──
自由や平等という概念がないがしろにされるだけでなく、生存に関する基本的人権さえないがしろにされている。それが日本だ。
その典型は、残業代ゼロ法案だ。電通の東大女子社員の過労死があったことさえ忘れたありさまで、全国民(労働者)を過労死させよう、というつもりらしい。
こんな法案を出したら、その政権は転覆するのが当然だろう。少なくとも、欧米ではそうだろう。しかるに日本では、この政権が大多数の支持を得ている。
→ 共同通信世論調査、内閣支持、微減の48% - 産経(支持率 48%)
→ 安倍内閣支持率51.0% FNN世論調査(支持率 51%)
→ JNN世論調査、内閣支持率5か月ぶりに50%割る TBS NEWS(支持率 49%)
→ 安倍内閣支持率、下落し48%…読売世論調査(支持率 48%)(最新)
支持率はいずれも 50%前後。不支持率は 39〜49%。同時に調査した裁量労働制の法案については、不評の声が圧倒的に多いのだが、それでも内閣支持率はとても高い。国民は、どれほど政府に首を絞められて殺されかけても、それでもまだ政府を支持する、というありさまだ。自分の生命を守ろうという意識すらないようだ。まともな人権意識があるとは思えない。
では、国民はそれほどにもマゾなのか? いや、そんなことはあるまい。仮に、これが民主党政権だったとしたら、国民は大反対の声を上げて、民主党政権をたたきつぶしただろう。
例が増税だ。民主党政権が増税の方針を出したら、国民は烈火のごとく怒り狂って、民主党政権への支持を激減させた。ところが、数年後に安倍政権が(民主党の出した)消費税増税を実施したときには、国民はちっとも怒り狂わなかった。8%に上がったときにも(諦めて)素直に従ったし、消費税が 10%に上がると公約をしたとき(先の衆院選のとき)には、国民は自民党に圧倒的多数の票を与えた。同じことをやっても民主党政権には大批判をして、自民党政権には大きく支持をする。
安倍政権では、どんなにひどいことをやっても、「民主党のときよりはマシだから」という理由で、免罪される。
ではどうして、こういうことが起こるのか?
──
ここで、話は戻るが、日本人の人権意識が弱いことについては、ときどき問題になる。そして、とりあえず回答も出される。
一つはこれだ。
→ 結局、日本人の「人権意識の低さ」ってどこから来てるの?
ここでは、「市民革命経てないからなしょうがないね」という回答が上がっている。つまり、「歴史的に市民革命がなかったこと」が、その理由となる。
もう一つはこれだ。
→ 日本社会で人権意識が低いのはなぜでしょうか? - 知恵袋
ここでは、上記の説のほか、いろいろ説が上がっているが、どれもはっきりとしないままで、理由は不明だ。
ついでに示すと、これも参考となる。
→ 「人権」が理解されない日本
ここで、とりあえず理由を考えると、次のこともいくらかは理由になりそうだ。
・ 日本人は、(人権の根源となる)倫理観が弱いからだ。
・ 日本人は、(人権よりも)金儲けが重要だからだ。
どっちも、もっともらしい理由だし、それなりに説明も付きそうだ。しかしそのどちらも、「日本人だけが」ということの説明にはなりそうにない。
そもそも、倫理観や金儲け意識に理由を転じても、その理由の根源が説明されていないので、理由を別の理由に転じているだけだ。
( ※ 比喩で言えば、未知数 x を 未知数 y に置き換えたようなものだ。単なる置き換えであって、何の解決にもなっていない。)
──
そこで私がまともな回答を示そう。こうだ。
「日本人の人権意識が弱いのは、個人の権利よりも組織が優先されるからだ」
これなら説明が付くだろう。実際、日本では
「個人よりも、組織が優先される」
ということは、しばしば見られる。この延長で、
「個人の権利よりも、組織が優先される」
ということが起こる。かくて、個人の権利である人権はないがしろにされる。
証明終わり。( Q.E.D. )
──
なお、「個人の権利よりも組織が優先される」と言うことには、理由がある。こうだ。
