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これは朝日新聞の記事に2回に渡って紹介された話。一部を抜粋しよう。
豪雨時にあえて川を氾濫させ、下流に流す水量を減らす。全国でも例のない河川整備事業が、佐賀県唐津市相知(おうち)町の松浦川で実践されていた。
中流部の佐里(さり)地区右岸にある「アザメの瀬」と地名がついた場所。湿地にアザミが群生しているのが由来とされるが、いつしか水田に整備され、瀬はなくなっていた。
一帯はほぼ毎年、洪水の被害を受けていた。国土交通省はコンクリートの堤防で固めることも検討したが、6ヘクタールにわたって瀬を再生させることにした。水田を買収して土地を5メートル掘り下げ、水の受け皿にしたのだ。2002年秋から3年かけて掘削。総工費8億円は、堤防より安上がりだった。
( → (てんでんこ)九州と豪雨:11 アザメの瀬:朝日新聞 2018年7月31日 )
川岸の水田を5メートル掘り下げて湿地に戻し、川をあえて氾濫させて洪水を制御する。
国土交通省武雄河川事務所長だった島谷幸宏(62)が、佐賀県唐津市相知(おうち)町の松浦川右岸の「アザメの瀬」で始めた試みは、住民や職員にも理解してもらう必要があった。2001年11月、町内会の役員ら約50人が集まり、参加自由の検討会が始まった。
どんな湿地にしたいか。白紙から住民と話し合った。「子どもたちが田植えや釣りをする場所が欲しい」「土砂を止め、水勢を弱めるから、竹林は切らないで」。そんな要望を反映させていった。
事業開始から15年。最初は赤土が広がるだけだった湿地は、大雨のたびに川から水があふれ、魚が移りすみ、自然と草木も生えた。昔のような「アザメの瀬」がよみがえった。
( → (てんでんこ)九州と豪雨:12 自然再生:朝日新聞 2018年8月1日 )
これはまさしく「越流堤と遊水池」というものだ。「2002年秋から3年かけて掘削。総工費8億円」という工事でできた。
ただし、似た発想のもので、渡良瀬遊水池もある。こちらは、「1905年着工/1989年竣工」である。( → Wikipedia )
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「アザメの瀬」と呼ばれる現場については、いろいろと資料が見つかる。国交省が公開しているからだ。
→ アザメの瀬副読本 国土交通省
→ 画像
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ともあれ、本項では、参考となる情報をいくつか紹介した。
( ※ 特に私の意見があるわけではない。)