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今度は関西で起こるだろう。そして今度は福島事故を圧倒的に上回る大規模な放射能被害が発生するだろう。そのことがどうやら確実になったようだ。
このことは、本日の朝日新聞の記事でわかった。大飯原発の判決を出した裁判官へのインタビュー記事。「危険なので再稼働禁止」という判決を出したのだが、上級審でその判決を取り消された。
福島の原発事故後では初めて、運転差し止めを命じた関西電力大飯原発3、4号機をめぐる2014年の福井地裁判決。しかし、控訴審で名古屋高裁金沢支部は7月、一審判決を取り消し、住民の請求を棄却する逆転判決をした。
一審で裁判長を務め、昨年8月に退官した樋口英明さん(65)に、判決に込めた思いを聞いた。
「私が一審判決で指摘した点について具体的に反論してくれ、こんなに安全だったのかと私を納得させてくれる判決なら、逆転判決であっても歓迎します。しかし、今回の控訴審判決の内容を見ると『新規制基準に従っているから心配ない』というもので、全く中身がない。不安は募るばかりです」
「原告の住民側は『想定を超える強い地震が起きるかもしれない』と主張し、被告の電力会社側は『原発の敷地の地下では 700ガル(揺れの勢いを示す加速度の単位)を超える地震は起きない』と反論していた。争点は強い地震が来るか来ないかという点にあり、どちらも強い地震に原発が耐えられないことを前提に議論しているのです。そのこと自体が驚きでした」
「原告住民が言っているように、国内でかつて観測された最大の地震である 4022ガルを基準として設計するとか、現在の技術で対応可能な最大の地震を想定するとか、いろいろな方法があるはずです。なにしろ大飯原発の 700ガルというのは、私が住んでいる家に対して住宅メーカーが保証している 3400ガルに比べてもはるかに小さい値なんですよ。原発は私の家より地震に弱い」
( → (インタビュー)原発は危険、判決の信念 元福井地裁裁判長・樋口英明さん:朝日新聞 )
大飯原発の耐震性能は 700ガル。これはとても低い数値だ。この件は、前にも別項で引用したことがある。
阪神淡路大震災の引き金となった1995年の地震(マグニチュード=M=7.3)で計測された最大加速度は891ガル、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)では同1482ガルだった。03年宮城県北部地震(M6.4)は2037ガル、07年新潟県中越沖地震(M6.8)が国内観測史上最大の2515ガル、08年岩手・宮城内陸地震(M7.2)はそれを軽々と上回った。2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)は2933ガルを示している。
こういうわけであるから、 700ガルぐらいの耐震性では全然安心できないわけだ。ちょっと大きめの地震が来たら、間違いなく事故が起こる。大飯原発はそれほどにも危険なのだ。
※ この件は、前に詳しく論じたことがある。(ぜひ読んでね)
→ 大飯原発再稼働の地裁判決: Open ブログ
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では、事故が起こったら、どうなるか? もちろん、悲惨な事態になる。それについては、シミュレートした画像がネット上に見られる。たとえば、これ。

出典:美浜の会からの転載
「こんなに大変だ」と示したいのだろうが、この図はまったく正しくない。なぜなら、この図は、福島の被害の図を重ねたものにすぎないからだ。
福島の被害のときには、風は西風のことが多く、放射性物質の大部分は東側の海に流れた。たまに南東から風が吹く日があって、そのときだけは北西方向に被害が生じた。それが及んだのが飯舘村だ。それは例外的な被害にすぎなかった。
一方、大飯原発の場合には違う。西風が吹けば、放射性物質の大部分は東側の内陸部に向かう。その結果、北は福井、東は滋賀、南は京都のあたりまで、広範な領域に放射性物質が直撃するだろう。とにかく福島のときに比べて、圧倒的に広範囲で、圧倒的に高濃度な放射性物質が、ばらまかれるのだ。
特に琵琶湖は水質汚染されて、飲料に適さなくなり、長期的に水不足が発生するだろう。ま、はっきり言って、関西圏は壊滅する。下手をすると、名古屋まで壊滅するかもしれない。
より妥当な評価は、「チェルノブイリ原発との比較」だ。大飯原発でなく、浜岡原発に場合について、私は前に被害の想定図を示したことがある。(チェルノブイリにならって。)
→ 浜岡原発の事故の想定: Open ブログ
そこから再掲すると、下記だ。

上半分は、合成した図。(見やすくなるよう、色を薄くした。)
浜岡原発の被害で、東京や神奈川が壊滅することがわかる。
大飯原発の場合も、静岡ぐらいまでは被害が及ぶだろうから、関西と名古屋はすべて壊滅しそうだ。もはや人が住めない情強となる。福島の場合と比べて、雲泥の差となる。(被害地が原発の東側にあるからだ。)
