2018年02月19日

◆ 法医学者・監察医・検視官 の不足

 法医学者や監察医が不足している、という問題がある。その解決策は?

 ──

 法医学者や監察医が不足している、という問題がある。そのせいで、まともに司法解剖がなされない。だから殺人があっても見逃されている率が高いらしい。大問題だ。このことは昔から言われていた。
 では、その理由は? 「予算がないこと」と「給料が安いこと」の二つが理由であるようだ。
  ・ 警察には解剖をするための金がない
  ・ 法医学者は給料が安いので、医者が来ない


 つまり、金もないし、人もいない。金だけならば、自治体の長が「金を出す」と決めるか、政府が予算措置をすれば、何とかなりそうだ。
 しかし、仮に金があっても、人がいない。法医学者は給料が安いので、医者が来ないからだ。かといって、法医学者の給料を急に上げるというのも、現実的には無理だろう。

 ──

 では、どうする? そこで困ったときの Openブログ。名案を出そう。
 まず、基本はこうだ。
 「法医学者の給料が安いのは仕方ない。生きた人間を扱うのではなく、死んだ人間を扱うのだから、普通の医者ほどの高度な知識は必要とされない。むしろ、実験科学者(生物学者)みたいな知識があれば足りる」

 その上で、こう提案する。
 「法医学者は、医者とは別に、専門の大学で養成する。いわば、医学大学ならぬ法医学大学。そこでは、生きた人間を治療するための知識は必要とされず、解剖の知識だけを学ぶ」


 これだったら、学ぶ知識の量も大幅に少なくて済むから、頭の良くない人でも足りる。一般的には、獣医と同程度の知力で足りる。当然ながら、給料も、医者並みの給料とはならない。また、大学の専門度も、あまり高くなくて済む。特に、生きた人間を治療する訓練は必要ない。むしろ、大学の実習で、死んだ人間の解剖をするので、現在の解剖件数の不足という問題が大幅に解消される。
 
 こうして、一石二鳥か三鳥みたいな感じで、さまざまな問題が一挙に解決する。

( ※ 本質的に言えば、医学部で法医学者を養成するのは、過剰品質であって、無駄である。莫大な額の教育投資をして、安月給のパートタイマーを養成するようなものだ。……それほどひどくはないにせよ、それと同様の無駄がある。そこを是正するわけだ。)



 [ 付記1 ]
 この問題に関連するのは、次の職業だ。
  ・ 法医学者、監察医
  ・ 検視官

 テレビドラマで言うと、下記がある。
  ・ 「アンナチュラル」(民間の法医学者・石原さとみ)
  ・ 「科捜研の女」(大学教授で監察医・若村麻由美)
  ・ 「臨場」(検視官・内野聖陽)

 検視官は、特に資格なしに、法医学者に似たことをやっている。
 科捜研の女の沢口靖子は、法医学の資格をもたないが、法医学を学んで、監察医のお手伝いのようなことをしている。







 [ 付記2 ]
 なお、ドラマで学んだが、死後硬直は 20〜30時間後がピークであるらしい。それより前だと、まだ硬直が進んでいない。それよりあとだと、硬直が解けていく。死後硬直の程度を見ることで、死亡時刻を推定することができる。詳しくは下記。
  → 死後硬直は死んでから何時間位で進むのでしょうか? :知恵袋
  → 死後硬直 - Wikipedia
  → 死体硬直(したいこうちょく)とは - コトバンク

 安易なドラマだと、体温低下だけで死亡時刻を推定しているが、そうじゃないんだよ。死後硬直も見るんだよ。こういう法医学の観点を理解していないサスペンス・ドラマが散見されるが、興醒めだ。
( ※ 体温低下を操作することで、死亡推定時刻をゴマ化そうとする、というストーリー。現実には死後硬直も見るので、そういう安易なゴマ化しは通用しない。ついでだが、胃の消化も、死亡推定時刻の判断の要因となる。)
 


 【 追記 】
 法医学者(監察医)が年間に解剖する件数は 300件ぐらいらしい。1日1件あまり、ということになる。このくらいであれば、楽々処理することができるだろう。どちらかと言えば、1日に2件で、年間 500件ぐらいまで増やすこともできそうだ。
 と思ったのだが、ここで問題が生じる。解剖そのものは2〜3時間ぐらいでできそうだが、その後の縫合が面倒臭そうだからだ。

