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サウジアラビアは政府の関与を認めたが、一部職員の暴走という形で処理して、政府中枢や皇太子は無関係との立場だ。しかしそれだと、矛盾が生じる。
・ まずは知らんぷりして、殺害を否定した。
・ 次に、「尋問してから殺された」と発表した。
・ 次に、「喧嘩して死んでしまった」と発表した。
・ そのいずれも「入ってすぐに殺された」という事実に矛盾する。
・ その場に(解剖の得意な)法医学者がいた。
・ 事件には 15人(18人)もの大人数が関与している。
・ そのうちの一人は、皇太子の側近である。
・ 大規模な行動が、皇太子の許可なく実行できるはずがない。
いずれも、皇太子の関与を疑わせる。しかしながら、決定的な証拠はない。となると、「疑わしくは推定無罪」だ。
そこで、「皇太子は関与していない」という公式見解を認めた上で、上記の諸点はすべて「謎」として残ることになる。
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私としてはどう考えるか? 皇太子が「あいつを黙らせろ」と命じたあと、それを側近が「忖度」して勝手に暴走した……というシナリオを考えた。
それで済むかと思ったのだが、次の記事を見て、考えを改めた。
カショギ氏は昨夏に渡米し、サウジの言論弾圧や隣国イエメンで続く内戦への介入について、ワシントン・ポスト紙への寄稿などで厳しく批判してきた。
今年5月、サウジで女性の自動車運転が解禁されるのを前に、女性活動家らが拘束された際には、「いかなる活動も政府の範囲内で行われなくてはならず、独立した声も反対意見も許されないということだ」と政府の対応を非難。イエメンへの軍事介入についても、「私の国の名声はひどく傷ついた」と記した。
サウジ政府がこうした指摘を目障りに感じた可能性は小さくない。社会改革もイエメンへの介入も、改革派と期待されたムハンマド皇太子が中心になって手がけていたためだ。
( → サウジの説明、残る疑問 現場に法医学者/当初は捜索同意せず 記者殺害疑惑:朝日新聞 2018-10-21 )
ここでは、「殺された記者は、サウジの皇太子の徹底的な対立者だった」ということが示されている。ほとんど「目の上のたんこぶ」と言える。「何が何でも排除したい対象」であったわけだ。
ここでは、「たとえ国際的な批判を受ける危険があっても、何が何でもこいつを排除しなくてはならない」という猛烈強力な殺害動機をもった人物がいたことになる。かくて、単なる殺害でなくて、国ぐるみの殺害が生じたわけだ。
そこで、私が名探偵ふうに推理すると、結論はこうだ。
殺害は皇太子が命じた。ただし、単に「殺せ」と命じたのではない。「あいつを黙らせろ。ただし死体が残るようなことがあってはならない」と命じたのだ。
一般に、殺人事件が発覚するのは、死体があるからである。死体がなければ、殺人事件は発覚しにくい。だからこそ、「死体を残すな」と命じたのだ。
逆に言えば、この事件が単なる殺害事件でなく、バラバラ殺害で死体が消滅したということから、その主導者が誰であったかは、ほとんど決定的に明らかとなる。
普通の殺人犯ならば、「自分がつかまらないように」という目的を持つ。しかしこの殺人犯は、「殺人行為があったこと自体が世間に発覚しないように」という目的を持つ。そんなことを狙いつつ、それを政府組織に命じることができるのは、最高権力者以外にはありえないのだ。
[ 付記 ]
傍証もある。
事件発覚後、サウジアラビア政府は「事件はありませんでした」というふうに公式声明を発表していたことだ。
仮に部下の一部が勝手に暴走したのだとしたら、皇太子は激怒して、犯人を突き止めようとしただろう。また、真相の解明を配下に命じただろう。ところが、事実はその逆で、政府は隠蔽に走った。
ゆえに、背理法によって、仮定は否定される。つまり、「部下の一部が勝手に暴走した」ということはない。つまり、「上司である皇太子が命じた」となる。
(証明終わり)
[ 余談 ]
「国のトップが犯罪行為をするなんて、ひどいものだ」
と思うかもしれないが、別に、サウジだけじゃない。森友の安倍首相だって、脱税のトランプ大統領だって、五十歩百歩だ。韓国では歴代の大統領がみんな汚職などで逮捕されている。
どこの国も似たようなものだ。
【 後日記 】
サウジの皇太子が関与した、ということが事実であると判明した。トルコ政府が公式に認定したようだ。
サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、トルコのエルドアン大統領は2日の米ワシントン・ポスト紙への寄稿で、「サウジ政府の最高レベル」から殺害命令が出ていた、との認識を示した。具体的な名前には言及していないが、事件への関与が取りざたされるサウジのムハンマド皇太子を示唆したものとみられる。
サルマン国王については「殺害を命じたとは思っていない」とした。このため「最高レベル」は、サウジで強い影響力を持つ息子のムハンマド皇太子を暗に指したとみられる。
( → 記者殺害「最高レベルが命令」 トルコ大統領が米紙投稿:朝日新聞 2018-11-04 )
本サイトの予想が、またしても的中したことになる。
【 関連動画 】
Yes. 民主主義が阻害されている点では・・・
but、50歩100歩ではないでしょう?
かってより、サウジ、ロシア、北朝鮮、中国、etcにおいては、国家権力が平気に自己都合で対抗勢力を抹殺しています。
非民主国にも、種別があるといういうことではないでしょうか?
と言いたくなる気持ちはわかります。
しかしそれは、泥棒の自己弁明みたいなもの。
正直者から見れば、どちらも犯罪者で、同じ穴のムジナ。
※ 「俺はあいつほどの悪党じゃないぞ」と言い張る小悪党……という寓話があったような気がする。イソップか何かで。
タイムスタンプは 下記 ↓
共犯、婚約者(トルコ政府のスパイ)
実行犯、サウジ暗殺団
トルコ政府、スパイに命じて、カショギに近づき、結婚するように仕向ける。
ただし、結婚するには、サウジの婚姻証明書が必要とする。
婚姻証明書はサウジ大使館に行ってもらってくること。何かあっても、
通信していて、すぐに駆けつけるから大丈夫v。
カショギしぶしぶOK。
トルコ政府、
「(サウジ的には)国家転覆罪で指名手配中の凶悪犯が明後日大使館に来まっせ。」
サウジ皇太子に早速連絡。
寝耳に水のサウジ皇太子「ちょっ…暗殺団結成するから2日待て。」
サウジ暗殺団到着。カショギ殺害。
トルコ政府「さて、ネタも録音したし、これでサウジゆすったろ。」
サウジ「!」
カショギ氏も相手がトルコ人だからと言って、何もトルコ内のサウジ大使館に行かなくても・・
堂々と米国か日本か、あるいはヨーロッパの大使館に行けばよかったのに・・
が拒否するでしょう。絶対皇帝にさからう人間に
離婚証明なんて出したら、自分が殺されるかも
しれませんからね。
むしろ、何故トルコの大使館は離婚証明を
出すって言ったんでしょうねw。
なるほど・・
それでトルコのサウジ大使館に・・
なんかクサイ事件です。
婚約者もそのうち事故にあったりして・・
サウジの皇太子が関与したということが事実であると判明した……という新情報。
→ https://www.fnn.jp/posts/00405851CX
かくて、10月21日に述べた本項の正しさは、立証されたと言えるだろう。