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しかも、これは、「もしかしたらそうなる」というより、「 700ガル以上の地震が起こったら、きっとそうなる」のである。
いや、もっとひどいかも。福島のときは、「電源喪失」というだけのことで、メルトダウンが起こった。一方、大飯原発の場合には、「電源喪失」だけでなく、「全般的な耐震性不足」により、「全般的な破壊」が生じるかもしれないのだ。
特に危ないのが細管破断だ。津波が来るかどうかに関係なく、700ガルを超える地震のせいで細管破断が起こると、細管破断からメルトダウンに至る。「津波対策はしました。電源対策もしました」なんて電力会社は言っているが、実際には細管破断により、地震発生と同時にメルトダウンに至る。そして、その後は、周囲一帯の壊滅だ。
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となると、残る問題は、地震の規模だ。どのくらいの地震が来るか? 次の解説がある。
東日本大震災では約2900ガルで震度7だったが、阪神淡路大震災では約800ガルでも震度7であった。おおむね、震度6から7ぐらいの大きさだとわかる。「大地震」と言えるぐらいの規模だ。
( → ガルとは (ガルとは) - ニコニコ大百科 )
となると、南海トラフ沖地震が危ない。南海トラフ沖地震が起きれば、大飯原発で 700ガルを超えて、メルトダウンが起こる可能性が高い。
つまり、南海トラフ沖地震のときに一番危ないのは、津波なんかじゃなくて、原発なのだ。津波ならば、海辺の人が何万人か死ぬぐらいだろうが、原発ならば、数千万人もの人々が一挙に生活基盤を奪われるのだ。関西や名古屋は、もはや「死の土地」となって、人間が住むことのできない土地となる。日本はほとんど亡国の危機となる。
そして、それはたったひとつ、大飯原発を稼働させていたという、馬鹿げた決断のせいなのだ。
さらに、大飯原発に加えて、高浜原発も稼働させたことで、危険性は倍増することとなった。
朝日の記事にはこうある。
――15年4月1日付で福井地裁から名古屋家裁に異動します。異動の内示は、大飯原発の判決に続く、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分申請の審尋の最中でした。
――ただ、樋口さんの後任の裁判長を含め、高浜原発の決定に対する異議審を担当した裁判官は3人とも最高裁事務総局付きを経験した「エリート裁判官」。樋口さんが出した運転差し止めの仮処分を取り消しました。
「2人までは偶然で説明できますが、3人とも事務総局経験者というのは珍しいと思います。人事の意味はよくわかりませんが、何らかの示唆を受けて赴任した可能性はあると思います」
この裁判官は高浜原発について、運転差し止めの仮処分申請を担当したが、その後、控訴審の高裁段階で、仮処分が取り消され、高浜原発は稼働可能となった。( → 報道 )
そして、そのような「逆転判決」をもたらしたのは、高裁段階での意図的な人事だった。つまり、何が何でも原発の再稼働を可能とするように、裁判官の首をすげ替えてしまったのだ。(独裁国家ではよくあることだが。)
こうして、政府の意を受けた裁判組織による強権介入によって、危険な原発は無理やり再稼働させられることとなった。つまり、莫大な人命を犠牲にしてでも、電力会社の利益を優先したのである。
そして、これは、福島原発事故が起こったときの構造とまったく同じだ。福島原発事故のとき、「何でこんなことが起こったんだ」と人々は不思議に思ったが、実は不思議でも何でもない。あえてこうなるように政府が強権的に権力を発動したのだ。「津波対策のない危険な原発をあえて稼働させる」というふうに。
そして、それと同じことは、大飯原発と高浜原発にも当てはまる。地裁が良識を働かせて、「危険な原発は稼働させない」という判決を出したのに、政府と裁判組織が協力して、「危険な原発を稼働させる」という方針に転じたのである。
そして、いつか、南海トラフ沖地震が起こる。そのとき、関西と名古屋は広範囲に壊滅するわけだ。
これは杞憂ではない。南海トラフ沖地震が起こるのと同じぐらいの可能性だ。現実にその危険は、すぐそこにまで迫っているのである。
( ※ やがて起こるはずの原発事故の再来を、本項で予言しておく。例によって良く当たる、私の予言。……科学的根拠があるのだから、当たって当然だが。)
( ※ ただし、南海トラフ沖地震がいつ起こるかは、私にもわからない。また、南海トラフ沖地震が起こったときに、大飯原発や高浜原発で実際に原発事故が起こるかどうかは、不確定要素もある。「必ず事故が起こる」とまでは断言できない。「事故は起こらないかもしれないが、事故が起こる可能性は十分にある」とだけ予言しておく。そして、事故が起こったときの被害が壊滅的であることは、ほぼ確実である。)
[ 付記 ]
もう一つ、敦賀原発というのもある。(福井県)
調べてみたところ、これは「再稼働は無理だから廃炉」となる見込み。理由は「原発の直下に活断層があるから」ということ。
危険度がここまでひどいと、さすがにゴリ押しはできないらしい。
【 関連項目 】
