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「大赤字の JDI はさっさと倒産させろ。そうすれば赤字が雪だるま式にふくらまないで済む」
というのが、これまでの本サイトの論調だった。
→ JDI の再建問題: Open ブログ(2016年08月08日)
→ JDI を倒産させよ: Open ブログ(2017年08月10日)
その後、予想通りで、JDI は大幅な赤字を出している。
→ JDI、過去最悪2472億円の赤字 スマホ向け不振:朝日新聞
→ 液晶大手JDI、再建へ土俵際 構造改革で赤字最大 :日本経済新聞
→ 連続赤字と資金繰りの二重苦 有機EL工場の巨額投資には疑問 | ダイヤモンド
→ 赤字のグラフ
朝日の記事によると、
19年3月期の業績予想は、売上高が10〜20%増え、営業損益が黒字になると見込んでいる
という超楽観主義。
こういうのはオオカミ少年みたいなものだから、どうせ過去にも楽観的なことを言っていたのだろう……と思ったら、案の定だ。ちょうど1年前の記事で、今期の予想をしている。
決算説明会で気になった3つのポイント
まず第1に目を引いたポイントは、2018年3月期第1四半期(4-6月期)は、営業損益が▲150億円の赤字になる見通しとされたことです。
( → ジャパンディスプレイは前途多難? 4期連続の最終赤字は避けられるのか )
1年前の予想では「150億円の営業赤字」(四半期)。そして現実には? 2472億円(年間)の赤字となって、前の期の 316億円の赤字から大幅拡大している。 [ 修正済み ]
[ ※ 前者は四半期で、後者は年間だから、4倍に換算する必要はあるが、どっちみち赤字が大幅増である。なお、赤字が急増の理由は、特別損失であるらしい。営業損益とは別に、特別損失として 1700億円も引き当てる羽目になって、赤字が急拡大。→ 出典 ] [ 加筆済み ]
つまり、事前に楽観的な予想をしても、意味がない。楽観した予想を出して、あとで現実に裏切られる。オオカミ少年の嘘みたいなものだ。
さっさと倒産させておけばいいものを、このありさまだ。
( ※ 倒産関連については、毎度毎度、私の予想通り。)
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一方、政府は新たにとんでもない方針を決めた。JDI などに出資する資金源を、大幅に期限延長したのだ。つまり、赤字を垂れ流す財布の口を絞らない、と決めた。
本来なら廃止になるべき産業革新機構について、廃止するどころか、運営期間を9年間延長することに決めたのだ。
→ 革新機構の設置期限、9年延長へ 法改正:朝日新聞
→ 革新機構の期限9年間延長で閣議決定 | ロイター
→ 政府:革新機構期限9年延長 - Bloomberg
もちろん、これには批判がある。
経済産業省は所管する産業革新機構の運営期間を2034年3月末まで9年間延長する方針だ。日本では新たな企業や技術を立ちあげるための民間リスクマネーが不足しており、政府系ファンドの役割は依然大きいという認識が背景にある。
だが、過去の革新機構の実績を見るにつけ、安易な延長には賛成しがたい。時限的な組織として出発したはずが、延長を繰り返して恒久的な機関になってしまわないかという心配もある。
革新機構は次世代を担う新産業をつくるという旗印で09年に発足した。だが現実には経営不振企業の救済色の強い投融資案件も一部あった。本来なら退出すべき企業を延命させ、いわゆる「官製ゾンビ企業」を生み出すようでは、産業の新陳代謝に逆行する。
( → 産業革新機構の安易な延長に異議あり:日本経済新聞 )
ごもっとも。すぐにわかることだし、私がいちいち書くまでもないようだ。
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本項では、とくに私の独自の見解はない。ただ、二つのニュースを結びつけて(関連づけして)、その本質的な理解を促している。
[ 付記1 ]
JDI を倒産させたら、どうなるか? もちろん、誰かに売却することになる。通常、鴻海などの外資に売却する。
すると、次のような心配が生じるだろうから、疑問に答えておく。
(1) 「日本の先端技術の会社が、外資に奪われるのは、問題では?」
外資に奪われても、会社の所有権が奪われるだけだ。会社がそっくりそのまま外国に移転するわけではない。従業員(技術者や工員)の雇用も守られるし、日本で納税することも現状維持だ。
