なのである。

 実は、ピーマンというものを食べる必要はまったくない。こんなものは一生食べなくても、何も問題ないのだ。食べないことで栄養的に困るということもない。
 比喩的に言えば、ピーマンとは、「アルコール分のないビール」みたいなものなのである。苦味を味わいたい大人にとっては好ましい食べ物だが、それを食べる必要性などはまったくない。ビールを飲む必要性がないのと同様に、ピーマンを食べる必要がない。

 実を言うと、苦いピーマンというものは、世界のなかで日本にしか存在しない。だから、日本以外の国では「苦いピーマンで子供が悩む」という問題も発生しない。
 こんな日本独自の食文化のために子供がことさら苦労する必要はないのだ。日本の子供だけが拷問を受けるいわれはない。



https://amzn.to/2SYztE3



 ここで謎に思うだろう。
 「なぜ日本のピーマンだけが苦いのか?」
 と。実は、それには理由がある。そのことは、NHK のガッテンという番組で紹介された。
  → うまっ!子どもが奪い合う新感覚ピーマン - NHK ガッテン!





 ここに、次のような話がある。
ピーマンが苦いのは日本だけ
 60年前にしし唐とパプリカを交配させてできたのが日本のピーマンでした。
 上手に作ると一株から1000個もとれます。
 このとき苦味も引き継ぎました。
( → ガッテンの番組要旨

 つまり、本来のピーマン(というかパプリカ)は、もともと苦味がないものだ。ところが、これは収量が少なくて、価格も高い。(通常、1個 100円ぐらいで売っている。)
 そこで、日本では原種ピーマン(≒ パプリカ)と、シシトウとを交配させて、多収量タイプの小型ピーマンを開発した。この小型ピーマンは、シシトウの性質を受けて、多収量になった。しかし同時に、シシトウの性質を受けて、苦味を帯びるようになった。
 この苦味は、ビールの大好きな日本人の舌には合っていたので、苦くても「安くておいしい」と言われて、よく使われるようになった。特に、「ピーマンの肉詰め」や「青椒肉絲(チンジャオロース)」では、よく使われるようになった。酢豚でも使われた。

 とはいえ、以上のように「日本独自の事情」で開発された特別な品種であるのだから、こんなものを無理に食べる必要はさらさらないのだ。もちろん、「好き嫌いをなくすため」というような名分で強制するのは好ましくない。
 それはいわば、「セクハラで苦しむのをなくすため」という理由で、厭がる女性に無理やり性的行為(キスやボディタッチ)を強要するようなものだ。一種の暴力行為である。犯罪的とも言える。
 こんなことを堂々とやる教育というものは、まったく間違っていると言える。
 それゆえ、「給食にはピーマンを使うな」というふうに抜本対策を提案するわけだ。



 [ 付記1 ]
 ピーマンが日本で歓迎されたのは、日本人には苦味が嫌われていない、という事情もある。
 苦い食品としては、ビールがあるが、料理でも、いくつかある。ゴーヤ料理や、魚の内臓や、ごはんのおこげなど。わらび・ふき。
  → 苦いけど美味しいという食材や料理

 [ 付記2 ]
 苦味は、大人にとっては何でもないことも多いし、むしろおいしいと感じられることもある。(上記)
 一方、子供にとっては、苦味は耐えがたいものとして感じられることが多い。というのは、子供は「苦味にことさら敏感である」という性質を帯びているからだ。(大人になるとそのセンサーが鈍くなってくるから、苦味に耐性がつく。)
 なお、苦味を特別に強く感じるのは、猿の仲間の特質である。猿の仲間は、果物類を食べるときに、有毒なアルカロイドを持つものを忌避するために、鋭敏なアルカロイドセンサーを備えるようになった。それが、舌の苦味センサーである。
 特に子供は、アルカロイドに弱いので、アルカロイドセンサーが鋭敏である必要がある。
 大人になると、アルカロイドを分解する能力が高まるので、苦味センサーは鋭敏ではなくなるようだ。
 ほとんどのアルカロイドは苦味を有している。植物は、動物から自身を防御するためにこれらの苦味物質(多くは有毒)を生産する能力を進化により獲得したと考えられている。しかし、一方で動物もアルカロイドを解毒する能力を発達させてきた。
( → アルカロイド - Wikipedia

