日産のハイブリッド車である e-POWER は高速燃費が劣ると言われるが、本当か?
──
日産のハイブリッド車である e-POWER は高速燃費が劣ると言われる。
普通の自動車は、
エンジン → 車輪
というふうに直結ふうにエンジン出力が車輪に伝わる。
しかし、このハイブリッドは、
エンジン → 発電機 → モーター駆動 → 車輪
という過程を取って、エンジンの出力を車輪に伝えるので、途中の
→ 発電機 → モーター駆動
というところで、余計なことをするせいで、ロスが生じるからだ。数字で言うと、エンジンで発生した出力の 85%ぐらいしか、車輪に伝わらない。残りの 15% ぐらいは、電気的なロスによって、消えてしまうわけだ。(正確には、熱になって無駄遣いされる。)
それでも、市街地ならば、エンジンが稼働したりしなかったりするので、余計な無駄が発生しないので、全体としては効率がアップする。
一方、高速道路ではエンジンがかかりっぱなしだから、そういうことはできない。単にロスの無駄が発生するだけだ。
このことから、「日産のハイブリッド(シリーズ方式)は、高速燃費が悪い」と評される。
──
しかし、である。これは、パラレル方式のハイブリッドと比較した場合の話だ。
一方、普通のガソリン車と比べた場合には、「燃費が悪い」とは言えないはずだ。理由は下記。
・ エンジンが小さいので、フリクション・ロス が小さい。
・ エンジンが休止中には、ポンピング・ロス が発生しない。
・ ミラー・サイクル なので、熱効率が高い。
これらの点で、ガソリン車よりも大幅に燃費がいいはずだ。たとえ 15%のロスが電気系で発生したとしても、エンジンではロスが少ないので、トータルではガソリン車よりもずっと燃費がいいはずだ。
──
そう思ったので、調べてみたら……
案の定でした。日産のセレナ e-POWER は、ガソリン車よりもずっと高速燃費がいい。また、他のホンダやトヨタのハイブリッドに比べても、少し劣るぐらいで済む。
というわけで、「 e-POWER の高速燃費はいい」と評価できるだろう。
──
実は、私は前に、次の趣旨を述べた。
「 e-POWER の高速燃費を良くするために、エンジン直結できる1段変速の変速機も使えるようにした方がいい」
→ 次のハイブリッドは?: Open ブログ
これは、部分的なパラレルとも言える。これなら、盤石であり、いっそう高性能になる。
とはいえ、システムが複雑化するので、コストもかなりアップしてしまう。高速道路を多用する人には便利だろうが、市街地をメインに使う人にとってはコストアップ分を燃費で回収することはできそうにない。
となると、あえてこういう複雑なシステムを導入する必要はなさそうだ。
結果的には、こう言える。
・ 市街地をメインに使うなら、e-POWER で十分。ときどき高速道路を利用する場合にも、特に高速燃費が悪いわけではない。
・ 高速道路をメインに使うなら、ホンダのハイブリッド(パラレル式のもの)がいい。コストはやや高額になるが、高速燃費が良いので、コストアップを回収できる。
・ トヨタのハイブリッドは、高速燃費がやや悪いので、ちょっと時代遅れかも。
なお、e-POWER には、抜群の加速性能や静粛性というメリットがあるので、高級車の感覚を味わえる。これはまた別勘定となる。
[ 付記 ]
セレナとステップワゴンとノアの比較では、自動車雑誌の評価では、ステップワゴンの勝利となるらしい。特に優れているのは安全性能とハンドリングらしい。
セレナは、単眼カメラの自動ブレーキが弱点となるので、総合性能では落ちてしまうようだ。
ま、このへんは、評価する人しだいかもしれない。読者が勝手にあちこちのレポートを読んで調べるといいだろう。
【 関連サイト 】
※ 加筆しました。
セレナとライバル車の燃費は、下記。
→ 日産セレナの実燃費を公開!高速では悪いのか?
車自体の比較・評価は、下記。
→ ライバルを超えたか!? 日産 セレナ e-POWER 試乗でわかった長所と短所
※ ただし、別評価もある。
→ 新型セレナe-POWERは弱点が見つからない 加速感あり、燃費良し、自動ブレーキも世界トップ
(ただしこの人の自動ブレーキ評価は、メチャクチャ。対歩行者性能ばかりを重視している。)
2018年05月01日
過去ログ
タイムスタンプは 下記 ↓
ちなみに某国民車は圧縮ロスがかなり小さくなっています。そのため大排気量高圧縮エンジンのようなエンジンブレーキが効きません。そういう意味では違うタイプの乗り物です。
高速運転は効率最悪になるし、
それに比べればe-POWERはマシだろね。
i-MMDステップワゴン、アコード、オデッセイは
いわば進化版e-POWERなのになんで日産の
ばかり注目が集まるんだろな(笑)
パラレル方式であり、ちゃんとしたトランスミッションが付いているので、コストアップになるからです。機構が複雑化する分もある。メリットは高速燃費の向上だが、そのために30万円も余分に払うか、という問題かな。
アウトランダーPHEVは、充電池がたっぷりとあるので、その分のコストアップもあります。最も高性能だが、最もコストアップ。
こういうコストアップ要因をすべて取っ払って、コスト安にして、性能については割り切ったのが、e-POWER です。性能より、商売上手ということかな。