「日本では、平地が少ない割に、人口が多いので、人口密度がとても高い。そのせいで、共同体意識がとても高い」
その逆が欧米だ。平地がとても多いので、人口密度は低い。
また、農耕よりも狩猟をする時代が長く続いたので、共同体意識も大きくない。
また、農耕があっても、米作がないので、高い農業生産はなされず、人口もあまり増えなかった。ゆえに人口密度は高くない。
以上のような理由で、人口密度が高くなかったので、欧米では共同体意識も強くなかった。
ひるがえって、日本では、その逆だった。人口密度が高かったので、共同体意識も強かった。
ここで、共同体意識というのは、「村意識」と言ってもいい。同じ村の成員が固く結びつくような精神構造だ。
このような共同体意識については、歴史的な社会学で詳しく研究されているので、そちらの学術情報を調べるといいだろう。
たとえば、共同体についての基本的な名著は、これだ。
http://amzn.to/2oTV4PN ,岩波書店
http://amzn.to/2Fm1QVh
こうして共同体というものが形成され、その特質が日本人の精神構造を強く縛った。
その具体的な形は、「村意識」「村社会」という言葉で呼ばれる。
→ 村社会 - Wikipedia
ここでは具体的に詳しく記されているので、読むといい。少しだけ抜粋すると、こうだ。
・ 所属する「村」の掟や価値観・しきたりが絶対であり、少数派や多様性の存在自体を認めない。
・ "掟"に関与しない世間一般のルールやマナーは守らず、他者にも強要。無法状態と化している。
こういう社会的意識がある。そして、それが日本人の意識を縛っているから、その対極である個人的意識は抑圧される。それゆえ、個人的意識の発露である人権意識もまた、抑圧されるのである。
そして、そこからは「会社のために滅私奉公で貢献する」という方針も出る。こうして「サービス残業」や「残業代ゼロ」を美徳として受け入れたりするようになる。
──
日本人の精神構造がどういうものであるか、大局的に理解できただろう。そして、そのひとつとして、「人権意識の弱さ」があるわけだ。
つまり、日本人の「人権意識の弱さ」は、ひとつの特徴的な性質ではなくて、根源的にある広範な性質のうちの一断面にすぎないわけだ。
[ 付記 ]
自民党支持の人が多いのは、どうしてか? いくら政府に虐げられても、それでも自民党を支持する人が多いのはなぜか?
それは、長い間ずっと、自民党が政権に就いていたからだ。そのせいで、
お上 = 政府 = 自民党
という意識が、国民に刷り込まれてしまったのだ。(政権交替の少なさのせいで。)
つまり、「お上に従う」のは、「自民党を支持する」のと等価となってしまったわけだ。かくて自民党支持の人が多くなる。森友問題からして、安倍首相のひどさは歴然としているのだが、それでも政権は安泰である。民主党政権がこんなことをしたら、ひとたまりもないはずだが、自民党政権である限りは、悪をやっても国民の支持を失わないのである。
つうか無いに等しいね、中国は。
人口密度など環境に日本と共通した点を持つ他国の人権意識の程度との比較も気になるところです。
アジアはおおむね、人口密度が高くて、人権意識は低いようです。
倫理観については、宗教の違いが大きいのではないでしょうか
神道に戒律らしいものは有りませんし、戦後の左翼教育でほとんどの人が無神論者になってしまいましたからね。
白人のキリスト教徒と話していると、彼らは神の罰が怖くて悪いことをしないのだそうです。
「神がいようがいまいが、普通の日本人はすすんで悪事をしようとは思わんでしょうね」と言ったら、たいそう驚かれて「立派な人です」と言われました。
わたくし思うに日本人の行動規範は「美」なのではないでしょうか。
卑しいことは徹底的に嫌いますし、最大の侮蔑の言葉は「卑怯者」ですからね。
利に聡いのはそのとおりですが、運命共同体の利益を優先させると言った方が適当でしょうね。
地震や台風など自然災害の多い我が国では、一人では生きていけませんからね。
菊と刀。
