※ 最後に 【 訂正 】 あり
──
オスプレイ( V-22 )は、「従来型ヘリコプターに比べて、性能がずっと上だ」と言われる。たとえば、速度や航続距離がずっと上だ、と。しかしそこには、相当の嘘や誇張がある。
たとえば、最高速度は、Wikipedia では 「 556 km/h 」以上だと記してあるが、メーカー公式では 485 km/h である。
Max cruise speed - (MCP) Sea Level (SL), kts (km/h). . . . . . . . 262 (485)
と記してある通り。
【 修正 】
実はこれは 間違いではなかった。本項の最後に訂正あり。
また、Wikipedia では、「乗員数 乗員4名、乗客24-32名」で、と記してあり、CH-46E の「乗員3名 乗客25名」よりも多いように見えるが、実際には、
もっぱら使われる兵員輸送について言えば、V-22には兵士24人分、CH-46には25人分の座席があり、CH-46の方が1人分多いのです。
( → Spike's Military Affair Review )
ということであって、逆転してしまう。
また、積載能力については、
V-22は同じサイズのヘリコプターのペイロードよりも半分少ない荷物しか運べないので、1日にずっと少ない荷物しか運べません。
( → Spike's Military Affair Review )
とのことだ。
さらには、肝心の航続距離についても問題がある。オスプレイは長距離を飛ぶとき、固定翼モードで距離を稼いでから、(戦闘中の)目的地では回転翼モードで着陸する。(戦闘中の目的地には滑走路がないからだ。)
ここで、固定翼モードから回転翼モードに移る際には、らせん状に降下していくが、その際、敵軍の砲弾の餌食になりやすい。
基本的なヘリコプター任務は50マイル(80km)未満で行われています。こうした任務は航空機が8,000フィートまでらせん状に上昇して、着陸場所に降りてくるほど長くはありません。さらに、敵がいるかも知れない着陸地点へらせん状に降下して、敵にやって来る航空機を狙う十分な時間を与える者は愚かです。敵を驚かし、燃料を節約し、より早い進路転換を可能にするので、低高度を飛ぶ方がより早くて安全です。
( → Spike's Military Affair Review )
つまり、目的地の直前で回転翼モードに移ることはできないので、目的地のずっと前で回転翼モードに移る必要がある。そのあとは低高度で飛行する。しかし、そうなると燃料を馬鹿食いするので、あまり長い距離を飛べなくなる。
航続距離は「 3,590km 」とのことだが、これは空荷でのことだ。乗員や荷物をいっぱい載せれば、この距離は飛べなくなる。2500km ぐらいまで減るかもしれない。
一方、佐賀の基地から尖閣諸島までは、1076km もある。

つまり、往復で 2150km だ。となると、オスプレイが本土と尖閣諸島を往復するのは、ギリギリだ。作戦活動を考えると、十分とは言えない。作戦行動をしたあとは、たぶん、帰途は本土までは戻れず、途中の沖縄あたりで燃料補給をする必要がありそうだ。
また、それを勘案しても、尖閣諸島近辺で長時間の活動をすることはできないだろう。
──
実は、それ以前に、尖閣諸島に近づけるはずがない。敵軍が尖閣諸島を奪っているとしたら、その時点で敵軍は地上に地対空ミサイルを配備しているはずだから、地対空ミサイルの餌食になる。
また、そのときは尖閣諸島に戦闘機を飛ばしているはずだ。すると、オスプレイのようなヘリコプターは、敵の戦闘機の空対空ミサイルの餌食になる。
結局、飛んで火に入る夏の虫。オスプレイは全機が地対空ミサイルや空対空ミサイルで撃墜されてしまう。乗員が何人いようと、乗員はすべて撃墜されて死ぬので、乗員数には何の意味もないのだ。
この件は、前に述べたとおり。
→ オスプレイ導入の愚: Open ブログ
→ オスプレイを尖閣諸島へ?: Open ブログ
→ 自衛隊の離島奪回の演習: Open ブログ
──
結局、オスプレイの情報は、嘘や誇張が多すぎる。実際には、額面通りには受け取れないわけだ。そのことは、引用元のサイトで、他にもいろいろと記してある。そちらを読むといいだろう
→ Spike's Military Affair Review
【 関連項目 】
オスプレイなんかより、V-280 という機種の方がいい。この件は、前に述べた。
→ オスプレイに代わる小型機 V-280: Open ブログ
[ 付記1 ]
オスプレイが V-280 に比べて有利と言えるのは、ローター部分を小さくして(折り畳んだりして)、艦船にたくさん積めることだ。(艦載機として)
