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東大の食堂の絵が廃棄されたことが話題になった。
東京都文京区にある東京大学安田講堂前の地下食堂に飾られていた著名画家の大作が、3月末の施設改修に伴い、廃棄されていたことが、大学などへの取材でわかった。2012年に亡くなった宇佐美圭司さんによる4メートル角の作品だった。宇佐美さんの作品には数百万円の値を付けるものもあり、専門家は「絵の価値を知らなかったのではないか」と指摘している。
( → 東大、絵の価値知らず? 食堂飾った著名画家の大作廃棄:朝日新聞 )
ただしこの絵は、移設が可能な油絵ではなく、施設にくっついている壁画だ、と言われている。
→ 宇佐美圭司壁画処分問題 - Togetter
壁画なら、移設が不可能ではないにせよ、移設にはかなり手間取ることになりそうだ。(費用もかかる。費用が絵画の価値を上回ることもありそうだ。)
とはいえ、絵画に詳しい人の話では、あれは、タブロー(板絵やキャンバス画)であるらしい。なるほど。写真を見ると、周辺は曲面状になった木組みであって、コンクリの壁面ではない。
→ 東大、食堂飾った著名画家の大作廃棄:朝日新聞(画像)
とすれば、これは、コンクリや、しっくいの壁面に描いた壁画ではなく、それ単独で存在できるものだから、タブロー(板絵やキャンバス画)であると見た方がいいだろう。
で、油彩でないせいかどうかはともかく、軽視されて、廃棄されてしまったわけだ。
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ここで思い出すのは、モネの壁画だ。先のビュールレ・コレクションの最後には、モネの壁画があるが、対策であるにもかかわらず、当時は不人気で、買い手が付かなかったそうだ。(だからこのコレクションの所有者が、安値で購入した。)
この話は、会場の最後の解説版に記入してあった。
ネット上にも、いくらか情報が見つかる。(画像つき)
彼の死後、その趣旨を理解できるものが殆どいなかったがために買い手がつかずアトリエに残されたままだったそう。
( → 至上の印象派展 ビュールレ・コレクション : 美術散策の休日 )
モネが構想した縦2メートル、横20メートルを越す大壁画の一部分だ。
( → 「睡蓮、緑の反映」 モネ(クロード・モネ) | 世界の美術館 )
こちらは、壁画とはいえ、油彩による巨大作品だ。その意味で、壁に描かれた壁画とは異なる。(キャンバスに描かれたという意味では、タブローと言えそうだ。)
ともあれ、やたらとデカい壁画(みたいなもの:タブロー)というものは、油彩であろうとなかろうと、不人気になりがちであるようだ。
ま、だからといって、どうだというわけでなないのだが、「へえ」と思ったので、ちょっと書き留めておいた。
[ 付記 ]
東大の絵は、どうすればよかったか? 新しい食堂のコンセプトには合わないので、はずされたらしい。
→ http://utf.u-tokyo.ac.jp/files/400072969.p2-5.pdf
しかし、それならそれで、はずした上で、売却すれば良かった。それだけの知恵がなかったことが惜しまれる。設計者は、設計することだけを考えていて、既存の物をどうするかまでは、頭が回らなかったようだ。
率直に反省の弁を聞きたいものだ。

設計者はきちんとはずすように指定していたのだが、うまくはずせなかったらしくて、生協の側が勝手に廃棄処分にしてしまったそうだ。
東大が調査して謝罪の弁を出しているので、それを読めばわかる。(ググればすぐに見つかる。)
東京大学中央食堂の絵画廃棄処分についてのお詫び...
http://www.utcoop.or.jp/news/news_detail_4946.html
東大生協の審美眼は正しかったのかもしれませんね。
https://inartdata.com/2018/04/28/usami/
宇佐美氏の絵に価値があると思う方はまだまだチャンスです。
今のうちに買いあさって投機なり保護なりしましょう!