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欧州でこの方針が出された。
《 ストローを規制、再利用できないプラ製品禁止に 欧州委 》
欧州連合(EU)の行政機能を担う欧州委員会は28日、ストローなど再利用できないプラスチック製品の流通を禁じる新規制案を示した。世界の海のごみの85%をプラスチック製品が占め、海洋汚染への影響が深刻だとしている。
ストロー以外の禁止対象は、軸がプラスチックの綿棒、ナイフやフォーク、皿、風船につける棒など。これらはコストをあまりかけずに、環境に配慮した別の物質で作ることができるとしている。
( → 朝日新聞 2018年5月29日 )
他にも同種の記事はある。たとえば、
→ EU、使い捨てプラスチック禁止法案を策定 - BBCニュース
この方針を、朝日の天声人語が支持した。
→ (天声人語)プラスチックのストロー:朝日新聞 2018年6月16日
日本政府も同様の方針を示した。(本日記事)
《 プラごみ減へ循環戦略 使い捨て見直し・再利用 来夏までに 》
プラスチックごみによる海洋汚染対策が国際的な課題になっているなか、政府は、使い捨てプラスチック製品の削減や再利用、リサイクルを徹底する総合的な戦略「プラスチック資源循環戦略」づくりに乗り出す。来年夏までに策定する方針。
( → 朝日新聞 2018-06-21 )
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さて。これについて、とくに私の意見があるわけではないのだが、ちょっと疑問に思うことがあって、調べてみた。
プラスチックの使用禁止というと、レジ袋の禁止が思い浮かぶ。買い物袋の私用を推奨しているようだが、男は買い物袋なんか持たないことが多い。そこで、かわりに何を使うかというと、ポリ袋のかわりに、紙袋だろう。
ただし、紙については、近年は森林伐採の問題が生じている。世界中で紙の使用量が急増したら、需要増をまかなえそうにない。
では、どうする? ここでちょっと思いついたのは、「稲藁(いなわら)の利用」だ。稲藁で紙をつくるのはどうか?
調べてみたら、これは解決案にならないとわかった。理由は二つ。
(1) 稲藁が発生するのは、年に一度だけなので、その稲藁を保管するための保管料(倉庫代)が莫大になりすぎて、経済的に合わない。
(2) 今では古紙からつくる再生紙の方がコスト安だ。稲藁からつくる紙は、すごく低品質であるくせに、価格は再生紙よりも高い。これでは競争力がまったくない。
というわけで、今では生産中止だという。
→ 【わら半紙】昔は藁が原料の「藁半紙」、近年では再生紙や中質紙、更紙などをかつての名残で「わら半紙」と呼んでいます
往時は「わら半紙」と呼ばれて、広く普及していたが、低品質で低コストというものだった。その価格が上がれば、低品質で高コストとなるから、もはや需要はないわけだ。
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とはいえ、それは、現状の話。将来的に、木材からつくる紙が不足すれば、わら半紙の出番はあるかもしれない。
レジ袋の用途ぐらいだったら、わら半紙が「環境にいい」ということで、普及することもありそうだ。
[ 付記1 ]
再生紙が低コストで利用されているのは、新聞のリサイクルが日本では普及しているからだ。
しかし近年、新聞の購読者は激減しつつある。こうなると、再生紙の生産量も減りそうだ。そのうち再生紙はほとんどなくなってしまうかもしれない。そうなると、わら半紙の出番が来るかもしれない。
[ 付記2 ]
「新聞が減ると、わら半紙が増える」……というのは、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話だが、似た話はある。
「ネット情報が普及するにつれ、雑誌の販売量が減りつつある。そのせいで、書籍の値段が上がる」……ということだ。
どうしてかというと、取次の手数料が上がるから。
《 全国に本届く流通の仕組み、存続の危機 背景に雑誌不況 》
日販やトーハンなどは今春、出版社に文書を配布し、配送コストの追加負担を求めた。個々の交渉の詳細は明かしていないが、関係者によると、日販から書籍の取り分を4ポイント引き上げるよう求められた出版社もあるという。単純計算で出版社の取り分が66%に減り、取り次ぎ分が14%に上がる。
配送コストの負担が重くなった背景には、物流の人手不足に加え雑誌不況の影響がある。雑誌が売れた時代には、連日の発売日に合わせて大量の雑誌を一斉に全国の書店に届ける際、「ついでに」送ることで書籍の配送コストを吸収してきた。だが2年前に書籍の売り上げが雑誌を逆転。出版流通の仕組みが機能しなくなり始めた。
( → 朝日新聞 2018-06-21 )
新聞だけでなく出版システムも崩壊しつつあるようだ。
【 追記 】
コメント欄を見て思い出したが、書き落としたことがあった。
・ バイオプラスチック(バイオマスプラスチック)
・ 生分解性プラスチック
というのもあるのだ。これらも一案となる。
【 続報 】
続報があった。転載(一部抜粋)しよう。
《 プラごみ量、日本2位 1人あたり年32キロ》
日本は、1人あたりの使い捨てプラスチックごみの発生量が世界2位――。国連環境計画(UNEP)の報告書でこんな実態が明らかになった。1位は米国だった。
