現在の町医者のレベルは低すぎるので、医療に AI を導入することを義務づけるといい。
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朝日新聞の本日の投書欄に、ひどい例が掲載されていた。医療の診断ミス。
・ 13歳の子供が頭痛と嘔吐。ひどい症状。
・ 小児科を受診すると、嘔吐を見て、「胃腸炎」と診断した。
・ その後にさらに頭痛と嘔吐。大病院へ。
・ 画像検査を希望したが、被曝があるので子供は駄目と断られる。
・ 目が見えにくくなり、町医者の眼科へ。
・ 自己免疫疾患を疑われ、大学病院へ紹介状。
・ 大学病院の眼科では、「自己免疫疾患は扱えない」と断られる。
・ 別の大学病院へ。「うちへの紹介状ではないので」と断られる。
・ 強引に受診をさせると、眼科から脳神経外科へ。
・ 画像検査一発で、脳腫瘍と判明。
・ しかし時期が遅くて、手遅れ気味で、脳ヘルニアを発症。
緊急手術へ。(予後は不明。)
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呆れた話だが、これが起こった理由は簡単だ。
・ 小児科医は、嘔吐だけを見て、消化器の異常を疑う。
・ 最初の大病院は、重大性を認識せず、画像検査を断る。
・ 眼科医は、目の症状だけを見て、目の異常を疑う。
・ 第2の眼科医は、自己免疫疾患だけを疑い、他を考慮せず。
・ 第3の眼科医が、ようやく、頭痛と嘔吐と目の三点を見て、脳腫瘍を疑う。
いずれも初歩的なミスだ。最後の眼科医だけが、まともに診療した。
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仮に、AI を使っていたら、どうなるか? こうだ。
「頭痛がして、嘔吐があり、目がかすむ。この三点があるのであれば、脳腫瘍の疑いが強いので、脳の画像検査をしてください」
こうして画像検査がなされ、画像検査一発で、脳腫瘍が判明する。
うまく行けば、最初の小児科医の段階で、(目の異常はなくとも)頭痛と嘔吐だけで、脳腫瘍の疑いを考えた。
遅くとも、次の眼科医の段階で、脳腫瘍を強く疑ったはずだ。
つまり、これらの段階で AI を使っていれば、この患者は早期に治療を受けられたはずなのだ。脳ヘルニアにまでは至らなかったはずだ。
というわけで、現在の町医者のレベルは低すぎるので、AI の利用を義務づけることを提唱したい。
医者の方は、「そんなの恥ずかしくってやっていられるか」と怒り狂うだろうが、患者にしてみれば、自分の命の方が大切だ。医者の誤診のせいで殺されたら、たまったものじゃない。
それより、町医者の誤診があったら、それによる高額の賠償を制度化した方が良さそうだな。その場合、AI の利用があったと判明すれば、AI に責任転嫁することもできる。
「おれが間違えたんじゃない。AI の診断が間違っていたんだ。文句を言うなら AI に言ってくれ」
というふうに。
その意味でも、AI の利用を義務づける方がいい。医者の責任回避の役にも立つ。
( ※ とは言え、現実に AI の利用を進めたら、「医者が AI の診断を無視して、勝手に自己流の診断をしたせいで、誤診が起こった」とバレてしまう……という事例が頻発するだろう。今の町医者のレベルはすごく低い。ちなみに、小児の脳腫瘍の発生頻度は1万人に1人。脳腫瘍の症例にぶつかっていない小児科医は多いだろう。たとえ症例にぶつかっても、見過ごしてしまいそうだ。)
[ 付記1 ]
投書では、こう苦情を出す。
「大病院の受診を禁じて、紹介状を義務づけるのであれば、町医者のレベルを上げてくれ。そうしないと、大病院を受診できないまま、行き場をなくして、困ったことになる」
ごもっとも。今の医療制度は、患者の犠牲の上に成り立っている。病院の都合ばかりを考えている。
紹介状がない場合の上乗せ料金は 5000円ぐらいのことが多いが、もっと引き上げて、1万円ぐらいにするといいだろう。その上で、紹介状なしの受診も「上客」として、どんどん受け入れるべきだ。
