2018年07月27日

◆ 台風 12号による被害は?

 台風 12号が接近しつつある。これによる被害は、特に水害の面で大きくなりそうだ。事前対策が全然ダメだからだ。 【 重要 】
 
 ──
 
 台風 12号が接近しつつある。関東から西に進んで九州まで達するようだ。北日本を除く全国が被害の対象となる。
 《 こんな経路は初めて 台風12号、本州を西へ横断か 》
 気象庁は27日、強い台風12号は28日夜〜29日明け方、東海地方から西日本に上陸する見込みだと発表した。両日は東日本から西日本にかけて大雨と暴風、高潮の恐れがあり、警戒を呼びかけている。
 台風12号は本州付近を東から西へ横断する見通しで、記録が残る1951年以降、初めての経路。
 台風が西進する場合、通常の東進とは逆に、通過した後の地域では南から湿った空気が流れ込んで大気が不安定な状態になりやすくなる。気象庁の担当者は「台風が通過した後に大雨が降るなど、これまでの経験が通用しない場合がある」としている。
 同庁によると、29日正午までに予想される24時間降水量は、関東甲信300〜500ミリ、東海300〜400ミリ、近畿と中国200〜300ミリ、四国100〜200ミリ、九州北部100〜150ミリ。
( → 朝日新聞 【 動画あり 】

 関東甲信300〜500ミリというから、かなりの大雨だ。ここで注意するべきは、通常の台風と違って、東ほど被害が大きいということだ。
 通常の台風は、南西から上陸して、北東へ移動する。その途中でどんどん弱体化する。上陸したときには巨大でも、関東に届くころには弱体化していることが多い。
 しかし今回は逆だ。最初に関東に直撃する。勢いが弱まらないまま直撃するわけだ。そして、関東甲信300〜500ミリだから、とりわけ関東(それも千葉や東京など)で、大きな降水が生じると見込まれる。
 関東地方では要注意と言える。私としては強く警告しておこう。
 特に、川沿いの地域(氾濫)と、山裾の地域(土砂崩れ)が、危険な地域だ。事前に避難することが好ましい。
( ※ 例によって気象庁が何も言わないので、あれこれと私が指示するわけだ。まったく、気象庁は無策だな。気象のことは言うが、防災のことはからっきしだ。)










 なお、気象については、下記に詳しい。
  → 強い台風12号 速度を上げて週末列島直撃 | tenki.jp
  → 台風12号が異例のコースをたどっていて、気象予報士も「前代未聞の現象」の可能性を示唆

 ともあれ、「首都圏でも記録的大雨」ということだから、関東では先の西日本の豪雨の二の舞みたいになりそうだ、というわけだ。二番煎じじゃなくて、二の舞だ。

 ──

 概要は上の通り。さらに細かい話をしよう。

 降水量が多大であるならば、事前に準備をする必要がある。特に、ダムを空っぽにしておく必要がある。
 ところが、それができていない。現在(27日夜9時)の時点で、利根川系のダムではダムの放水を開始していない。ダムには水がたっぷりと溜まっている。大量の降水を受け入れる用意はしていない。
  → 利根川ダム統合管理事務所 水源メータ(ダム別の概要)
  → 利根川ダム統合管理事務所 水源メータ(合計貯水量)
  → 利根川ダム統合管理事務所 河川情報(ダム別のデータあり)

 私の意見を言えば、特に、渡良瀬遊水池の貯水量を空にしておくべきだ。なぜなら、ここは、下流域なので、河川の氾濫を回避する遊水池としての役割があるからだ。(そもそもダムではなくて、渡良瀬貯水池という名称だ。)
 なのに、すぐ上のリンクを見る限り、現時点で、放流を開始していない。これでは、いざというとき、遊水池として機能することができなくなる。その結果、どこに被害が生じるか? 東京の下町だ。特に、荒川あたりが氾濫する危険が高まる。
 ま、本来であれば、遊水池がちゃんと機能するので、利根川や荒川の氾濫を防ぐだろう。今回も、現状のままで、たぶん大丈夫だろう。とはいえ、ひょっとしたら、降水量が巨大になりすぎて、渡良瀬遊水池では足りなくなるかもしれない。そうなったら、下町の氾濫・水没が現実化しかねない。東京の地下鉄がすべて水没して機能不全になる可能性もある。
 可能性は低いが、一応、危険性を指摘しておこう。(あとになって「渡良瀬遊水池の水を放出しておけば良かった」と嘆くことになりかねない。)

 ──

 上の話を読んで、西日本の人はどう思うだろうか? 「へえ。関東の人は大変だなあ」と他人事扱いか? あるいは、「ざまあみろ」と嘲笑するか?
 実を言うと、今回の豪雨で、最も被害が見込まれるのは、西日本だ。なぜなら、先の豪雨でダムが満杯になったあとで、その満杯になった水を放出していないダムが多いからだ。
 たとえば、桂川の氾濫をもたらした日吉ダム。あれで懲りたはずなので、そろそろダムを空にしてもいいのだが、実は、満杯に近い状態だ。現時点で、94%ぐらいの状態である。7月6日に大雨があったあとで、そのあと、ずっと 100%に近い状態を維持している。つまり、貯め込んだ水を、ろくに放出していないわけだ。(治水ダムとしての役割を放棄して、貯水ダムになりきっている。たぶん、発電量を確保するため。自分の金儲けのため。)
  → 日吉ダム最新ダム諸量 / リアルタイムデータ

