2018年07月20日

◆ 広島の被害と対策(西日本豪雨)

 西日本豪雨では、広島の被害が大きかったそうだ。山沿いの土砂崩れのせい。

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 今回の西日本豪雨の総括ふうの記事が出た。広島の被害が大きかったそうだ。山沿いの土砂崩れのせい。
 《 土砂災害の死者、7割が広島 危険な山沿いに住宅集まる 》
 特に深刻なのが、4年前の土砂災害で77人が死亡した広島県だ。西日本豪雨での県内の土砂災害数は全国の3割弱だが、死者数は68人と7割弱を占める。
 死者は68%にあたる68人。内訳は土石流による死者が57人、がけ崩れが11人で、国交省は「山沿いに住宅が集まり、被害が広範囲に及んだ」と説明する。
( → 朝日新聞 2018-07-20

 この件は、本サイトでも言及した。
  → 広島で豪雨被害が多い理由: Open ブログ

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 一方で、避難訓練のおかげで死者ゼロ、という地域もあった。
 《 土石流でもけが人ゼロの団地 結実した訓練と担当者制度 》
 広島県東広島市黒瀬町の洋国(ようこく)団地では、一戸建て49戸のうち約10戸が大破し、ほかの約10戸にも土砂が流れ込んだ。しかし、犠牲者やけが人はゼロ。
 団地では3年前から年2回、土砂災害を想定した避難訓練を続けてきた。毎回、住民の約4分の1が参加し、近くの老人集会所に実際に避難した。
 歩くのが難しい高齢者や障害のある住民が団地にいることも把握していた。避難を助ける「担当者制度」を考案し、民生委員ら5人を「担当者」に決めた。実際に介助ベルトを使って背負って運ぶ訓練もした。
 「英会話と同じで、繰り返していたらいつか覚えてくれると信じていた」
( → 朝日新聞 2018年7月19日

 避難訓練の重要性は、本サイトでも指摘したとおり。
 つまり、生死を分けるのは、「警報を受けて避難するかどうか」ということだが、その判断を正しく与えるのは、事前の避難訓練なのである。
 警報を無視して死んだのは、お年寄りが多い。お年寄りは、新たな行動をしにくい。「いざとなったら特別な行動をしろ」と教えても、そういうことができない。
 だから、「避難する」という行動を、あらかじめ何度も練習させておくことが必要なのだ。それを「新たな行動」でなく、「慣れた行動」とするために。

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 人に死をもたらすものは油断だ、ということがよくわかる。
 そしてまた、油断しがちな人々の意識を変えるのが避難訓練だ、とわかる。避難訓練の大切さは、避難するときの動作をスムーズにすることではない。避難を上手にすることではない。避難を拒否して日常性に留まろうとする人々の意識を根底から変えることだ。

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 今回、百人以上の大量の死者が出たが、その死者を減らす方法はある。そのためには莫大なコストなどは必要ない。たったひとつ、「知恵」さえあれば足りる。その「知恵」によって、人々の「やる気」を促すだけでいいのだ。
( → 豪雨で死者 百人以上: Open ブログ

 このことが、今回の朝日記事でも裏付けられたわけだ。



 【 関連動画 】




posted by 管理人 at 19:00 | Comment(2) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自治体から実態把握と、互助による避難活動促進を目的としたアンケートがありました。
「避難時は援助が必要か?」に「はい」と回答したお年寄りの数が、民生委員、自治会役員、防災担当組織構成員(重複している)の十数倍。
自治会関連の方々は「数量から物理的に無理」、「自分と家族だけで精一杯」、「個人情報保護法で誰がどんな要介護を受けているのかの情報も入手できないからトリアージもできない」とネガティブになりました。
何気なく「超元気なお隣」にアンケートのことを伺うと「はい」と回答したとか。「避難時の援助ってあるほどいいよね!水とか食料とかも運んでもらえるし。ははは」。
いや、あなたは自分で避難してほしい。という言葉を飲み込んで「誰が援助するびか見込んではりますか?」と聞くと、うちをあてにしている様子。
しかし平日の昼間は援助できるパワーを持つものはうちにいない。

互助の前の移動は自力避難しかないな。そうしてもらわないと全滅になると思った次第。

Posted by 京都の人 at 2018年07月21日 06:31
 大雨になる前の避難だったら、自分でできるはずなんですよね。身障者や寝たきりでなければ。
 なのにグズグズしていると、大雨になって、自力で動けなくなる。

 「避難時は援助が必要か?」
 で、イエスの人の数を減らすには、避難訓練を何度も実施すればいい。自力でできる人が相当 増えるはず。
Posted by 管理人 at 2018年07月21日 07:09
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