これは、遠隔地に艦船で運ぶ用途(米国海兵隊の用途)には有益だ。しかし他国を攻撃しない自衛隊には、無意味な用途である。特に、尖閣諸島の防衛には、何の意味もない。ヘリ空母のような艦船で運ぶなら、普通のヘリでも十分だし、 V-280 でも十分だ。(艦載機として運ぶのなら、最高速度や航続距離は意味がない。)
そもそも、オスプレイを大急ぎで尖閣諸島に飛ばしても、オスプレイだけで敵軍と戦えるはずがない。(対空ミサイルで撃墜されるだけだ。) だから、「オスプレイならば尖閣諸島に急行できる」という発想そのものがナンセンスなのである。
現場に急行するなら、戦闘機。本格的な大規模攻撃なら、艦隊。そのいずれかだ。(通常は、艦隊だ。)
オスプレイなんて、(オスプレイだけでは使えないから)あってもなくても、何の意味もない。(オスプレイだけで使うのでなければ、艦載機の従来型ヘリで十分だ。)
仮に(艦隊が到着する前に)オスプレイだけを飛ばして使うとしたら、撃墜されて、敵のミサイルを消費させることになる。つまり、敵の餌食になる。そのために 3000億円もかけるんだから、呆れるしかないね。
[ 付記2 ]
「ではオスプレイには何の用途もないのか?」
と尋ねられたら、
「そんなことはない」
と否定する。少なくとも、米軍の海兵隊の用途には役立つ。
たとえば、北朝鮮のどこかに上陸して、そこから急襲部隊を送り込む。これで核施設あるいは軍事基地を襲う。……この場合、どこを襲うかは事前にわかっていないから、北朝鮮は事前に地対空ミサイルを配備しておくわけにも行かない。これならオスプレイが地対空ミサイルで撃墜されることもない。きちんと役に立つだろう。
しかし尖閣諸島は違う。相手が尖閣諸島を占拠したなら、そこには必ず地対空ミサイルが設置されている。だからそこをオスプレイで急襲することはできないのだ。
つまり、オスプレイは、軍事的にはまったく無意味ということはないが、尖閣諸島を守るためには無意味なのである。
基本的には、長い航続距離を生かすことができるのは、攻撃の用途だ。オスプレイは、外国を侵略するためには有意義だ。たとえば、中国がこっそり尖閣諸島を奪うためには、中国がオスプレイを使うと有益だろう。(もともと尖閣諸島には自衛隊の地対空ミサイルが配備されていないからだ。)
「オスプレイは侵略のためには役立つが自衛のためには役立たない」
というのが、基本的な評価だ。それゆえ、自衛隊がオスプレイを買うことは、金をドブに捨てるのも同然だと言える。
( ※ 外国を侵略するつもりがあるのなら話は別だけどね。)
( ※ とはいえ、侵略や攻撃の用途だとしても、デカくて機動性の悪いオスプレイよりは、小型で機動性の良い V-280 の法がずっと優れている。価格も安いしね。)
【 訂正 】
最高速度については、調べ直すと、誤りではないと判明した。実は、どちらの数字も正しい。
・ 565km/h は、高度 4600m での数値。
・ 485km/h は、海面レベル での数値。
測定方法が違うので、違う数値になっただけだった。前者が誤りだということはなかった。
お詫びして、修正します。
※ 565km/h の数値の典拠は、Wikipedia 英語版 にある。
タイムスタンプは 下記 ↓
タイムスタンプは 下記 ↓
なぜ、横田基地に配備されたのかを考えると、オスプレイを使う場所がわかると思います。
尖閣諸島という答えにはならないはずです。
馬鹿正直にマスコミの情報を信じないことです。
防衛省がこれを欲しがったんですよ。特に、陸自が。海自と空自は予算がたっぷりあるのに、陸自は戦車ぐらいしかないから、高額の兵器を買ってもらいたくなって、オスプレイに飛びついたんでしょう。
陸海空の予算配分が陸自偏重になっていて調整ができていない、というのが根源。だから時代遅れになる。その一端がオスプレイなんていうクズ兵器に大金を払うこと。金を使うことが自己目的化して、兵力を考えていない。
あと、横田基地のは米軍だから、話の対象外。米軍基地は、もともと日本の防衛のためにあるんじゃなくて、中露に対抗することが目的なんだから、日本を守る自衛隊とは目的が異なる。
防衛省の公式見解:
「オスプレイについては、島嶼防衛能力の強化を図るために、陸上自衛隊への導入を図る」 平成29年5月19日
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2017/05/19.html
※ 尖閣諸島への言及もあり。
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朝日新聞の記事。