 日吉ダムのほか、四国の野村ダムも同様だ。
  → リアルタイムダム諸量一覧表(野村ダム)

 で、西日本を台風 12号が押し寄せたら、どうなるか? 関東ならば、ダムは半分ぐらいが空なので、かろうじて対処可能となる可能性が高い。しかし、西日本は違う。ダムが満杯状態のことが多いのだから、台風 12号の降雨に対抗する能力はほとんどない。
 冒頭の朝日の記事によると、各地の降水量は
 東海300〜400ミリ、近畿と中国200〜300ミリ、四国100〜200ミリ、九州北部100〜150ミリ

 ということだ。うむ。ぎりぎりセーフか? いや、アウトになりそうだ。日吉ダムあたりは、はっきりと危ない。桂川が氾濫する可能性は十分にある、と言える。他にも、氾濫で被害が生じる土地は、たくさんあるだろう。
 そして、そのすべては、「台風の前に水を放出しない」(満杯にしたままである = 治水ダムとしての機能を放棄している)ということによるのである。
 天災で大雨の降る関東よりも、人災で(ダムが機能せずに)氾濫の起こる西日本の方が、被害は多くなりかねない。あらかじめ、ここで危険性を指摘しておこう。西日本の人は、決して安心できないのだ。
( ※ 洪水の前の避難が大切だ。)



 [ 付記 ]
 先の西日本豪雨で、日吉ダムがどういうダム操作をしたか、今になって報告が出た。下記。
  → 梅雨前線に伴う洪水に対しての操作 (出典
 
 ここから画像の一部を抜粋しよう。(クリックして拡大)


hiyosidam.png


 このグラフから、次のことがわかる。
 降水のピークは三つあった。
 第1と第2のピークのときには、流入量のほとんどをダムに貯め込み、流出量を抑えた。その間、ダムの貯水量は急上昇したが、流出量(流下量)が急増する問題は避けられた。つまり、治水ダムとして完璧に機能した。
 第3のピーク時には、流入量と流出量(流下量)が同じだった。つまり、流入した量をそのまま吐き出したわけだ。ピークを下げる効果はほぼ皆無だった。このときは治水ダムとしては機能していなかったことになる。

 上を評価すれば、こうなる。
 「第1と第2のピークのときには、流出量(流下量)を2倍か3倍に増やすべきだった。できれば、4倍に増やすべきだった。そうすれば、第3のピークにも耐えることができただろう。ダムが満水に近づいた状態では、流出量(流下量)を大幅に拡大して、ダムの水位を下げることが必要なのだ。なのに、そういう操作をしなかったということで、日吉ダムは操作をひどく失敗したと言える」

 特に、第3のピークでは「いきなり大放流」であるから、下流域の人は驚いたことだろう。野村ダムの下流域と同様に、「予告なしで一挙に氾濫」という形になったわけだ。(桂川の場合には、氾濫による被害が少なかったので、話題にならなかっただけだ。ダム操作としては、失敗に当たる。)

 一挙放流の画像。



 桂川氾濫の画像。




 結果からして、このダム操作は、点数を付ければ 60点かな。優良可のうち、ギリギリの可である。かろうじて落第にならなかった、というぐらいのレベル。満点の優等生からは、程遠い。
 
 なお、満点の優等生の操作は、下記にある。
  → 正しいダム操作: Open ブログ
  ※ 後半の 【 補説 】 の箇所。紺色着色部。

 なお、大被害を出した野村ダムの下流の住民の声は、上記項目にあるが、再掲すると下記。


damu-juumin.jpg

posted by 管理人 at 22:15| Comment(12) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  [ 付記 ] の後半に、画像つきのツイートを二つ掲載しました。
  ・ 一挙放流の画像
  ・ 桂川氾濫の画像
Posted by 管理人 at 2018年07月28日 07:47
 桂川氾濫の動画も見つかった。下記。(朝日新聞)
  → https://www.asahi.com/articles/ASL76677TL76PTIL046.html
Posted by 管理人 at 2018年07月28日 09:10
 豪雨は関東直撃を避けて、南側の静岡や愛知を直撃する見込み。
  https://weather.yahoo.co.jp/weather/raincloud/3.html?c=g2
  https://weather.yahoo.co.jp/weather/raincloud/7.html?c=g2

 そのあと、西日本に向かうようなので、関東よりは、西日本の方が被害が大きくなりそうだ。特に、紀州や関西のあたり。
  https://www.youtube.com/watch?v=wTkFBynkC50
  https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180728/k10011552991000.html

