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少子化が進んでいると報じられた。
《 出生数が最少更新、出生率低下…少子化変わらず 》
厚生労働省は1日、2017年の人口動態統計(概数)を発表した。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は 1.43 で、前年を 0.01 ポイント下回り、2年連続で低下した。
17年に生まれた子どもの数(出生数)は94万6060人で、統計を取り始めた1899年以降、最少を更新した。
( → 読売新聞 2018-06-01 )
→ 朝日新聞 (グラフあり)
これについては対策するべきだが、何をするべきか?
(1) 保育園
まずは保育園の対策だ。これについては別項で論じた。
→ 保育無料化と少子化対策: Open ブログ
その趣旨は、
「安倍政権の保育園無料化を実施すると、少子化はますます進行する。逆効果だ」
ということだ。逆説的なことが発生している。理由は、「保育園無料化を実施すると、需要がますます増えて、保育園にはますます入りにくくなる。女性就業率はかえって低下してしまう。そのせいで、出産意欲が減じる」ということだ。
これは簡単すぎる要約なので、詳しくは上記項目を見てほしい。
(2) 高等教育
少子化対策では、高等教育への補助も大切だ。高等教育費(大学授業料)が高騰しているので、費用負担の面で、出産をためらう家庭が増えているからだ。(一人っ子が増えている。)
この件は、これまであまり述べてこなかったので、本項で論じよう。
少子化対策では、高等教育への補助も大切だ……ということは、私が言うまでもなく、多くの人も言っている。それどころか、安倍首相も認知している。消費税の増税の代償ふうに、保育園と高等教育の費用無償化を打ち出している。
《 国立大入学金と授業料免除へ 低所得世帯に限り 》
【共同】政府は4日、「人づくり革命」と「生産性革命」の政策パッケージ案を固めた。大学進学は住民税非課税の低所得世帯に限って支援し、国立大の入学金と授業料を免除、私立大はさらに一定額を上乗せ助成する。幼児教育・保育の無償化方針も盛り込んだ。
大学の無償化は、2019年10月の消費税増税で財源が確保できるのを待って20年4月から実施。授業料減免に加え給付型奨学金も拡充し、通学や家賃などの生活費を賄えるようにする。支援は高校時代の成績や学習意欲を考慮して決め、大学入学後に一定の成績に満たなければ打ち切る。
大学だけでなく短大、高専、専門学校を含めた高等教育全般を対象とする。住民税非課税の収入は例えば夫婦と子ども2人の世帯の場合、年収約250万円未満が目安となる。住民税を課税されている世帯の手取りが非課税世帯を下回る不公平が生じないよう、段階的な支援も検討する。
( → 佐賀新聞 2017/12/5 )
これは半年前の記事だが、最新の記事でも、次のようにある。
《 学費、年収380万まで段階支援 》
安倍政権が人づくり革命の目玉施策の一つとして掲げる大学など高等教育の無償化について、政府が年収380万円未満の世帯を対象に、授業料免除や給付型奨学金の支給などを実施する方針を固めたことが26日、関係者への取材で分かった。完全に無償化する年収270万円未満が目安の住民税非課税世帯に準じる世帯についても、課税所得額に応じて段階的に一部を支援する。
( → ロイター )
一軒、まともなことをやっているように見える。だが、肝心の点が尻抜けになっている。それは、「年収要件」だ。完全に無償化するのが年収270万円。一部無償化も年収 380万円。
一方、所得分布を見ると、分布のグラフは下記。(出典:huffingtonpost )

中央値が 432万円だ。年収 380万円以下に該当するのは、国民の4割ぐらいだろう。つまり、残りの6割は「一部補助」の対象外となる。
また、国立大をめざすような学力の高い生徒の親は、やはり高学歴のことが多いので、年収は高めだ。そのことも考えると、国立大をめざす生徒(学力の高い生徒)では、7割ぐらいが「一部補助」の対象外となるだろう。
つまり、安倍政権の「高等教育の補助」という政策は、該当する生徒(国立大をめざす生徒)の7割ぐらいが、対象外となってしまうのだ。これでは、たいていの親は、不安になる。「高額の高等教育費を、全額負担しなくてはならないのか」と。
かくて、安倍政権の方針では、少子化対策にはならない。