西洋では罪の意識。日本人は恥の意識。前者は神へ。後者は? それは書いてなかったと思うが、たぶん共同体へ。
という見解が、ネット上にいっぱい見つかる。話題になったことがあるらしい。
ただしその根拠があやふや。自己流の勝手な統計調査を根拠にしているようだ。
また、「個人的」と分類されるべきことを「集団的」と誤って分類する、という事例も散見される。自己流解釈の押しつけ。
かくて、とうてい信頼ができない。
一方、「集団的だ」と示す根拠は、下記に見つかった。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1328984423
学校の、制服や規則でがんじがらめにする例など。
なるほど。これで話は片付いているようだ。
黒田喜夫、谷川雁、吉本隆明ですか
管理人さんは高校生の時 読んでないのでは 棟明郎しか知らないのでは
共同幻想論 読んだとき 解らなかった
三人で自衛隊10万人と対峙できることを
村の記憶 駆けてゆく蹄の内側 娘
付記に書かれたこと 親鸞は教えてくれてるじゃないですか
私たちの <生> あるいは死が 共同性との出会いであると
吉本死んで大分経ちますが 共同幻想 対幻想 自己幻想
そんなに古びてないかな 抑圧の歴史
解決策
「日本の裁判所が憲法を守ること」
これによって1票の格差が解消すれば( 1.2倍以下になれば)、民意が反映されるようになる。すると、自民党の支持が減ったときには、野党の政権ができて、政権交替が生じる。政権交替が生じれば、国民が自民党にべったりということもなくなる。つまり、日本に民主主義が成立するようになる。民主主義の成立する国には、人権意識も成立するようになる。
日本という国は、北朝鮮や中国と半分ぐらい似ていて、憲法が無視される非民主的な国なんです。国民の支持を失っても、自民党が延々と政権を取り続ける。東南アジアによくある、腐敗政治の国。
これを打破するには、裁判所が憲法を守って、法治国家になればいい。
それができないときには……
唯一の有効な策は、クーデターです。クーデターを起こして、裁判所と政権を転覆させて、1票の格差を解消した民主主義国家にすればいい。そのとき日本は近代国家に生まれ変わります。
明治維新のようなことがふたたび起これば、日本は真に近代化されます。(現状では半分ぐらい封建国家。)
>安倍内閣を「支持する」と答えた人の割合は、前の月より6ポイント減って、45.0%。「支持しない」と答えた人は、4.8ポイント増えて、43.8%だった。
https://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00386971.html
この状態で選挙があれば、政権交替が起こるかもしれない。しかし、1票の格差があるから、現実には自民党が僅差で勝ちそうだ。選挙制度のおかげで、自民党政権が続く。野党が勝つには、五分五分ではダメで、6:4ぐらいで優勢にならないと無理だ。それが今の選挙制度。
今景気がいいそうですが、当然それなりに税収が増えてて国債発行を減らすんですよね?自民党さんや。
中国人韓国人は個人主義的、日本人は集団主義とか言われますけど、むしろいざという時の行動みると反対じゃないかと思ってます。
喧嘩に個人主義と集団主義の区別が成立するとしたら、悪人という前提の上でのこと。
比例80削減なんてしなくてよかったですね。
おかげで延命できたのですから。
旧民主党の政治家は、「こいつら民主主義をわかってないから、俺が教育してやる」と選挙区の有権者を馬鹿にしていましたね。
アンチ国民のままでは、永久に与党には返り咲けないでしょう。
これは1票の格差を合憲の範囲で最大化しようというもので、1票の格差を1.998倍にする、という法案。党利党略もきわまれり。民主党が反対するのは当たり前でしょう。
民主党の要求は1票の格差をもっと大幅に減らせ、というもの。それに同意しない人がいっぱい いるから、日本はいつまでたっても民主主義が成立しない。
それすらも渋ったのが民主党では。
与党の間、死んだふりをして何もしなかったのですから。