 そう思って調べたら、現状では、解剖後にきちんと縫合して、遺体を遺族に返還するらしい。
 「死体解剖された後の死体ってどうやって遺族に返されるんですか?」

 行政解剖 司法解剖 病理解剖の場合は、必要な臓器を摘出後、残った臓器を体内に戻し、縫合して洗浄し、衣服を整えてお返しします。 
( → Yahoo!知恵袋

 しかし、こんなことまで監察医がやっていたら、監察医の負担は大きくなりすぎる。こういうことは、監察医がやる必要はなく、もっと下級の作業員に任せてもいいだろう。特に資格も必要ないはずだ。(死体損壊罪には問われないはずだ。)

 そう思って、検索してみたら、こういう作業を「葬儀業者に任せている」という海外の記事があった。
 《 解剖後の遺体を縫合する葬儀屋 》
 動画共有サイト「LiveLeak」に公開された動画は、医療解剖された遺体を葬儀屋が縫合する姿を鮮明に映し出している。
 画面越しでもあまりに壮絶な光景だが、葬儀屋は動揺を微塵も見せない。普段から仕事の一環として行っている作業なのか、はたまた初めから感情が乏しいのか、慣れた手つきで遺体の腹部を縫合していく。
 動画は2分21秒にわたって、葬儀屋と、遺体を映し出していく。
( → 人体を使った手術練習の後処理とは?- 記事詳細|Infoseekニュース

 この記事は、さらにこう続く。
 海外では、実習として人体の研究および教育を目的とした遺体の医療解剖が広く行われている。

 これはうまい方法だ。葬儀屋ならば有料でやってもらうことになるが、学生にやらせるのならば、無料だ。さらに、教育効果もある。というのは、「遺体の修復」によって「縫合の練習」ができるし、「解剖の実習」で「手術の練習」もできるからだ。まったく、うまい方法だ。一石二鳥だ。
 実は、この方法は、私も前に提案したことがある。下記だ。
 こうして、一石二鳥の名案が浮かぶ。
 「医学部生が解剖の実習を兼ねて、変死の死体を解剖する」
 ということだ。

 医学部生は勉強になるし、検視の解剖率は上がる。一石二鳥。まさしく名案。
( → 検視と解剖: Open ブログ

 ここで提案したことについては、医者の読者などから批判も来たが、現実には、海外ではまさしく私の言った通りのことが実施されているわけだ。

 というわけで、前に書いたことの繰り返しになるが、
 「医学部生の実習としての遺体解剖や縫合」

 を提案しておこう。
 特に、監察医が解剖したあとの縫合については、全面的に医学部生に任せても良さそうだ。それなら、監察医の負担が減るから、年間の解剖件数が大幅に上昇するだろう。
 あと、縫合のあとのきれいな修復は、葬儀屋に任せる方が良さそうだ。現状では、葬儀屋がやるべきことを、監察医(や助手)がやっているようだが、これでは無駄だ。

( ※ 参考で言うと、葬儀屋による縫合の動画は、下記で見られる。グロ注意!
  → 【超・閲覧注意】解剖後の遺体を縫合する葬儀屋
 
posted by 管理人 at 23:59| Comment(6) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>「法医学者の給料が安いのは仕方ない。生きた人間を扱うのではなく、死んだ人間を扱うのだから、普通の医者ほどの高度な知識は必要とされない。むしろ、実験科学者(生物学者)みたいな知識があれば足りる」

とんでもない誤解です。
1.法医学は「死んだ人間を扱う学問」ではない
生きている人間も、犯罪捜査や裁判の対象になると、法医学者が必要です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%8C%BB%E5%AD%A6
2.死体を分析することにも高度の熟練と知識が要る
病理学講座は「病理解剖」を行って、医療の「答え合わせ」をしていますが、基礎、臨床の知識がそれぞれ必要です。

