たいていの薬は「食後 30分に水で飲め」と言われるが、水なしで飲む方がいいだろう。
──
なぜなら、水といっしょに飲むと、吸収が早くなりすぎるからだ。
薬を「食後 30分」というふうに指定するのは、「薬の吸収時間が長くなるように」(効能が徐々に長く続くように)という意図だ。
だが、水といっしょに飲むと、水といっしょに吸収されて、早く吸収されてしまう。
一方、水なしで飲めば、なかなか掻き混ぜられないで、上の方に固体のまま置かれている時間があるので、少しずつゆっくりと溶けていって、効能が徐々に長く続くようになる。つまり、本来の意図の通りになる。
だから、水なしで飲む方がいいのだ。
──
実は、そのことが知られているせいか、「水なしで飲める」という薬が増えているようだ。「速崩錠」という。
これは、実は「水なしで飲める」というよりは、「少量の水で飲める」というものらしい。そのままゴクリと飲んでしまってもいいが、少量の水といっしょに飲むと飲みやすいようだ。
一方、口のなかで溶かすタイプもある。「口腔内崩壊錠」という。
ただし、これには副作用も報告されている。薬物が口腔内に留まるせいで、舌や口腔粘膜に付着して、問題を引き起こすようだ。
そういう問題を引き起こさないようにするには、口腔内崩壊錠といえども、水といっしょに服用するべきらしい。しかしそれじゃ、元の木阿弥。何のこっちゃ。
→ 口腔内崩壊錠
──
ま、薬のタイプがどうであれ、少量の水で飲むのが一番いいようだ。
換言すれば、大量の水といっしょに飲むのはよくない、と言える。
思えば、私は以前、大量のお茶やお湯といっしょに薬を飲んでいたが、それはまずかったな。そういうことのないように努めたい。
( ※ そもそも薬をお茶と飲むのがよくないのだが、大量の薄いお茶だから、お茶じゃないと思っていた。しかし、大量の水や湯は、お茶以上によろしくないようだ。)
《 注記 》
「水なしで飲め」という書き出しで始めているが、最終的な結論は「少量の水で飲め」というふうになっています。
羊頭狗肉みたいで、ごめんなさい。ちょっとタイトル詐欺っぽくなっています。
なお、「水なしで飲め」という場合も、食事中には十分な量の水を飲んでいることが前提です。つまり、胃の中には十分な量の水がもともとあることが前提です。完全に「水なし」にするという意味ではありません。「すでに水をたくさん飲んでいるから、これ以上はいっぱい飲まなくてもいい」という意味。
【 関連項目 】
→ 食前薬は食前に飲むな: Open ブログ
食前薬は「食前に飲め」と指定されているが、食前に飲んではいけない……という話。嘘みたいだが、ホント。
2018年09月03日
過去ログ
食道にくっついたりして、その場で溶け出して、食道潰瘍をおこした例
こういう場合はあとから水を飲めばいいけど
粉薬
気管から肺に入って、肺炎をおこした例
こういう場合はあとから水を飲んでもどうしようもない
お茶のカフェイン
カフェインのような効果の薬と一緒に飲むとカフェインの取り過ぎで気持ちが悪くなる例
ま、薬のタイプがどうであれ、少量の水で飲むのが一番いいようだ。
が結論ですね
ここはコメントする方々も博識でらっしゃいますね。
>薬を「食後 30分」というふうに指定するのは、「薬の吸収時間が長くなるように」(効能が徐々に長く続くように)という意図だ。
「食後」という指示は、薬を飲むタイミングを指定するためにやっているのです。
「6時、12時、18時」
「朝食後、昼食後、夕食後」
とどちらが確実に飲んでくれるか考えたらわかります。食事をしないで飲んでも問題ありません(糖尿病薬の一部は例外)
> だが、水といっしょに飲むと、水といっしょに吸収されて、早く吸収されてしまう。
ふつうの内服薬は、吸収が早くても、特に何も問題がありません。むしろ、胃に入ったらすぐ崩壊するように設計されています。胃で崩壊させたくない薬や、ゆっくり吸収させたい薬は、特殊コーティングされた徐放錠や特殊カプセルに入っています。
> 一方、水なしで飲めば、なかなか掻き混ぜられないで、上の方に固体のまま置かれている時間があるので、少しずつゆっくりと溶けていって、効能が徐々に長く続くようになる。つまり、本来の意図の通りになる。
