2018年11月07日

◆ プラごみを再生するな

 プラスチックごみを回収したあとで、再生利用することがあるが、やめるべきだ。ごみ発電の方がいい。

 ──

 プラスチックごみを回収したあとで、(廃棄するのでなく)リサイクルするとして、次の三つの方法がある。
  1 マテリアルリサイクル
  2 ケミカルリサイクル
  3 サーマルリサイクル (ごみ発電)


 説明はこうだ。
1  マテリアルリサイクル プラスチックの原料として再資源化し、プラスチック製品などに再利用します。
2  ケミカルリサイクル(広義のマテリアルリサイクル) 熱や圧力を加え、ガスや油として再資源化し、燃料などに再利用します。
3  サーマルリサイクル 燃焼させることで、高い熱エネルギーを発生させ、発電などに再利用します。
( → 3つのリサイクル

 初めの二つ(マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル)は、プラスチックを再生して別の物質にすることでリサイクルするものだ。
 これはいかにも「リサイクル」という感じがするので、環境保護団体はこれを推奨しているらしい。しかしこれは科学的には最悪なので、やめる方がいい。

 ──

 マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルは、回収物に不純物(というか不適格品)が含まれるので、人間の手で仕分けする必要がある。
 回収された「その他プラ」に混じるリサイクル不適物。マテリアルリサイクルで活用するには、これを手作業で後分別する必要があり、それには、大変な手間とコストがかかる。
( → 東京都廃プラ危機 市民のための環境学ガイド

 また、仕分けしたあとでも、不純物を除いて精製するための工程が必要となる。
 そのいずれにおいても、エネルギーやコストが多大に無駄になる。

 現状では、このための費用として、容器リサイクル協会が自治体に一定金額を払っている。自治体はそれをリサイクルの費用として徴収するので、ホクホクである。
( ※ 自治体のごみ事業の収支報告を見るとわかる。)

 しかし、プラごみというのは、そもそも石油と同じでエネルギー源であり、燃やせばそのまま発電の燃料となるのだから、費用を徴収するのはおかしい。むしろ、原料を提供してくれた容器リサイクル協会に、自治体が金を払うべきだろう。
 なのに、そうしないのは、分別や精製のために余分なコスト(エネルギー)がかかっているからだ。

 ここまで考えると、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルが、いかに馬鹿げたことをやっているか、よくわかるだろう。
 そのまま燃やせば、プラスチックも紙も木片もいっしょに熱源として利用できるのに、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルをするときには、いちいちプラスチックと紙と木片を分離する。そのために、余分な手間(コスト・エネルギー)を投入する。
 愚の骨頂と言える。

 ──

 これと似たことは、次の項目でも示した。
  → ユーグレナは詐欺か?: Open ブログ

 ここで示したように、「不純なものから純粋なものを取り出す」ということのためには、エネルギーが必要とされる。それは「エントロピー減少のためのエネルギー」である。そんなことのために、余分な手間(コスト・エネルギー)を投入するわけだ。馬鹿げている。

 いったん不純になったものを純粋なものに転じるには、エネルギーが消費される。
 一方、いったん不純になったものも、純粋なものも、燃焼したときに発生するエネルギーは同等である。
 ならば、いったん不純になったものは、そのまま燃焼させてしまうのが利口なのだ。それこそ最も効率的だからだ。

 ──

 結局、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルというのは、リサイクルをよくやっているように見えるが、実は、リサイクルの手段としては最悪なのである。そんなことのために努力すればするほど、環境は汚染されるし、金もかかる。
 なのに、そういう科学的なことも理解しないまま、「燃焼させるよりも、物質に転じる方が、環境にいい」と思い込む環境保護論者が多い。特に、環境保護運動をしている人々は、そうだ。(文系の人が多いせいかも。)
 彼らは、環境保護をしているつもりでいながら、実質的には環境破壊をしているのである。それを理解するだけの科学的な知性がないからだ。



 [ 補足 ]
 もう少し詳しく解説しよう。

 プラスチックは、燃やせば燃やすほど、環境にとって好ましい。なぜか? 
 それは、ごみ発電によって発電された分だけ、火力発電所における化石燃料の消費が減るからだ。(石油・石炭・LNG の消費量が減る。)
 なるほど、ごみ発電を見ると、目の前ではプラスチックがどんどん燃やされて、炭酸ガスが発生されていると見える。しかし、その間、石油・石炭・LNG の消費量が減っているのである。
 目の前にある ごみ発電所のことばかりを見ずに、日本全体を見れば、「ごみ発電をすればするほど、炭酸ガスの発生量は減る」とわかるはずだ。

 一方、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルでは、炭酸ガスの発生量は増える。なぜなら、不純物を純粋なものに転じるために、余分なエネルギーが必要とされるからだ。
 ただし、その行程は、工場の建物の内部でなされるので、目には見えない。目には見えないから、そのことを理解できないわけだ。「化学反応の説明なんて、難しいから、わからなーい」なんて言って。

 科学的理解の能力がないくせに、環境保護の運動をする人は、やればやるほど、環境をかえって破壊していくのである。



 【 関連項目 】

 同じではないが、いくらか似た話。
  → プラごみの分別をやめよ: Open ブログ
  → プラゴミの分別は必要ない: Open ブログ
  → プラごみ発電: Open ブログ



 【 関連動画 】

 ネットで見つかった動画をいくつか掲載する。
  ※ 賛否は示さない。













posted by 管理人 at 23:58 | Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
現状ではサーマルリサイクルが最適なんでしょうが、それでもこれまで膨大な量のプラゴミが燃料として使われることなく埋立処分されてきました。日本だけでなく発展途上国でも。もう少し燃料として消費されていてもいいような気がしますが、あまり消費が進まないのは、まだ化石燃料のほうが割安とか、炉の耐久性等設備面で問題があるのかも。

大ざぱに言えば主なプラスティックも原油という混合物から高純度に精製された原料を使って合成されています。ですから廃プラ混合物も低コストの分離精製技術が実現できればケミカルリサイクルの可能性があるんじゃないかと。新触媒が登場しない限りコスト高のままですが。

マテリアルリサイクルは論外です。
Posted by 作業員 at 2018年11月08日 16:24
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