現状では、紹介状なしの患者を「わがままな患者」と見なすだけである。これでは「重篤な患者」が見過ごされてしまう。せっぱつまった患者を「わがままな悪」と見なすような現行制度は、制度として狂っていると言えよう。
( 医療関係者は「現行制度でも重篤な患者はきちんと扱っています」と言い張るが、現実には、それは絵に描いた餅となっている。町医者のレベルが低すぎるからだ。重篤な患者はきちんと扱う制度など、現実には存在しない。うまく行っている場合もあるが、見過ごされている場合もたくさんある。……悪意ゆえではなく、無能さゆえに。)
( ちなみに、タクシーの運転手は、プロでさえ恥ずかしげもなく、ドライブ・ナビゲーターを使うようになった。だったら医者が診断ナビゲーターを使うようになっても、問題あるまい。将来的には、それが普通になっているだろう。AI はあくまで補助的に使われるだけなのだから。)
( 私の持っている「病気診断ソフト」だと、症状を答えると、複数の病名を挙げて、「A病の可能性が 60%」「B病の可能性が 20%」「C病の可能性が 10%」というふうに診断してくれる。医者だってこういうのを使えばいいのに。)
[ 付記2 ]
私の持つ手持ちの「家庭の医学」(ソフト)で質問に答えてみた。
まず、症状として、次のページで知識を仕入れる。
→ 脳腫瘍による頭痛の特徴 症状
その上で、いくつかの質問に答えるが、ポイントは次のことだ。
・ 日ごとに強くなる頭痛ですか? → イエス
・ 吐き気がないのに急に吐きそうになりますか? → イエス
・ 目がかすんだりしますか? → イエス
これに答えた結果は……
・ 脳腫瘍 (75%)
・ ビタミンK欠乏症(33%)
との診断結果だ。(候補は二つだけ。他の病名は無し。)
こうして見ると、町医者が診断に失敗した理由もわかる。的確な質問を知らなかったのだ。脳腫瘍と偏頭痛を区別する最大のポイントは、「日ごとに強くなる頭痛か/毎度同じように繰り返される頭痛か」ということだ。こういう的確な質問を知らないから、区別もできない。
というわけで、的確な質問を出せる AI は、とても有益だ、とわかる。
( ※ 運転手向けのドライブ・ナビゲーションに似ている。)
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なお、患者側は「画像検査を希望した」ということから、患者側では「脳疾患の疑い」を理解していたことになる。(ネット時代だから検索すればわかるのだろう。)
なのに医者は、「脳疾患の疑い」を理解していなかった。つまり、患者ほどの知識もなかったことになる。あまりにも知識不足。
こういう状況であるから、「無能な町医者を助ける(助手的な) AI 」というものの必要性があるわけだ。そうすれば、少なくとも、「患者よりも知識不足だ」という惨憺たる状況は回避できるだろう。
2018年08月11日
過去ログ
医師会が反対しているんですよね。
頭痛い→ 「発熱を伴い 意識障害 嘔吐も見られる」で 「はい」を選択すると
【緊急】 髄膜炎、脳炎、脳腫瘍
と出ますね。(町医者いらず 笑)
普通、医者でなくても頭痛と嘔吐がセットなら脳に異常があるかも と思うはずですよね
13歳ということが 判断を鈍らせたのかもしれません
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大病院受診 紹介状要るのなら
主婦 西 真佐子
(神奈川県 76)
今、大病院の受診には紹介状が必要だ。近くの診療所で風邪と診断された友人のお孫さんは実際は肺がんで、最近、若い命を召されてしまった。
私の13歳の孫は4月と6月、頭痛と嘔吐で2週間ずつ学校を休んだ。近所の小児科の主治医は胃腸炎と診断した。その後夜間に再び頭痛と嘔吐。大病院で診てほしいと本人が強く言い夜間外来へ。画像検査を希望したが、被曝するため子どもはむやみに検査しないと断られた。
今度は目が見えにくいと訴えたので近くの眼科へ。自己免疫疾患を疑った医師が、すぐ大病院の眼科に行くよう紹介状を書いてくれた。しかし紹介された病院では自己免疫疾患は診察できないと断られ、別の大学病院に行くと、他病院あての紹介状では受診できないと言われた。
