2018年06月01日

◆ 佐川・元長官が不起訴に

 文書偽造の疑いがあった佐川・元長官に、検察が「不起訴」を決めた。これは妥当か?

 ──

 文書偽造の疑いがあった佐川・元長官に、検察が「不起訴」を決めた。報道されているとおり。

 これについて私の見解を言うと、こうだ。
 「形式的には、法に抵触するので、違法と言える。しかし、可罰性が低いので、不起訴にするのはやむを得ない」


 これはどういうことかというと、「刑事罰には馴染まない」ということだ。
 刑法というのは、「他人を傷つける(肉体的・精神的・財産的に)」ということを処罰するためのものだ。ただの道徳的な規定ではなくて、特別に悪質なものだけを選んで処罰するものだ。当然、対象は、被害者の被害が大きいものに限られる。
 ところが本件の場合、特定の被害者というものはいない。しいて言えば、「国民全体」が被害者だ。そして、こういうものは、(主として個人を被害者とする)刑法には馴染まないのだ。
 その意味で、「不起訴」とするのはやむを得ない。

 ──

 では、だからといって何の処罰もしなくていいかというと、そうでもない。公務員としては明らかに不適切な行為をしたのだから、何らかの形で処罰されるべきだ。
 ただし、その処罰の仕方は、刑事罰ではない。行政処分だ。具体的には、「免職・降格」や、「給与減額」だ。
 私としては、「解雇」および「退職金の減額」が適切であったと思う。次のように。

 (A) 正直に証言した場合には、ただの「依願退職」で、退職金はほぼ満額を払う。(休職処分の分だけを減額する。)
 (B) 嘘をついた場合には、「懲戒免職」で、退職金は全額を没収。

 で、どうなったか? 政府の方針では、「嘘をついたこと」を認定しているにもかかわらず、「依願退職」の扱いで、退職金はほぼ満額を払うようだ。

 「嘘をついたこと」については、下記。
 参議院の郷原悟事務総長は、森友学園との交渉記録について財務省の佐川前理財局長が「廃棄した」とか「記録が残っていない」と国会で答弁をした回数が、去年2月以降、合わせて43回に上っていたことを明らかにし、麻生副総理兼財務大臣も同様の答弁を合わせて11回していたと説明しました。
これについて、太田理財局長は虚偽の答弁だったことを認め、「事実と異なることを答弁しておりました。誠に申し訳ありません」と陳謝しました。
( → 佐川前理財局長の国会虚偽答弁は43回 | NHKニュース

 「依願退職」の扱いで、退職金はほぼ満額を払うことについては、下記。
 財務省は31日、前理財局長の佐川宣寿前国税庁長官を停職相当、理財局の中村稔総務課長を停職の懲戒処分とする調整に入った
 報告書では佐川氏が事実上、決裁文書の改ざんなどを指示していたと認定する方向だ。
( → 佐川氏:停職相当 財務省週明け処分、改ざん指示 - 毎日新聞 2018年6月1日

 減額の額については、以前報道されていた。
 退職金の支給額は佐川氏の36年間の国家公務員としての勤務期間と、国税庁長官を自己都合退職した前提で算定。この退職金額から、佐川氏が辞任の際に受けた減給20%3カ月の懲戒処分(約66万円相当)が減額される。
( → 佐川氏、退職金は4999万円 懲戒処分66万円は減額:朝日新聞 2018年3月20日

 たったの 66万円の減給だ。呆れる。
 正直に証言したなら、この学で妥当だろうが、徹底的に証言拒否をしたなら、「反省ゼロ」なので、こんな減給では不釣り合いだ。

 比喩的に言うと、
  ・ 正直に「暴行した」と告白した日大選手
  ・ 嘘をついてシラを切った監督とコーチ

 この両者を、同じ処分にするのと同様だ。要するに、政府がやろうとしているのは、嘘をついてシラを切った監督とコーチに対して、正直に告白した日大選手と同様の寛大な処分をするということだ。呆れるしかない。
( ※ こうなるのも、政府そのもの or 首相そのものが、悪の一味だからだが。) 

