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政府は週明けに計画停電を実施することを検討している。(検討させようとしている。)
6日未明の地震によって北海道で相次いだ発電所の停止を踏まえ、政府は道内での計画停電の検討に入ったことを明らかにした。地域と時間を事前に決めておく停電で、需給が厳しくなれば週明け10日にも踏み切るという。
( → 北海道で計画停電を検討 10日開始も、1回2時間ほど:朝日新聞デジタル )
安倍晋三首相は7日夕、北海道胆振東部地震の関係閣僚会議で、道内ほぼ全域の約295万戸で生じた停電について、「あす(8日)中には最大360万キロワット程度の供給力を確保し、一部地域を除き、停電が解消される見込みとなった」と表明した。
ただ、週明けの平日には電力需給が逼迫(ひっぱく)する可能性が高く、政府は改めて道内の企業・家庭に節電を要請したほか、北海道電力に需給対策である計画停電の検討を促した。
( → 需給逼迫なら計画停電も=週明けに1割節電必須−政府:時事 )
しかし、計画停電は必要ない。その理由を示す。
(1) 低気温による需要減
地震の直前の最大需要は 383万kW である。
→ 北電:過去の電力使用状況データ
このときの最高気温は 28.2度。(札幌)
→ 過去の電力使用状況データ
一方、その日以後では、最高気温が 24度以下の日が続く。
→ 石狩地方(札幌)の天気 - Yahoo!天気
したがって、以後の電力需要は 383万kW よりもかなり下がるはずだ。
・ 冷房の需要がない。
・ 冷蔵庫が電気を食わない。(涼しいので)
この二つだけで、電力需要は 350万kW ぐらいにまで下がるから、供給電力の 360万kW を下回るはずだ。ゆえに、計画停電はしなくても済む。
(2) 節電などによる需要減
現実には、さらに需要が大幅に減ると見込まれる。
第1に、政府が節電を推奨しているので、照明やテレビなどの電力需要がいくらか減りそうだ。
第2に、以下のことがある。(冷凍庫の件)
停電中には冷凍庫の中身が溶けてしまうことがあった(あると見込まれた)ので、冷凍庫の中身を食べ尽くしてしまおう、という人々が大量に出現した。また、食べ尽くすことはできなくても、いったん解凍されたものを焼いたり煮たりして、それを冷蔵庫に保管した人が多かった。(その後、停電解消にともない、ふたたび冷凍する。)
いずれにしても、冷凍庫の中身は大幅に減った。さらに、北海道の特殊事情として、冷蔵庫のほかに、大型の(専用)冷凍庫を備えている家庭が多いそうだ。何でもジンギスカン用の肉を冷凍するためだとか。(ちょっと大げさかも。)[以上、ツイッター情報による。]
ここで、空っぽになった冷凍庫は、しばらく空っぽのままだろう。となると、その分、電力の需要が減る。
かくて、以上の (1)(2) の理由から、電力需要は大幅に減ると見込まれる。(1) では 350万kW ぐらいに。(1)と(2) の合計では、300〜320万kW ぐらいまで減りそうだ。
というわけで、360万kW という供給があれば、余裕綽々(しゃくしゃく)である。したがって、計画停電の必要性はまったくない、と言える。
ただ、「計画停電を検討する」と告知すること自体は、悪くはない。そのことで、人々の節電意識を高めるからだ。(一種の脅迫であるが。)
ともあれ、この脅迫の効果もあって、現実には、計画停電は実施されないだろう。
※
私の予想では、電力需要は「 300〜320万kW ぐらい」だ。たぶん、この数値になると思うので、あらかじめ予想しておく。
※
ちなみに、「停電は7日中に大幅に改善するだろう」という私の予想は、ちゃんと当たった。マスコミでは「完全復旧まで1週間かかる」という悲観的な報道ばかりが出回っていたが、私はちゃんと「7日中に大幅に改善」と予想していた。それが当たった。
(ただ、道南まで改善しつつあるのは、予想を超えた改善だった。ここまでは予想していなかった。北電が頑張ったようだ。東電の協力もあったが。)
[ 付記 ]
そもそも、需給調整契約を結んでおけば、こんな苦労はしないで済んだはずだ。(該当企業に休んでもらえば済むのだから。)
ところが、北電は需給調整契約を結ぶことをサボってきた。先に述べたとおり。
→ 北海道の電力の復旧は?: Open ブログ の [ 付記 ]
なぜサボってきたかというと、こうだろう。
「需給調整契約を結ぶと、それを発動しない場合には、契約企業への電力を安くしないといけない。それだと利益が減る。だから、損しないために、需給調整契約を結びたくない」
しかし、これは解決が可能だ。次のように。
「需給調整契約を結ばない企業に対しては、一律に、夏期料金を1割程度、値上げする。その一方で、需給調整契約を結んだ企業には、夏期料金を1割ぐらい下げる」
こうすれば、収支はほぼトントンになるはずなので、需給調整契約をたくさん結んだからといって、電力会社が損することにはならない。
北電は、そうする知恵がなかったから、値下げはしても値上げをしないままだった。だから、需給調整契約をろくに結ばないできた。その結果が、今の状況だ。工夫が足りない。( or 頭が悪い。 or 無責任だ。)
『最大限の節電』が求められているようです。
北海道って、全道でパチンコ屋が多いので、道内の全店を休業にすれば、当面はしのげるのではないか、と素人的には思ってしまいます。
そうです。
だから私は「そんなに努力する必要はない」と楽観的な情報を出しています。政府方針を否定しているわけ。
> パチンコ
かわりに自宅で、照明をつけて、テレビを見ていたら、かえって消費電力は増えかねない。
ま、パチンコの影響はあまりなさそうです。パチンコ屋は、無駄な照明を消せば、それだけで(努力としては)十分でしょう。
> 道内の本日16時台の電力需要は、震災前比で「15.4%減(速報値)」でした。
http://www.hepco.co.jp/
16時で比較しているのだろうか? おおざっぱに 310万kW ぐらいであると推定される。
私の予想通りかな。
360万kW の供給に対して、十分に余裕ができている。