「尖閣諸島をめぐる中国との緊張が続くなか、防衛省は尖閣を含む南西諸島の防衛に活用できるとみる。」
http://www.asahi.com/special/futenma/TKY201212300266.html
──
次の記事もある。
「防衛省は、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での挑発活動を激化させていることなどを踏まえ、自衛隊に離島奪還作戦が遂行できる「海兵隊的機能」を持った水陸両用部隊を設ける方針だ。オスプレイは従来型の輸送ヘリコプターより速度2倍、搭載量3倍、航続距離4倍と機動展開能力に大きく優れている。普天間から尖閣諸島まで直行でき、離島奪還作戦での部隊輸送や、東日本大震災のような災害時の救援活動にも活用が見込まれる。」
https://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/131023/plt13102320330028-n1.html
──
上記のいずれも、防衛省の方針を示している。
素人なんですから、あたりまえですが。
そもそも制服組のリクエストではありません。
文民が軍人に買えと言った上意下達の産物です。
そんなこと言うわけがないでしょ。買うのは政府です。軍人が買うわけじゃない。軍人は「買ってほしい」と言うだけです。
予算執行の原理ぐらい理解しましょう。いくら知ったかぶりの素人だって、そのくらいは知っておいてほしい。
そのおかしなことが起こったんですよ。
当時の「陸上自衛隊長期防衛戦略」にはオスプレイの記載は有りません。
当時の玄葉光一郎外相の「安全性を訴えるために自衛隊も保有すべきだ」との提案を受けたものです。
あたしゃ騙されません。
https://www.huffingtonpost.jp/2014/07/10/ospray-2015_n_5576480.html
あなたの見解だと、民主党が安倍政権の方針を決めたということになるね。へえ。すごい。
私は、安倍政権の方針を決めたのは安倍首相だとばかり思っていたが、安倍首相でなく民主党が安倍政権の決定権を左右していたのか。ちっとも知らなかった。
──
ところで、あなた、
Posted by 管理人 at 2018年05月13日 16:27
の話を読んだの? ちゃんと証明となる記事があるでしょ。典拠が示されている。
ま、民主党も自民党も、どちらでもオスプレイ賛成派はいたし、それは事実だが、政治家が勝手に押しつけるわけには行かない。当の防衛省の賛意を得る必要がある。その賛意が、上記記事に記されている。ちゃんと読みましょう。
あとね。
Posted by 管理人 at 2018年05月13日 22:01
についても誤読していますよ。私は予算の執行権の話をしているんだが、理解できています? あなた、人の話を全然理解できていないでしょ?
文民が制服組に押し付けたことに変わりはありませんから。
なぜ「陸上自衛隊長期防衛戦略」に記載がなかった理由がわかりますか?
不採用だったからです。
当時の枠組みでは必要がないんです。
ですから、「オスプレイなんて不要」という管理人さんの感覚は正常なんですよ。
まぐれ当たりですけど。
言っておきますが、素人云々は「オスプレイを使う場所」についてです。
あれだけヒントを与えていてわからないのですから、やはり素人でしょう。
>そのおかしなことが起こったんですよ。
>文民が制服組に押し付けたことに変わりはありませんから
上記のように言いきれる根拠(典拠)が知りたいですね。もう少々、詳しくご説明いただけると幸甚です。
普通のおっさん氏の主張がたぶん分かりました。
確かにマスコミや政府の発表を鵜呑みにしては思いもよらなそう。グーグル先生を使って、事実を検証するよい思考訓練になりそうです。
鳩山由紀夫氏が退陣した理由を細かく詰めていくと、たどり着くかもしれないですね。
そもそも武器の採用の選択権は、文民にあるのであって、制服組には何の権限もありません。制服組は作戦の実行をするだけであって、武器の購入を決めるのは(防衛省中枢の)文民です。
制服組が決めると思っているのは、勘違いでしょう。
そもそもあえて「文民」という言い方をしてるのだから、ここに意図があるのでは。
横槍失礼ですし、解釈が違ってるかもしれないので、まあこの辺りで。
負けず嫌いの管理人さんは、制度論に話をそらしたいんでしょうが、不毛なのでやめましょう。
兵器を使うのは内局の官僚ではなく、制服を着た自衛官ですからね。
通常は、兵器の調達には「制服組」の意見も反映されます。
軍人はロボットではありませんからね。
頭のおかしな奴らですな。