UNEPが6月に発表した報告書「使い捨てプラスチック」によると、使い捨てプラごみを最も多く出しているのは中国で約4千万トン(2014年)だった。日本からの発生量はその8分の1程度だった。だが、1人あたりに換算すると日本は約 32キロで2位。1位の米国は約 45キロだった。
( → 朝日新聞 2018-07-04 )
きっかけはタイのクジラの胃袋から出た大量のポリ袋と、クラゲと勘違いして捕食するウミガメだったと思います。知り合いに聞いた話ですが、インドでは聖なる牛がそれを食べて死に至るので禁止にするとか。
日本では一枚1000円の有償(環境税)にして、厚みを今の10倍くらいにするとほぼエコバッグですが、使い捨てはかなり減るでしょう。。
このテーマの課題は微細化したマイクロプラスチックスです。これが食物連鎖でデトリタス を食べるプランクトンに取り込まれ、上位の捕食者に溜まっていくという理屈。
さらに、マイクロプラスチックスは単位質量あたりの表面積が大きいので、環境中の有機系有害物質をよく吸着するので、食物連鎖上位への凝縮が懸念される。だから規制しよう。という話です。
ま、そのような物質がマイクロプラスチックスに吸着される量や、濃縮様式はよくわかっていないと思います。
極々微量のことを針小棒大に「懸念される」と語る方が多いので。
これも聞いた話ですが、金属酸化物を混入したポリ袋は早期にバラバラになるとのことですが、これはマイクロプラスチックスを作っているだけです。
ちなみにポリマーは熱と紫外線と酸素でバラバラに分解されるとナショジオあたりに書いてあったと思います。
個人的には結構丈夫なポリエチレンよりもポリウレタンの加水分解が早く生じるので好ましくなさそうです。
転換を促すには規制か補助金ぐらいしか術がないのでは。ただそれでも途上国と米国は対応しないだろうなと。
大部分はゴミ袋として再利用されるのですが、なにぶん、量があまりにも多大なので、そのうちの一部が海に流れるだけで、ものすごく大量になる……という問題が発生しています。
これが紙袋になると、問題が発生しない。ドイツではそうなっているようだ。(無料でなく有料)
→ http://j.mp/2ywZfJo
コスト差は2倍ぐらいらしい。主な理由は量産化が進まないことらしい。
「製品が出回らない⇒量産効果が出ない⇒コスト削減が進まない、といった悪循環下にあります。」
→ http://www.jbpaweb.net/gp/gp_faq.htm
ならば、炭素税や環境税をかけると、差を埋めることができそうだ。
意識高い系を自負するEU各国ならそれぐらいの自律をして他国から賞賛されてもいいわけなんですが...まぁ、”欧州のディーゼルの不正”といった体質ですから。脈々と受け継がれている欧州の、他国に厳しく自国に甘いという姿勢が改まらなければいつまでたっても解決しないかも。
現状化学物質過敏症の人が少ないから大丈夫ではなく、今後増えてくる可能性もありますから。
> 1989年の生分解性プラスチック研究会により、「自然界において微生物が関与して環境に悪影響を与えない低分子化合物に分解されるプラスチックである」と定義されたが、この表現は曖昧であり、1993年のアナポリスサミットにおいて、「生分解性材料とは、微生物によって完全に消費され自然的副産物(炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなど)のみを生じるもの」と定義された。
http://j.mp/2tvsdUh
中学生や高校生の頃にお目にかかりました。
消しゴムで文字を消すときによく破れたのを思い出しました。
本項の内容と全く合わないコメントですいません。
化学物質過敏症は定義があいまいなので「しっかり知る」のは不可能ですよ。
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膨大に生産・投棄されるプラスチックのごみが世界の海に流れ込んで生態系を深刻に脅かしている。
プラスチックの生産量は爆発的に伸びてきた。いまや世界の生産量は年に4億トンにおよぶ。
プラスチックごみは世界で年3億トンにのぼり、少なくとも800万トンが海に流れるという。波や紫外線で細かく砕け、「海がプラスチックのスープになっている」とさえ言われている。
2050年までに海中のプラスチック量は世界中の魚の重量を超えるという推計
https://www.asahi.com/articles/DA3S13565109.html
( 有料記事 )
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/10/news096.html
https://www.huffingtonpost.jp/2018/07/09/star_a_23478203/
https://www.bbc.com/japanese/44776177
ストローだけ廃止しても、蓋とカップがプラスチックなら何にもならないだろ、と思ったが、同種の意見は(私が書くまでもなく)あちこちから出ているそうだ。
米プラスチック製ストローの禁止広がるhttp://www6.nhk.or.jp/kokusaihoudou/catch/archive/index.html?i=20180711
(横目で視聴していたので定かではないのですが)
番組中、海洋プラスティックゴミの、日本の排出量が占める割合が30%との指摘があったような。
俄に信じられない数字です。東日本大震災の時流出した分も入っているのだろうか。