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白血球型とアレルギーが関連していることがわかった。エビとモモを食べたときにアレルギー反応を引き起こす遺伝子が見つかったが、その遺伝子は白血球型の遺伝子だったという。
《 エビとモモ、アレルギーで新発見 1万人の女性唾液解析 》
エビとモモを食べたときにアレルギー反応を起こしやすい遺伝子の特徴を、つくば国際臨床薬理クリニック(茨城県つくば市)の鎌谷直之院長らのグループが見つけ、英科学誌電子版に報告した。
遺伝子情報のうち個人ごとに差がある約54万カ所を解析した。穀物や卵、果物など27の食品でアレルギーがあるかを尋ねたアンケート結果とあわせて、どんな遺伝子の特徴がある人がどんな食品にアレルギーを持つことが多いかを調べた。
その結果、白血球のタイプを示すHLAの遺伝子に、エビとモモへのアレルギーを起こしやすい人に特有の型がそれぞれ見つかった。これらの型の人はそうでない人に比べ、エビとモモへのアレルギーを起こす割合がそれぞれ2倍近く高いという。
食物アレルギーにかかわる遺伝子の特徴はこれまでほとんどわかっていなかった。鎌谷さんは「HLAは免疫反応にかかわっており、特定の遺伝子の型があると反応しやすくなるのではないか」と話す。
( → 朝日新聞 2018-02-16 )
白血球型(HLA型)とアレルギーとの関係は、これまでにも疑われていたが、実証はされていなかった。それがこのたび、54万カ所の遺伝情報を調べることで、うまく実証されたわけだ。
ただし、エビとモモの食品アレルギーに限った話なので、一般的に実証されたことにはならない。しかしそれでも、「たぶん一般的に拡張できるだろう」と推定される。(アレルギーには遺伝子が関与している、ということ。特に、白血球型の遺伝子が怪しい、ということ。)
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ここで思い浮かぶのが、アレルギーと自己免疫との関連だ。
アレルギー疾患と自己免疫疾患
自己免疫疾患はアレルギーと異なり、自己の持つ抗原に対して免疫反応が起こる疾患である。内因性のアレルゲンによるアレルギー反応が病態となっている点が異なるが、その機序は同一である。
( → アレルギー - Wikipedia )
アレルギー反応を起こすアレルゲンがどこにあるかという違いはあるが、基本的には、アレルギーと自己免疫とは同等の病気だと言えるわけだ。
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一方で、「子宮頸がんワクチン被害は自己免疫疾患であるらしい」という話をした。
→ 前項 末 【 関連項目 】
以上の話をつなげると、
「子宮頸がんワクチン被害は、自己免疫やアレルギーと同様だから、白血球型が影響するのではないか?」
という仮説が思い浮かぶ。
では、それは正しいか?
実は、この点では、すでに調査した例がある。その論文は「肯定的」という結論だった。
→ 子宮頸がんワクチン副反応の原因を究明 8割が同じ白血球の型
ところがこれには批判が出た。「その論文は数理処理がメチャクチャだ」という批判。
→ 子宮頸がんワクチンと遺伝子 池田班のミスリード by 村中璃子
この批判は妥当であるようだ。批判への再批判も見られない。
というわけで、「子宮頸がんワクチン被害と白血球型は関連する」という結論は、間違っているようだ。
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では、これをどう評価するか? 先に述べた仮説については否定的な結論が出たわけだが、これはどういうことか?
実は、話は簡単だ。私がすでに述べたこと(前項でも最後で紹介した話)を思い出せばいい。
それを再掲しよう。
・ 基本的には、自己免疫疾患だ、と見なせる。
・ 自己免疫が脳に悪さをするらしい。
・ その理由は、脳の関門が緩むことらしい。
・ そうなる原因は、エクソソーム(など)らしい。
子宮頸がんワクチン被害では、自己免疫が起こるようだが、それは、特定のアレルゲンによるアレルギー反応とは違う。「脳の関門が緩むこと」が理由だ。
そのまた原因は、「脳の関門が緩むこと」をもたらすような物質(エクソソームみたいなもの)であるらしいが、それは、病気の根源は何かという話であるから、今はひとまず話の外に置くことにしよう。
今、ここで問題としているのは、「子宮頸がんワクチン被害の病状」だ。つまり、「自己免疫疾患やアレルギーに似ている」ということだ。
とはいえ、この症状をもたらすのは、何らかの抗体であるか、アジュバントである(水酸化)アルミニウムであるかは、不明である。
ここで、抗体というのは、分子量が非常に大きい。50,000〜77,000であるそうだ。
→ 抗体 - Wikipedia
こんなに大きな分子が、脳の関門を通り抜けられるはずがない。となると、脳の関門を通り抜けるのはアルミニウムだろう。
そして、アルミニウムが原因だとすると、これは、特定の抗原抗体反応とは異なる。つまり、普通のアレルギーとはまったく異なる。
以上から、次のように結論できる。
「子宮頸がんワクチン被害の症状は、脳における自己免疫疾患にとてもよく似ているが、その害をもたらすのは抗原抗体反応ではない。つまり、普通の自己免疫疾患とは異なる」
これまで本サイトでは、「子宮頸がんワクチン被害は、基本的には自己免疫疾患だと見なせる」と述べてきた。(前項末でもそう記した。)
しかし、それは、症状ではそう言えるとしても、作用機序ではそうは言えないようだ。結果は同様だとしても、原因は「抗原抗体反応」ではないからだ。(分子量ゆえにそう結論できる。)
ではなぜ、同様の症状が起こるのか? それは、作用機序は異なるとしても、現実の細胞レベルの作用が似ているからだ。
・ 自己免疫疾患 …… 白血球が他の細胞を攻撃する
・ 子宮頸がん被害 …… アルミニウムが脳細胞を攻撃する
つまり、どちらにしても、あたり一帯の細胞を見境なく攻撃する。そのせいで、多くの細胞が破壊されて、症状が発する。
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ここまで見ると、子宮頸がんワクチン被害の本質がかなりよくわかってきたことになる。
その症状は、自己免疫疾患に似ているが、正確には似て非なるものである。「多くの細胞が破壊されて、症状が発する」という点では共通するが、その細胞破壊をもたらすものは、抗原抗体反応ではない。むしろアジュバントだ。
そして、そのアジュバントの被害をもたらす理由は、脳の関門が緩むことだ。ここにこそ、子宮頸がんワクチン被害の本質があると言えるだろう。
なお、脳の関門が緩むことに関与する遺伝子は、白血球型の遺伝子とは無関係だろう。なぜなら、その遺伝子は抗原抗体反応とは無関係だからだ。
子宮頸がんワクチン被害を受ける患者は、特定の遺伝子型の患者なので、遺伝子型を調べることで、被害を受ける人のタイプを見出すことはできそうだ。ただしそのタイプは、白血球型のタイプとは無関係であるはずだ。患者について白血球型の調査をいくらやっても、その調査は無意味となるだろう。
それが、本項で得た、新たな知見(仮説)となる。