薬の種類によっては、消化管の特定部位に張り付いたら、そこで潰瘍になります。
それはわかっています。当り前。
ここでは「食後」でなく「30分」の方を話題にしています。お間違えなく。
完全な誤読ですよ。
> ふつうの内服薬は、吸収が早くても、特に何も問題がありません。
これも誤読。単に早いか遅いかではなくて、吸収するのに、急なピークがあるか、ゆるやかなカーブになるか、という違いです。
水に溶ければ、水といっしょに急激に吸収されて、鋭いピークがある。水に溶けなければ(固体のまま残っていれば)、緩やかに吸収されて、ゆるやかなカーブになる。
薬物の血中濃度に急激なピークがあった方がいいかどうか、という問題。食後に高いピークがあって、その後はずっと低い値になる方がいいのか、という問題。
> 消化管の特定部位に張り付いたら
これも誤読。胃の中の撹拌が終わったあとで、食物の上の方に置かれている、という状態です。食物の上であって、器官の表面ではありません。
──
なんか、いちゃもんを付けるために、いちいち全部、勝手に誤読しているみたい。藁人形論法。
タイムスタンプは 下記 ↓
「30分」も全く意味がありません。食事とリンクさせることで、飲む時間を指定しているだけです。食後1時間でも2時間でもいい。
>吸収するのに、急なピークがあるか、ゆるやかなカーブになるか、という違いです。
内服薬がすぐ溶けて崩壊したところで、途中に消化管と門脈と肝臓を経由するんだから、静脈注射よりはずっと遅いです。わざわざ吸収を遅くするような設計をしたい場合は(以下略)
>これも誤読。胃の中の撹拌が終わったあとで、食物の上の方に置かれている
それは管理人さんの妄想です。内服薬は、飲んだらすぐ溶けて、錠剤もカプセルも、分単位で崩壊しています。ぬるま湯に錠剤をつけて実験してみてください。
製剤設計では、内服前に、錠剤やカプセルが崩壊しちゃまずいが、飲んだ後で、崩壊して吸収される速度は速いほどよいとされています。そうでない薬は(以下略)
だったら、食中でも食前でもいいはずだが、そんなことは聞いたことがない。
食後ならば薬物が食物全体と混ざるので、吸収時間が長くなるからでしょう。だから食後に意味がある。
> 静脈注射よりはずっと遅いです。
そりゃそうだけど、比較する方がおかしい。比較にならん。
1日に1回の薬なら、直後に水といっしょに急激に吸収されるよりは、食物といっしょに長時間かけて吸収される方が、持続時間は長いでしょう。
> 内服薬は、飲んだらすぐ溶けて、錠剤もカプセルも、分単位で崩壊しています。
溶けるかどうかじゃなくて、溶けたものが食物(胃の内容物)と混じるかどうか。一番上に置かれていれば、溶けたあとも、そのあたりにあるから、食物といっしょに吸収されるまでは長い時間がかかる。
大量の水で溶かしたら、すぐに胃腸で吸収され始める。
よく言われる、お茶と一緒に鉄剤飲むなとか、テトラサイクリンとカルシウムとか言う話は、薬剤師が話のネタにするために誇張されてきただけです。
飲み合わせがやかましかったワーファリンは、新世代の抗凝固薬に置き換わりつつあり、糖尿病薬も、新世代の薬だと、空腹で飲んでも、低血糖になりません。
確かに食事と一緒に飲んだら、すぐに胃を通過しないので、少し吸収が遅くなりますが、普通の薬の代謝の律速段階は吸収ではなくて分解と排泄なので、問題にならない。吸収を律速段階にしたい薬はそのような剤形にします。飲み方に依存するような薬では信頼性が保証されない。
よって、食前食後なんて話は、ほとんどなんの意味もないのです。
それ、嘘だよ〜。有名なところでは、グレープフルーツと薬はいっしょに飲んでは駄目、というのがある。お茶のタンニンもある。
世の中にはさまざまな化学作用があるのに、薬に限って、化学作用が生じない、なんてことがあるはずがない。
> 普通の薬の代謝の律速段階は吸収ではなくて分解と排泄なので、
なるほど。持続時間については、分解と排泄の方が大きな影響がありそうですね。
だとしても、吸収に長く時間をかけることは、それなりに効果がある。いくらかは。
また、「ピーク値を下げる」という意味では、大きな効果があるはず。たとえば、高血圧の薬では、ピーク値が高いと、飲んだ直後に低血圧になりやすい。これは問題がある。その意味で、急激なピークを下げる(ピークをなだらかにする)ことには、十分な意味がある。
