2018年03月30日

◆ 東京五輪のボランティア

 東京五輪のボランティアは、ユニフォームぐらいが支給されるだけの無償奉仕だが、これは妥当か? 

 ──

 ボランティアならば無償奉仕が当然だが、これが無償労働の奴隷待遇に近いということで、批判する人もいる。

 また、地方から来るボランティアに、交通費や宿泊費を支給しないということで、「各人の持ち出しにするのはけしからん。必要経費ぐらいは払え」という批判もある。たとえば、朝日の記事で紹介された声だ。
 「渡航費が自己負担なのはひどすぎる」「ブラック企業の論理と同じ」などの声も上がった。
( → 五輪ボランティア 11万人、手当なし「来てくれるか」:朝日新聞

 一方で、「リオ五輪では無償で通訳のボランティアやったが、有益だった」というふうに感じる学生の体験談もある。同じ記事には、こうある。
 この春、東京外国語大を卒業した池田康太さん(23)は、リオ五輪にボランティアとして参加した。カヌー・スラローム会場で、銅メダルを取った羽根田卓也選手に取材する海外メディアに対し、通訳のサービスをした。
 東京大会は社会人3年目の夏に迎える。「またやりたいけど、そんなに休みをもらえるかわからない」。

 では、賛否両論があるなかで、私はどう評価するか? 

 ──

 これは、基本的には、「市場原理に任せていい」と思える。つまり、こうだ。
  ・ 待遇に不満のある人は、応募しなければいい。
  ・ この待遇でもいいという人だけが応募すればいい。
  ・ 不満のない人だけで応募の枠を満たせるのであれば、問題ない。


 これはどういうことか? わかりやすく言うと、こうだ。
  ・ 地方の人は来なくていい。東京近辺の人だけでいい。
   (だから交通費も宿泊費も払わない。)
  ・ 仕事のある社会人は来なくていい。無職の人だけでいい。
   (具体的には、学生と、専業主婦と、退職老人。)


 つまり、学生と、専業主婦と、退職老人というふうに、もともと遊んでいる人が、無償奉仕で勤めればいい。これは仕事ではないのだ。もともと遊んでいる人の、時間つぶしの一つなのだ。で、そういうふうに遊んでいる人が、ものすごくたくさんいるから、それでボランティアはまかなえるわけだ。
 一方、有職の人で、「仕事を休んでもボランティアに参加したい」と思う人もいるだろうが、そういう人は、有休を取って、遊びのつもりでやればいい。その場合も、遊び半分なのだから、(五輪からの)金は支払われないわけだ。

 なお、「これはブラック企業と同じだ」ということにはならない。ブラック企業の場合は、無給にしたあとで、本来払うべき給与を、経営者の懐に入れる。つまり、私腹を肥やす。しかし、五輪の場合は、無償ボランティアがあったからといって、誰かが私腹を肥やすわけではない。強いて言えば、日本人全体が利益を得る。それだけのことだ。(真の意味のボランティアに近い。社会全体への奉仕だ。)

 ──

 ただし、一つだけ、注意点がある。食事の提供だ。これは、どうなるか? 
 リオ五輪では、選手村と同種の料理が、一定量のランチ・セットとして、無償提供されたそうだ。おいしくて、好評。
 スタッフへは、ホットフードと呼ばれるメインディッシュ付きの食事が準備される。ちなみにこの食事は選手に提供されるものと、さほど変わらないと選手村で働くボランティアから聞いた。品数などは選手用の食事の方が少し多いが、同じケータリング会社を利用しているため、同じ料理もあるのだそうだ。味の好みはあるだろうが、ロンドンオリンピックでもボランティアをした私のチームは「ロンドンよりはるかに美味しい」と話していた。
( → 五輪ボランティアの低待遇とリタイアの多さは本当か | マルチリンガル・新条正恵のリオ五輪ボランティア日記画像あり ] )

 一方、韓国の冬季五輪では、高くてまずいと不評だった。
約2週間後に迫った平昌五輪のボランティアが、食堂の酷いメニューについてSNSに投稿し話題になっている。
23日、Instagramに平昌五輪で提供されるというメニューが掲載。投稿者は平昌五輪のボランティアと名乗っており、メニューの品質の割りに高いと怒りをぶちまけている。
写真にはご飯とキムチ、サンマと肉の炒めもの、そして使い捨ての皿にスプーンなどが載っている。このメニューで8000ウォン(約800円)だったという。
( → 2週間後に迫る平昌五輪の食事が酷いと話題に 完全に残飯レベル | ゴゴ通信

 そのせいか、ボランティアが大量離脱したそうだ。
 移動のバスの到着まで長時間待たされるなど、勤務環境の悪さから2千人超のボランティアが大会を離れた。同会長は「交通サービスが不十分で、食事なども宿舎によって差があった」と謝罪し「改善のために最善を尽くしている」とした。
( → 【平昌五輪】ボランティア大量離脱を大会組織委が謝罪「交通が不十分で食事も差があった」 - 産経

 要するに、待遇がよければ人は来るし、待遇が悪ければ人は逃げる。交通費や宿泊費は出さなくとも、食事ぐらいはまともに提供すれば、ボランティアは集まるのだ。有職ではない人を中心に。
 というわけで、こうなる。