 大人は肝臓にMPNを解毒する酵素があるが、幼児では解毒能力が発達していないため中毒する、と考えられている.
( → 幼児に、ギンナン危険

 [ 付記3 ]
 ピーマンと唐辛子とパプリカは、英語ではどらも pepper の仲間である。ピーマンは green pepper で、唐辛子 は red pepperで、パプリカは bell pepper だ。
 ただし bell pepperを Wikipedia 英語版で見ると、その訳語は「ピーマン」であって「パプリカ」ではない。パプリカは bell pepper の一種という扱いだ。
  bell pepper そのもは、「唐辛子の仲間で甘いもの(≒ 辛くないもの)」という扱いだ。
  → Bell pepper - Wikipedia(英)
  → Capsicum - Wikipedia(英)
 なお、特に記されていないようだが、「苦くはない」という意味はないようだ。「ピーマンは苦い」という発想そのものが、日本以外では存在しないようだ。(日本産のピーマンは、海外では見られないから。)

 [ 付記4 ]
 赤ピーマンと緑ピーマンは同じもの? 違うもの?
 ハッとするほど目に鮮やかな赤ピーマンと緑ピーマンの違いは?と思ったことはありませんか。このふたつ、実はまったく同じもの。赤ピーマンは、緑のピーマンが完熟したものなのです。
 赤ピーマンと緑ピーマンは、色や味、食感や栄養価に違いがありますが、これは収穫時期が異なるため生まれた違いです。
 赤ピーマンは収穫まで時間がかかり、収穫後も日持ちがしないため、緑ピーマンに比べて市場に出回る回数が少ないのです。
( → ビタミンCたっぷりな赤ピーマン! - macaroni

 [ 付記5 ]
 中国にはピーマンはなく、青唐辛子があるだけだという。(青唐辛子をピーマンのかわりに使っているそうだ。青椒肉絲でもそうだ。)
  → 恐怖の中国 細長ピーマン - 住めば都!?〜中国北京生活
  → 中国ピーマンなぜ辛い : 新デリー☆OK牧場

 ※ 日本の青椒肉絲は、ピーマンと牛肉とタケノコを使うもので、陳建民が考案して広めたもの。一方、中国の青椒肉絲は、青唐辛子と豚肉を使い、タケノコは使わない。中国のものはあまりにも辛すぎるので、現地では食べたがらない人が多いそうだ。(青唐辛子にはときどき 爆弾級に辛いものが混じっているので、ひどい目に遭う。それを嫌うわけ。)
 ※ ピーマンを使った青椒肉絲は、日本にしかないわけだ。その意味で、日本独自の料理と言えなくもない。(日本産の中国料理。アメリカ産の寿司であるカリフォルニアロールみたいなものか。)

 [ 付記6 ]
 ピーマン嫌いの子供でもピーマンを食べられる方法があるそうだ。それは、ピーマンを丸ごと蒸し焼き(ホイル焼き)にすることだ。そうすると、なぜか苦味が感じられないそうだ。(水分が多くなるせいらしい、という仮説はあるが。)
 詳しくは下記で。
  → うまっ!子どもが奪い合う新感覚ピーマン - NHK ガッテン!
  → ピーマン丸ごとレシピ。ガッテンで話題の子供でも苦くないホイル焼き。
  → 【反響要約】ガッテン!ピーマンの食べ方に数々の新発見が!?
  → ガッテン!ピーマンの丸ごとホイル焼きの作り方。
  → ガッテン ピーマンの丸ごと焼きの作り方・レシピ 苦くない理由は?
posted by 管理人 at 22:02| Comment(4) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ガッテンの方法で作った蒸し焼きピーマンは、実際苦味がなくて違う食べ物のようになりました。これなら子どもも食べられそうです。
そもそも無理して食べる必要もない……というのは同感です。
Posted by けろ at 2018年11月11日 21:48
給食のせいでニンジン嫌いになる子供がいる。ならば、給食にニンジンを使うべきではない。

という考えには賛成されますか。
Posted by pp at 2018年11月22日 21:56
 ニンジンにはアルカロイドも苦味もないでしょ。
 あと、ニンジンはビタミンAが豊富であって、他では代替しがたい。
  https://mamarina.jp/kosodate/carrot-hate.html

 嫌いというだけだったら、魚嫌いの子供もいっぱいいますよ。
 肉の脂身が嫌いな子供も。
 そうなると、魚も肉も食べられなくて、ベジタリアンか。野菜嫌いも多いから、残るのはパンとご飯だけだな。
Posted by 管理人 at 2018年11月22日 22:30
あなたの主張は極端な話「必要な栄養を混ぜたレーション」を食べさせればいいとなると思いますが。
ピーマンやニンジンが好きな子は無視ですか?


「完食強制」をやめるべきという点には同意しますが。
Posted by きゅうとぴ at 2018年11月23日 12:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