2018年07月29日

◆ NHK の地震番組 MEGAQUAKE

 NHK の地震番組で、MEGAQUAKE というのがある。その番組内容の紹介。

 ──

 MEGAQUAKE という地震番組には、T、U、V という三つのシリーズがある。そのうちの U のシリーズのうち、第2回と第3回の紹介。( 2012年ごろの番組)

 第2回 「津波はどこまで巨大化するのか」


 まず、地震の原理は、次の図で説明される。



tunami-plate.jpg


 海側のプレートがどんどん左下にもぐりこんでいく。(プレートテクトニクスの原理による。)
 それに釣られて(引っ張られて)、くっついている陸側のプレートもどんどん左下にずれていく。ひずみが貯まっていく。(図)
 だが、あるとき、耐えきれなくなって、ひずみが解放される。二つのプレートの接触面では、くっついていたのが離反して、ズレが生じる。
 このとき、曲がっていた陸側のプレートはまっすぐに伸びるようになる。瞬間的にプレートが大規模に動くわけだ。これが地震である。(大地の震動)
 同時に、陸側プレートが伸びることの影響で、プレートに押し上げられる感じで、海水が上昇する。(盛り上がる。)そこで巨大な波が発生する。この波が、津波である。
 津波は、陸に近づくにつれ、浅瀬に乗り上げるせいで、波の高さがどんどん高まっていく。(海岸に近づく波が高まるのと同じ原理。)……こうして、巨大な津波が発生する。

 以上は、地震と津波の原理だ。

 ──

 さて。東日本大震災のあとでデータを分析したところ、津波が巨大化したことには、特別な理由があるとわかった。
 上の図で、「ひずみ」の赤い部分はかなり狭いが、これが非常に広くなっている。図では、左右に拡大される。
(上から見た地図で言えば、ズレを起こす部分の面積がとても広くなっている。沖合の広範な海域となっている。……巨大地震をもたらすような場合なので。)
 ひずみの部分は広くなってるが、この部分が、2段階で地震を起こす。
  ・ 1回目は、左半分(陸側)で、ズレが起こる。
   このとき、右半分(海側)は、くっついたままだ。
  ・ 2回目は、右半分でも、ズレが起こる。そのとき、
   陸側プレートの先端部分が大きく伸びて上昇する。


 2回目の方が規模が大きい。そのせいで、2回目の津波の方がずっと大きい。
 この二つのことが、1分間ぐらいの時間を置いて、ほぼ同時に起こったことで、2011年の津波は特別に巨大化した。

 ──

 さて。過去の津波の歴史を見ると、平安時代の貞観地震のときに、次のことがあったとわかる。
  ・ 869年     貞観地震 (2011年の地震にそっくり)
  ・ その9年後  関東で大地震
  ・ さらに9年後 南海トラフ地震

 つまり、9年おきに大地震が連発したそうだ。
 これは、一つの地震が起こると、地殻の歪みが生じるので、隣の領域でも地震が起こりやすくなるせいだ。そうして、関東で大地震が起こった。
 そこで大地震が起こると、そのひずみのせいで、今度は南海トラフ地震が起こった。

 これと似たことは、スマトラ沖でもあった。そこでもやはり、数年間の間隔を置いて、同一の線上で次々と大地震が発生した。

 以上のことからすると、日本でも、9年間隔で大地震が起こる可能性が高い。次の順で。
  ・ 2020年 …… 房総沖で大地震
  ・ 2029年 …… 南海トラフ地震


 実際には、9年間隔になるとは限らないが、だいたいこのくらいの間隔で、次々と大地震が連鎖的に起こる可能性が高いそうだ。
 869年の貞観地震(M8.5前後)は、東北地方で発生したM8超の巨大地震だが、その9年後の878年には(現代の首都直下地震にあたる)M7.4の南関東地震が、さらに9年後の887年には仁和東海・南海地震(M8〜8.5)が起きていた。
( → エキサイトニュース(2/5)

 ──

 では、大地震が起こったら、どうなるか? 
 2011年の場合と同じように、2段階の地震が起こったと仮定する。
 さらに、その2段階の地震が起こる場合で、被害が最大化するように、時間をうまく調整する。そうしてシミュレーションをすると、被害が最大化する場合を想定できる。
 その結果は……

 (1) 南海トラフ地震

  ・ 四国や紀州の海岸では、猛烈に高い津波が来る。
  ・ 大阪も6メートルの津波が来る。湾から 10km の範囲で浸水。
   大阪城のあたりまで浸水する。梅田や道頓堀も水没する。

 (2) 伊豆沖地震

 東京付近で津波が最大化するのは、地震が伊豆沖で起こった場合。東京湾はうまく陸で守られているから大丈夫だろう……と思えそうだが、そうは行かない。





 津波は東京湾の入口から入ったあとで、千葉県・富津のあたりで反射が起こる。そのせいで、横浜には3メートルを超える津波が来る可能性もある。すると、横浜の中心部は水没する。地下街も水没する。逃げ遅れた人々は溺死する。(蟻の巣の水没のように。)
 東京の下町地帯も、安心はできない。

第3回 「大変動期”最悪のシナリオに備えろ 」


 大地震と噴火は関連している。実際、過去の大地震でも、続いて大噴火が起こったことがあった。
 2011年の大地震の後では、富士山あたりが大噴火する可能性もある。(いくらかは)

 ※ 実際、番組の放送後に、いくつかの火山で噴火があった。
   これは、ここ数十年、あまり見られないことだった。

 ──

 この回では、あまり重要なことは述べられていないな……と思って、ダラダラと見ていたのだが、最後になって、超重要な情報が紹介された。
 2011年の地震では、事後的な検証から、地震の予兆をつかむことができていたと判明した。

