2018年02月20日

◆ ドラム式洗濯機の死亡事故

 ドラム式洗濯機の死亡事故がなかなか解決しない。どうすればいいか? 

 ──

 ドラム式洗濯機の死亡事故という問題があった。これについては、前にも論じたことがある。
  → 洗濯機で子供が死亡: Open ブログ

 そのときにも解決策を示したが、なかなか実現しないようだ。「中からドアを開く仕組み」を義務づけるべきなのだが、いつまでたっても実現しない。そのせいで、またしても死者が出た。
 《 ドラム式洗濯機で5歳児死亡 また閉じ込められる事故 》
 堺市堺区の住宅で27日午後3時ごろ、「洗濯機の中に子どもが閉じ込められて、意識がない」と119番通報があった。大阪府警によると、洗濯機の中からこの家に住む男児(5)を救出したが、搬送先の病院で死亡が確認された。
発見当時、洗濯機は動いていない状態で、ドアは閉まっていた。
 男児に外傷はなく、病院の医師によると、窒息した時に出る症状が確認されたという。
( → 朝日新聞 2018年1月29日

 では、現状の対策は? 同じ記事と別記事には、こうある。(動画あり。)
 消費者庁は14年と15年、一般向けのメールで注意を喚起。子どもが勝手に入らないようにドアを閉めることや、ゴムバンドをかけるなどしておく防止策を呼びかけた。メーカーも取扱説明書で注意を促したり、本体に警告のシールを貼ったりしている。
 日本電機工業会(東京)は、チャイルドロック機能の活用を推奨する。運転中だけでなく、電源を切った状態でもドアが開かないようにできる。事故防止に効果があるとされ、多くの機種に採用されている。
 青梅市の事故後、各メーカーは安全対策を強化。ドラム内に閉じ込められても、内側からドアを開けることができる「閉じ込め防止機能」を付けた機種も販売された。ただ、大阪市の大手家電量販店の売り場担当者によると、この機能付きの機種は数が少なく、「まずはチャイルドロックを役立ててほしい」と話している。
( → 朝日新聞 2018年1月28日

 一応は対策がなされているようだ。しかしチャイルドロックがあっても、使われなければ、無意味だ。実際、上記の死亡例では、チャイルドロックがあった。なのに、閉め忘れのせいで、死者が出た。
 《 堺洗濯機死亡:「チャイルドロック機能」使われず 》
 堺市堺区の住宅で男児(5)がドラム式洗濯乾燥機の中でぐったりしているのが見つかり、搬送先の病院で死亡した事故で、洗濯機には、子どもが入らないよう扉を開かなくする「チャイルドロック機能」がついていたが、使われていなかったことが29日、捜査関係者への取材で分かった。
( → 毎日新聞

 というわけで、メーカーが推奨している「チャイルドロック機能」という方式では、問題の解決はできないわけだ。

( ※ チャイルドロックは、ドアを閉めた状態で、自動的にロックをする。しかし、もともとドアを閉めていなければ、ロック機構があっても無意味なのだ。そのせいで事故が起こる。)
( ※ このことは自動車の自動ロックと同様だ。自動車のロックは自動的にかかるが、ドアがもともと半ドア状態であれば、自動ロックは無効である。)

 ──

 では、どうすればいいか? 
 次の二本立てだ。

 (1) 安全装置

 チャイルドロック以外に、安全装置の装着を推進するといい。具体的には次の二つ。
  ・ 内側からドアが開く機構 (これだけでもいい)
  ・ 運転停止時に扉が閉まらない装置

 パナソニックと日立に、そういう製品がある。
  → 洗濯機事故:ドラム式「危ないよ」- 毎日新聞
 韓国製では「内側からドアが開く機構」付きのものが主流であるらしい。日本でも、こういう装置の装着を普及させるべきだ。
  ※ 韓国製品よりも遅れているね。だから世界で負けている。