 一方で、北関東のダムが満杯になる恐れは減ったようだ。(南関東は別。)
Posted by 管理人 at 2018年07月28日 15:57
 今回の台風は、降水量はたいしたことがなかった。ちょっとした大降りというぐらいのことだった。また、一過性のものだったようだ。
 気象庁の予報は、台風のコースについては当たったが、降水量については、外れた。実際にはずっと少ない降水量だった。(ダムのデータでわかる。)
 大山鳴動ネズミ……一匹というほどではないが。

 なお、テレビではものすごい報道量だった。通常の番組の左と下に、L字形の報道スペースを設置して、常時報道している局も半分ぐらいあった。(NHK、テレ朝)。昼間に録画しておいた通常番組が、報道スペースに食われていた。
Posted by 管理人 at 2018年07月29日 07:53
いや、結構な降水量でしたよ。夜中だけど何回か起きて確認しましたけど。
ダムの貯水量ってそんな簡単に上がるもんでもないってだけだと思います。

なのでこれで管理人さんが言ってた通り貯水量ゼロにしてたら夏場の水不足が大変な事になってたと思いますので、なかなか簡単に放水はできないだろうな、と思いました。
前に住んでた松山では水道の使用制限頻繁にありましたけど、しんどいもんでしたから。
Posted by 大阪在住 at 2018年07月29日 08:21
> 管理人さんが言ってた通り貯水量ゼロにしてたら

 それは、関東の最下流にあたる 渡良瀬貯水池 だけ。ここはもともとただの遊水池です。ダムじゃない。画像参照。(ググる)

 当然ながら、他のダム(上流)は別だし、また、関西のダムも別。それらは空にするべきではありません。
 関西なら、もともと満杯なのを、いくらか減らせばいい、という話。

Posted by 管理人 at 2018年07月29日 08:40
台風のときの雨は雲がすぐに移動するから場所によっては大雨のところもあったでしょう
運の悪い所は

「多い所で何ミリ」っていうのはそういう意味だと理解してます

Posted by カレー at 2018年07月29日 11:21
> 「多い所で何ミリ」

 私も後からそういう弁解を考えたけど、どうもその弁解は当てはまらないようだ。もともと全般的な豪雨を示していた。

 例。
> 東京都の広い範囲に大雨(浸水害)警報が発表されています。大雨により、低い土地が浸水する恐れがあります。警戒して下さい。
  https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2018/07/28/1506.html

> 台風12号、28日夜にも東海上陸へ 関東甲信と東海で記録的な大雨の恐れ
  http://news.livedoor.com/article/detail/15077867/ (テレ朝)

 他にも
  http://j.mp/2Alsqjy

 あと、テレビも大騒ぎしていた。
Posted by 管理人 at 2018年07月29日 12:36
>あとになって「渡良瀬遊水池の水を放出しておけば良かった」と嘆くことになりかねない。

渡良瀬遊水地(正確には谷中湖)は、7/19〜7/27に1210万m3から530万m3に減らしている。

http://163.49.30.82/cgi-bin/DspDamGraph.exe?KIND=1&PID=25644&ID=1368030345200&BGNDATE=20180701&ENDDATE=20180729

7/19は台風12号ができるはるか前なので、別な理由なんだろうけど。

7/6〜7/8の豪雨のときにも、ちゃんと貯水量を減らしていた。


ちなみに、水源メータの渡良瀬遊水池の有効容量は谷中湖の有効容量(1220万m3)で、渡良瀬遊水地全体=谷中湖+第1〜3調整池の有効貯水容量(1億7000万m3)ではない。
Posted by 王子のきつね at 2018年07月29日 16:35
グラフが表示できなくなったので、新たに作成。
   ↓   ↓
渡良瀬遊水地(谷中湖)の貯水量・流入量・放流量
https://blog-imgs-115.fc2.com/k/i/t/kitsunekonkon/up-watarase180729a.png
Posted by 王子のきつね at 2018年07月29日 16:46
私は気象庁のことを言ったんですが、まあ別にいいです
Posted by カレー at 2018年07月29日 16:56
> 7/19〜7/27に1210万m3から530万m3に減らしている。

 8ダム合計のグラフでも似たグラフになっているので、夏季の恒例でしょう。

> 7/19は台風12号ができるはるか前なので、別な理由なんだろうけど。

そうです。水需要の急増と、降雨なし。

> 7/6〜7/8の豪雨のときにも、ちゃんと貯水量を減らしていた。

 単に通常運転で「自然に減っていただけ?」では? 
 何しろ、台風の直前ですら、放水しないんだから。
 7/6〜7/8の豪雨は、西日本であって、東日本は関係ないから、東日本で放水する必要はなかった。この時期に放水していたと見なすのは不自然。

 なお、データを見るときには、貯水量を見るのではなく、流出量を見る。それによって操作の有無がわかる。
 貯水量だけでは、需要を見るのにほぼ等しくなる。
Posted by 管理人 at 2018年07月29日 17:04
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