強引にお願いして診てもらったところ、眼科から脳神経外科にまわされ即入院。脳腫瘍だった。手術日も決まったが、急に容体が悪化。脳ヘルニアをおこし、未明に緊急手術となった。
紹介状がないと大病院で診てもらえないなら、開業医も知識を更新してほしい。途中まで担当した医師に、患者のその後は報告されるのだろうか。
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《頭痛・嘔吐・目が見えにくい》で検索すると、「原田病」という病気がヒットする。自己免疫疾患が原因で、目が見えにくいのは網膜剥離を起こしているからで、髄膜炎・難聴を伴い、皮膚の白斑・白髪・脱毛が起きる。髪の毛が白くなるので「浦島病」とも呼ばれている。眼科医は、これを疑って、大病院の眼科に紹介状(診療情報提供書)を書いたのだろう。
オソマツなのはその大病院で、「自己免疫疾患は診察できない」と診察を断ってしまった。仕方なく大学病院に行ったら、「紹介状なしでは診られない」と、これまたアタリマエの対応だった。しかし、そこで引かずに、診察を求めたのが良かった。検査で網膜剥離も難聴も髄膜炎も起きていないので、ここでようやく脳腫瘍の疑いが出、検査したらそのとおりだった。
今の医療は確率論で診察するので、どの医者に行っても同じ過程をたどるだろう。これはAIを入れても同じだ。…というか、むしろAIを導入すれば、ますますそうなるはず。w
どうなるかは、次項で示しました。
AI なら、初歩的な誤診はしないでしょう。そうわかる。
> 紹介状なし初診患者は大病院の外来患者の1%に過ぎない
→ http://www.hoken-i.co.jp/outline/sp/h/_1_2.html
だったら、いちいち断ることもないんだけどね。ちょっと受診して、重篤の疑いがあるかどうかを見ればいい。今回の場合は、脳疾患の疑いが強いとわかる。
次項を参照。
手持ちのソフトの診断結果を示す。
タイムスタンプは 下記 ↓
というのも日本の医療では「フリーアクセス」の原則がありますので。イギリスなどのホームドクターを通じないと大病院で診てもらうことができないのがルール化されている国とは違うんですね。
それが証拠に「強引にお願いしたところ診てもらえた」と投稿者も書いていますよね?ルール化されているなら強引にお願いしようがなんだろうが診てもらえません。
「強引にお願いしたところ診てもらえた」というのは、「強引にお願いしないと診てもらえない」ということです。それじゃ駄目なんですけどね。声のデカい患者ばかり優先されるというのは、医療のあるべき姿ではない。重篤さの順でないと。
ただ、料金は 5000円前後でほぼ統一されています。いいことなのか、悪いことなのか。……
どちらかというと、「カネを多く払う順」というのは、悪くはない。金持ちの順というよりは、緊急性の順になるからだ。一方、声のデカい順、みたいな現状は愚劣だ。
NHKの「ドクターG」という番組で「名医」が患者の症状から快刀乱麻に診断していきますが、あれは診断がついた症例をさかのぼっているのでああなっているのであって、あくまでエンタメとしてみていただくとよいと思います。
確かに頭痛と嘔吐、目の症状を訴えて受診すればどんな藪医者でも脳腫瘍を疑うでしょう。しかし、1、2ヶ月の頭痛、嘔吐を果たして患者なり保護者は眼科で言及したのか。
vogt-小柳-原田病は頭痛、嘔吐、目の症状も揃うので疑うのも無理はないかとも思いますし。
脳腫瘍および他の脳疾患をすべて含めた発症率はかなり高く、第一候補として「脳疾患」が疑われるので、「脳の画像検査」はこの場合には必須でしょう。「脳の画像検査」をしないのが、致命的な・初歩的なミスです。よほどの薮です。それが、町医者には多い。……本件では、大病院ですら、そういう薮が多い。
> 1、2ヶ月の頭痛、嘔吐を果たして患者なり保護者は眼科で言及したのか。