 (2) 危険性の明示

 こういう装置が付いていることは、絶対に必要だとは言えない。幼児のいない家庭では不要だろう。だから、全製品に義務づけることは必要ない。
 しかしながら、幼児のいる家庭では必要だ。そこで、「危険性の明示」を義務づけるといい。特に、広告において、「この製品は幼児を死なせる危険性があります」と大々的に記載することを義務づけるべきだ。(先の安全装置が付いていない場合。)
 現状では「チャイルドロックが付いているので安全です」と思わせて販売する。そのあげく、現実には「チャイルドロックの閉め忘れ」のせいで、事故が起こる。今回の例もそうだ。……これでは、詐欺同然だ。(安全だと思わせて危険な商品を売るから。)
 毒薬にはちゃんと危険性が明示されている。ならば、安全装置が付いていないドラム式洗濯機も、毒薬と同様に、危険性を大々的に明示しておくべきだ。特に、購入の段階で誤認が生じないようにしておくべきだ。



 [ 付記 ]
 もう一つ、本サイトの独自の提案をしておこう。こうだ。
 「自動ロック機能をはずして、手動ロックにする」


 現状では、ドアに自動ロック機能がついている。つまり、ドアを閉じると、自動的にロックされてしまう。これが事故の原因だ。
 そこで、自動ロックをはずすといい。かわりに、手動ロックにする。つまり、単にドアを閉じただけでは、ロックがかからないから、ドアは内側からも開くことができる。
 ドアを閉じるときには、手動でロックする必要がある。その後、ロックを確認してから、選択が開始される。ロックがしてなければ、洗濯を「スタート」にしても、洗濯は実行されず、「ドアをロックしてください」という表示が出るだけだ。

 この方法は、自動ロックがされない分、ちょっと不便さが増すが、安全性は高まる。幼児のいる家庭なら、こういう機種の方が安心できそうだ。最も安全性が高いので、こういう機種を欲しがる親も多いだろう。

 《 加筆 》

 ……と思って書いたのだが、下記の動画を見たら、意外だった。実は、「ドアを内側からあける機構」というのは、上記の「手動ロック」(つまり自動ロックの解除)のことであるらしい。
 「ドアを内側からあける機構」というのは、何か特別なな機構があるのかと思ったら、そうではなくて、単に「自動ロックを使えなくしている」だけらしい。当然ながら、毎度毎度、自分でロックする手間がかかる。
 金をかけても、もっとうまい機構でも付ければいいのに。(内側からドアを押すとロック解除される、というふうな。)



 【 関連動画 】


 


 【 追記 】
 もっと良い方法を思いついた。「ロックの完全自動化」だ。次のようにする。
 「洗濯開始と同時に、自動ロックされる。洗濯終了と同時に、ロックが自動解除される」

 ロックをすべて自動化するわけだ。この方式ならば、普段はロックされないので、事故は起こらない。

 一方、今の方式で事故が起こるのは、次の方式による。
 「ドアを閉めると、自動ロックされる。いったん閉めたあとは、内側からは開けられない」

 これは「半自動ロック」だ。ロックは自動化されるが、ロック解除は自動化されない。(洗濯していないときには、ロックがかかるが、ロック解除はなされない。)
 というわけで、「洗濯中はロックで、洗濯終了後はロック解除」というふうに、全部を完全自動化すれば、事故は起こらないはずだ。

( ※ ロックの実施と解除は、機械的な装置による。「そんな装置は機構的に大変だ」と思う人もいるかもしれないが、大丈夫。私の家の古い全自動洗濯機には、そういう装置が付いている。「脱水中には自動ロックがかかり、脱水停止でロックの自動解除」だ。こんな自動ロック装置は、ローテクによって安価に装着できるわけだ。やらないのは、メーカーの怠慢だ。)

 ──

 ついでだが、次のことも指摘しておきたい。
 「窒息事故を防止するには、呼吸さえできれば問題ない。体を抜け出すことはできなくても、通気さえできれば死亡事故は防げる。だから、何らかの通気機構を用意しておいて、通気口の開閉だけを自動化する、という方式も考えられる」




