2018年10月30日

◆ 選択と集中の GE は?

 「選択と集中」の元祖である GE は どうなったか? 今や没落企業である。

 ──

 前項では、文科省が「選択と集中」という方針を取っていることを示した。(学術研究と、国語教育で。)

 そこで、「選択と集中」の元祖である GE がどうなっているかを調べてみた。(というか、もともと知っていたんだけど、改めて調べ直した。)

 ──

 まず、GE が「選択と集中」の元祖であることは、下記に記されている。
 1981〜2001年の間、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者であったウェルチ John Francis Welch(1935― )が提唱・採用した。
 ウェルチは、将来、世界市場でナンバー1かナンバー2を確保できる得意分野の事業(コア事業core competence)のみを残し、それ以外の事業(ノンコア事業)はたとえ黒字が出ていても売却・廃止するという経営戦略をとった。
 事業再編に伴い、人、物、金、情報などの経営資源をコア事業に集中させることで、GE社は1980年代から1990年代末にかけて、売上高を6.3倍の1700億ドル、利益を6.7倍の107億ドルに伸ばした。
( → 選択と集中(センタクトシュウチュウ)とは - コトバンク

 1980年代から1990年代末にかけては、大成功したわけだ。これを見て、「 GE に見習え。選択と集中をしろ」と騒いだ経営者が多かった。
 それからだいぶ遅れて、今ごろになって、文科省は「選択と集中」という方針を取っているわけだ。

 ──

 で、その間に本家本元の GE はどうなったかというと、実は、業績は大幅に低下した。株価のグラフは下記の通り。(出典:Google )


ge-stock.png


 1990年代末に最高値を付けたあとは、おおむね下落傾向である。リーマンショックで大暴落したあと、次第に回復しつつあったのだが、2015年ごろをピークに、それ以後は急落している。今の GE は没落企業と言ってもいい。

 これが「選択と集中」をした企業の末路だ。

 つまり、中期的には「経営効率の改善」をしたと見えて、期待が高まり、将来の利益を予想して、株価は高まる。しかし現実は期待通りにはならない。むしろ予想外の社会的変動が発生して、それに追いつけなくなる。
 そういう傾向があると見ていいだろう。

 ※ ただし GE の業績についての解釈は、いろいろある。
   一通りの解釈だけが成立するわけではない。



 [ 付記 ]
 「選択と集中」というのは、経営方針としては別に悪くはない。経営とは、「限りある資金を使って、いかに利潤を上げるか」ということが目的となるからだ。そこで「選択と集中」というのは、「資金を効率的に運用する」ということに合致するだろう。
 
 一方、前項で述べたのは、「学術研究」や「国語教育」だ。これらは目先の利益を上げることが目的ではない。短期の金儲けではなく、長期的な国家百年の計だとも言える。話はまったく別のこととなる。料理と裁縫ぐらい異なる。



 【 関連サイト 】

 → GEの株価と決算、配当 ジェフリーイメルト改革その後 - トランプ政権と米国株投資
 → GEが歩む「選択と集中」 | 1分で読める時事ブログ
 → 【選択と集中】GEの経営方針は揺るがない - ころすけのお金のお話
 → 焦点:米GEが「選択と集中」、待ち受ける長く厳しい道のり | ロイター
posted by 管理人 at 23:16| Comment(7) | 一般(雑学)5 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
選択し集中した事業が適切ではなかったということになるのでしょうか。
確かプラスティック、電気製品製造事業を売却、航空機エンジン、電力インフラ、医療機器、保険を含む金融に注力していくという方向性だったような。(その後金融は手放したかも)

”選択と集中”そのものに問題があったのか、選択する事業を見誤ったのか、或いは、もっと短期的に事業の売却と買収を繰り返すべきだったのか、検証が必要かと。不振の理由がよくわかりません。
Posted by 作業員 at 2018年10月31日 09:18
 GE の不振の原因は、火力発電の売上げ減少。これは世界的な再生エネブームのせい。
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24407710Y7A201C1TI1000/
  https://www.asahi.com/articles/ASLBZ46T1LBZUHBI01D.html

 業界トップレベルの分野に集中する、という方針を取ったが、業界そのものが縮小するトレンドにあるときは、たとえトップの座を占めていても、業績は悪化する。
 
 こういう問題をなくすためには、次世代の産業に投資すればいいわけで、そのためには、トップでないような業界にも進出する必要がある。つまり、選択と集中の反対をすればいい。(多角化だ。)

 ちなみに、多角化をしたソニーは、家電業界のなかで唯一、圧倒的な好決算を上げている。多角化したので、もはや家電会社ではないが。
  https://www.asahi.com/articles/ASLBZ4FKKLBZULFA00T.html
Posted by 管理人 at 2018年10月31日 21:55
ジャック・ウェルチの”選択と集中”の判断が誤りだった?或いは、前か現CEOが多角化へと舵を切るべきだった?

いずれも難しい話かと。結果論との感は否めません。
Posted by 作業員 at 2018年10月31日 22:30
お邪魔します。
 「選択と集中」それ自体の誤りというよりは「何を選択し、何に集中するか」の誤りではないかと思われます。「今」稼げてもそれが未来永劫続くという事は有り得ないので、「今の飯の種」と同時に「将来の飯の種候補」も必要になります。GEは「その時には買収すれば良い」とでも考えたのでしょうが、「飯の種になるまで育てた」連中がそう安々とは渡さないでしょうし、ライバルも多いでしょう。尚「将来の飯の種候補」は「飯の種まで育ててナンボ」なので、多角化で「二兎を追う者は一兎をも得ず」になっては無意味ではないかと思われます。
Posted by ブロガー(志望) at 2018年11月01日 22:51
 本項の趣旨は、
 「選択と集中を実施した GE は間違っていた」
 ということでもないし、
 「選択と集中ということ自体が間違っている」
 ということでもありません。
 
 「選択と集中は正しいことだ」
 というふうに信じている人に対して、
 「正しいとは限らない」
 というふうに示しています。
 
 「間違っている」と示しているのではなく、「正しいとは限らない」と示しているわけです。
 論理の問題なので、間違わないようにしてください。

 類例:
 「日本人は英語が下手だとは限らない」
 というふうに示した文に対して、
 「日本人はみんな英語が上手だ」
 と解釈するのは、間違い。
Posted by 管理人 at 2018年11月02日 00:02
>「正しいとは限らない」と示しているわけです。

は理解しているつもりですが、”正解”にまでは踏み込まないということでしょうか。”どうすべきだった”、”どこに問題があった”が示されないと正否の判断をつけかねます。

確かに現在GEは業績不振ですが、”対策を講じていたからこの程度の低迷に抑えられている”という見方もできなくはありません。
Posted by 作業員 at 2018年11月02日 11:56
 「選択と集中は常に正しい」
 という文科省の発想に対して、最強の反例を上げているのが、本項の趣旨です。全称命題への反例によって、全称命題を否定している。

 GE はどうするべきだったか、というのは、まったく別の問題です。話題が異なるので、別項で論じる予定。
Posted by 管理人 at 2018年11月02日 12:54
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