言及したに決まっているでしょ。「他に悪いところはありませんか?」と質問するに決まっている。それができないのであれば、医者失格です。さっさと免許を返上した方がいい。
……でも、そうすると、町医者の大部分が失格となりそうだ。 (^^);
町医者なんて、偉ぶっている人がすごく多い。「おれの診断を素直に聞け。文句があるならよそへ行け」という威張りたがり屋が多い。当たりはずれを見分けないと。
それはそれで大切ですが、本件とは全然別だと思いますよ。
AI なしで誤診したカルテなんて、あっても邪魔なだけ。共通化の意味がない。
真実の共有は意味がありますが、虚偽の共有は意味がない。
本件では、AI を導入した町医者は「大病院で画像検査を受けよ」と言うだけで、それ以上の診断はしないので、カルテ共有化の意味はないでしょう。
あと、紹介状で詳しく書けば、当事者間では情報の共有は実現済みです。
整形外科に骨粗鬆症で来た患者さんに前の質問をして、「いや〜とくにないですよ。」といわれて、骨粗鬆症の薬を処方して三回目くらいの受診で「一年前に胃がんの手術受けました」とかいわれて慌てるようなことはかなりあるんですよ。
骨に転移している患者さんに骨粗鬆症の薬を投与すると火に油の可能性もあるから大変危険なんですけどね。
で、患者さんに聞くと「胃腸の病気と骨なんて関係ないと思ったからいわなかった」とおっしゃったりする。
繰り返しになりますけど、診断がついてからさかのぼると思い当たる節はたくさんあるんですよ。ただ時系列で診ていくのはなかなか難しいんです。このお孫さんのおばあさんも診断がついてから投稿されていますからね。
それは、すぐに思い出せないせいかも。高齢者が多いし。
良い病院では、医者が質問する前に、問診票を渡して書かせます。これだと、患者はじっくり考えるので、思い出す時間が取れます。
> 「胃腸の病気と骨なんて関係ないと思ったからいわなかった」
それはたぶん、後付けの理屈です。
「思い出せなかった」「忘れていた」と答えると、ボケだと見なされるので、ゴマ化して正当化しているんです。
真相は「思い出せなかった」「忘れていた」でしょう。
若い人でも、
「病気したことはありません」
「では、このお腹の傷は何ですか?」
「鼠径ヘルニアです」
とかいうことがあり、
「降圧薬を飲んでいるようですが」
「薬を飲んでいるだけで治療はしていません」
という言葉の意味の違いがあり(薬を飲むことは治療ではないと思っている)、
問診は一筋縄じゃいかないんです。
ヒ素カレー事件に関連した本「四人はなぜ死んだのか」において、著者の女子中学生が
「医者がまともなら、症状からすぐにヒ素中毒とわかったはずだ。治療が遅れて死んだのは医者の過失だ」
と書いていまして、患者家族が病院を民事で訴えたが、過失なし、損賠認められずという結果になってます。
整理された情報だけを提示されて答えを出すなら誰でもできるが、それが可能なのは、すべてが終わった後なのです。現象が発生した時点では、情報の欠落もノイズもたくさんあって、それらも含めて検討したら、たとえコンピュータでも間違った答えを出します。
電算機で自動化できるのは、薬剤師業務です。彼らは手作業で処方箋のミスを訂正している。処方箋情報はすでに記号になっているんだから、自動判断できるんです。大衆は目につくモノしか判断できないから、ここに膨大な金が使われていることに気がつかない。
整理された情報だけを提示されて答えを出すなら誰でもできるが、それが可能なのは、すべてが終わった後なのです。
>
電算機で処理しやすいのは記号化された情報で、患者の表情とか声とか心音とか皮疹とか手で触った感触とかはまったく扱えない。レントゲン画像ですら自動判断できない。心電図診断は自動化されていますが。
「整理された情報」、「記号化された情報」
正鵠を得た表現ですね。もし機会があったら借用したいと思います。
整理されていない情報、記号化されていない情報を電算機が扱う手段の一つが、
deep learningだと思います。
その進歩にも期待しています。
ドライブナビゲーターとして使うという話であって、自動運転として使うという話ではありません。あくまで脇役です。