 ──

 では、どうすればいいか? 私の提案は、こうだ。

 (1) 佐川氏については、正直に証言しなかったということで、退職金の全額没収。依願退職は取り消して、懲戒免職とする。
 (2) 国会に再喚問する。もはや「訴追の恐れ」はなくなったので、正直に証言することを要求する。ただし、「訴追の恐れ」が皆無ではないので、首相または国会による「不起訴の保証」を与える。(検察審議会が何らかの方針を出しても、上記のことが裁判所に影響を与えるので、不起訴は確定的。)
 その後、正直に証言した場合には、退職金の8割ぐらいは認めてもいい。
 一方、さらに証言拒否をした場合には、退職金を全額没収する。その上で、「理由なき証言拒否」ということで、処罰してもよさそうだ。
 《 刑事訴訟法 第161条(宣誓証言拒否罪) 》
 正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、10万円以下の罰金又は拘留に処する。
( → Wikibooks

 悪質さからして、拘留が妥当だろう。
 拘留(こうりゅう)とは、日本の刑罰の種類の1つで「1日以上30日未満」の間、刑事施設に収監する刑罰です。
( → 刑罰の「拘留」と処分の「勾留」|拘留と勾留の違い|刑事事件弁護士ナビ

 20日間ぐらいの拘留が妥当かな。

posted by 管理人 at 19:00| Comment(18) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こちらでは、右寄りキャスターの以下のコメントに同感する人が多く、私もその中の一人です。
「単にクレーマーのおっさんが総理と夫人の名前を使い現場の役人としつこい交渉をしてたという事が浮き彫りになった」
「末端の役人は後で責任を取らされるのが嫌だから全部詳細にメモをした。今回出てきたのは大半が公文書ではなくメモ。どこを見ても無茶な交渉で財務省の末端が恫喝されてるのが浮かび上がるが、総理の関与は出てこない。」

後任の佐川氏は「そのしつこい交渉過程のメモは不要だ」とカットしたのでしょう。
しかもあの土地の決済者は本省次官ではなく、近畿財務局長のはず。
通常なら本省次官に関わることはない。ところが、本省次官が巻き込まれた。
一方、本省のシンプルな書面は、そのようなややこしいメモを記載しない。
それは書いてあることを元に色々憶測(詮索)するものが多いからだ。
それゆえ、不要な文言は削除。ただし「誰が何を理由になんぼで誰から買った。」だけがわかる様にしておく。だから検察も・・・(と書くとそれを元に詮索しますよね)。
というところだと思ってます。

貴著「二重の虚構」は、「少し欠陥(ネガティブ要素でもいい)があるが、その組織に必要な人物に対して、小さな欠陥でその人を否定すれば、代替人材はなく、否定した組織が困ることになる。」という趣旨を記していたと思います。
この場合、お気楽夫人の振る舞いがネガティブ要素になるのでしょうね。
ま、野党(及びマスコミ)はそれを元に政権交代ではなく、自民党内で力をそれほど持たない人物を総理にしたてようと企んでいる様です。でも困るのは彼らではなく我々一般庶民の様な気がします。
Posted by 京都の人 at 2018年06月01日 23:43
> 総理の関与は出てこない

 そうなんだけど、「総理による隠蔽」は山のように出てくる。総理が無関係ならば、どうしてあれほどにも熱心に隠蔽したがるのか?

 直接証拠はないが、状況証拠により、「総理が主犯」と推理するのが、本サイト。直接証拠よりも論理によって結論を得る。
Posted by 管理人 at 2018年06月02日 00:13
理論としての推理であれば物事の真偽とは区別しないといけないね。管理人の主張の妥当性と前提や結論の事実上の真偽とは無関係であることに注意。
Posted by 理論における推理は事実とは無関係 at 2018年06月02日 06:01
ああいう大きな建物を立てる場合は設計の段階で
ボーリング調査をする
硬い地盤がでるまで行うから
沼だったあの場所では数十メートルまで行はないといけない
一カ所だけでなく数カ所行うのが普通で
ゴミが埋まっていればその時点でわかるんですよ
その時点で解決しなきゃいけない問題なのに
だんまりこいてた奴がいる
(すでに知っていて話を作った奴?)
ソイツが主犯だと思うよ
Posted by 老人 at 2018年06月02日 06:08
> それゆえ、不要な文言は削除。

