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関空は、B滑走路は運用されているとはいえ、半分運用どころか、もっとずっと悪い状況であるようだ。A滑走路が利用できないのでは、大部分が利用できないままとなる。
そのせいで、関西地方では外国人観光客が激減しており、観光関係の業界は大損害となっているそうだ。
「もう泣きそうですよ」。7日夕方、大阪・ミナミの道頓堀。中華料理店の橋本和也店長(32)は肩を落とした。いつもなら大勢の外国人観光客をかき分けないと歩けないという店の前は、この日はまばら。客の8割が中国や韓国からの観光客だが、台風21号の直撃で冠水した関空が閉鎖された4日以降、半数ほどに減った。
大阪・ミナミの黒門市場。店頭で生ガキやウニを販売している西川鮮魚店の西川学代表(55)によると、台風21号の通過後から観光客が減り始め、6、7両日の売り上げは通常時の3〜5割程度にまで落ち込んだ。
外国人観光客の約6割が関空から入国する京都市。
関空の完全復旧に時間がかかれば、「訪日客消費」に支えられてきた関西経済に打撃となりそうだ。
2017年の関空利用者約 2800万人のうち、半数超の 1432万人が国際線を使う外国人。日本に入国する外国人の3割近くが関空を使った計算だ。
( → 関空ショック、観光地の懸念 台風21号:朝日新聞 )
さて。関空の問題は、どこが問題となっているのか? 特定のボトルネックがあるのか? 問題を考えてみると、次のように、いくつかある。
・ A滑走路に残留物があって使えない。
・ 第1ターミナルの変電設備の水没・故障。
・ 連絡橋の自動車道(橋桁や橋脚の損壊)
・ 連絡橋の鉄道
・ 連絡橋の、ガスや電気の設備
一方、現時点で使えるのは、次のもの。
・ B滑走路
・ 第2ターミナル
・ 連絡橋の自動車道(現在、片側だけ利用)
・ 神戸からの連絡船(高速船)
・ 第2ターミナルへの電力供給
現時点でも部分的には生き残っているものがあるとはいえ、その量は小さい。部分的に旅客を運ぶことができるとしても、国内線の一部が、せいぜいだろう。
となると、本格回復が待たれるが、上記の諸点を見ると、すべてを解決するには1カ月では足りそうにない。2〜3カ月ぐらいかかりそうだ。しかし、それだと、観光業界への被害が大きすぎる。
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となると、改善案はただ一つ。こうだ。
「神戸空港や伊丹空港を、関空の代わりに、一時的に利用する。ここで、国内便を増発したり、交際便を受け入れたりする」
この措置が早急に必要だろう。飛行機業界のためというより、観光業界のために、政府は臨時措置を取るべきだ。
なお、ついでに、国内各地の空港でも臨時便を受け入れるべきだ。たとえば、静岡空港や中部空港や福岡空港あたりは有力だ。
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ここまで書いたあとで、あらためてニュースを見てみたら、次の話があった。
《 関空国際線が一部再開 A滑走路も1週間後再開へ 》
台風21号の高潮による冠水被害を受けた関西空港で、国際線の運航が一部で再開されました。
「国際線」再開の最初の便は全日空の上海行きで、8日午後0時20分ごろに出発しました。他にも、ピーチアビエーションでソウル行きや国際貨物の便も、順次運航が再開されています。また、運営会社の「関西エアポート」は、浸水した部分の電気設備の復旧も進んでいるため、冠水したA滑走路の運用を1週間後に再開する予定です。また、国内線の発着を伊丹空港や神戸空港に振り替える可能性もあるということです。
( → テレビ朝日 )
A滑走路の運用を1週間後に再開するとのことだ。なるほど。とはいえ、連絡橋はまだ直っていないから、利用できる客数は限定されているはずだ。便数も少ないはずだ。
伊丹空港や神戸空港に振り替える可能性も示されている。しかし、これは国内線限定だ。国際線まではまかなわない。もっと何とかしたいものだ。
とは言え、よく考えると、キャパの問題もある。関西空港の利用客数は莫大だから、その全部を、他の空港で引き受けることは無理だろう。
それでも、ある程度は引き受けることは可能なはずだ。1割でも、2割でも。
できる限りの努力を望みみたい。何しろ、連絡橋の鉄道が再開するのは、ずっと先のことだからだ。
【 関連動画 】
> 「5日深夜、ついに官邸が激怒し、指示が下りてきた」と、別の関係者は明かす。
https://www.aviationwire.jp/archives/155277
安倍首相が再開を急いでいることはわかる。B滑走路の再開も急がせたし。
しかし、A滑走路の再開はともかく、連絡橋の方は、運営会社の管轄ではあるまい。
記事ではこうある。 (運営会社の社長は)
> 利用者を長時間待たせずに空港外へ送り届ける手段には、言及しなかった。
問題は、滑走路でなく、連絡橋だ。ここでバスを走らせるにせよ、空港の運営会社の問題ではなく、政府や工事会社の問題だろう。
政府がやるとしたら、正常化の方法(それは専門家がすでにやっている)ではなくて、代替手段の方だ。たとえば、バスをたくさん用意するとか、船を多く使うとか。
政府は、怒ってしかり飛ばすよりは、本項を読んで、代替手段の確保を急いでほしいものだ。