2018年03月29日

◆ 太陽光発電による環境破壊 2

 太陽光発電の設備を、山林を切り開いて設置することで、環境破壊(自然破壊)をする……という本末転倒。

 ──

 環境を改善するために太陽光発電をするはずだったのだが、太陽光発電のために山林を切り開こうという金儲け主義のせいで、かえって環境破壊(自然破壊)になってしまう、ということが起こっている。
 岡山市北区の足守地域を流れる足守川の一帯には、野生のホタルが生息する。
 この地域を囲む山林を切り開き、出力6万キロワットの太陽光発電所(メガソーラー)をつくる計画がある。
 事業者は、約 186ヘクタールの用地のため山林を造成するという。山の保水力が落ち、雨水が流出することで、ホタルの幼虫のエサとなる貝類が減ることを心配する。
 守屋勉さんが心配するのは、土砂災害や水害だ。開発予定地の周辺は、台風や大雨でたびたび川がはんらんしている。およそ 100年前には、守屋さんの祖父も、土石流にのまれて亡くなったのだとも聞く。「(造成で)山の保水力が低下して、下流にも被害が出るかもしれない」
( → 太陽光発電計画で摩擦 アセス義務化、事業の停滞も:朝日新聞

 地元住民の反発で、自治体が規制に動いたようだが、自治体任せで、政府はまともに行動してない。同じような問題が起こった自治体は多くあり、多くの自治体で規制に動いているが、環境省は自治体の動きを調べるだけで、自分の方では何も動かない。どうも、政府が太陽光発電という利権や事業に染まっているせいか、環境省は口出しできないらしい。(役所の存在意義がない、とも言える。)



 【 関連項目 】
 実は、これは、今回に限ったことではない。これまで何度か、本項で類似の事例を指摘した。(山林破壊とは別の例。)

 → 太陽光発電は環境破壊: Open ブログ
   これは、緑地を減少させる例。

 → メガソーラーの自然破壊: Open ブログ
   これは、湿地の破壊という例。

 → 太陽光発電による環境破壊: Open ブログ
   これは、池と草地の破壊という例。

 というわけで、山林以外でも、あちこちで自然破壊をどんどんやらかしているわけだ。(なぜなら、そうすれば政府が多額の補助金を出してくれて、儲かるからだ。政府の補助金による環境破壊。)



 [ 付記1 ]
 「では、どうすればいいか?」という疑問には、「田畑をつぶせばいい」と答える。
 どうせ遊休している田畑は、日本中にたっぷりとある。特に、電力需要の多い関東地方には、大量の田畑が余っている。そこを使えばいいのだ。
( ※ 一方、東北や中国地方や四国などには、平野部はあまりない。平野部がたっぷりとあるのは、関東と北海道と名古屋近辺だけ。Google マップ で衛星写真を見ればわかる。)





 では、なぜ、田畑(特に休耕田)をメガソーラーに使う、ということをしないのか? それは、農水省が「太陽光発電への農地転用」を制限しているからだ。近年ではいくらか緩和されたとはいえ、まだまだ制限は残っている。
  農地への太陽光発電設備設置は農地法で規制されてきた。食料供給の基盤である優良農地を確保する目的だった。だが再生可能エネルギー促進の観点から、農林水産省は2013年3月末の通知で、太陽光パネルを設置する架台の支柱基礎部分を農地の一時転用許可の対象とする条件付き規制緩和に踏み切った。
 条件は(1)太陽光パネルを支柱付きの架台に設置する(2)農業を継続し、営農状況を毎年報告する(3)原則3年での認可更新(4)農作物収穫量が地域平均の2割以上減少しない――など。市町村の農業委員会が審査する。
( → 農地と太陽光発電(1)条件付きで規制緩和 地代不要なら利益 :日本経済新聞

 あまりにも条件が厳しくて、これでは普通の事業者は太陽光発電が不可能だ。
 かくて、平野部での太陽光発電が認められないので、仕方なく、山林を破壊するわけだ。
 政府としては、「荒れはてて草ぼうぼうの耕作放棄地で太陽光発電をするのは禁止だが、山林や湿地などの重要な自然を破壊して太陽光発電をするのは認める」という方針を取っていることになる。
 あまりにも馬鹿げた方針なので、「環境破壊を許すな」という地元住民や自治体の声で、かろうじて規制を施している、というありさまだ。
 「ベンチがアホだと野球がでけへん」
 と言ったピッチャーがいたが、地元住民も似た心境だろう。
 「政府がアホだと……」
 という感じ。

 [ 付記2 ]
 実を言うと、記事で示されている岡山市は、中国地方では珍しく、広めの平地がある。そこには大量の田畑がある。





 だから、こういうところにメガソーラーを設置するのなら、何も問題はない。なのに政府はあえて山林の破壊を推進する。そのために補助金を出す。何やっているんだか。
  
 [ 付記3 ]
 ついでだが、朝日新聞は、どうか? 記事の趣旨は、「山林破壊に反対する」という住民を擁護しているように見える。
 だが、記事の後半では、事業者寄りの姿勢を見せている。
 (自治体による環境アセスメントは)手続きが煩雑で手間がかかるため、太陽光発電の普及自体を妨げる心配もある。ある事業者は「調査だけでも最低1年以上かかり負担が大きい。アセスが必要な場所では事業はしない」と打ち明ける。
( → 朝日新聞

