2018年10月05日

◆ 塩害で鉄道が運休(京成)

 台風の塩害で電線がショートしたせいで、鉄道が全面運休。これを避けるには? 

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 台風の塩害で電線がショートしたせいで、鉄道(京成)が全面運休した。














  → 京成「全線」ストップ続く 帰宅ラッシュ直撃 - FNN
  → 台風塩害:鉄道被害相次ぐ 京成電鉄運休、農作物にも影響 - 毎日新聞
  → 京成「塩害」か、駅など3か所で電線から火花 : 社会 : 読売新聞

 原因は毎日の記事にある通りで、「台風で海水の塩分が飛ばされ、碍子(がいし)に付着する。その後、雨や湿気で碍子がぬれて塩水になり、通電してショートした」とのことだ。

 テレ朝のニュースで見たが、解決策は、人手で碍子をゴシゴシとこすって、塩を除去している。ずいぶんとまあ、原始的な方法だ。
 私が事前に想定したところでは、「高圧洗浄機の水を放水することで、塩分を除去する」という方法だろうと想像していたのだが、そうではなかった。


ケルヒャー 高圧洗浄機


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 高圧洗浄機の使用例。





 リアル・スプラトゥーンの世界かな。

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 さて。それはさておき。
 以上は、事後対策の話だが、一方、事前対策も可能であるはずだ。「碍子にカバーを付ける」という形で。


gaishi.jpg
出典:碍子会社のサイト


 碍子というのは、上記のようなものである。これが剥き出しだから、ここに風雨が当たると、ここに塩分が付着する。
 だったら、そうならないようにカバーを掛ければいい。それなら、剥き出しにならず、碍子に塩分が付着することもないはずだ。

 これは私の名案だ……と言いそうになったが、いやいや、こんなのは子供でも思いつくもので、幼稚な案だ。なのに、どうして、「カバーを付ける」ということをしないのか? 

 (1) 金属製のカバーは、高圧線のそばでは不適である。
 (2) プラスチック製のカバーならば大丈夫だが、耐久性が弱い。10年ぐらいしかもたないだろう。しかし 10年ごとに交換すればいいはずだ。
 (3) ただのプラスチックでなく、透明のアクリル製なら、耐久性もかなりあるだろう。
  → プラスチックの中で最も耐久性に優れ、美しい透明性を保った「アクリル樹脂」
 (4) セラミック製のカバーならば耐久性も十分だが、コストが過大になるかも。

 私の推奨は (3) だ。アクリルのカバーを付ければ、塩害の問題は大幅に解決できるはずだ。
 なぜそうしないのか? 考えられる理由としては、次のことかも。
 「需要が少ないので、大量生産することができない。そのせいで、金型を作るのにコストがかかりすぎて、コストが馬鹿高い」

 ところが最近は、安価に金型を作れる方法が開発された。
  → 3Dプリンターで金型製造?ドイツの製造メーカーが試作品コストの97%をカット

 とはいえ、これを知っている人は少ない。となると、推定できる理由は、こうだ。
 「プラスチックでカバーを付ければいい、ということぐらいはわかるが、具体的にどうすればいいのか、まともな方法がわからないので、カバーを付けていない」
 つまり原因は「情報不足」である。このせいで、全面運休が起こったし、今後もたびたび全面運休が起こるだろう。

 知恵がなければ、問題を回避することもできない。……それが本サイトの推定だ。
( ※ この記事を読めば、対策はされるかもしれない。だが、まあ、それはありえそうにないね。)



 【 追記 】

 Wikipedia によると、

> 1883年頃から絶縁部の傘を二重構造に成形した二重通信用がいしを用いるようになった。これが国産通信用がいしの主流となった
 http://j.mp/2OcZBfJ

 とのことなので、すでに現場の碍子は塩害対策済みの碍子であるようだ。海岸に近いのだから、なおさらだろう。

 併走する JR 京葉線では漏電が起こらなかったのは、たぶん、碍子のサイズが違っていたからだろう。碍子が大きければ大きいほど、絶縁能力が高まるし、塩害対策にもなる。ただし、大きくなればなるほど、コストはアップする。
 京成が漏電したのは、そのコストを惜しんで、小型の碍子を使っていたからだろう。そう推定できる。

 ──

 ついでだが、塩害対策で、「らせん型の碍子」というのも思いついたが、成形や加工が難しそうだ。やはり、単純に大型の碍子を使う方が、コスパが良さそうだ。

 対策としては、京成は今後、碍子を大型の碍子に付け替えるべきだろう。柱の補強が必要になるなら、それも同時にやればいい。
( ※ テレビのニュースで見たときには、碍子は握りこぶしサイズであって、小さかった。もっと大きい方がいい。)
 
posted by 管理人 at 23:26 | Comment(7) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
地図を見ると、例えばJRの京葉線と較べ特段塩害を受けそうな路線にには見えないのですが...
鉄道に限らず、海岸近くの送電線でも同様な障害は起こり得るはずです。他の類似条件の路線や送電線との比較検証が必要ではないかと。メンテナンスや運行管理で未然に防止できるようにも思えます。

より厳しい塩害を被る施設で碍子カバー?が採用されているなら勿論選択肢の一つですが。
Posted by 作業員 at 2018年10月06日 11:17
 京成と京葉線の主な違いは、前者が地上で後者が高架であること。高架だと、風が強くて、塩がくっつきにくいのかも。

 ま、違いの原因を考える必要は特になくて、実際に塩害停電の起こった路線でのみ対策すればいい。(予備的対策は必要ない。)
 京葉線は、やってもやらなくてもいい。被害が出てから対策するのでも十分。別に人が死ぬわけじゃないんだし。振り替え輸送の路線もあるんだし。停電しても、復旧は1日で済むんだし。
Posted by 管理人 at 2018年10月06日 13:09
アクリルと碍子の誘電率はどちらも4.0程度で同じくらいですね。アクリルの耐候性は10年から20年だそうです。

重大な問題があります。碍子が濡れないようにアクリルカバーをつけた場合、アクリルカバーが碍子両端の金属近くまで覆わなければなりません。すると碍子は濡れなくてもアクリルカバーについた塩水が放電の原因になります。

アクリルカバーをつけてもつけなくても一緒ということ。
Posted by 名無しの通りすがり at 2018年10月06日 17:39
塩害対策用の碍子はすでに存在する。
単純に塩害対策用碍子が使用されていなかっただけではないか?
Posted by 寿限無 at 2018年10月06日 18:07
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2018年10月06日 18:24
実際にどういうものが使われているのか知りませんが、毎年毎年支障があるわけでもないので、現状で十分という判断かも知れません。

> 知恵がなければ、問題を回避することもできない。

一般論としてはそうなんだけれど、いくらなんでもバカにしすぎなような気もします。
「じゃあ、やってみれば?」って言われるのがオチかも。
Posted by けろ at 2018年10月06日 20:42
>> 1883年頃から絶縁部の傘を二重構造に成形した二重通信用がいしを用いるようになった。これが国産通信用がいしの主流となった
> http://j.mp/2OcZBfJ
>
> とのことなので、すでに現場の碍子は塩害対策済みの碍子であるようだ。海岸に近いのだから、なおさらだろう。

通信用がいしは、低圧専用でしょう。電力送電用の高圧部分には使えないと思います。
Posted by 名無しの通りすがり at 2018年10月08日 08:52
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