法医学予算を増やすしかないと思われます。
法医学の教授ですら900万円で副業もできないというのでは、人材が枯渇する。法医学の教授の賃金を1500万円くらいに増額し、准教授1名、助教2名に1000万円程度の賃金を支払っても、全国50大学で22億5000万円です。
Posted by inoueakihiro at 2018年02月21日 02:42
無駄な金を節約したいなら、通常の医学部を廃止すべきでしょう。本を読めばわかる程度のことを、教室で教えているんだから。あれは全部廃止して、国家試験だけをやればいい。
現状でも、国家試験内容を超える実務教育は医学部では教えていなくて、研修病院でやっています。
Posted by inoueakihiro at 2018年02月21日 02:46
> 法医学は「死んだ人間を扱う学問」ではない

 学問をやる人は医者であるべきですが、技術を実施する人は医者である必要はないでしょう。人間を治療するための詳細な知識は不要。基本ぐらいで十分。治療そのものより、治療痕を学ぶべき。

> 生きている人間も、犯罪捜査や裁判の対象になると、法医学者が必要です。

 そうです。だから、法医学者を増やすべきなんです。現状では、「法医学者なし」です。
 なお、生きた人間の場合は、医者と法医学者の双方があたるべきでしょう。

> 病理学講座

 そうです。法医学者には基礎医学と病理学が必要です。普通の医者とは共通部分もあるし、そうでない部分もある。だから「法医学大学」を大量に作るべき。「医学大学」を大量に作るのはまず無理。そもそも解剖実習の遺体でさえ不足しているのに。

> 本を読めばわかる程度のことを、教室で教えているんだから。

 だったら、それを法医学大学で実施すれば、きわめて低コストで、法医学者を大量に養成できます。問題はあっという間に解決。

> 法医学予算を増やすしかないと思われます。

 それだと、法医学者は増えるけれど、その分、普通の医者が減ってしまう。これが基礎原理。
 となると、ただでさえ医師不足なのに、ますます医師不足になる。医師の過労死も増大する。当然ながら、患者はその何倍か何十倍も死ぬようになる。それでいいの? 

> 全国50大学で22億5000万円です。

 それくらいの量だと、数は大幅に足りないままで、焼け石に水では? 
 現状では異状死体の解剖率は 10%なので、これを 10倍ぐらいに増やす必要がある。(現状比)
 → https://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/51004719.html

 5%だ、という数値もある。
 → http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~legal/images/kns070622prn.pdf

> 通常の医学部を廃止すべきでしょう。
> あれは全部廃止して、国家試験だけをやればいい。

 医学部を廃止しなくてもいいのでは? 「大学で学ばなくても、国家試験だけでも医師になれる」という道を別途用意すればいい。
 ただしその場合、「難関の国家試験に合格しなかった、医師試験浪人」が大量に発生する。司法試験浪人が大量に発生するのと同様。人材の無駄が大量に発生するという点で、同様の問題が生じる。有能なのに人生を無駄にする若者が大量に発生するという点で、大きな国家的損失と個人的不幸が生じます。
Posted by 管理人 at 2018年02月21日 07:12
(高度に訓練された)検視官の増員という意見も貴重ですが、遺体のCTやMRI撮影といったAi(Autopsy imaging)の全例導入というのもよいでしょうね。これによりスクリーニングを強化し、事件性のある遺体の解剖を積極的に進めるというのがよいでしょう。

現状では遺体の体表を観察するだけの検視と遺体を切り刻む解剖という極端に手間が異なる手段があるわけで、後者のコストを考えると後者に踏み切ることに躊躇があるわけです。
その一方で精度の観点から前者は粗さが目立ち、事件性のある遺体が見過ごされるきらいがあります。

そこでその中間に位置するAiを導入し、近年進歩の著しい画像認識技術を援用して自動化を図ることにより、精度とコストの妥協を探っていくことがよい解決につながるでしょう。
Posted by とおりがかり at 2018年02月23日 14:54
> Ai(Autopsy imaging)

 それ、海堂尊さんが長年にわたって主張しているやつですね。
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 小説でもいっぱい言及されていますね。チーム・バチスタや、それ以後の小説。
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 政府はこれの導入に積極的になったはずなんだけど、どうなったんだろう? 調べたら、これ。
  http://author.tkj.jp/kaidou/2011/06/post-53.php

 民主党政権で導入に積極的になった。
 だが、自民党政権になったら、それもつぶれてしまったようだ。自民党が聞くのは、日医の声だけか。
Posted by 管理人 at 2018年02月23日 18:31
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 解剖後の縫合などについての話。かなり長い。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2018年02月23日 18:57
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