どうせ所有権を言うなら、キャノンやソニーなども、すでに株式の半分近く or 過半数が外国人株主に握られている。所有権のことぐらいで騒ぐ必要はないのだ。
( ※ そもそも、「奪われる」といっても、「盗まれる」わけじゃなくて、「買われる」だけだ。ただの売買にすぎない。)
(2) 「先端技術が台湾や中国に、技術流出するのは問題では?」
それは自惚れだ。日本の IT 技術はすでに世界トップの座から大きく落ちている。「先頭を走る中国・台湾・韓国から、すでに大きく引き離されているが、かろうじて追いつけるかどうか」という状態だ。第2グループでいる状態なのに、先頭ランナーのつもりでいるのは勘違いだ。
今は台湾の力などを借りて、「何とかして追いつきたい」と努めている状況だ。ここで、独立独歩の方針を取っても、どんどん引き離されて、大赤字を出すだけだ。それが現状だ。
今のままでは、最終的には倒産するしかあるまい。
(3) 「それでも先端技術が中国で軍事転用されるのが心配だ」
液晶なんて、ただの民生技術であって、軍事転用の心配などは不要。そもそも中国は、 JDI (という二流会社)の技術なんか必要としていない。中国ははるかに先を行っている。
→ Google 検索
[ 付記2 ]
対案は、「シャープによる JDI の買収」だ。このことは、シャープ自身が望んでいた。
→ シャープによる JDI の買収 - Google 検索
これは 2015年の状態だ。この時点で、JDI をシャープに売却しておけば、多額の赤字を出さずに済んだだろうし、日本には唯一の液晶会社が残っただろう。
ところが現実には、そうならなかった。革新機構が JDI を保有したので、JDI とシャープの合併した形の強力な液晶会社もできなかった。弱い会社が二つ残る形になった。最悪ですね。
革新機構の存在は、日本の状態を悪化させるだけだ、と言える。国策による共産主義的な国有政策がうまく行った試しは、ほとんどない。成功した事例はいずれも、途中で民間に売却した場合だ。最後まで国が保有した例では、たいていが失敗している。
買いたい魅力も無く、余剰マネーも世界に無く、技術が陳腐化した現在、注入を断てば即倒産、
解体されて更地は確実でしょう
産業革新機構の最初の大きな汚点になる公算大
今止めても数年後に止めても変わらない判断かと
今止めるとハイテク系の材料メーカも消えて、
東芝四日市以外は国内からハイテクが消える
そういう事態も連鎖的にはあるかと
中国の政変が近いと考えれば今止めるは愚策かも
買いたい魅力も無く、余剰マネーも世界に無く、
注入を断てば即倒産、解体されて更地は確実の感
産業革新機構の最初の大きな汚点になる公算大
今止めても数年後に止めても変わらない判断。
今止めるとハイテク系の材料メーカも消え、
東芝四日市以外は国内からハイテクが消える
そういう事態も連鎖的にはあり
中国の政変が近いと考えれば注入継続も一手
一年前の赤字予想は、四半期の、しかも営業損益です。2472億は最終損益なので全然違います。
通期でも営業赤字なので計画通りではありますが、計画通りに営業して赤字だすようならもう営業辞める=会社潰して資産切り売りしたほうがマシだと思います。
ご指摘ありがとうございます。本文を修正しておきました。
マイクロLEDのローコストプロセス技術と画面輝度均一化補正技術を確立すれば面白いのですが。
なお、マイクロLEDは70型以上がターゲットでしょう。この考え方は日本国内の常識ではなく、大富豪基準で考えないとダメですね。
ま、言うなれば日本規格の軽四(これでいい)と、国際規格のフェラーリ(これしかない)みたいなものでしょう。
さて、本題に戻るとMETIはエルピーダの二の舞を避けたいのではないでしょうか?
エルピーダは超円高と銀行団の資金剥ぎ取りにやられましたが、今は円安なのでJDIが沈むと日本の産業が沈んでいることになるので、METIはそれを避けたいのかな?と邪推します。
国防関連研究からのスピンオフが望めないこの国ではMETIが企業を支えるしか、R&Dの裾野も広がらないのかもしれません。
財務省に従う文科省のやり方だと優秀な研究者は大学に残らず企業に行く。METIはそういう方々が活躍できる場をきっちりとサポートしたいという考えでしょう。これもまた想像ですが。
とはいえ、ゾンビの長期保管とゾンビへの栄養補給はあまりいいことではないですね。
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