それに最大化ではないでしょう。
そもそもが合憲の範囲を逸脱していて、違憲だったのですから。
かろうじて合憲に収めようとしたが正しい表現です。
手ぬる過ぎますがね。
「日本の裁判所が憲法を守ること」
全くその通りなんですが、憲法、司法が党の下にある中国と同様、彼らのように明文化はしてないものの実態としてそうなっている国ですからね。
裁判員裁判は殺人などの重大刑事裁判より先に、行政裁判に導入すべきだったと思っています。絶対潰されますが。
アメリカは歴史的経緯から、必要時に市民が武力クーデターを行えるようにという理念で市民による銃器の所持を憲法で認めていると理解しています。銃乱射事件で銃規制の機運が高まった際は、内政の行き詰まりで国民の不満が高まっているとみた政権が、武力クーデターを懸念して、銃規制に走るのではないかとの予想記事を読んだことがあります。
国内では共謀罪で対応してますが。
困った時のOPENブログ
その件は別項で詳しく解説しました。
http://openblog.seesaa.net/article/435849598.html
> 最大化ではないでしょう。
誤読。「合憲の範囲で最大化」です。
>最大の侮蔑の言葉は「卑怯者」
これはどうでしょう。神とは言いませんが、「お天道様」のような絶程的な善の基準があっての言葉と思います。
むしろ侮蔑の言葉は「(組織体に対する)裏切り者」ではないでしょうか。
日本は大陸のように正邪が尺度になりません
日本の尺度は「美醜」でしょうね
の存在を教えていますよね。ただ日本では大乗仏教の影響が強く、神道の神や釈尊、さらに
世界中の一神教の神々すら、「悟りを得た者」として共存できる(!)ので、日本人自身は無宗
教だと思い込んでいるだけです。
大乗仏教の「諸行無常」「中道」などの概念は、集団主義や恥の意識など、日本人の精神に大き
な影響を与えました。日本の治安は非常によい、忘れ物をしても手元に戻ってくる確率が高い、
他人に親切で差別意識が少ない、災害時でもモラルが失われることがないという特徴は、こうい
う日本人の精神に裏打ちされたものです。
日本人は人権意識が薄い?日本人の美徳と比べれば小さな問題でしょう。
悪い法律や制度は、少しずつ直していけばいいだけのことですし。
まぁ、モリカケ問題で与党の支持が落ちても、野党が支持されることをしたわけではないので、
政権交代はまず起きないでしょうね。
コメントありがとうございました。
日本の尺度は「美醜」
その通りとは思いますが、基準が共同体ということかと。
その共同体が社会でなく自分の会社であったり、国民でなく自分の省庁だったりして、身の回りを基準に、身を張って親分を守るオレカッケー、内部告発なんて卑怯者の醜い行為だ、というのが昨今ではないでしょうか。共同体を、市民全般、ひいては人類に広げて認識できれば世の中の多くの問題は解決できるのかもしれません。
閻魔様は神ではありませんがその「美徳」が染みついているはずの国の指導層の舌は閻魔様に抜いてもらいたいものです。普通のおっさん様ご指摘の「美醜」に照らせば現在の指導層の様相は全くもって醜いとしか思えません。
思ったり感じたりしても具体的に表すのが難しい問題を分かりやすく記事にされてますね。
その分同質的で犯罪は少ないですが、同時に抑圧的です。
ここはそういう国だし、日本人はそういう民族だとしか言えないです。
生まれつきのものだと思う。
ファシズムが強い民族だし。
だから、昔から全体主義者が多いよ。
その反面、人情がある。ひょうきんな性質でもある。
やっぱり、ちょっと、ドイツ人に似てる。
イギリス人は大変知的な民族だけど、冷酷な性質。
私は大嫌いです、イギリス人。
ああいう、本当に可愛げがない民族は大嫌いです。
この性質は正しく働けば協調性や助け合い、絆の精神として美しく描かれますが、裏を返せば上の立場の言いなりで、周りがやってるからと思考停止し、同調圧力、弾圧、偏見や差別に繋がりますね。
自分の頭でいつでもしっかり判断できる様に日本の持つ性質に抗う強さがあればと、いつも痛感します。