 これが事実なら、文書作成時に削除しているはずなので、削除の痕跡は残らないはず。ところが
  ・ 佐川答弁がなされた直後に、
  ・ 本件に関する文書に限って、
  ・ 本件に関する文言だけが
 広範囲に削除された。
 しかも、そのことについて、指示をしたかどうかを証言拒否している。

 正当な業務であれば、そんなことはない。
 つまり、正当な業務ではないことの証拠が、こんなにも上がっている。明白な隠蔽行為。佐川は真っ黒。
 そして、佐川がそれほどにも嘘をつくとしたら、
  ・ 佐川はとんでもない極悪人
  ・ 佐川は総理を守っている
 のいずれかだ。
 そして、仮に前者であれば、総理が長官に任命するはずがないし、事後的にはひどく処罰するはずだ。なのに総理は徹底的に佐川を擁護する。その意味は? 
Posted by 管理人 at 2018年06月02日 07:42
「私の国会答弁が下手だったかもしれない。その答弁が新聞・TV一部が報道され本意が伝わってない。そういう報道を元に次の質問が始まってる。それを気にした結果が文章書き換えに繋がったと思います。」
https://www.youtube.com/watch?v=8IYNkJA2Cm8&t=18m30s

要するに、マスコミの印象操作・偏向報道に追い詰められて余分な文言を削除した、と太田理財局長は証言してますね。
Posted by ネトウヨVer.2 at 2018年06月02日 10:55
国会中継は録画しておいた方がいいですね
編集の詐術に騙されなくて済みますから

まあ、隠したかったのは売買交渉そのものだったことが明らかになりました
本来売り物にならないろくでもない土地ですからねぇ
野党は目論見がはずれて発狂中です
Posted by 普通のおっさん at 2018年06月02日 11:30
 ずっと隠していて、虚偽答弁をした(嘘つき)ということが、最大の問題点。
 上記答弁の通りなら、どうしてこれまで隠していた? 
 これに限らず、「嘘をついたあとで、嘘がばれた」ということが、あまりにも多すぎる。

 これほどの嘘を聞いても、まだ嘘つきを信じているのだから、ネトウヨというのは、ホントにお人好しだなあ。

 ──

 参考記事:
 【赤・黄・青 で視覚化】 党首討論での安倍総理の信号無視話法
 https://note.mu/jun21101016/n/n2b866bd84a5f
Posted by 管理人 at 2018年06月02日 11:50
そもそも森友問題そのものが、朝日新聞の捏造報道だったからしょ。
Posted by ネトウヨVer.2 at 2018年06月02日 19:21
 昔、ブラジルに「勝ち組」というのがあって、日本の敗戦を信じられずに、「勝った」と言い張っていた。

 今も森友問題で。

 ※ 結局、森友学園への土地払い下げはなくなって、籠池夫婦はずっと勾留されていて保釈されたばかりで、書類隠しの証拠はいっぱい見つかったのだが、そういう現実は見えないらしい。
Posted by 管理人 at 2018年06月02日 19:41
森友の問題は、公的な土地の売却の仕方の問題。あとは政治家にあの手この手を使って、何とかすり寄る輩がいることが多いことが分かった。

一方、隠蔽体質はシステムの問題。安倍内閣が退陣した所で、それ自体は変わらんと思うがね。
いずれにせよ切り離して考えねばいけないのでは。

報道は隠蔽体質や嘘ついたことばかり取り上げるし、それも取り上げるべきことだが、偏りは感じる。
なぜ土地の売却方法や、政治家との接触の仕方(良くも悪くもおめでたいというか素直な昭恵夫人のこととか)について考察が少ないのか。

この件は退職金の額で、まあ確かに腹は立つね、感情的には。自分はそこよりもなぜ不起訴になったかの方が気になる。
ライブドア事件はそんなに悪質だったのかな。あれが悪質なら、東芝の会計は悪質でないのかな。

まとまりないですな(笑)。
Posted by hiro at 2018年06月02日 22:43
>政治家にあの手この手を使って、何とかすり寄る輩がいることが多いことが分かった。

内閣人事局に首根っこ掴まれてるので、官僚からしたらすり寄るしか無いと思う。

身分を守りたかったら、悪い事もやれよ。と暗に言っているようなもんだね

隠蔽体質が今に始まったことではないのは確かにそうですが、森友の問題は財務省の隠蔽体質だけで解決することは適切ではないでしょう。
Posted by 反財務省 at 2018年06月04日 03:49
>内閣人事局に首根っこ掴まれてるので、官僚からしたらすり寄るしか無いと思う。