 結論。

  ・ 交通費や宿泊費は出さなくともいい。
  ・ 食事ぐらいはまともに提供しろ。


 なお、人が足りない部門があれば、待遇を改善すればいいだろう。(通訳や技術者などの専門家部門。)
 つまりは、すべては市場原理で片付ければOK。需給調整は、市場原理でやるのが最善だ。

 《 注記 》

 待遇が悪いと、大量の離脱者が出るだろうが、そうなっても、ボランティア相手では、文句が言えない。その意味でも、待遇を悪くしないことが大切だ。
 あとで「ボランティアが大幅に不足している」「採用したボランティアが大幅に逃げ出した」なんていう騒ぎにならないようにしよう。



 [ 付記1 ]
 もっと重要なことがある。次の点だ。
  ・ 暑くて熱中症の危険があるので、対策すべし。
  ・ 水分補給と塩分補給を、十分に提供すべき。
  ・ 肉体労働勤務には、米飯の食べ放題にすべき。生卵も。
  ・ 帽子もまともなものを提供すべき。


 対策すべきことは多いようですね。お金の問題より、ずっと大切だ。下手をすると、ボランティアが死ぬ。

 [ 付記2 ]
 ちなみに、五輪の都市ボランティア(観光ボランティア)のユニフォームはこうだ。
  → 東京五輪 都市ボランティアのユニフォームと帽子(画像)

 これは駄目ですね。
  ・ ユニフォームは男女兼用なので、男物だけだ。
   女性にはまったく適さない。(幅がだぶだぶだ。)
  ・ 帽子は、色は黒くて過熱するので、駄目だ。
  ・ 帽子は、ツバが小さすぎて、顔の日焼け防止ができない。
   (女性にはまったく適さない。)

 
 なお、大会ボランティアが8万人で、都市ボランティアが3万人とのこと。
  → 11万人、みんなの五輪 ボランティア愛称、東京も - 毎日新聞
 大会ボランティアの方が主流だが、そのユニフォームはまだ公開されていないようだ。もしかしたら、都市ボランティアのユニフォームを転用するのかもしれないが、そういう話も出ていないようだ。情報不足ですね。
 「ボランティアにはユニフォームを支給する」とは言っているが、それがどんなユニフォームかを示さないのだから、いい加減すぎる。
  → 東京2020大会のボランティア募集(公式サイト)
  → 都市ボランティア募集(東京都・公式サイト)

 ※ いずれも現状では「案」の状態。正式決定はあとで。

 [ 付記3 ]
 リオ五輪は、冬に行われたし、気候は快適だった。ロンドン五輪も、暑くはなかった。
 ところが東京は、熱帯よりも暑いと言われるほど、蒸し暑い。熱中症の人が続出する危険がある。データもある。
  → 歴代オリンピック開催地の気温比較

posted by 管理人 at 20:49| Comment(5) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あらゆるイベントには保険をかけると思いますが、東京五輪の保険は他と比べてどうなんですかね? 高温多湿、ヒートアイランド、交通渋滞、地震(→津波)……そこにボランティア頼み、と考えると他の場所よりかなり高くなってもおかしくない。それまで含めて考えないとまずいのでは。
Posted by Noname at 2018年04月01日 22:37
 保険をかけるのは、支払い能力のない主催者の場合。その弱みにつけ込んで、保険会社がたっぷりと利益を得る。
 国の場合は支払い能力がたっぷりとあるんだから、莫大な保険料を払うよりは、実際の損害に補償するだけの方が、お得です。保険会社にサヤ抜きされないで済む。
 払う保険料の分で安全対策をする方が利口です。

 ちなみに、自転車の盗難対策の金というのも強制的に取られるが、こんなのを払うよりは、盗まれるリスクを負う方が、ずっとお得。
 がん保険も同様で、加入しない方がずっとお得。
 
Posted by 管理人 at 2018年04月01日 23:42
まぁ「たっぷりした支払い能力」のある国とか東京都が、どれくらいボランティアの万一のことを考えてくれるのか、わからないと思いますけどね。少なくともその心算を量的に示すくらいはしてもいいのでは? たぶん「好きでやったんだろ?」とかいう話になって、保証の優先順位は低そう。
Posted by Noname at 2018年04月02日 23:39
 東京都の五輪予算は2兆円以上。
  https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20180127/k00/00m/040/155000c

 死者が出たとしても2億円ぐらいなので、補償をケチるはずがない。実際には死者が出るはずもないし、ケガ人で十万〜百万円ぐらいだろう。ケチるはずがない。

 東京五輪の問題点は、お金がなくて困っていることではなく、ありあまるお金をやたらと浪費することなんです。しかもその財源は借金です。
 ※ 東京都の年間収入は5兆円あまり。
    http://www.tax.metro.tokyo.jp/tokei/yosan_h20.html
Posted by 管理人 at 2018年04月03日 00:43
 リオ五輪についての情報。体験記。

「仕事中の食事に関しては、1日1回提供されます。それと会場へ通うために公共交通機関を使えるプリペイドカードが支給されました。」

 http://news.livedoor.com/article/detail/13778819/

Posted by 管理人 at 2018年04月07日 13:19
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