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二つの記事を紹介しよう。
(1) 劣等生を救った家庭教師
生徒は、些細な点でつまづいて、先へ進めなくなっている。そこをきちんと見つけて、ちゃんと理解させてあげると、あとはどんどん先へ進めるようになったそうだ。
→ アホの子教えるのは楽しかった
どうも、よくわからないまま、自分はアホだと思い込んで、やる気をなくしているらしい。そこで、「わかった」というふうに感じさせると、閉じていた心が開いて、「もっとわかろう」というつもりになって、やる気が出て、自分でどんどん勉強するようになるようだ。
これはつまり、「チューブの一箇所が絞られていて、通りが悪くなっていた」という状態で、その「絞られた箇所」を修復するようなものだ。詰まっていたものが流れるようなって、以後は問題なく進展する。
なお、こういうことを組織的に進めるには、大教室では無理で、個別のマンツーマンの教育が必要だろう。公教育で導入するには、専用クラスで個別対策をするなど、手間とコストがかかりそうだ。それでも、それによって得られる効果は莫大なので、コスパを考えると、非常にコスパのいい投資だと言える。
教育への投資が必要だろう。(幼児教育の無料化なんかよりは、はるかにコスパがいい。)
(2) 劣等生ばかりを集めた会社
劣等生ばかりを集めた会社、というのがある。中卒の無知な素人を集めて、プログラムの教育をさせて、プログラマーとして働かせる、という会社。業績はひどいのかと思ったら、すごく好業績だそうだ。
→ (けいざい+)上 クズだって成功しようぜ:朝日新聞
→ (けいざい+)中 いまからウルトラマンになろう:朝日新聞
→ (けいざい+)下 愛とポリシーでオンリーワンに:朝日新聞
中卒の はみ出し劣等生だけでなく、障害者にもプログラムを委ねているそうだ。プログラムのほか、他の業務もいくらかやっているようだが、ともあれ、大事なのは「やる気」だけ、という方針で、中卒の はみ出し劣等生をいっぱい集めている。あまりにもすごいので、普通の大卒の人まで入りたがるようになったそうだ。
大事なのは「やる気」だ、ということかな。
[ 付記 ]
一方で、世の中で失業している人々の多くは、「やる気」がないようだ。たとえば、企業が採用の際に志望動機を聞く、という話がある。
→ なぜ志望動機に「お金」とか「休日が多いから」と答えてはダメなのか?採用担当者が考えてみた - Togetter
すぐにやめない社員を選ぶ……という企業の方針は、もっともなものだ。主たる観点は「やる気のある人を選ぶ」というものだ。
ところが、これを読んで、労働者の側から文句を言う人が多い。
Fushihara じゃあそう聞け。連想ゲーム押し付けるな
kyurinigate 言外の意味を察しろというのは採用側の逃げだと思う
( → はてなブックマーク )
こういう意見に「同意」の意を表する人が多い。つまり、「やる気で採用する」という方針には不満である人が多いわけだ。
世の中にはこういう人が多いのだから、「やる気」のある劣等生を選べば、成功するのはおかしくないわけだ。
劣等生のボトルネックは、些細な無理解であったが、失業者のボトルネックは、「やる気がない」という巨大な難点であるようだ。
無知は直るが、無気力は直りそうにない。
わたしは放課後、発達障害の子どもを預かるNPOに指導員兼ドライバーとして勤務しています
自閉症スペクトラムの症状の現れ方は多様で、自傷行為や他害、パニック障害、集中力欠如、多動、自分のペースでしか動けねい、空気が全く読めないなど、いろいろあります
しかし中には小学四年生なのに微分・積分を理解し、複雑系幾何学にも馴染んでいる数学の化け物がいたり、同じく小四でコンピュータ言語(いま学んでいるのはスクラッチなので、彼と相談して一緒にPaythonかC#に挑戦しようとしている子がいたりで、発達障害について。障害なのではなく、その子達に神様がくれたGIFTだと思うようになってきました
彼らも一面からだけ見れば劣等生ですが、強大な可能性を秘めている素晴らしい存在なのは間違いありません
それ以外の子どもにもポテンシャルとして何か突出した能力があるはずなので、その可能性を探り当ててあげることこそが自分たちの使命だと考えています
当然教える側にも知的にある程度の負担がかかりますが、それは全然苦労ではありません
ところが残念なことに、自分が理解できないことは見ないことにするような態度の職員がいて、施設のリーダーにわたしがおかしなことをしているとわたしがいないところで吹き込まれることがあり、そのような職員は漫然と学校の宿題を指導するだけ、みたいな人が多いように感じます
短所矯正は社会の一員として生きていく上でとても大切だと思います
でも彼ら彼女らが時間を忘れて取り組めることを見つけ出してあげ、初めはひたすら長所を伸ばしてあげることが導火線となって、自分という存在を肯定的に受け止められるようになれば、他のことは自然にできるようになるのではないでしょうか
この仕事に就いてからの2年間で、発達障害どころかダウン症の子どもたちでも1年前、2年前と比較して明らかに表情が明るくなり、自分の感情を素直に表すことができるようになり、その結果、抑圧由来ではないある種の感情面における静謐さを日に日に得ている子どもたちを見ていると、なんだかとても嬉しく思ってしまいます!
数学くんをお迎えに行くと、いきなり数を示され、素数かどうか尋ねてきます こちらも彼のために「正規分布と人工知能」について講義?すると目を輝かせて話に聞き入ってくれ、パニック障害など絶対に起こしません
本当に、どの子にも無限の可能性があることを痛感する毎日です
> できる子には「教える」、できない子には「一緒に考えてあげる」、これだけでだいぶ違うので、教育に携わる人すべてに覚えておいてほしい。
http://b.hatena.ne.jp/entry/360538244/comment/htnmiki
自信ってホント大事ですね。
ですね・・・・・・
私自身似たような経験をしました。特に大学受験の時はわかるところまでに立ち返って勉強することでその後の学習を容易にすることができ、目の前が一気に開けた感じがしたのを思い出しました。