2018年11月02日

◆ 自動ブレーキの問題(またも)

 自動運転・自動ブレーキについての報道があったが、問題点があるので、指摘しておく。

 ──

 自動運転という言葉が乱発気味なので、現状レベルでは「自動運転」という言葉を使わないようにするそうだ。
 自動ブレーキなどの「自動運転機能」をアピールする車が増える中、メーカーや国は今後、現在国内で販売されている技術レベルの車については、宣伝などで「自動運転車」という言葉を使わないようにすることを決めた。性能を過信し、事故につながる恐れがあるためだ。今後は「運転支援」などを使うという。
( → 「自動運転」使いません 過信防止、「運転支援」はOK:朝日新聞 2018-11-02

 これはまあ、日産のセレナやリーフに搭載される「プロパイロット」が対象なのだろう。ま、それはそれでいい。

 ところで、続きの記事のなかに、次の記述があった。自動ブレーキの話。
 東京都西東京市の会社員男性(64)は、近くの自動車販売店で「自動ブレーキ」のついた車に試乗した際、店員にこう言われた。恐る恐るブレーキを踏まずにいると、車は信号待ちの車の後でゆっくりと停止した。高齢ドライバーの事故が社会問題になる中、男性は家族から勧めもあり、その日に購入を決めた。
 ただ、こうした説明は利用者を勘違いさせかねない。現行の「自動ブレーキ」は、あくまで補助装置。作動する条件には限りがあり、「悪天候」「歩行者の背が低い」などの場合は利かないこともある。
 こうした状況が過信を招いた。16年には、千葉県内で大手メーカーの販売店員が試乗客に「ブレーキを踏むのを我慢して」と説明し、従った客が赤信号で停止していた前の車に追突して2人にけがを負わせた。
( → 「自動運転」売りたい現場でジレンマ 過信まねき事故も:朝日新聞 2018-11-02

 自動ブレーキが不作動なんて、普通はありえないことだ。こんなことがあるとしたら、日産の単眼カメラ式だろう……と思って調べたら、案の定だ。
 事故は昨年11月、千葉県八千代市で発生。日産のミニバン「セレナ」に試乗した男性(38)に対し、販売店員(28)が「本来はここでブレーキですが踏むのを我慢して」と指示、そのまま停車中の車に追突して2人が軽傷を負った。
 警察庁などによると、現場は当時、薄暮の小雨でワイパーが作動していた。停車中の車のカラーも黒で自動制御センサーが認識しにくい状況だったことから「衝突被害軽減ブレーキ」が作動しなかったという。
( → 自動運転車で追突事故 販売店員がブレーキ誤認識か - 産経 2017.4.14

 この件は、本サイトでも述べたことがある。
  → 自動ブレーキが不作動(日産セレナ): Open ブログ
  → 日産が自動ブレーキを改善: Open ブログ

 事故が起こったときの自動ブレーキは、ひどく低品質だった。その後、かなり改善されたようだが、晴れた日はともかく、雨天の日や夜間時には、まだ問題はいくらか残っていそうだ。
 このことを指摘したことがある。
  → 自動ブレーキの認定制度: Open ブログ

 そこで、これをチェックするために、国の機関でテストするべきだ、と述べたことがある。
  → 自動ブレーキ試験の欠陥 2: Open ブログ

 同趣旨のことを報道した最新ニュースもある。
「自動ブレーキはどんな場合でも利く」というのは大きな誤解だ。クルマの走行スピードや天候、日中か夜間か、前方の障害物が「クルマか人か」などによって、自動ブレーキの利きは大きく異なる。天候や道路状況などの外的要因だけでなく自動車メーカーや車種によって違うのだが、そうした事情はあまり知られていない。
 その“違い”を明らかにしているのが、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施している「予防安全性能アセスメント」【※1】だ。17年度は乗用車(14車種)、軽自動車(6車種)の合計20車種を「被害軽減ブレーキ(対車両と対歩行者)」「車線逸脱抑制」「後方視界情報」で試験・評価し、結果を点数化している。
( → 車の自動ブレーキへの危険な誤解…日産・ノートは予防安全評価1位、スズキ・ワゴンRは低評価 | ビジネスジャーナル

 「そうか、夜間や雨天時についてのテストが必要だとわかっているから、国もちゃんとテストするようになったのか」
 と読者は思うだろう。ところが、この記事がとんだ食わせ物だ。上のように書いた次のページで、こう書く。
 このNASVAの実験は、前方の見通しが良い日中に行われている。もし悪天候時や夜間に実施すれば、結果が大きく変わる可能性が高い点も考慮すべきだろう。
( → トヨタ・ハリアーは60キロでダミー人形に衝突 | ビジネスジャーナル

 馬鹿じゃなかろうか。「悪天候時や夜間に実施しています」という趣旨で書いた直後に、「悪天候時や夜間に実施していません」と書く。正反対のことを書いている。自己矛盾。自分で何を書いたか、わかっていない状態だ。

 では、事実は? 私が先に書いたとおり。「悪天候時や夜間に実施するべきだ」とわかっていても、国は実施していない。そのせいで、日産の単眼カメラ式という低性能なものが、日中時だけの性能チェックで、「最高性能のものだ」とお墨付きを得られる。
 そして、それを信じた販売店の店員が、「ブレーキを踏まなくても大丈夫」なんて言って、その後に衝突事故を招いたりするわけだ。
 ここでは、販売店の店員が間違ったことを言っているようだが、間違ったことを言っているのは、日産自動車と国家だ。晴れた日にしかまともに作動しないものを「最高性能だ」なんて言っているんだから。

 ──

 結語。

 「自動運転という言葉を使うな、なんて言う前に、自動ブレーキのテストをきちんとやれ。雨天や夜間や日没時に、黒い先行車に対してもまともに作動するか、ちゃんとテストしろ」
 これが私の提言だ。

  ※ 同じことは、前にも何度も言っているんですけどね。
posted by 管理人 at 23:58| Comment(2) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自動運転と共に自動ブレーキ不適切な呼び名ですね、これも主に販売促進上の理由からの通称名ですね。
自動運転は米テスラ社がそのカタログ上で使用していて各国当局の大きな不評を買っています。
ドイツ当局(ドイツ首相)がこの件でテスラ社に噛み付きドイツ国内での自動運転表現を中止するよう求めましたが、米国通商当局の激しい抗議で黙ってしまいましたw
Posted by 大昔イスラエルの大学に金を出して自動運転チップを開発させたのは日産だ at 2018年11月04日 21:50
毎日、貴ブログを拝見させて頂いている者です。
今日、日産のゴーン会長が逮捕され、日産はゴーン氏を解任する方向だそうです。
このことは、良くも悪くも、日産に影響を与えそうです。
今後、開発される車は、ステレオカメラかミリ波レーダー式の自動ブレーキが搭載されるかも知れません。ついでに品質が上がって、
故障率が下がれば…と願う限りです。
Posted by 日産ファン at 2018年11月19日 19:16
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