すりよる輩は籠池さんみたいな人達のことを申し上げたつもりなのですが、それはそれとしておっしゃることはごもっともだと思いますよ。

ただこの手の議論で思うのは、安倍が悪いから内閣退陣となって、内閣が変わって、また同じような問題が起こる。そしてまた責任者が追求されて退陣して、この繰り返し。

要は一人に(または一つの組織に)責任を負わせることで、本質的な問題から目が反らされていると思う訳です。
日本の場合は個人が極悪人の場合もあると思いますが、大体組織の中に入って悪に染まると個人的には感じます。

本当はジャーナリズムが追求する問題だと思いますがね。
そういう追求をする仕事をしているフリーのジャーナリストは取材に時間も金もかかる割に全然もうからないので、他に財源がないと大体辞めていくそうです。
Posted by hiro at 2018年06月04日 06:32
一つ追加。

組織に入って悪に染まると言いましたが、おそらく悪とは認識していないのかもしれない。

誰でもそうですが、会社でも学校でも入ったばかりの頃は「これっておかしいんじゃないの」と思っているのが、先輩や皆が当たり前のようにしていると、そういうもんだと思っていくようになると思います。

書類の改ざんなんかもそんな所かと。
会社で働いたことがある人で、特に役所関係で書類を作成したことは、心当たりあるのではないかな、と思いますが。

公務員でも民間でも組織という意味では同じかなと。
Posted by hiro at 2018年06月04日 06:43
> 安倍が悪いから内閣退陣となって、内閣が変わって、また同じような問題が起こる。

 仮に善人の首相が生じたら、その首相にすり寄ることで、全公務員が善人になる。同じことが起こるのではなく、逆のことが起こるでしょう。
 安倍問題が起こるのは、首相が極悪人のときに限るのであって、公務員の「追従性」のせいではありません。
 一般に、忠犬が何をするかは、ご主人様の方向性しだい。忠犬のせいではありません。
Posted by 管理人 at 2018年06月04日 07:53
人事権を政治家が握り、その政治家を国民が正しく選び、官僚を善き方向に導く

思想自体は正しいが、そう簡単にはいかない

Posted by カレー at 2018年06月04日 12:20
個人的な見解ですが。
自分は首相というポジションは、たとえばアメリカの大統領や日本の東京都知事ほど、独権性の強い地位ではないと考えています。

どちらかというと、自分の周囲の調整的役割というか。安倍さんはその典型で。
憲法改正は日本会議の意向、高プロは財界の意向。
あと歴代内閣の閣僚の選定は、そのポジションに適したか否かでなく、当選回数とかで持ち回り的な感じでしょ。

憲法改正案の内容(9条以外の部分)や高プロも「うーん、そこわざわざ法案として変える必要あるの」と疑問はあります。
が、外交に関しては、かなり活発に行っている感があり、これは他の組織からの義理感でなく、独自の見解から進めている印象があります。

戦前に天皇機関説というのがありましたが、首相機関説というか、そういう感じ。

管理人氏の主人と忠犬論は、大体の組織においてその通りだと思います(日産、カルロスゴーン社長就任で大改革とか)。

が、日本政府はかなり珍しい例外かなと。どちらかというと官僚制(つまり忠犬)の方が主導になってる感じです。
(一見するとそうは見えにくいですが)。
もし日本政府が普通の会社と同じなら、かなりの役人がリストラで首になっているだろうと思います。大借金の国庫ですぜ、会社なら倒産ですわ。
Posted by hiro at 2018年06月05日 08:17
”記憶にない”、”秘書がやった”に次ぐ新たな証人喚問の切り抜け法として”刑事訴追の恐れがありますので...”として最低限の証言すら拒否、というのが今後多用されていくのかも。

起訴されなければ実質的には証言拒否です。本文中、(2)にあるように国会に再喚問することが望ましいわけですが、再喚問は相当ハードルが高いかと。”不起訴”を理由として再喚問が実現した事案って過去にあったでしょうか。
Posted by 作業員 at 2018年06月06日 16:52
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