 (1) 地底の隆起

 大地震の数日前に、中規模の地震があったが、それのあと(つまり大地震の直前)に、地底の異常な隆起が観測されていたという。(海底の地底計みたいなもののデータ解析。)
 これは予兆と見なせる。南海トラフ地震でも、海底に同様の装置を置いて、同様の異常な隆起が観測されたなら、それを大地震の予兆と見なすことができる。つまり、大地震の1〜3日前に、大地震が来ることを予言できるのだ。

 (2) 電離層

 地震の前には電離層が異常を起こす……ということは、前から何度も言われていた。
 本サイトでも、「電離層の観測は地震の予知には有効である」という趣旨で2度ほど述べた。
  → 地震の予知: Open ブログ(2011年05月08日)
  → 地震予測図は無意味: Open ブログ(2016年06月11日)
 こういうふうに紹介したころは、電離層を見る方法は、まだまだマイナーであって、主流派からはトンデモ扱いされたこともあるようだ。

 しかるに、NHK の番組によると、電離層のデータで、地震の直前に異常がはっきりと観測されたという。24時間の広範囲な観測(衛星による観測)で、大量のデータを調べたところ、判明したそうだ。
 まず、通常はこうなる。
  ・ 日中には電離層で電子が発生する
  ・ 夜間には電離層で電子が発生しない

 前者は地図が黄色や赤に着色されるが、後者は地図が真っ黒になる。
 ところが地震の数日前に限って、真っ黒な領域のうちの一部(東北沖)でだけ、黄色や赤に着色されたそうだ。つまり、この領域でだけ、電離層に異常があった。それは、昼間は検出されないが、夜間にははっきりと検出された。
 
 (3) 気象衛星

 NASA が気象衛星で大気中の熱エネルギーの観測をしているそうだ。
 すると、2011年の大地震の直前だけ、東北沖で巨大な熱エネルギーの発生を観測したそうだ。その熱エネルギーの規模は、台風に相当するぐらいの大きな量だという。

 これについて、研究者は次のように推定している。
 「直前には、海側プレートと陸側プレートが少しずつズレ始めて、ひび割れなどが生じて、地殻中のラドンが放出される。このラドンが、電離層に影響したりして、電磁波の乱れを生み出したり、熱エネルギーを観測させたりする」
( ※ この仮説は、以前からよく知られた仮説だ。)

 ──

 以上です。(番組の紹介のみ。私の意見は無し。)



 【 関連項目 】

 第1回については、下記で簡単に紹介した。
    → 日本も地震?: Open ブログ
    ( 後半の「後日記」の箇所)

 地震の予知については、下記の項目もある。
  → 地震は予知されていた: Open ブログ
  ※ これは、ひずみを直接的に計測する方式。



 【 関連サイト 】
 → 100年近く大噴火ゼロ「異常な時代」はもうすぐ終わる
 → 御嶽山噴火を的中させた地震学者が警告!木村政昭・琉球大学名誉教授「富士山は『5年以内』に必ず噴火する」(週刊現代)



 【 関連動画 】


 → MEGAQUAKE U 第2回の動画

 → MEGAQUAKEV 巨大地震 よみがえる関東大震災 〜首都壊滅・90年目の警告〜/NHKスペシャル







 【 関連商品 】



https://amzn.to/2K6ucV5
posted by 管理人 at 23:50 | Comment(6) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>曲がっていた陸側のプレートはまっすぐに伸びるようになる
あらー。跳ね上がって伸びずに,単純に潜り込むときに大きな地震が発生すると信じている一派もあるのでぜひ触れて欲しいわ。
Posted by 先生 at 2018年07月30日 06:44
> 単純に潜り込むときに大きな地震が発生すると信じている

 それは1回目の地震。それだけで終わることもある。
 2011年の地震では、その数十秒後に、2回目の地震があった。こちらの方が規模はずっと大きかった。

 この件は、アスペリティ という用語で説明される。前にも述べた。
  → http://openblog.seesaa.net/article/435847911.html ( MEGAQUAKE の1回目)

 情報は、ググると得られる。
  → http://j.mp/2Ar4HhE

 Wikipedia では「仮説」として紹介されている。
 http://j.mp/2Al98KV

 この仮説が正しいことがデータからわかった、というのが、番組の趣旨かな。
Posted by 管理人 at 2018年07月30日 06:53
 2011年の地震では、仙台の地下街が水没したという報道がなかったので、不思議に思っていたが、事実が判明した。

> 仙台駅は国内の大都市圏のなかでは例外的に地下街がない(地下通路はある)。
  → http://j.mp/2OtxJjN

 そうだったのか。仙台は幸運だった。
 他の都市では、そうは行くまい。
Posted by 管理人 at 2018年07月30日 08:00
地下街の有無とは関係なく、海岸線から10km内陸で、標高36メートルの仙台駅には津波は来ない。

津波は、名取川から広瀬川を遡ったが、海から約10kmで標高9mの東北本線鉄橋まで到達しなかった。
Posted by 王子のきつね at 2018年07月30日 11:07
なるほど。情報ありがとうございました。
Posted by 管理人 at 2018年07月30日 12:48
2020年……。
オリンピックの夏に、
命に関わる猛暑と台風のほかに
巨大地震や富士山噴火の懸念もあるなんて。
どうなっちゃうのでしょう。杞憂に終わるといいんですが。
Posted by けろ at 2018年07月30日 22:50
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