──
この理由が不明だ、という記事が出た。
→ 物理学者もお手上げ、カーリングの原理 | ニューズウィーク
この理由を解明した、という記事も出た。
→ 「カーリングのストーンはなぜ曲がるのか?」という何百年も続いた謎を研究者らが解明
解明したというが、単にモデル化したというだけの話だ。しかも、よく読むと、話は不正確である。なぜなら、「氷が溶けて滑る」という核心的な要素が抜けているからだ。これでは、アンコのないアンパンみたいなもので、話にならない。
──
そこで、私が合理的な説明をしておこう。こうだ。
「まず、原理はスケートの刃と同じである。氷を圧迫すると、氷が溶ける。良く溶けると、良く滑る。
また、カーリングのストーンの底は、平らな平面にはなっておらず、凸状の円環になっている。つまり、狭い円環だけが氷と接している。これがスケートの刃と同様で、圧力をかけて、氷を溶かす」
以上の原理の下で、次のように説明する。
「ストーンを投げると、氷の溶けるその量が、下部の円環の位置で、差が生じる。ストーンは全体として減速しつつあるので、全体として(負の)加速度を受けている。すると、自転車にブレーキがかかったのと同じで、前のめりになりがちである。つまり、全体の前側に下向きの圧力がかかる。したがって、前側では氷が良く溶けて、後ろ側では氷が良く溶けない」
ここで、ストーンを回転させると、どうなるか? 特に、時計回り(右回転)させると、どうなるか?
「ストーンが ↑ 方向に進むとしよう。ストーンの前側では、右向き(→)の摩擦が発生するが、氷が溶けて滑るので、摩擦の効果は生じにくい。一方、ストーンの後ろ側では、左向き(←)の摩擦が発生するが、氷が溶けにくくて滑りにくいので、摩擦の効果は生じる。すると、その摩擦の反力を受けて、ストーンには右向き(→)の力が加わる」
つまり、ストーンの前側では摩擦の力を受けず、ストーンの後ろ側では摩擦の力を受けるから、両者の差が生じて、全体としては、右向きの力を受けるわけだ。かくて、右回転させると、右向きの力を受けて、右に曲がっていく。
そして、そのことの本質は、「氷の溶け方しだいでコースが曲がる」ということだ。
※ 基本的には、これは「スケートが滑る理由」と同じである。スケートでは、刃を薄くすると、強い圧力がかかるので、そこでは氷が溶けて、水になるので、滑りやすくなる。同様に、カーリングのストーンも、前側に圧力がかかるので、前側で氷が溶けて、滑りやすくなる。その分、摩擦が減る。
[ 付記 ]
すぐ上に述べたことは、カーリングでブラシを使うことの説明にもなっている。
カーリングでは、ブラシでゴシゴシこするが、いったい何をしているのか? 表面を平らにしているのか? 違う。ブラシでこすることで、その摩擦熱によって表面を溶かしているのだ。
・ 良くこすると、氷が溶けて、滑りやすくなる。
・ こすらないと、氷が溶けず、滑りにくくなる。
ここでは、摩擦熱によって氷の溶け方を制御しているわけだ。ストーンの進むコースの右半分と左半分で、滑る量を変えることで、ストーンを右に曲げたり左に曲げたりするわけだ。
また、右と左の両方をこすれば、石の進む距離を伸ばすこともできる。右と左の両方をこすらなければ、石の進む距離を縮めることもできる。
[ 補足 ]
カーリングで曲がる量を考えるのは、物理学と言っても、力学とはちょっと違うようだ。
むしろ、氷の物性を調べるような学問(固体物理学や、相の科学)がふさわしい。
ただし、実を言うと、「スケートが滑る理由」は、現代科学では未解明であるそうだ。
→ 氷がなぜ滑るのか、実はまだわかっていない
→ 氷の上はなぜ滑る? 実は未解決の謎だった
ここが未解明なので、「曲がる理由」は定性的にはわかっても、「曲がる量」を定量的に解明するには至っていないようだ。
【 追記 】( 2022-02-20 )
本項の主張(仮説)を、検証するための実験方法を示そう。
カーリングのストーンにポールを立てて、ポールに重しを付ければいい。(下図)

この重し(黒い部分)を、上下に移動させる。すると、どうなるか?
(1) 本項の仮説が正しいとしたら、次のようになるはずだ。
「重しが高い位置にあると、前のめりになる度合いが高くなるので、前側の圧力が高まり、よく滑るようになる。だから、曲がる度合いも増えるはずだ。
重しが低い位置にあると、その逆で、曲がる度合いは減るはずだ」
(2) 本項の仮説が正しくないとしたら、次のようになるはずだ。
「重しが高い位置にあっても、低い位置にあっても、曲がる度合いは変わらないはずだ」
――
たとえば、次の仮説がある。
(仮説1)最初に提案された左右非対称性起源説。回転しながら前に進むので、左右で氷に対する相対速度が異なります。動摩擦係数は氷では速い方が小さい性質がある為、摩擦が左右で異なります。これが起源という説。
( → カーリングの石の曲がり方は、100年近くも論争が続いている「世紀の謎」だという話 - Togetter )
この仮説が正しければ、上の (2) に該当するので、「重しが高い位置にあっても、低い位置にあっても、曲がる度合いは変わらないはずだ」となる。
したがって、(1) と (2) のどちらに該当するかを調べることで、本項の仮説が正しいか否かを(ほぼ)検証できる。
※ 少なくとも、すぐ上の Togetter の (仮説1)との比較で、どっちが正しいかは決着が付く。

曲がっちまうらしい
石1つづつ曲がりが違うので
本橋さんは夜中に1人でチェックしてた
平昌では中間日にストーンの底を競技委員会側で
サンドペーパーで擦ったそうだ
これも理由がよくわかってないようです。
問題はその大きさがどのくらいで、それがストーンをあれだけ曲げるのに十分であるかです。
https://link.springer.com/article/10.1007/s12283-013-0129-8
元記事には、こうありました。
「科学者たちはまだ、ストーンがなぜ曲がるのかという単純な理屈ひとつわかっていない」
そこで私が説明可能であると示したわけ。
別に、私は独創性を主張しているわけじゃないから、先人がいたとしても構いません。
元記事が間違いで、私の言っていることが妥当である、ということを補強してくださるようなので、感謝いたします。
> ストーンをあれだけ曲げるのに十分であるかです。
溶けてない氷には、人が立つことができるぐらいの摩擦はあるから、十分でしょう。
なお、摩擦係数の小ささは、石の巨大な重みで補っています。すごい重みがあるので、摩擦力も大きくなる。
あなたの説明は定性的な説明に過ぎないのです。
科学者がわからないとしているのは定量的説明です。(多分記者は理解していませんが)
途中送信失礼しました。
本項の話が正しいかどうかを、検証するための実験の仕方。