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では、どうすればいいか? もちろん、「7割が対象外となる」という制度をやめて、「対象外となるのは、1〜2割ぐらいの富裕層だけ」というふうにすればいい。つまり、大半の人が学費補助の対象となるようにすればいい。
そのことは、本サイトでも前に述べた。
→ 奨学金の受給には試験を: Open ブログ
ここでは、
「優秀な生徒に限って、奨学金を与える」
という方針を、ここでは示している。
それと同様に、
「優秀な生徒に限って、学費を一部免除する」
というふうにすればいい。(それが本項の提案だ。)
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一案としては、次のようにする。
・ センター試験で上位半分に入った人は、学費3割免除。
上位2割に入った人は、学費5割免除。
・ 各大学で上位3割に入った人は、学費3割免除。
上位1割に入った人は、学費4割免除。
・ 親が一定以上の年収があると、免除割合を減らす。
・ 親がすごく低所得の場合は、学費全額免除のことも。
以上は、おおざっぱな設定であり、詳細は未定だ。だが、おおむね、こんな感じでいいだろう。
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ともあれ、こういうふうにしないと、高等教育の費用を心配して、子供を産まない親が増えてしまう。それでは国が滅びてしまう。
安倍首相は、「高等教育費を増やすべきだ」ということはわかっているようだ。だが、「選挙対策でバラマキをする」ということしか考えていないので、「真に実効性のある方法」を理解できていない。少子化よりも、自民の票を増やすことばかり考えている。困ったことだ。
少子化対策としては、「お金をもらえる親が喜ぶこと(自民党に票を与えること)」が目的となってはならない。「子供の数を増やすこと」が目的となる必要がある。
そして、そのためには、「成績が優秀な子供を、不安なく産めるようにする」ことが必要なのだ。つまり、親が目先の金を得て喜べばいいのではなく、親が出費の不安をなくすことが大切なのだ。……安倍首相はそこのところを、区別できていない。
( ※ 安倍首相の政策では、親の不安は減らない。「自分は対象外だ」と思う親が大半だろう。)
[ 付記 ]
金の使い方も間違っている。先に引用した記事には、
私立大はさらに一定額を上乗せ助成する。
とある。つまり、Fランを含めた私大には、国立大以上の補助金を出すわけだ。
しかし、Fランや Dラン の大学には、補助金を出すべきではない。その分の金を削って、成績上位者にだけ金を出せばいい。その方が効率的だ。
この件は、前に別項で述べた。
→ 奨学金の受給には試験を: Open ブログ
( ※ 逆に言えば、「多額の奨学金を出す原資をどうするんだ?」という疑問に対しては、「下層の私大への助成金を削る」と答えられる。これで全額は無理でも一部はまかなえる。)
>「子供の数を増やすこと」が目的となる必要がある。
偏見かもしれないですが、子供のいない安倍首相には理解できないんだろうなと思ってしまいます。
本分を蔑ろにしてまでスポーツ優先、試合での勝利重視を学生に期待する、強いる大学は少なからずあります。最近の例では日大かと。そういった大学ににも補助金が割り当てられていることには釈然としないものを感じるわけです。大学スポーツの意義というものを改めて問うべきではないかと。
大学スポーツの意義の見直しは必要かもしれないですね。
今の日本に、スポーツにお金を出す(税金をあてがう)ほどの余裕はないわけで。
大学本来の目的である、研究と教育に十分な予算をあててほしいものです。
目的は消費税増税への反発の軽減と、自民党への票を買う、それも実際の金は出さずに。
ほとんどが対象外なのはわかってやってるんです。
生活保護の母子加算の引き下げ、児童養育手当の引き下げなど子供は産むな、社会の負担だというのが首相の本心です
詐欺師は口先ではなく、金の動きをみろというのは管理人自身の言葉ですよ
狙ってやっているんじゃなくて、馬鹿だからわからないでやっているのかもしれない。
(幹事長発言なので、私は二階氏個人の認識とは捉えていません。自民党全体の認識と思ってます)
党首討論
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180627-00000554-san-pol