2018年02月12日

◆ 生活保護の根本対策 2

 生活保護の受給を拒否された人が凍死した、という悲惨な事例があった。これをどう解決するか?

 ──

 生活保護の受給を拒否された人が凍死した、という悲惨な事例があった。
 《 【北海道姉妹凍死】死の前に3回生活保護窓口訪れ、門前払いされていた 》
 今年1月、札幌市白石区のマンションの一室で、遺体で発見された40代の姉妹は、生活保護申請が認められず窮乏を極めて亡くなった。姉の佐野湖末枝さん(42歳)は失業中で昨年末に病死(脳内血腫)しており、知的障害のある妹の恵さん(40歳)は姉の死後に凍死したとみられている。料金滞納で電気・ガスも止められ、冷蔵庫の中は空っぽだった。
 湖末枝さんは体調不良に苦しみながら就職活動や妹の世話をし、3度にわたって白石区役所に窮状を訴えていた。ところが、最後の頼みの綱の生活保護を受けることができなかったのだ。
( → 日刊SPA!

 役所は「自分たちのせいじゃない。本人が申請しなかっただけだ」と釈明しているが、嘘に決まっている。役所はどこも「神聖を辞退させる」という方針で、あの手この手で、辞退させようとしているからだ。(受付拒否と言ってもいい。)
 では、この問題をどうすればいいか? 

 ──

 「万引きなどの犯罪をしてから、弁護士とともに申請すると、受給できる」
 という話がある。
  → 「生活保護を断られて凍死」という事件がある一方で、罪を犯した人が弁護士と一緒に申請するとすぐに生活保護が出るのはなぜ? - Togetter

 しかしこれでは、困窮者をあえて犯罪に走らせるようなものだ。とばっちりで被害に遭う国民が哀れだ。下手をすると、刃物で刺されて、死ぬかもしれない。
 もっといい方法はないか? 

 ──

 この件については、前に論じたことがある。
  → 生活保護の根本対策: Open ブログ

 そこで提案したことは、次の二つだ。(いずれも雇用による解決。)
  ・ 企業に、生活保護受給者の雇用を義務づける。2%程度。
  ・ 自治体が、生活保護受給者を雇用する。


 後者の場合、生活保護の支給額を少し上回る額を、給与として払えばいい。その給与の代償で、何らかの雇用をする。雇用そのものは、自治体がやる必要はなく、民間の NPO などに委託してもいい。

 具体的な事例は、こうだ。
  ・ 保育園での保育補助
  ・ 小中学校での学校事務の補助
  ・ 病院での雑用(トイレ掃除やゴミ出しなど)
  ・ 生活保護世帯の老人介護
   (働き手が家の外に出たあとで、在宅介護する)
  ・ 生活保護世帯の幼児保育
   (働き手が家の外に出たあとで、在宅保育する)


 最後の二つは、生活保護世帯をまとめてアパートに集めることで、残りの家族(老人や幼児)をまとめて世話できる。1世帯の内部で介護や保育をするよりも、効率的だ。(まとめて世話をするので。)

 とにかく、こうすれば、遊んでいたり休んでいたりしていた人が、まともに働けるようになる。遊休労働力が稼働するようになる。その分、無駄がなくなって、国全体の生産性は高まる。
 各人も、当初は技能もろくにないかもしれないが、働くことを続けることで、技能を増す。そうすれば、以後は人並みの給料を取って働くこともできるようになるだろう。
 かくて、国も本人も、ともにハッピーになる。そして、その本質は、「無駄がなくなる」ということだ。
 単に「可哀想だから金を上げる」というのではなくて、「無駄に休んでいた労働力をきちんと働かせる」というふうにすることで、物事を本質的に解決できるわけだ。

 困ったときの Openブログ。



 [ 付記 ]
 本項の趣旨を、「働けない人を無理に働かせること」あるいは、「働かなければ死ね」だと思う人もいるかもしれない。しかし、それは勘違いだ。方向は逆だ。
 本項の趣旨は、こうだ。
 「可能な範囲で働くことを条件に、生活保護の受給制限をなくす。望めば誰もが生活保護を受給できる。かくて、受給できないで死ぬ人がいなくなる」
 冒頭の北海道姉妹は、受給できずに、死んでしまった。こういう例をなくしたいのだ。そして、そのために、「遊んで暮らせる」という貴族待遇をなくすことで、誰もが「働いて暮らせる」という状況を整備するわけだ。(失対事業ふう)

 なお、「働かざる者食うべからず」というのは、「働けない病人や身障者は死ね」という意味ではなくて、「(他人の富を収奪して)遊んで暮らすような貴族は許されない」という意味だ。この点、お間違えなく。これは労働者優遇の方針である。語った人はレーニンだ。( → 出典