> 食前食後なんて話は、ほとんどなんの意味もないのです。
あまり大きな意味がない、という程度では? そこそこの意味はあるはず。だって医学界と薬学会がみんな「食後」などをきちんと指定しているんだから。
井上さん一人が逆らっても、「異端の論」ということで片付けられてしまいそうだ。
グレープフルーツとの代謝阻害が強くでるのはニソルジピンという、もう誰も使わない古い降圧薬。
臨床医の大半はアムロジピンです。こちらはグレープルーツによる代謝阻害はあるけど、大して問題にならない。
http://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/130757-1-24.pdf
>お茶のタンニンもある。
試験管内で混ぜ合わせたら化合しますが、患者が鉄剤とお茶を飲む程度なら大したことにならない。
特に問題になっていたのは、子供用のシロップの鉄剤です。こどもが苦いお茶を大量に飲むわけないでしょう。
大人が使う鉄剤は錠剤とカプセルです。散剤だって、昔の液体の鉄剤と比較したら圧倒的にタンニンとは化合しにくい。
https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/M2-1/summary_viewer.php?trgid=11753
管理人さんの医学話は、「ブラックジャックによろしく」でも批判されてたけど、「間違ってないけど古い」んです。昔は問題があったことが、その後の技術進歩で、解決されてることは多い。
薬剤師がバカの一つ憶えみたいに言う、「NSAIDとニューキノロンの併用で痙攣」という話だって、古い世代のニューキノロンの話であり、現在主流のクラビットやグレースビットでは、めったにおきない。
要約すると、「大して知識のない患者が自宅で使う薬の服用方法で、効き目やリスクに大きな差はでない。そんなものは危なくて処方できない」んです。
病院で投与する薬と、自宅で内服する薬とはリスクが全くちがう。業務用の電気製品と、家電との安全性の違いみたいなものです。
家庭で使う内服薬は、フールプルーフになっているのです。
逆に、ピーク値を下げたら効かない薬もあります。上に書いたクラビット(ニューキノロン系抗生剤)がその一つです。
ゆっくり吸収されたら効かないんです。持続時間よりも、ピーク値が重要。これがわかってなくて、昔は100mg錠 3錠分3なんて用法が、製薬会社の添付文書にまで書いてあった。現在はすべて500mg1錠分1になった。
> グレープフルーツジュースを避けるべき医薬品は多数ありますので、新たなお薬が処方された時などは、薬剤師に確認されると良いでしょう。
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0017.html
> 当院にある薬のうち、グレープフルーツとの飲み合わせがよくない薬にはカルシウム拮抗薬などがあり相互作用の強弱は以下の通りです。
> ノルバスクOD錠2.5mg・5mg
http://www.tsuchiya-hp.jp/hpt/tty/yakuzai_kmado201011.htm
※ ノルバスク=アムロジピンベシル酸塩
──
ご指摘の アムロジピン の PDF を読んだら、「個人差があり、安全とは言い切れない」と記してあります。人によっては副作用がある。
また、Ca拮抗剤は副作用が大きい。
服薬時にグレープフルーツを避けることぐらいは簡単なんだから、あえて服薬時にグレープフルーツを食べる必要もないでしょう。
・「食欲がないので食べられない。だから薬も飲まない」という行動を選択したために、血圧が急上昇して、脳梗塞を発症した。
・「食後」と書いてあるという理由で、1日1回しか食事しない人は、1日1回しか服用されなかった。三分の一では効果は激減。グレープフルーツやお茶による相互作用とは比較にならないくらい効果が下がる
・「食後」と書いてあるので、薬を飲むために無理に食事をしたら嘔吐してしまって、結局、誤嚥性肺炎になった。
「食後30分」にこだわってはいけないってことですよ。