2018年07月26日

◆ 刑務所に冷房は必要か?

 刑務所の受刑者が熱中症で死亡するという事件があった。では、刑務所に冷房は必要か? 莫大なコストがかかるが。

 ──

 NHK の記事がある。
 愛知県みよし市にある名古屋刑務所で24日の朝、40代の受刑者が倒れているのが見つかり搬送先の病院で死亡しました。刑務所によりますと、受刑者の居室に冷房はなく、熱中症の可能性が高いと診断されたということです。
 名古屋刑務所は、廊下に扇風機が置かれていますが、受刑者の居室にエアコンなどの冷房設備は無く受刑者が搬送されたあと室温を計ったところ34度まで上がっていたということです。
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( → 受刑者が死亡 熱中症か 居室に冷房なし 名古屋刑務所 | NHKニュース

 はてなブックマークでは「拷問だ」「エアコンをつけよ」という声がある一方で、「学校にもないのに、刑務所を優先するのも変だ」という声もある。

 ──

 そこで私も調べてみた。次の点で。
  ・ 死んだのは高齢者か? 
  ・ 死亡時の時刻と暑さは? 
  ・ 周囲の気温は?


 その結果は、次の通り。
  ・ 死んだのは高齢者ではなく、40代の中年。持病なし。
  ・ 死亡時の時刻は深夜(未明)。日中の暑さではない。
  ・ 周囲の気温は、気象庁のデータ。下記。


 気象庁のデータ(豊田市)を見ると、日中は最高気温 39.4度 だったが、 午前0時以降は、26.8度から 24.0 度までだんだん下がっている。全然、暑くない。

 こうして見ると、特に危険だという状況は見当たらない。
 ではなぜ死んだのか? いろいろ考えて、推測すると、こうだ。
 「日中は暑くても死ぬことはない。しかし夜間に暑いと、眠れずに、体温調節ができないまま、死んでしまうことがある。そして、夜間に暑い理由は、コンクリの建物のせいで、熱がずっとこもっているせいだ」

 上の推測は裏付けられた。
  ・ 建物はコンクリである。(冒頭の NHK 画像)
  ・ 明け方の外気温は 24.0度だったが、室温は 34度。

 刑務所側が同六時四十分ごろに居室近くで気温を測ると三四度だった。
( → 熱中症で40代男性受刑者死亡 名古屋刑務所、冷房なし:一面:中日新聞

 ここまで見ると、結論は得られる。
 受刑者が死んだのは、日中の気温が高かったからではなくて、夜間の気温が異常に高かったからだ。( 34度以上。寝る前には 36度ぐらいか。)
 そうなった理由は、コンクリートの建物に熱がこもるからだ。(蓄熱)

 では、どうすればいいか? 
 その対策は、「エアコンで空気を冷やすこと」ではない。なぜなら、それでは大量の電気を使うが、その電気代のほとんどは、コンクリの熱気を冷やすことに使われるからだ。膨大な無駄。
 かわりに、「外部の冷気を導入する」というふうにすればいい。一番簡単なのは、各部屋に個別に外気を導入することだが、刑務所という特殊な事情ゆえに、外部に逃げやすくなる構造は無理だ。となると、現実性が高いのは、次の案だ。
 「通風を十分に考慮した上で、館内に大量の風を通らせる。風が吹き荒れるぐらいの感じで、大量の風が通るようにする。巨大な扇風機か送風機みたいな構造で、強い風がピューピュー吹いている状況にする」

 このことで、36度ぐらいの室温を、外気温の 24〜27度ぐらいまで下げることができる。また、風による効果で、体表の温度を下げることもできる。

 建物の写真を見ると、まっすぐな通路があるような構造らしいから、そのまっすぐな通路に、風速2メートルぐらいの強い風を送れば、それぞれの部屋も涼しくなるだろう。いったん気温が下がったら、あとは風を弱くすれば済む。