( ※ 現状の生活保護制度は、遊んで暮らせる「生活保護貴族」を生む状況となっている。だから不正を防ごうとして、受給制限が発生する。その弊害で、死者が出る。……そういう矛盾が発生している。そこで、その矛盾をなくそうというのが、本項だ。)
( ※ なお、働けない病人や身障者をどうするかは、一般的な生活保護の問題ではなくて、医療や健康などの福祉の問題だ。話は別だ。本項で話題になっているのは、あくまで「まともに働ける健康な人」である。お間違えなく。)



 【 関連動画 】



posted by 管理人 at 13:18| Comment(13) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
万引云々はともかく、弁護士や民生委員が一緒だと受給しやすいそうです。
ただ、彼らがどこまで困窮者を把握しているかが問題で、
というよりは、あまり望めないようです。

公共団体の雇用義務付け、とても効果的だと思います。
なあなあで外部委託するよりもずっと良いと思います。
Posted by 古々米 at 2018年02月12日 18:19
働かざる者食うべからずという格言通り、働けなければ死ねという方針なんじゃないでしょうか
働けないものがみんな死んでいなくなれば無駄もなくなるというのが、1億総活躍社会の本音の気がしますね
Posted by RFT at 2018年02月12日 20:28
 最後のあたりに [ 付記 ] を加筆しました。
 「働かざる者食うべからず」という話について言及しています。

 タイムスタンプは 下記 ↓

Posted by 管理人 at 2018年02月12日 20:42
生活保護って確か、国籍関係なく受給できるんじゃなかったかな?

ここをまずは日本国民に支給対象を限定するところから始めるべき。
Posted by 反財務省 at 2018年02月13日 02:09
「働かざるもの〜」は新約聖書だったはず……と思ったら、Wikiにも書いてありますね。
レーニンはそれを引用して社会主義的に再解釈した、といったところでしょうか。
Posted by けろ at 2018年02月13日 20:22
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0420-7c.html#2-1

老齢でもなく、身障者でもなく、母子世帯でもない、「その他」は9%しかいません。
南堂さんの提案は、たった9%を働かせようというものです。マクロ経済には何らインパクトはなく、国の生産性は高まりません。

「どうでもいいごく少数の例外」の処遇を工夫しても、コストがかかるばかりで、大して情況は改善されない。
Posted by inoueakihiro at 2018年02月15日 22:58
> 老齢でもなく、身障者でもなく、母子世帯でもない、「その他」は9%しかいません。

 私が除外するのは、病人と身障者だけです。
 老齢者と母子世帯は、労働(失対事業)の対象に含まれます。

> マクロ経済には何らインパクトはなく、国の生産性は高まりません。

 そりゃ、当り前です。本項は経済政策ではありません。福祉政策です。福祉政策に経済的効果を求めるのは、お門違い。
 冒頭でも述べたように、「生活保護の受給ができなくて死ぬ」というような悲惨な例を減らすことが目的です。

 そちらの発想だと、
 「重病人を治療すると、莫大な医療費がかかって経済的効果がマイナスだから、重病人はみんな死なせてしまえ。そうすればマイナスがなくなってゼロになるから、経済的効果がある」
 というようなものです。
 福祉や医療に経済的効果や生産性を求めるのはお門違い。
 「コストがかかるばかりで、大して情況は改善されない」と言われても、病気の治療というのは、国のためにやるのではなく、弱者である個人のためにやるんだから、仕方ない。
 医療の意味を勘違いしていません? 富国強兵のためじゃないですよ。

> コストがかかるばかり

 そんなことはないです。多大なコストがかかりますが、失対事業は多大な収益をもたらします。差し引きすれば、大幅な黒字でしょう。比喩的に言えば、国家による派遣事業です。しかも人件費(賃金)はゼロ同然で、かかるコストは管理費だけ。大幅黒字は確実です。
Posted by 管理人 at 2018年02月15日 23:11
生活保護世帯相手の失業対策なんて無駄です。

「身障者」「傷病者」
これらはそもそも労働能力がほとんどないですね。無理に働かせたら悪化する。
「母子世帯」
母子(父子)世帯の親の大半は働いていて、そこからこぼれ落ちた人が生活保護になっているのです。困窮するにはそれなりの理由がある。こどもが3人いるとか、養育費の不払いがあるとか、病気や障害持ちだとか、本人がもともと精神発達遅滞で労働能力がないとか。
「高齢者」
こちらも、日本の高齢者の就業率は世界一であることが知られていて、これ以上、就業率を増加させることは難しい。

特に、母子(父子)世帯については、単為生殖でこどもを作ったわけじゃないんだから、養育費を政府権力で強制的に払わせることが、困窮から救う決め手になると思われます。現状の裁判と強制執行制度はヌルい。

>「生活保護の受給ができなくて死ぬ」というような悲惨な例を減らすことが目的です。

「水際作戦」なんてものは、今ではありません。どこの役所も、正当な生活保護申請があったら受け付けています。しかし、申請書が書けない。生活保護対象者は、大半が病気持ちで役所まで行けないか、精神発達遅滞か認知症か精神病なので、手続きを自分ではできないのです。
申請書が自分で書けないなら、公務員が情況を調べて代筆してあげるくらいのことはするべきだが、そのためには、公務員が全く足らない。