 [ 補足 ]
 上の動画を見ると、手動操作で電子ロックをする仕組みがあるようだが、機械式の手動ロックがあるといい。
 電子式だと、いちいちスイッチを(何段階も)操作する必要があるので、めんどく臭い。機械式なら、指先で器具をちょっとスライドさせるだけで、一発でロックできるはずだ。ロックするのも、ロックを外すのも、指先でちょっとスライドさせるだけ。お手軽だ。こういうロックなら、「洗濯終了後はロックをかける」ということで済むはずだ。
 ただ、子供が勝手にロックを外すとまずいので、子供には操作しにくいようにする必要がある。「親には操作しやすいが、子供には操作しにくい」というふうにするわけだ。そこがちょっと難しい。
 機械的な鍵をかけるのがいいかもしれない。

posted by 管理人 at 23:53| Comment(8) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。自動ロック・解除の話。
Posted by 管理人 at 2018年02月21日 12:11
酸素センサと通気機構+アラームの組み合わせはどうでしょう。
Posted by 作業員 at 2018年02月21日 15:30
何でもメーカーの責任にする風潮に危険を感じる。洗濯機の場合、それが問題だと思うなら、大昔のように、洗濯板で洗濯すればいいだけ。

取説にも、重要なことは本体にも書いてあるので、それだけで十分だ。
Posted by 通りすがり at 2018年02月21日 20:44
> 何でもメーカーの責任にする

 そうじゃなくて、「安全性を高めましょう」という技術向上の話。自動車なら自動ブレーキ。電車ならATC。そういうふうに安全性向上の技術開発は大事です。そういう意識があればこそ、原発事故も未然に防げるようになる。
 誰が悪いか、という責任追及をしているわけじゃありません。技術開発をしよう、という技術者魂の話。……ま、文系の人には、言ってもわからないでしょうけど。物を作る人と、物を使う人は、発想が異なるし。理解してもらえなくても、仕方ありません。
Posted by 管理人 at 2018年02月21日 22:13
俺がメーカーの人間と思っているようだが、文系でも理系でもなくメーカーの人間でもなく、1消費者としていっているだけ。

洗濯機のその事故なんか、親の目配りがあれば防げる。あとは、親の躾だけの問題。(取説にも書いてあるし)

そういう馬鹿な消費者が多いから、少し考えれば当然のことまで取説に記載されている。

(おまけ)
あと、自動車の自動ブレーキがあるといっても、公道で有効に働いたという話は聞かないし。
Posted by 通りすがり at 2018年02月22日 08:01
> 親の目配りがあれば防げる。
これまで 怪我や失敗はなかったですか? 目配り完璧?

> あと、自動車の自動ブレーキがあるといっても、公道で有効に働いたという話は聞かないし。
有効なのは当たり前で それが効かなかったら話題になりますよね 少し考えれば当然のことじゃないですか?
それでも探せば見つかりますよ 例えば「自動ブレーキ 助かった」でググりましょう
Posted by P助 at 2018年02月22日 08:33
横断歩道を渡っているときに、曲がる車が後方から突っ込んできました。
自動ブレーキがついてた車で軽い接触ですみましたが、下手すると死んだか大怪我してました。
安全性を高めてはいけないという宗教を信じてるらしい人間以外なら有効性は理解できるでしょうね
ドラム式も10年以上前ですが、普通に閉めてもロックされずスイッチを押すと自動ロックされました。
今のは退化してるんでしょう、そりゃ世界中で負けるわけですわ
Posted by 7 at 2018年03月09日 09:55
 ドラム式洗濯機の事故の問題は、実はほとんど解決済みらしい。というのは、この事故が起こるのは、6〜7年前の日立の製品に限られるからだ。
 この手の製品だけで、「ドアが自動的に閉まって、開けない」という問題が生じる。
 一方、他の製品では、もともとバネが付いていて、もともと閉じることが不可能になっているそうだ。外から押すとようやく閉じることができて、内側からは閉じることができないそうだ。閉じないのだから、もともと事故の起こりようがないわけだ。
 → https://togetter.com/li/841281

 というわけで、この問題は「解決済み」ということで済みそうだ。
 残る問題は、日立の該当機種で、告知をすることだろう。

 なお、「チャイルドロックを使え」という世間の対策は、まったくの見当違いだ、ということになる。
 日立の該当機種以外なら、もともと対策は必要ない。日立の該当機種なら、自作でバネでも付けた方いいだろう。バネが無理なら、ゴム紐でもいい。

 ※ なお、上記リンクには、ドアが自動的に閉まってしまう、という現象の動画もある。
Posted by 管理人 at 2018年03月09日 20:52
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