2018年04月16日

◆ 組織的なサッカーとは?

 組織的なサッカーとはどういうことか? パスをつなぐことではなく、連携することだ。

 ──

 先に、ハリル監督の解任について述べた。
  → ハリル監督の解任: Open ブログ
 その続きとなる話をしよう。

 ハリル監督のサッカーは、個人レベルの対決(デュエル)を主体としたものだった。それはあくまで、個人レベルのプレーを基本としていた。「個人のレベルを上げれば全体のレベルも上がる」という発想だ。
 そうは言っても、欧米人と日本人では基本的な体格差がある。ここで1対1のデュエルをやっても、勝てるはずがない。そこで「個人では勝てなくても、チームとして勝つ」というのが、日本の伝統的な方針だった。
 その基本は、次の二つだ。
  ・ 長距離の走行
  ・ 連携

 この二つを順に述べよう。

 (1) 長距離の走行

 日本人は体格で欧米人に劣る。こういう場合には、どうするといいか?
 その方法の一つは、長距離を走ることだ。体が大きいと、短距離の瞬発力には有利だが、長距離では有利とはならない。逆に言えば、小柄であっても、長距離の走行では負けない。
 そこで、サッカーで長距離を走行することで、相手チームに対して優位に立つことができる。つまり、長距離を走行することで、体格で劣るという点をカバーできるのだ。
 特に、フォワードが守備で貢献したり、プレスをかけてボールを奪ったりすれば、こちらが多大な走行距離を稼ぐ。
 こうして、走行距離が増えれば、ボール周辺に集まる自チームの選手の数が増えるから、結果的には、自チームの選手数が増えたのと同じ結果になり、数的優位を保つことができる。つまり、
   長距離の走行 ≒ 数的優位(ボール周辺で)

 という図式が成立するわけだ。
 これが、体格で劣る日本チームの取るべき戦略だ。
 ひるがえって、「デュエルで勝てるように努力しよう」というのは、根本的に間違った方針だ。それはいわば、魚に向かって「陸で歩けるように努力しよう」というようなものだ。そんな馬鹿げた努力をするくらいなら、魚は相手を水中に引き込む方がいい。
 戦いでは、自分が優位になる状況に相手を導くべきであって、相手が優位になる状況に自分が飛び込むべきではないのだ。

 (2) 連携

 組織的なサッカーとはどういうことか? パスをつなぐことか? そうではない。連携することだ。
 連携とは何か? 多くの選手が意思を共有して、全員で共同的な行動を取ることだ。いわば、チームが一つの生命体であるように、各選手が統一的な意思のもとで共同的に行動することだ。
 実は、これこそ、近代的なサッカーの特徴だ。その詳細は、下記に詳しく説明したので、そちらを読んでほしい。
  → 香川はなぜマンUで成功しなかったのか?: Open ブログ

 近代的なサッカーができるのは、ドルトムントだ。ここでは、個人の力量を越えた成果を、チームが上げることができる。チームはもはや個人の総和ではなくて、それをはるかに超えたレベルとなる。
 近代的なサッカーができないのは、(香川がいた時代の)マン・Uだ。モイーズやファンハールのような監督は、強力な能力をもつ個人を集めて、あとは個人の独立したプレーに委ねた。ここでは、各人が統一的な意思のもとで行動するということは、ほとんどできなかった。
 例外的に、それができたのは、香川とチチャリートだけだった。香川がゴール前にボールを放り込むと、まるでそれを予期していたかのように、チチャリートが飛び込んで、ゴールに向かってシュートした。これで見事なゴール! ……となるはずだったのだが、チチャリートは下手なので、いつもシュートをはずした。こうして香川の見事なアシストが何度も無駄に消えてしまった。 (^^);
 で、チチャリート以外の人は、頭が足りないので、香川の放り込むボールに飛び込むこともしなかった。ここでは、連携がまるでできなかったわけだ。

 連携が比較的うまくできたのは、ザッケローニ時代の日本だった。
 ハリル時代には、それはずっと少なくなってしまった。もともと連携をするという方針すらなかったようだ。こんなことでは、もともと体格の優れた欧米人と戦っても、勝てるはずがないのだ。
 近年の日本代表は、負けるべくして負け続けてきた、と言えるだろう。