福祉事務所の公務員を増やし、民生委員に給与を払って、活発に活動してもらうしかない。
Posted by inoueakihiro at 2018年02月16日 02:46
> 困窮するにはそれなりの理由がある。こどもが3人いるとか、

 こどもが3人いる母子世帯は、受給額もかなり高額になる。ならば、子供を保育園に優先入所させて、母親には働いてもらった方がいい。せめて保育園での補助業務ぐらいは。健康だし、十分に働ける。

> 「高齢者」 こちらも、日本の高齢者の就業率は世界一であることが知られていて、これ以上、就業率を増加させることは難しい。

 本文を読んでいます?
 民間で就業できない低能率タイプについては、公的に雇用します。その後に、各所に派遣します。病院での便所掃除ぐらいはできるはず。

> 「水際作戦」なんてものは、今ではありません。どこの役所も、正当な生活保護申請があったら受け付けています。

 引用の記事では、(婉曲に)申請を断られているようですよ。断り方が上手になった。面倒をかけることで、自発的に諦めさせるようにした。
   https://nikkan-spa.jp/231222

 弁護士がついて行くと、受け入れられる。「生活保護を断られて凍死」という事件がある一方で、罪を犯した人が弁護士と一緒に申請するとすぐに生活保護が出る。
  → https://togetter.com/li/1198415

 これもまた、役所の さじ加減 が問題である証拠。


Posted by 管理人 at 2018年02月16日 07:01
南堂さん、以前は、生活保護の不正受給を批判していませんでしたか?
不正受給を防ぐために、書面による申請とケースワーカーによる生活指導が必要なのです。ケースワーカーが少なければ、細かい調査もできなくて、審査の精度が落ちるのは仕方がない。
適正受給には相応の行政コストが必要なのに、それを出さずに、雇用で救うなんて、何か勘違いしている。
Posted by inoueakihiro at 2018年02月16日 10:02
> 不正受給を批判していませんでしたか?

 不正はない方がいい。不正した人を責めるというよりは、制度的な問題の解決策を探ったはず。

> 書面による申請とケースワーカーによる生活指導が必要なのです。

 そうですね。ここも拡充するべきですね。
 審査は、ケースワーカーがやる方が合理的でしょう。書面だけで拒否する(辞退させる)のは賢明ではない。死者や犯罪者が出るし。
 緊急避難ハウスみたいなものに一時収容する、という案も考えられる。少なくとも、そういうのがあれば、今回みたいな餓死者・凍死者は出ない。

> 適正受給には相応の行政コストが必要なのに、それを出さずに、

 それを出さない、とは言っていません。言及しなかっただけ。ご指摘の件(下記)には同意します。

> 福祉事務所の公務員を増やし、民生委員に給与を払って、活発に活動してもらうしかない。

 これはこれでいい。
 一方、雇用で救うのは、まったく別の話。分野が別。両方やるのが最善でしょう。
(ビタミンとタンパク質は両方とも必要だ、というような話。どっちがいいか、という問題ではない。)

Posted by 管理人 at 2018年02月16日 12:12
雇用政策にも巨額の財政支出が必要です。
福祉にも財政支出が必要。
よって、あれもこれもはできない。

南堂さんは、雇用政策にある種のスクリーニング機能をもたせようと言いたいのだろうから、生活保護対象者を調査する福祉公務員増加の方が、よほど直接的で、金がかからず、効率が高いと思います。
Posted by inoueakihiro at 2018年02月21日 07:16
> 雇用政策にも巨額の財政支出が必要です。

 いやいや。生活保護費をそのまま転用すればいいんです。
 払う金は同じで、金をもらう人が労働をするかしないか、という違いがあるだけです。
 どちらかというと、「働かないで金をもらいたい」という人が減る分、支払総額は減りそうです。
 「同じように働くのに、失対事業では 15万。真面目に働けば 20万。だったら真面目に働こう」と思う人が、生活保護から抜け出します。

> 雇用政策にある種のスクリーニング機能をもたせよう

 違いますよ。(働けるのに)働かない人を働かせることで、国全体の GDP を増やそうとしています。遊休労働力の活用による生産性の向上。無駄の削除。
 ただしそれは副次的効果で、第1の狙いは、「不正受給の排除によって、正当な受給が容易になること。それによって、弱者の死者をなくすこと」です。
 全体的には、三方一両得 みたいな話ですが、不正受給をしている人だけは損する。

> 生活保護対象者を調査する福祉公務員増加

 それによって不正受給を減らすことはできても、その人たちの就職先を提供しないと、彼らが犯罪に走りかねない。たいていは、無銭飲食して、刑務所入りを望むでしょう。
 罰するだけでは、問題は改善しないんです。何らかの形で就職支援をしないと。怠惰な底辺層向けに。

 他に、ホームレスという生き方もある。
  → https://matome.naver.jp/odai/2139857485479941701
 生きてはいけるが、好ましくはない。生活保護予備軍。
Posted by 管理人 at 2018年02月21日 07:23
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