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北海道では、地震による家屋倒壊などの直接被害も生じたが、それとは別に、地震のあとで観光客のキャンセルが続出して、多大な損害が出た。直接の被害は 100億円で、飲食費などの関連分を含めると 300億円ほど。
→ 北海道、94万人以上が宿泊キャンセル。影響は292億円
これについて、「マスコミ(地震報道)による人災だ」と避難する人もいる。
→ 北海道の観光被害94万人キャンセル・292億円の大半は、マスコミの北海道地震偏向報道の責任
しかし、そんなことを言い出したら、「マスコミは自身のことを報道しないで、事実を隠蔽せよ」というふうになってしまう。これじゃ、本末転倒だ。
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問題は、事実を報道したことではなくて、虚偽を広報したことだ。そして、その虚偽の発信者は、マスコミではなく、政府だった。
前に、次の項目を書いた。
→ 節電は夜間には不要だ(北海道): Open ブログ
北電は「昼間と夕方に節電してくれ」というだけで、「早朝と夜間は節電の対象外」と明示していた。なのに政府は、そのことをろくに示さず、全般的に「節電してくれ」と言った。それを受けて、道民の多くは、早朝や夜間にまで節電をするようになった。
たとえば、「節電のために電気釜を使わずに(ガスで)圧力鍋を使う」という人がいた。これは、「朝は節電をする必要がない」ということを知らなかったことによる。
また、すすきのではネオンが消えて、ほとんど照明がないという暗い状況となって、「暗くて怖い」という観光客が来なくなったせいで、閑古鳥が鳴いているありさまとなった。(ツイッター検索でわかる。)
15・16日は、(工場などが休むせいで)電力需要は激減しており、節電は解除されていて、いくらでも電気を使っていいのだが、政府はそのことをろくに広報しない。そのせいで、すすきのは、16日になってもいくらか暗くて、客も少なめだという。
→ 北海道の節電で暗い すすきの(ツイート集) - Togetter
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まあ、こういう問題がわかっているので、政府としては、「2割節電」という方針を解除した。(あまり広報しないが)15・16日は「節電なし」である。また、18日以降は「節電を勧奨するが、数値目標なし」となった。
2割の節電要請は、14日の午後8時半までは続ける。土日と祝日は需要が落ちるため節電は必要なく、週明けの18日以降は数値目標なしの節電要請に切り替える。世耕氏は18日以降について「ライフスタイルを変えない範囲での節電は引き続きお願いしたい」と述べた。午前8時半から午後8時半以外の時間帯は「節電のことを気にすることなく、普段通りの生活、企業活動をしていただきたい」と話した。
( → 北海道の節電、18日から数値目標なし 電力需給に余裕:朝日新聞 2018年9月14日1 )
「これでようやく正常化したな、一安心」と思ったのだが、政府を信用した私が馬鹿だった。
例によって嘘つき政府(オオカミ少年ふう)なので、上記の方針は翌日には撤回された(らしい)。「1割の需要減」という形。
「2割節電」が14日に終わり、「1割の需要減」への協力に切り替えられた。関係者によると、「節電目標」は一律要請なのに対し、「需要減」は節電の例外を積極的に容認する点が違う。
( → 北海道地震:「一律」から「例外を積極容認」 「2割節電」→「1割の需要減」 - 毎日新聞 2018年9月16日 )
しかし、政府は「足りない」というようなことを言っているが、現実には、電力は余っている。本州から電力融通を受けられる北本連系線の送電量 60万kW の分があるからだ。
それでも、電力にはある程度の余裕があることが必要だろう。ただし、それについては、でんき予報で調べることができる。
→ 北電 でんき予報
これを見れば、需給が逼迫しているかどうかはわかる。一般に、最大需要は午後6時台だ。(たぶん、夕飯の調理に電気がたくさん使われるせい。)
これ以外の時間帯では、電力に余裕があることが多い。特に、土日には、余裕がたっぷりだ。たとえば、(月曜日だが祝日である)17日のデータ。

こういうふうにして、電力需要の現況をリアルタイムで知ることで、現在は節電の必要があるかどうかを知ることができる。( 17日中ならば、終日、節電の必要なし。)
- 【 訂正 】
誤って、北陸電力のデータの図(16日)を示してまいました。(北電ちがいで)
あらためて、北海道電力のデータの図(17日)を示します。(グラフを差し替えました。)
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だから政府は、「1割の節電目標」なんかを口に出すべきではないのだ。そういうことは、人々の経済行動を萎縮させ、経済そのものを縮小させる。
むしろ、「でんき予報を見て、必要のないときには無理に節電をしない」というふうに方針を示して、「経済活動をどんどん実行しよう。いっぱい仕事しよう。正常に働こう」というふうに示すべきなのだ。
政府はなすべきことを間違えている。その結果が、100億円や 300億円の経済的縮小であり、また、暗くて観光客が来ない「すすきの」である。
北海道の経済の縮小は、まさしく人災であるが、その被害をもたらしたのは、マスコミではなく、トンチンカンなことを言っている政府なのである。
北海道と沖縄本島と、同じ大きさ感覚でいるんじゃないでしょうかね。
そうそう。私もそう思っていた。震源から遠く離れたところまで、とばっちりが行っている。ほとんど風評被害。
あ、ほんとだ。ご指摘ありがとうございます。「北電」で検索すると、北陸電力に行ってしまいました。
北電のリンクも訂正しました。
所在都道府県としての『北海道』を使ってそのまま『北海道地震』と呼ぶから、こんなことになります。
『熊本地震』のことを『西日本地震』と呼んじゃって
広島も激甚被災地だと思われちゃってるような状態です。
(厚真←→知床)(厚真←→稚内)(厚真←→函館)
十勝や釧路ですら、位置をまともに答えられる人がどれだけいることやら。
「南部」の代表的な都市、函館まで何kmあると思ってます?
それに、「北海道南部」「道南」とはどのあたりを指すのか、実は結構曖昧だったりします。
「胆振」「日高」は道南か道央か、とか。
「どこだかわからない胆振東部」のことを「北海道」の名称であたかも全域であるかのように呼んでしまうことが問題だと思うんです。
「新潟県中越地震」って、かなり
「新潟県中越」なんてどこだかわからなくって
調べて「ああ、あの辺ね」とわかるくらい。
M6.7〜6.8の直下型地震なら、そのくらい地域限定の呼称にしないと。
※ 今となっては出し遅れだが。