2018年05月26日

◆ CATL(世界一の電池会社)

 EV 用の電池では世界一である CATL が日本に進出するというので、話題になっている。

 ──

 本日朝刊では、各紙で報道されている。
  → 車載電池で中国の逆襲 CATLが日本に上陸 EV注力 - 産経
  → 車載電池最大手の中国CATL、日本に進出:日本経済新聞
  → ついに日本上陸!中国「EV電池」の忍び寄る影 | 東洋経済
  → 中国CATL、日本進出=車載電池大手、横浜に拠点:時事
  → 車載電池の世界最大手、日本に上陸 中国CATL - SankeiBiz

 ほとんど無名の会社なのに、世界一だというので、どういうことかと思って、調べてみた。

 基本的には、こうだ。
 設立から7年の新興企業だが、電気自動車(EV)シフトを進める中国政府の後押しを受けて急成長。
( → EV電池、日・中覇権争い激化 世界最大手の中国メーカー日本進出、国内に警戒感:朝日新聞

 記事のグラフから見ても、巨大な生産量を誇るとわかる。
 
 生産の急増は、投資額の急増に支えられている。
 13億ドル(約1400億円)を投じて工場を新設する計画だ。完成すれば米テスラを上回る生産能力を持つことになる。
 建設する予定の電池工場はテスラが米ネバダ州に持つギガファクトリーに次ぐ世界2番目の規模で、EV大国としての中国の地位を固めるのに十分な供給量となる。
 この新たな組立ラインにより生産規模を5倍に拡大し、EV向け電池メーカーとしてテスラや中国の比亜迪(BYD)、韓国のLG化学を上回って世界最大手になるという。
( → 無名でEV電池最大手狙う 中国CATL新工場、テスラ上回る能力 - SankeiBiz)

 現在、世界最大の自動車用バッテリー工場は、米テスラがパナソニックと共同で米ネバダ州に建設中の「ギガファクトリー」である。……ギガファクトリーの生産能力は、この累計生産台数の3倍近いリーフ向け電池を1年で造ってしまうことになる。
 ところが、CATLが現在進めている生産能力の拡張は、このギガファクトリーを上回るものだ。ロイター報道によれば、2020年のCATLの生産能力は、合計で50GWhに達するという。これまで中国の自動車用バッテリーメーカーで最大だったのは中国BYDだったが、2020年にはCATLがBYDを抜き、現在世界最大の韓国LGも凌いで世界最大の自動車用バッテリーメーカーに躍り出る。
( → 中国巨大電池メーカー「CATL」の実力を垣間見る:日経ビジネスオンライン

 この生産力を背景に、日本にも進出した。日産やホンダも、CATL の電池を搭載予定だという。
  → ついに日本上陸!中国「EV電池」の忍び寄る影 | 東洋経済オンライン
  → ホンダ中国開拓、リスクより成長 CATLとEV電池 知財共有どこまで 

 日産は、もともと NEC と合弁で電池会社を作っていて、その電池をリーフに搭載していた。新型リーフも同様だ。ところが、この電池会社(AESC)を中国ファンドに売却した。
  → 日産、EV用電池量産から撤退へ 中国ファンドに売却:朝日新聞

 売却後も、AESC の電池を新型リーフに搭載していたが、今後は CATL の電池を搭載する予定らしい。とすると、
 「 CATL が AESC を買収して、傘下に収めたのか?」
 と思ったのだが、そうでもないようだ。検索しても、CATL と AESC の関係は何も見つからないので、何も関係はないらしい。

 ──

 さて。CATL という新興メーカーは、いかにして急成長をなしたのか? それが疑問だ。調べてみると、事実が判明した。

 最初は、日本の技術だった。TDK の電池技術である。(TDK だけでなく中国技術を含む。)
 CATLは、もともとはAmperex Technology(ATL)という香港のリチウムイオン電池メーカーが自動車用電池部門を別会社化したものであり、そのATLは、TDKが2005年に買収して電池生産子会社化したものだ。製造しているリチウムイオン電池も、TDKが開発したリチウムポリマー電池をベースにしている。つまり、CATLの電池技術は元をたどっていくとTDKに行き当たるわけだ。
( → 中国巨大電池メーカー「CATL」の実力を垣間見る:日経ビジネスオンライン

 とはいえ、この時点では、弱小の非力な会社であるにすぎなかった。それがどうして急成長したのか? 
 一つには、中国国内の需要の急拡大がある。
 背景にあるのが、中国における電動車両の急速な増加である。日本ではあまり知られていないことだが、中国はここ数年で世界最大のEV大国にのし上がった。その生産・販売台数は桁違いで、2017年にはEVとPHEVの販売台数の合計が、実に77.7万台に達した。ちなみに日本国内のEVとPHEVの販売台数の合計は約5万6000台で、中国の1/14程度に過ぎない。
( → 中国巨大電池メーカー「CATL」の実力を垣間見る:日経ビジネスオンライン

