2018年03月21日

◆ 獣害とジビエ車

 獣害の対策で、ジビエ車(鹿などを処理する車)というものがある。これは、うまく行くか? 

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 獣害の対策で、ジビエ車(食用獣を一次処理して食肉にする特装車)というものがある。ジビエカーともいう。
  → ジビエカー(移動式解体処理車)のご紹介
  → ジビエカー(移動式解体処理車)とは | 移動式解体処理車
  → 「捕獲動物、その場で肉に」=ジビエ普及に移動処理車
  → ジビエ、利用拡大に弾み=移動処理車普及へガイドライン−厚労省

 これでうまく行くだろう……というのが、政府の目論見だった。実際、導入した事例もある。
  → 高知・梼原町「ジビエグルメの町」発信 全国初、専用車で解体

 しかしながら、上の記事では「車両の購入価格は2175万円で、55%は国の補助金でまかなった」のことだから、補助金漬けみたいなものだ。
 もうちょっと実用レベルではどうか? 「民間の事業者が負担して、自治体が補助金を出す」という案もある。神奈川家の例だが、県が1台分1500万円の補助金を出す仕組み。ところがこれが失敗した。
 《 「ジビエカー」の購入費支援、県が取りやめ 》
 農作物に被害をもたらす鳥獣を捕獲した後、すぐに新鮮な食肉(ジビエ)として処理するための「移動式解体処理車」の導入促進を目指していた県は、予定していた民間事業者への車両購入費支援をやめた。採算性の確保が困難なことがわかり、2017年度当初予算に計上していた1台分1500万円を減額補正する予算案を県議会に提案。20日に可決された。
 民間事業者がジビエカーを購入する場合、県が1台分1500万円の補助金を出す仕組みで予算計上していた。
 民間事業者の公募を開始して昨年5月、1社からいったん応募があったが、その後の検討の結果、販路の開拓やコスト面などから最終的に辞退していた。
 「飲食店や旅館などで食肉を使ってもらえなければ供給先がなく、現時点ではビジネスとして成立しない」と判断、支援を断念した。
( → 朝日新聞 神奈川 2018-03-21

 制度はあったが、応募したか医者がないので、「仏作って魂入れず」みたいなもので、制度が形骸化してしまった。
 そして、その理由は、「ジビエの食肉を提供しても、需要がない」ということだ。供給ばかりがあっても、需要がないと、ビジネスとしては成立しない、ということだ。

 とはいえ、有害獣を処理しないと、いろいろと問題が生じる。単に鉄砲で銃殺して、地面に埋める、というだけでは、処理のために何万円もの赤字が出るばかりだ。これでは困る。どうする? 

 ──

 そこで困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 まずは、原理を考える。
  ・ 食肉処理しないで埋めると、大幅赤字。
  ・ 食肉処理のために補助金を出すと、やはり赤字。

 どっちみち赤字が出る。それだったら、後者のために補助金を出す方がマシだろう。その意味で、「ジビエ車に補助金を出す」という方針は、間違っていない。ここで赤字を出しても、他のところで赤字が減るから、トータルではかえって赤字が減りそうだ。
 その意味で、ジビエ車を推進すること自体は、間違っていない。

 では、問題はどこにあるか? 需要がないことだ。その意味は、次の二点だろう。
  ・ ジビエは価格が高い
  ・ 需要が安定しない

 以下では順に述べよう。

 (1) ジビエは価格が高い

 鹿肉もイノシシ肉も、味はいいのだが、値段が高い。
  → Amazon 鹿肉
  → Amazon イノシシ肉

 値段が高いと、需要は減る。これは当然だ。
 ではなぜ、値段が高いのか? 鹿肉そのものは、捨てるのも同然だから、コストはほとんどかかっていない。むしろ、死体処理費用をもらってもいいぐらいだから、価格はゼロ以下のマイナスとさえ言える。(補助金をもらってもいいぐらいだ。)
 では、ゼロ以下の価格の肉が、どうして高値になるのか? それは、運搬費などのコストがかかるからだ。一般には、山中の奥地に死体が横たわっているので、それをジビエ車のある車道まで運ぶ必要がある。これはけっこう面倒だ。その分、コストもかかる。

 だから、このコストをなくせばいい。どうやって? それは、前に述べた。「一網打尽方式の罠」である。
  → イノシシの獣害対策: Open ブログ

 外国には実例もある。




 こうやって、多数の獣をおびき寄せてから、一網打尽で捕獲する。その状態では、まだ生きている。これを一頭ずつつかまえて、ジビエ車に運んで、食肉処理すればいい。
 いや、ジビエ車を使うまでもない。むしろ、まとめてトラックに乗せて運んで、近場にある食肉解体業者に任せればいい。この方式なら、普通のトラックをレンタルで借りるだけで済む。ジビエ車は必要ない。
 以上の方式なら、低コストで大量捕獲ができるので、コストは激減する。安く提供できるから、需要も増える。

 (2) 需要が安定しない

 需要が安定しないことについては、近場の旅館などと協定を結んで、全量引き受けをしてもらうことにすればいい。
 旅館としても、セールスポイントになるのだから、受け入れは可能だろう。(旅館の側は、安定的に客に出すために、冷凍処理してから、少しずつ使うのでもいい。)

 問題は、価格だ。価格が高いと、旅館としても受け入れがたい。これが現状だろう。
 しかし、上記の (1) の方法を取れば、コストは大幅に低下する。また、自治体からの補助金を出してもいい。これによって、
  ・ 獣害(農業被害)の減少
  ・ 有害獣捕獲の補助金の減少
  ・ 地元の旅館の振興策

 という三つが同時に達成される。一石三鳥だ。
 また、名目的・心理的なものだが、「食肉の有効利用」という倫理的な効果もある。
 
 ──

 結論。

 獣害対策でジビエ車を使う、という方針は、基本的には間違っていない。ただし現状の方式では、やり方がまずいので、推進できない。
 これを解決するには、
  ・ 一網打尽の罠
  ・ 地元の旅館への安定供給の協定

 という二つの方式を取ればいい。
 なお、一網打尽の罠を使えば、普通のトラックを使うだけで済む。その意味で、ジビエ車は必要ない。ただの運搬車をレンタルで使うだけでいい。これならコストも激安だ。
 
posted by 管理人 at 20:35| Comment(3) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
根本的な解決にはならないので、別の方法を考えた方がよさそうですね。

どうしても肉を売りたいのなら、販路を開拓するしかありません。
食べるのはメニューの価格を見る必要のない富裕層ですから、高級ホテル・レストラン・料亭を介してスマートフォンに連絡できるようしましょうかね。
Posted by 普通のおっさん at 2018年03月21日 22:47
> 食べるのはメニューの価格を見る必要のない富裕層ですから

 松阪牛みたいな高級品じゃありません。国産牛ぐらいの価格。貧困層は別として、中流家庭でも食べられる価格です。

 リンク先を見れば一目瞭然なのに、その手間を惜しんで、勝手に勘違いしたあげく、文句を言うんだから、困りもの。
 文句を言う人はたいていが、自分の勝手な妄想に依存する。 
Posted by 管理人 at 2018年03月23日 00:23
わたしは間引くしかないと思っていますけどね。

なんでも文句を言われていると妄想するのは勝手ですが、一言多いのは相変わらずですね。
Posted by 普通のおっさん at 2018年03月23日 07:25
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