 と記している。つまり、
 「太陽光発電を推進するのはエコだから、山林破壊を許容しましょう」
 という立場だ。呆れる。
posted by 管理人 at 23:59| Comment(12) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中国が日本各地の山(土地)を買い占め始めていることも注意を払う必要があります。
保水能力がある広葉樹を根こそぎ伐採してギガソーラーを建設されたり、伐採しないまでも、利水権を奪われて、中国から法外な値段のミネラルウォーターを買わされることになりかねません。
Posted by 菊池 at 2018年03月30日 07:31
こちらでも中国資本によっていくつかの山が切り開かれました。急斜面に無理やり設置したようなところもあり恐ろしいです。
また南側の山裾が町境であったりすると土砂災害を被る可能性のある地域住民に何ら説明の無いまま設置された事例もあるようです。
山は所有者が相続によって地元住民ではなくなる事が多く、また簡単に売れるモノでもありませんから中国資本とはいえ渡りに船と売却する気持ちは理解できますが、里山は死にゆくばかりです。
有効活用しない、あるいはできない我々に責任があると言われれば、それはその通りなのですが。
Posted by 暇な人 at 2018年03月30日 08:23
管理人さんの問題提起のおかげで見えてくる問題がいろいろとあります。いつもありがとうございます。

地元の筑波山でもメガソーラー発電計画がありましたが、種々の反対活動により計画は頓挫したようです。

調べていくうちに中国資本による土地買収の問題が見えてきました。すでにコメント欄にもでてますね。活用されていない土地に対して外国資本が金を出してくれるのは一見してありがたいようですが、不安があります。何が問題なのかもう少し考えてみます。
Posted by 大学生 at 2018年03月30日 11:37
 筑波山のメガソーラーについては、下記に記事がありますね。
  → http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017082202000112.html
Posted by 管理人 at 2018年03月30日 18:27
太陽光発電は本当に現段階で普及すべきものではないですよね。
仮に農地に設置したとしても除草剤をまくので緑地減少は勿論、除草剤による環境の悪化もあります。
太陽光パネルの製造に有害物質も使用され、その処理方法も解決されていません。
それを国内で処分する場合、処分方法は曖昧な線引きにされているためザルで、海外へ中古パネルを輸出した場合海外に有害物質が蓄積します。
建てても最悪、処分しても最悪。
原発と構造がほぼ同じで、現段階の太陽光発電は全くエコではないと私も思います。
Posted by カキ大好き at 2018年03月30日 21:42
政府から見て遊休農地に見える場所が、遊休地でないというケースもありました。

数十年前にアジアの某国で実際に起きたことです。

首都の国際空港発着枠がパンクしそうだったので、首都圏に第2国際空港を作ろうと企画しました。
最初は湾をはさんで反対側の埋立地を予定したのですが、その場所にいた製鉄所が猛反対しました。
そこで、平地に作る第2案で進めました。
官僚の発想では、「減反補助金を申請している農家など、土地を買い上げてやれば喜ぶだろう」ということでしたが、実際は減反補助金を受け取っている場所でピーナッツやスイカを栽培していた高収益農家ばかりで猛反対にあいました。安保闘争が終わって存在意義を失っていた左翼過激派も巻き込んで大騒ぎになりましたとさ。
Posted by 名無しの通りすがり at 2018年03月30日 22:21
 耕作放棄地は毎年どんどん増えていて、最近では 40万ヘクタールを上回っている。

  https://www.nikkei.com/article/DGKKASGH13H08_Z20C15A7EA1000/
  http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/2030tf/281114/shiryou1_2.pdf

  40万ヘクタールは、日本の国土全体の1%ぐらいで、日本の平野部全体の 10%ぐらい。ずいぶん大きな値だ。
Posted by 管理人 at 2018年03月30日 23:17
カキ大好きさん

>太陽光パネルの製造に有害物質も使用され

具体的にどんな有害物質?太陽光パネル特有のもの?初耳なので教えてください。
Posted by はらへり at 2018年03月31日 09:34
はらへりさん

カドミウムやテルル、鉛など色々です。
おそらくネットで調べる程度でも出てくると思いますよ。
Posted by カキ大好き at 2018年03月31日 21:32
>カドミウムやテルル、鉛

ご教示ありがとうございます。でも鉛を原発と同じ扱いで危険とみなすのであれば、全ての自動車に搭載されている鉛蓄電池などは問題ないのでしょうか?太陽光パネルに含まれる鉛の何万十倍、何百万倍も日本国中に存在し、その一部は自然環境の中に打ち捨てられて、川や湖、地下水などを汚染していると思われます。カドミウムも今は少なくなりましたがニッカド電池に大量に含まれており日本国中に古いものが存在しています。どこの家庭にもニッカド電池の一つや二つはあり、知らないうちに腐食し生活環境を汚染しているのではないでしょうか?
Posted by はらへり at 2018年03月31日 22:14
はらへりさん

鉛やカドミウムのみを問題視しているわけではなくパネルの製造から設置、処理など全工程とそれに伴う影響すべても問題視しているのです。
ご自身でよく理解されておられるようですが、太陽光パネルも鉛蓄電池もニッカド電池も問題です。
Posted by カキ大好き at 2018年03月31日 22:35
コメント欄で中国の土地買収に関するものがいくつかありますね。
日本では他国よりも外国人が土地を所有することが容易なので、規制強化が必要でしょう。
中国政府が推奨する国外不動産買収は、農業、インフラ系の生産活動に関わるものが中心です。中国企業の農地買収が進むフランスを始め、各国で外国人の農地取得を規制する動きが見られます。
しかし管理人さんが提示しているデータにもあるように耕作放棄地が増え続けています。感情的に投資をはねのける規制ではなく、必要な投資を呼び込みつつ環境等の重要な利益が守られる規制が求められます。
Posted by Dブラウン at 2018年04月03日 07:01
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