 中国がこれほどにも EV に力を注ぐのは、国策ということもあるが、北京などの大気汚染があまりにもひどいからだ。このことは PM2.5 ということで話題になった。本サイトでも何度か取り上げた。
  → 中国の大気汚染と日本: Open ブログ
  → 中国の大気汚染が日本へ: Open ブログ
  → 中国の大気汚染が日本へ 2: Open ブログ

 どうしてこんなにひどいことになっているかというと、人口密度が高いことのほかに、「鉄道がない」ということがある。北京は、世界の大都市には珍しく、鉄道が(ほとんど)ない。そのせいで、自動車に頼るしかない。かくて、大気汚染がひどくなる。
  → 北京の公害対策: Open ブログ

 となると、根本的な対策は、鉄道網の整備だが、それには何十年もかかる。とうていすぐには実現できない。となると、電気自動車に頼るしかない。(鉄道をつくるのに何兆円か何十兆円かをかけるくらいなら、電気自動車に補助金を出す方が、圧倒的に手っ取り早くて、即効性がある。)
 かくて、中国では世界でも珍しく、電気自動車に莫大な補助金を出して、電気自動車の普及を高めた。
( ※ 北京の大気汚染というマイナス面を逆用して、EV 生産量を増やしたわけだ。災い転じて福となす。)
 
 さて。以上でいくつかの理由を示したが、それは、「 CATL が急成長したことの理由」というよりは、「その背景」というようなものだ。同じような「背景」(または状況)は、他の中国メーカーにも成立したが、それらは急成長したわけではない。ではなぜ、 CATL だけが急成長したのか? 
 そのことは、次のことから窺える。
 《 中国CATL、EV電池首位疾走 世界から技術者 》
 以前は違った。トヨタなど世界の車メーカーは、中核技術の電池は内製するか、技術優位にあった日本や韓国の大手電池メーカーの供給に頼っていた。だが「その戦略が通用しなくなり始めた」。
 背景には電池の製造技術がこの数年で急速に進歩し、液晶パネルや太陽電池と同様に「装置産業化」が著しくなったことがある。大量に製造し、資金力のある企業がさらに有利となり、技術優位にあった日韓勢も厳しくなった。

 CATLはボッシュや独コンチネンタル、仏ヴァレオなど世界の部品大手から技術者を大量にスカウトして他社に差をつけ、足場を固めた。関係者は「ボッシュ出身者だけで20人いる」と話す。
 さらに中国政府と組み、海外で活躍する超一流の技術者を高待遇で中国に迎え入れる
 独BMWの高級多目的スポーツ車(SUV)への供給を通じ、BMWから電池技術を吸収できたことも成長に弾みをつけた。
( → 日本経済新聞

 どうやら欧州の優秀な技術者を高給で招いて、先端技術を吸収したらしい。それが急成長の理由だったようだ。
 これと同様のことは、韓国の自動車メーカーもやって来た。(欧州の技術者やデザイナーを高給で招いた。)
 少し前には、韓国の電子系の会社が、日本の電子系の技術者を大量に招いていた。「週末だけ韓国に招く」というような形で、NEC やシャープなどの先端技術者に教えを請うた。こうして日本の先端技術がサムスンや LG に流出した。(「技術者を冷遇する日本の会社が悪い。自業自得だ」という声も出た。)

 で、その間、日本の会社は何をしていたかというと、「リストラ」で技術者を冷遇することばかりだった。まして、「欧州から優秀な技術者を高給で招く」というような発想はなかった。ひたすら「リストラ・コストカット・給与カット」ばかりをめざした。そのせいで、技術もカットされて、シェアもカットされて、会社そのもの( or 事業部)もカットされてしまった。(自業自得。)
 シャープ、NEC、日立、東芝、富士通などの電子部門が、今やどうなっているのかを思うと、感慨に耽るしかない。「社員をリストラすることばかりを考えていて、会社そのものがリストラされてしまった」わけだ。
 で、その間に、CATL はせっせと高給を払って、会社を急成長させたわけだ。

 皮肉っぽく言えば、CATL が急成長したのは、日本の会社がリストラに熱中していたおかげなのである。日本の会社が、社員をリストラして、自分自身をリストラしてしまったから、それで自滅した分、CATL が急成長できたのだ。

( ※ 例外はパナソニックだが、これは、会社が優秀だったというよりは、優秀な電池技術をもっていた三洋電機を、解体して吸収したからのようだ。賢いというより、悪賢いという感じ。)



 [ 余談 ]
 最近の政治情勢を見ていると、日本が安倍内閣で自滅しているせいで、日本そのものが自滅してしまうかもね。安倍とともに滅びる日本かな。
 ……という感じがしてきたので、次項に記した。

  → 日本をリストラせよ (安倍): Open ブログ (次項)

posted by 管理人 at 10:35| Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 日産が CATL の電池を採用したら、日産の EV にも冷却システムが搭載されるかもしれない。
 
 冷却システム
  http://openblog.seesaa.net/article/453514373.html

 搭載は、2年後ぐらいの新モデルからかな。
Posted by 管理人 at 2018年05月26日 12:10
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