2018年07月14日

◆ ダムの放流のフィードバック

 豪雨のときのダムの放流の量を決めるには、下流で水位を測定して、その数値をダムにフィードバックするといい。

 ──

 フィードバックは、最適制御をするための方法だ。(サイバネティックスの概念。)
 与えられた目標が達成されるように,出力側の情報を入力側に戻すフィードバックという技法によって対象を確実に制御する理論の構築を目指した。たとえば,視覚センサから得られた対象の情報を,体を動かすモータの制御にフィードバックすることで,体の動きをより確実に制御することをねらう。
 このような制御の方式は,生命,機械だけでなく,社会をはじめとして,およそシステムとして活動をとらえることのできる現象全般にも適用できる。
( → コトバンク

 具体的に言おう。
 単に下流の水位を測定するだけなら、ただの測定だ。
 一方、放流の量をいったん増やしたあとで、下流の水位を測定して、「もっと放流量を増やせる」とか、「もうそろそろ放流量を増やさない方がいい」とか、そういうふうに逐次的に制御するのが、フィードバックの方法だ。
( ※ 結果が下流の水位。それを出力として測定してから、放流量という入力量を変動させる。こうすることで、放流量を最大限[= 氾濫しないギリギリの値]まで増やせる。)

 ──

 なお、ここでは、次のことも考慮したい。
 「豪雨のときには、下流域で降った水も川に流れ込む。そのせいで水位が上昇する。だから、豪雨の最中には、ダムの放流量を絞った方がいい」
 
 下流の水位を決める要因は、ダムの放流量だけでなくて、下流域の降水量もある。枝のような支流から次々と本流に向かって水が流れ込み、そのせいで水位が上昇する。だから、その分、ダムの放流量は減らした方がいいのだ。
 その分も考えて、ダムの放流量を決めるべきだ。
 また、タイムラグの分も考慮する必要がある。(上流のダムの水が、下流に達するまでには、数時間もの時間がかかる。その分、タイムラグがある。)

 こういうことをすべて考えて、放流量を決めるべきだ。

 しかるに現実には、ダムの管理者は、「ダムの水を最大限にまで貯め込むこと」しか考えていないようだ。それが、前々項と前項の例(野村ダム)だ。




 《 注記 》

 このような水位の測定(によるフィードバック)は すでになされている、とコメント欄で指摘があった。
 なるほど。そうだったか。私の勉強不足でした。失礼しました。

 ただし、この「フィードバック」というシステムはあるとしても、現実にはこのことは実施されていないようだ。
 もしこのフィードバックがあるのならば、放流量は最大値(1000t/s ぐらい)に張りついて、グラフは台形になっていたはずである。
 しかし現実には、放流量は 300 ぐらいをずっと維持していたあとで、あるときから極端に上昇した。一挙に 1500 以上に上昇した。この時点では、氾濫を起こす量となった。


nomura-dam.jpg


 結局、「下流の水位を見て、放流量を最大限にまで増やす」というフィードバックはなされなかった。つまり、こうだ。
  ・ 少ないときには上げようとしなかった。
  ・ 多すぎるときには下げようとしなかった。

 いずれにしても、下流の水位情報は無視された。フィードバックのシステムはあっても、頭がそれを実行しなかったわけである。



 【 追記 】
 下流域の水位を測定することのほかに、上流域の降水量を測定するといいだろう。上流域の降水量(各地)を知れば、それらの数値から、1時間後の流入量を予測できる。急増する値をあらかじめ知ることができる。だからその分、早めに放出量を急増させることができる。(貯水量は減る。)
 すると、早めに放出量の上限に達するから、そのまま上限値を維持すればいい。すると、いったん減った貯水量が、急増していく。やがては満杯に近くなる。
 しかし、あらかじめ放出量を多めにしておいたおかげで、貯水量は減っているから、うまく行けば、満杯にならずに済む。こうして、上限値を維持したまま、下流の氾濫を防ぐことができる。
( ※ グラフで言うと、ピーク値のあたりの分量を削って、早めの放出する領域に移転する。グラフにおいて、移転した部分の領域の面積は同じ。)



 【 関連項目 】

 実は、すでに同じような内容のことを、前にも書いていた。
  → サイバネティックスとダム制御: Open ブログ (2013年09月17日)

posted by 管理人 at 12:13| Comment(6) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2018年07月14日 18:51
>しかるに現実には、ダムの管理者は、「ダムの水を最大限にまで貯め込むこと」しか考えていないようだ。

これは管理人の妄想だね。ダムの管理者に聞いたの?
Posted by ははっ at 2018年07月14日 19:14
>豪雨のときのダムの放流の量を決めるには、下流で水位を測定して、
>その数値をダムにフィードバックするといい。

すでにしてるよ。そのため観測所が設置されてるんじゃん。w

観測所の水位で危険レベルと防災情報を決めていると別のコメントでも書いたけどね。
Posted by 王子のきつね at 2018年07月14日 19:18
> これは管理人の妄想だね。

 ちゃんと本文を読みましょう。実際の操作がそうなっている。「ダムの水を最大限にまで貯め込むこと」を目的とした場合と、同じ操作になっている。
 ちゃんとそう説明してあるんだが。(前項で。)

 まったく、人の話を読まない人ばかりだな。
Posted by 管理人 at 2018年07月14日 19:37
> すでにしてるよ。そのため観測所が設置されてるんじゃん。

 そうでしたか。それは私の勉強不足でした。本文に注記しておきます。

 なお、たとえそのシステムがあるとしても、現実にはフィードバックは実施されませんでした。そのことも説明しておきました。
Posted by 管理人 at 2018年07月14日 19:39
貯めるつもりだったわけではなく、下流が氾濫しない最大限の放流をし続けたけど流入量がそれより多かったから結果的に水位が上がっていっただけでしょう。
Posted by うっず at 2018年07月15日 06:25
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