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ネアンデルタール人の DNA は、すでにわかっている。
先に「ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスと混血した」という説が出現したが、これは、ネアンデルタール人の DNA を詳細に調べたことから得られた結果だった。その前に、「ネアンデルタール人の DNA を詳細に調べた」という成果があったのだ。
徹底した汚染物・付着物の排除。DNA片を複製する技術上のブレークスルー「PCR法」の確立などによって(もちろん、いやになるほどの失敗例を重ねたあと)、いよいよ著者らによるネアンデルタール人の核DNAの解読が完了する。
その際、付言されたのはネアンデルタール人は現代アフリカ人とは遺伝子の共有部分を持たず、かえってヨーロッパ人、アジア人、オーストラリア人との間に持っているというもの。
( → 復元された古代のDNAが示す事実/『ネアンデルタール人は私たちと交配した』 | デイリー新潮 )
こうしてネアンデルタール人の DNA は判明した。
となると、その DNA を利用して、ネアンデルタール人を再生させることが可能となりそうだ。ちょうど、映画のジュラシック・パークで、恐竜を再生させたように。
では、それは実現可能か? この件は、考えるよりも、ググる方が先だと思えたので、ググってみたら、すでに実現に向けて計画が進んでいるそうだ。
マンモスから、クローン技術で現代によみがえらせるという研究が行われているが、一部科学者たちの探究心はマンモスのみでは飽き足らず、驚くことに恐竜やネアンデルタール人までもが蘇生対象になっているという。
著名な遺伝学者のジョージ・チャーチ教授が率いるハーバード大学の研究チームは、2013年より遺伝子工学の最新技術を用いて、現代人の幹細胞のDNAを既にゲノム解析されているネアンデルタール人のコードに書き換えるという方法を提案している。
具体的に言うと、教授の計画ではまず化石に残っている遺伝子情報を基にネアンデルタール人のDNAを人工的に作りだす。そのDNAを人間の幹細胞に注入して、実験室で数日成長させた後、代理母(もしくはチンパンジー)の子宮に移植するという。
( → 【ガチ】「ネアンデルタール人の蘇生」をハーバード大が計画! 代理母に産ませて誕生、現代人と対面へ! )
ただし、問題点も指摘されている。話はこう続く。
ただし過去のクローン作成の実績から失敗の確率が高く、また道義的にも物議を醸す可能性があるだろう。
だが果たしてネアンデルタール人のクローンを作ることは、倫理的、人道的にクリアしているのだろうか? テクノロジーと生命科学の進歩によって出生や死への人為的介入が可能になった現代では、新しい倫理的諸問題が多く山積みされている。
6500万年前に地球上から姿を消した恐竜や、旧人類であるネアンデルタール人のクローンを生み出すことは、科学者の知的探求以外にそもそも科学的に何の意味があるのか。
一方では、ネアンデルタール人と現代人の生物学的な差異が明らかになることで、この2つの種が分岐した進化の歴史をより理解できる可能性や、現代病に関する新たな洞察が得られる、との指摘する声もあり、生命倫理学者や人類学者、生物学者らなど、さまざまな分野の専門家を巻き込み、大きな議論となっている。
私が知りたいと思うのは、脳の構造だ。前項で示したように、大脳辺縁系がホモ・サピエンスよりも発達していると思われる。だから、そのことを確認したい。(脳の画像スキャンで。)
とはいえ、ネアンデルタール人は、もはやただの実験動物ではないのだから、勝手に一人だけ誕生させた上で、檻の中で育てるわけにも行かない。かといって、人類社会に溶け込ますこともできない。絶海の孤島などの隔離領域に一人で暮らすようにするのが関の山だが、それはあまりにも残酷だ。
となると、唯一の可能性は、こうだ。
「出産の直前に中絶させて、出産させない」
これならば、まだ誕生の意識が生じていない時点のことだから、ギリギリで許されそうだ。
( ※ 人間の場合の中絶よりは、基準が甘くなる。)
結局、「誕生」は無理でも、「誕生の直前」までなら、「ネアンデルタール人の再生」は可能になりそうだ。将来的には、実現する可能性はある。
( ※ 本項は、ただの思考実験です。別に何らかのことを「こうせよ」というふうに主張しているわけではありません。)
1 両親に遺伝子が原因の病気や重大な障害がある場合にデザイナーベビー(受精卵かその前の精子や卵子の遺伝子を改変)が認められる。
2 両親に遺伝子が原因の病気や重大な障害がなくても認められる。
3 普通にデザイナーベビーが生まれるようになる。
4 ネアンデルタール人の遺伝子を持った子供を希望する親が現われ、ネアンデルタール人の遺伝子を入れた子供が生まれる。
大部分の子供が遺伝子改変をした受精卵から生ずるようになった時代だと、ネアンデルタール人の遺伝子を持って生まれた人も、普通に一般人として生きられると思います。
子供の運動能力を高めたい(格闘技系など)親が希望しそうに思います。
管理人さんの
> 「出産の直前に中絶させて、出産させない」
ギリギリで許されそうだ。
( ※ 人間の場合の中絶よりは、基準が甘くなる。)
この意見には反対します。
法律の定義する人間にネアンデルタール人が含まれるかどうかは考える余地は有りますが、出産直前に中絶を行った医師か科学者が殺人罪に問われ、有罪になると思います。チンパンジーの代理母や人工子宮が実現した時代であっても、現在の日本の法律に照らせば殺人だと思います。
ネアンデルタール人の遺伝子を持った子供は、ある程度まで遺伝子量が増えると、ゲノム・インプリンティングが理由で、重大な障害が生じます。通常は流産で、程度が弱ければ不妊となります。この件は下記で述べた通り。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435850293.html
異種間交雑はできないんです。それが原理。
子供を不妊にするような遺伝子改変なんて、認められるはずがない。
なお、「ネアンデルタール人の遺伝子をホモ・サピエンスがもっている」という説は誤りで、その遺伝子は、交雑ではなく、共通祖先から引き継いでいるだけです。ホモ・サピエンスに新たに追加された遺伝子ではありません。
別項で述べた通り。
→ https://keiji-pro.com/columns/42/
この手の生殖医療の分野では、中国の規制が緩いので、生殖医療の研究は中国がどんどん進んでいるそうです。上記の件の研究・実験も、実現するとしたら、中国でのことでしょう。