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地震で停電が起こったのは、震源地のそばにある発電所が、地震で損壊したから。配管やタービンも損壊したということで、復旧には少なくとも1週間かかるという。
→ 電力復旧に1週間以上=北海道地震、政府対応急ぐ:時事
この発電所が道内の発電の半分を担っていたということで、被害が広がったようだが、よく考えれば、他の発電所は無傷なのだから、他の発電所が頑張れば、道南以外の地域では停電は解消していいはずだ。
上記記事にはこうある。
北海道電は6日、停止していた砂川火力発電所(北海道砂川市)を午後1時半すぎに再稼働させたと明らかにした。政府は他の火力や水力発電の稼働を急ぐほか、本州の大手電力から電力融通を受け、7日中に約300万キロワットの供給力確保を目指す。ただ、5日時点の道内全域のピーク電力需要(380万キロワット)には足りず、一部地域の停電が長引く可能性がある。
供給不足は 80万キロワットだけなのだから、道南を切り離せば、他の地域の停電は解消していいはずだ。だから、道南以外では、「7日中に停電は解消する」と見込んでいいだろう。
(9月6日16時現在)
水力発電所26発電所については、すでに運転しております。また、27発電所については、復旧作業が順調に進めば、本日中に運転を開始し、計50万kW程度を確保できる見込みです。
( → 北海道電力【設備状況のお知らせ(1)】 )
道南はどうかというと、発電所の損傷を修理するのに1週間以上かかる。さらに、道南各地の鉄塔の倒壊や、電線の断線などを直すのに、かなり時間がかかりそうだ。
(9月6日16時現在)
送電設備について、設備の50%程度を巡視。変電設備については、ほぼ巡視を完了しております。
送電線の南早来1号線(275kV)については、電線断線を確認しております。また、岩知志線(66kV)については、鉄塔2基が倒壊していることを確認しております。
配電設備については、設備の50%程度を巡視し、電柱の折損等約240基、高圧線断線約50条、低圧線断線約50条、変圧器の傾斜約100台を確認しております。
( → 北海道電力【設備状況のお知らせ(1)】 )
というわけで、復旧の見通しは付いたわけだ。
・ 道南は1週間以上
・ それ以外は7日中にも復旧
というふうになる。
※ 新聞やテレビでは報道されない有益な情報が、
Openブログでは得られます。災害情報サイト。
[ 付記 ]
余談だが、「需給調整契約」を使うと、大規模工場などを対象に、稼働を休んでもらうことで、復旧をしやすい。(これらがすべて稼働すると供給不足になるような場合に有効だ。)
ところが、北海道電力は「需給調整契約」をほとんど活用していないらしい。
→ 2013年度夏季の需給調整契約
図を見ればわかるように、北海道電力だけが、契約量が圧倒的に少ない。(北陸電力も少ないが。)
東京電力や他の電力会社に比べて、契約量が圧倒的に少ないのだから、怠慢というしかないだろう。「いざというときに備える」という体制ができていないので、いざというときには大被害にうまく対処できなくなってしまうわけだ。
【 関連サイト 】
→ 需給調整契約
需給調整契約について(随時調整契約)
○電源トラブルや系統事故により電力不足が懸念されるときに、電気料金の割引を受ける代わりに、電力会社からの事前通告により、電力の使用の一部又は全部を抑制する契約。
主として、夏期ピーク時において、電源トラブルなどによる需給の逼迫時に、事前(例えば3時間前、1時間前など)の通告により電気の使用を調整。
【 関連動画 】
参考情報。
平成30年北海道胆振東部地震
— hirot_2525 (@EastHirot) 2018年9月6日
過去24時間の震源分布図
防災科学技術研究所ホームページより pic.twitter.com/NltZsOXSQe
【 追記 】
「泊原発が稼働していれば、200万kW を発電できるので、全域停電はなかったのでは?」
という疑問がある。それについて検討した人もいる。
→ たとえ原発が動いていても今回の道内全域停電が避けられない理由