 [ 付記1 ]
 欧州でも、体格の大きな北欧系のドイツ人に比べて、体格の小さな南欧系のスペイン人では、チームプレーを優先する傾向が見られる。
 スペインのバルセロナがその代表だろう。
   メッシ(170 cm)
   イニエスタ(171 cm)
   シャビ(168 cm)
 というふうに、小柄な選手が多い。
 では、彼らはなぜ優秀だったか? デュエルで勝利できたからか? 違う。デュエルという個人の対決で勝ったのではなく、チームで勝ったのだ。つまり、組織力で勝ったのだ。
 そして、その基本は、連携だった。連携とは? パスをつなぐことではない。パスで点を取ることだ。
 点を取れないままパスをつなぐことには、何の意味もない。しかし、パスをつなぎもしないで点が取れると思ったら、大間違いだ。……この違いを理解できないまま、パスを軽視する人が多いが、そういうふうにパスを軽視する阿呆は、ドリブルだけ見ていればいいのだ。

 [ 付記2 ]
 ついでだが、ドリブルがうまいのは、アザールだが、たいていは、途中で止められてしまう。たまに劇的に成功するが、途中で止められることの方が多い。
 一方、香川の魔術的なアシスト・パスは、途中で止められることがほとんどない。








 


 【 関連サイト 】

 → ダバディだけが知る本当の「ハリル」
 → 岡田武史とザックにあってハリルに足りない、日本代表監督の「資質」
 → ザッケローニ監督の誰よりも強い日本愛と覚悟
 → ザッケローニ 日本好き 日本大好きと公言

   ̄ ̄
 → 香川真司選手のアシスト未遂集がマンUサポーターの間で話題
posted by 管理人 at 23:58 | Comment(5) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
別の記事でザッケローニはジーコ的サッカーを目指していたとあったが(現在ではその箇所は削除されてるが)、本項では、組織的サッカーと記述されていますね。この記述の違いはなんでしょうか?
本項では、ハリルのサッカーを連携の少ないサッカーと指摘していますが、ハリルジャパンのキーワードとしてデュエルの他に速攻という言葉があります。
この速攻こそ連携が必要なプレーだと思うので、
>連携をするという方針がなかった
は言い過ぎだと思います。

さらにバルセロナを例に出していますが、
メッシやイニエスタやシャビはデュエルで勝利できる選手です。
現にメッシなんてボールが来たときしか動きません。
本項でいう管理人さんの連携という言葉とは正反対の選手です。
Posted by cool at 2018年04月17日 06:08
> 別の記事でザッケローニはジーコ的サッカーを目指していたとあった

 まさか。私はそんなことは言っていないですよ。そういうふうに言った、と勘違いして書いている他人のコメントはあったけれど。他人の勘違いに付いてまでは責任もてません。

> メッシやイニエスタやシャビはデュエルで勝利できる選手です。

 それはそうだけど、デュエルで勝利できない場合にはどうするか、という話をしているのであって、デュエルで勝利できる場合の話をしているわけじゃありません。

> 本項でいう管理人さんの連携という言葉とは正反対の選手です。

 まさか。イニエスタやシャビがうまいアシストをできるから、メッシは独走できる。連携がなかったら、イニエスタやシャビからメッシに至る途中でパスがカットされてしまう。パスが届かなければ、その先がいくらうまくても無意味になってしまう。
 あなた、バルセロナのサッカーを、「パスがうまいだけ」とか「個人技がすごいだけ」だと思っているんじゃないの? 認識が根本的に誤っている。
 かつて世界のチームがバルセロナのサッカーを目指したというのは、「個人技の優れた天才的な選手を集めようとした」ということではありません。チームプレーをめざしたということです。
 なお、メッシ個人についていえば、守備面ではチームプレーをしないが、攻撃面では連携ができています。さもなくば、パスが届くはずがない。
 また、メッシが守備をしないことは、(1) の長距離走行の話であって、(2) の連携の話ではない。あなたは話を混同している。
Posted by 管理人 at 2018年04月17日 06:25
 最後に 【 関連サイト 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2018年04月17日 06:26
現在、最も進化してるのはブラジルイレブン
バスケットのスクリーンプレイのような攻撃をしたりする
反則にならないようにうまく相手のバックスを制御して
スペースをつくるんだよね
さらに個人的にも優れてるから、日本チームは練習マッチで
手も足も出なかった
監督が変わってもマイアミの奇跡は起きないと思うよ
あれはまぐれだったんだから
Posted by 老人 at 2018年04月18日 13:02
> マイアミの奇跡

 それはブラジルに勝利することを意味するが、
 日本は今回の W杯でブラジルと同じグループなの? 
Posted by 管理人 at 2018年04月18日 13:15
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