 [ 付記1 ]
 ただし、これが成立するには、「各部屋と廊下とが、隔てられていない」ということが条件だ。檻みたいに格子があるだけならば、可能となる。
 一方、壁によって廊下と隔てられている場合には、通気と送風の双方が必要となる。最低限、各部屋に扇風機が必要となる。他に、通気の措置も必要だ。
 それらができなければ、エアコンを配備するか、あるいは、別の刑務所に移送するしかないですね。

 [ 付記2 ]
 だいたい、みよし市みたいな高温になる地域に(冷房なしの)刑務所があるのがおかしい。せめて愛知県内の海際にするべき。あるいは、三重や和歌山の海際のあたりに。
 といっても、今から刑務所を作ると、エアコン代よりも高くなってしまう。それは無理か。
 建物を現状維持するなら、エアコン設置もやむなしかも。(部屋が壁で隔てられている場合には。)
 現状の高温は、受刑者のプライバシーを重視して、密閉した独房にしたせいかも。そんな構造にしたとしたら、設計そのものが間違っていたことになる。エアコン設置もやむなしか。
 ただし代案もある。通気性を良くすることだ。部屋を改造して、部屋を格子部屋の牢屋にすれば、通気性は良くなる。これなら、整備費はいくらか安上がりに済むかも。(エアコン設置と同じぐらいかも。)

 《 加筆 》

 ドアだけ、通気性のいい格子式のドアにする、という手もある。そんなドアは売っていないだろうから、刑務所用に特注となるが、大量発注なら、何とかなりそうだ。
 ただ、調べてみたら、もともとそうなっているらしい。つまり、独房はもともと格子式のところが多いようだ。
  → 刑務所 独房 - Google 検索



 [ 余談1 ]
 さらに考えたら、(個別冷房でなく)館内一括冷房なら、1部屋あたり3万円ぐらいで済みそうだ。これでもいいかも。
 ……と思ったが、そうでもない。ただし、この場合は、昼間も冷房することになるので、電気代も大変だし、サービスのしすぎという気もしなくはない。
 夜間だけ冷房しても、コンクリートに熱がこもっている(蓄熱する)ので、うまく冷房が効かない。夜間だけ冷房というのは効率が悪い。かといって、断熱工事まですると、大変だ。
 やはり、冷房を追加するのは、コスパが悪い。夜間の温度を下げるために通気だけにするのが、最善だろう。(もちろん日中も通気で温度を下げることはできる。とはいえ外気温が 39度の場合には、熱気を送風しないで、コンクリートの保冷力に頼る方が、涼しいかもしれない。)

 [ 余談2 ]
 他に、水に頼る方法もある。
  ・ シャワー
  ・ タオルと水

 これで体を冷やすことができる。シャワーが好ましいが、それがなくとも、タオルと水ぐらいはあるだろう。(水はバケツや洗面器で)
posted by 管理人 at 23:49| Comment(5) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
外壁に水を噴霧して除熱するのは?
所内にスプリンクラーの設備があれば改修でなんとかなりそうな気もします。
Posted by 作業員 at 2018年07月27日 00:39
> 外壁に水を噴霧して除熱する

 それ、私も考えたことがあるけど、実行している家を見たことがないので、コスト的に割が合わないんでしょう。
 効果も限定的だし。温度は少ししか下がらない。
Posted by 管理人 at 2018年07月27日 00:50
コンクリートに熱が貯まるのなら、コンクリに太陽が当たらないようにすればよい。

で、よくあるのがツタなどでグリーンカーテンを作るです。でも、これは壁だろうから、上部はなにもない。

で、上部を含めて遮光のネットを使うのも良い。

例:
http://onodekita.sblo.jp/article/46532501.html
Posted by 天猫 at 2018年07月27日 08:50
> グリーンカーテン
> 上部を含めて遮光のネット

 屋上緑化が良さそうですね。サイト内検索は
  → http://j.mp/2AfTBw2
Posted by 管理人 at 2018年07月27日 12:39
『ナイトパージ』をすれば、少しは緩和できるかも。
Posted by けろ at 2018年07月30日 22:26
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