この人は「全域停電が避けられない」と述べているが、妥当ではないと思う。そのときの需要は 280万kW だった。

出典:本日の電力使用状況
280万kW のうち、200万kW を泊原発が担って、他の火力発電所が 80万kW 。そのうち半分を苫東厚真が担えば、40万kW 。
40万kWが瞬間的に消えたとき、ブラックアウト(全域停電)が起こるかどうかといえば、「技術しだい」となるだろう。
特に、うまくやれば、供給を切ると同時に、需要を切ることもできるはずだ。(送電線の1系統を遮断するわけだ。)……これなら、40万kW の供給が消えると同時に、40万kW の需要も消えるから、ブラックアウトは起こることなく済む。
現実の技術がそうなっていたかというと、そうなっていなかった可能性が高い。ただ、うまくやれば、ブラックアウトなしで済むだろう。
ただ、問題は、どちらかと言えば、「復旧に時間がかかること」だ。いったん止まったからといって、また動かすのに2日間もかかるというのは、時間がかかりすぎる。苫東厚真に時間がかかるのは仕方ないにしても、他の火力発電の復旧に時間がかかりすぎる。これは北電の技術や手際が悪すぎることが問題だ。
今回の教訓は、いくつかある。
・ 1箇所の発電所が地震でやられても大丈夫なようにする。
・ 供給の遮断と同時に需要の遮断もできるようにする。
・ いったん停止した火力発電の再開を、早急にする。
これらの点は、北海道電力以外にも適用できる。
タイムスタンプは 下記 ↓
→ https://www.facebook.com/hokuden.jp
続々と停電が解消しているようだ。
スーパーも徐々に開店しつつあるそうだ。NHK の特設サイト。
→ http://bit.ly/2QcWZfe
なお、セイコーマートは、ずっと開店を続けていたそうだ。停電中も1100店中1050店が営業を続けたという。
→ https://www.fnn.jp/posts/00359920HDK
札幌では9割ぐらいが停電解消したらしい。現時点で。
ふーむ。
> だから結論としては、泊原発が動いてたとして、今回のような深夜の地震でかつ全力揚水中なら、揚水操作のオンオフが調整力になって即時の停電は免れただろうけど昼まで維持できるかどうかは怪しく、同じ落ち方を日中にやられたら同じ結果だっただろう、となります。
とあるけど、これは違うと思う。
(1) 「直ちに揚水を中止して75万kWを需要に、さらに揚水発電で55万kWを捻り出す」とあるが、それは無理。揚水発電は瞬間的には生じない。タービンを回すにはかなり時間がかかるので、瞬間的に立ち上げることはできない。ゆえに、即時の停電は免れない。(全域停電は発生する。)
(2) 仮にその時点で全域停電が発生しなかったとしたら、昼間の全域停電は免れることが可能だ。その時点までに計画停電を実施すればいいからだ。これで需要を抑制できるから、全域停電は免れる。
> 【停電状況等のお知らせ(9月8日4時現在)】
> 停電解消戸数は292万8千戸、停電戸数は2万1千戸です。
https://www.facebook.com/hokuden.jp
1週間かかるという見込みだったが、ずいぶん早かった。
苫東厚真が稼働しているかどうかは不明だが。
> 世耕弘成経済産業相も、8日中には最大360万キロワット程度の供給力を確保し、全域にほぼ供給再開できる見通しが立ったとの認識を示した。その上で、週明けからの需要増や大規模停電が起こるリスクなどを踏まえ、平時より1割程度の節電への協力を企業や道民に要請するという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3511395007092018MM8000/
苫東厚真以外で、何とか電力をひねり出したようだ。何かうまい手があったらしい。
https://www.asahi.com/articles/ASL977D4CL97ULFA04G.html
民間企業からの電力買い取りがあったわけだ。
苫東厚真は稼働していないそうだ。
https://weather.goo.ne.jp/past/412/
天気予報でも、今後は涼しい日が続く見込み。冷房の電力需要は大幅減。したがって、特に節電しなくても、電力不足は発生しないだろう。