→ 大飯原発再稼働の地裁判決: Open ブログ
※ 判決が出たときに、この判決について詳細に論じている。
実はこの判決は前に本サイトが結論したことのパクリも同然だ。(つまり正しい。)
だから上記項目は、ぜひ読んでほしい。
→ 北陸で大地震はあるか? (次項)
※ 原発のある場所で大地震が起こる可能性を調べる。

水が無ければそもそも生きていけません。
→ https://www.asahi.com/articles/ASL824FPWL82UPQJ00C.html
これは、”みんな”の合意があれば、”責任や負担を先送りして将来世代に押し付ける”という判断を正当化できてしまう民主主義社会の本質です。
社会はそこから一歩進んで賢くなれるのか、が問われているのでしょうがなかなか難しい話です。
これは、民主主義社会の本質というよりは、日本社会特有の性質と見る方がしっくりくるように思います。
日本人くらいですよ。議論ができず、責任を負うことを極度に嫌うのって。
どちらかと言えば、「自分の地域ではないからほったらかし」でしょう。
関西のことは、関東人は関知しない。
東北のことは、関東人も関西人も関知しない。……で、そう思っていたら、自分にも火の粉が降りかかってきた。
ただし、正確に言えば、各人が自分で「原発再稼働」を決めたわけじゃない。国民投票をすれば、危険な原発については再稼働が上回るに決まっている。
再稼働を強引に推進するのは、自民党政府だけです。あと、それに迎合する裁判所組織。一部の人間が国の方針を決める。で、その連中を支持するのが国民。
現時点では新設はしないことになっていますが、廃炉の時期が近づけば
”保守技術も進歩したし、大丈夫そうだからもう少し稼働を続けられるんじゃないか”とか、
”事故当時に較べ安全性が格段に向上したから新設を再開しよう”
といった声が出てそういった方向に進むのだろうと憶測しています。代替となる革新的技術が現実化しない限り。
で、リスクが排除されることなく将来世代はこれを抱え続けていくわけです。
日本に居住して日本の事例があまりに間近にある状態ですので、日本民主主義特有のものか否かは判断しかねています。
ただ”みんな”の怪しさというか責任の軽重は民主主義に共通したものじゃないかと。
どうでもいいことについては活発に意見を言い合うが、
重大な事案については権限のある責任者の示した方針を黙って受け入れる
日本人に限らず、人は、進んで責任を取りたがらない
「日本だけでなく世界は皆愚か」とでも言いたいわけ?
管理人様の意見も賛同するものはあるけど、あまりにも荒唐無稽で全く賛同出来ないものもありますね。(特に原発関連とかは)
もう私はここには来ません。さようなら。
ちゃんと本文を読みましょう。アラブの産油国は地震発生地帯ではありません。
私は「反原発派」じゃないですよ。安全が確保されている場合には原発の再稼働に賛成します。危険な原発は駄目だ、というだけです。
http://openblog.seesaa.net/article/435848712.html
http://openblog.seesaa.net/article/435848606.html
後者のページには、地震の危険度のランキングも示してある。順に、こうだ。
> 浜岡、女川、美浜、もんじゅ、敦賀、大飯、高浜、志賀、島根
大飯と高浜は、このランキングに入っている。だから「危険だから駄目」と排除するわけだ。
「地震で危険な原発もあえて稼働させたい」というあなたが、特におかしいだけです。
一方、危険度の低い原発については、私は再稼働に賛成しているので、あなたとの意見の違いはありません。
じゃあ、あなたが原発に反対すればいいでしょ。
まあ管理人様は日本在住の日本人なんだし、遠い中東のアラブで原発建設して危険リスクが上がったとしても眼中に無いということですね。
原発じゃなくて、地震の話。ここのところずっと地震シリーズをやっている。 わかった?
すでにお気付きかもしれないですが、「まりも」さんはネトウヨだと思います。原発事故の恐れあり、と警告しているだけなのに、安倍政権に対する批判と勝手に捉え、このブログの読者全体を勝手に「左翼」認定してますからね。
相手にされないことをお勧めします。
福島事故では10mSV以上の地域で全員避難が検討されたからです。100mSVまで上げれば、避難地域はほとんどない。
100mSv 安全論は前に池田信夫が言っていた説。
本サイトではどう言っていたか? 100mSv で検索すればわかる。ここだ。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435848976.html
大人ならば 100mSv でもいいが、細胞分裂の盛んな乳幼児や、(大人の)生殖細胞では、100mSv でも被害が見込まれる。100mSv で安全とはとても言えない。影響は多いにある。
具体的には、流産や奇形児の出産が多くなりそうだ。
医学のことをろくに知らない池田信夫なんかの話を聞くと、ろくなことはない。洗脳されて、有害無益。彼の独自説を取る前に、本サイトで話題を検索すれば、たいていが否定されているとわかる。