2018年02月03日

◆ 寒冷地の暖房(まとめ)

 寒冷地の暖房は、どうするべきか? ここまでの3項目を経たすえに、まとめふうに結論する。

 ──

 寒冷地の暖房について、どうすればいいのか? これに疑問を付ける見解が、朝日の社説に出た。国が弱者対策をしろ、という趣旨。
 《 札幌の火災 困窮者に「住」の保障を 》
 札幌市の共同住宅で火災があり、11人が亡くなった。生活保護を受けていた70〜80歳代の高齢者が多く犠牲になったようだ。
 改めて浮かび上がるのは、防火対策が万全とはいえない老朽化した住居が、経済的に苦しく行き場のないお年寄りらの受け皿になっている現実である。
 築50年ほどの木造の元旅館で、消防法で義務づけられた消火器や自動火災報知設備は備え、スプリンクラーの設置義務はなかった。
 東京理科大学火災科学研究センターの関沢愛教授は、実態として福祉施設と判断できる施設について「運営団体の申請に基づき、自治体が審査してスプリンクラー設置の費用を助成しては」と提案する。
 川崎市の簡易宿泊所で3年前に11人が亡くなった火災や、北九州市や秋田県横手市で昨年起きたアパート火災など、貧しい高齢者の悲劇が後を絶たない。社会全体で住まいをどう保障するか。現実と向き合い、具体策を急がねばならない。
( → (社説):朝日新聞 2018-02-03

 弱者対策を何とかしたい、という優しい心はわかる。しかし、「スプリンクラー設置」というのは賢明ではない。多額の費用がかかるからだ。しかも、老朽化した建物が多いとなると、早晩取り壊しになるので、スプリンクラー設置そのものが非効率だ。(新車を買ってから、短期間で廃棄処分にするようなものだ。無駄。)

 そこで、私としては、これまでの3項目を経たすえに、次のように結論したい。

 (1) 高齢の困窮者は移住

 高齢者は、原則として、関東以南に移住してもらうように促す。特に、生活保護の人はそうだ。職があるわけでもないのだから、地元に住む必要はない。
 関東以南には、いっぱい空き家が余っているのだから、そういう空き家に住めばいい。一方で、老朽化した建物は、どんどん廃棄処分した方がいい。今回の建物は、「築50年ほどの木造の元旅館」ということだから、そろそろ寿命が近づいている。断熱性も悪いはずだ。極寒の地で、こういう建物に住む必要性は薄い。
 ただ、移住するにしても、生活保護の人には、引っ越し代がない。そこで、別の地に移住するために、自治体が引っ越し代を出すよう、制度改革をすることを促したい。自治体としても、生活保護の人を他の地域に移住させれば、行政の経費が浮くのだから、ありがたいだろう。生活保護の人の移住をどんどん推進した方がいい。自治体も、本人も、どちらも得をする。 win-win だ。
 このことをもって、「社会全体で住まいをどう保障するか?」という朝日新聞の問いかけへの、回答としたい。つまり、高齢の困窮者には、いろいろと手厚い保護をするのではなく、何の保護もしないで、(他地域へ)追い出してしまえばいいのだ。朝日新聞の考える常識な発想とは、正反対のことをすればいいのだ。
( ※ いかにも皮肉っぽい逆転の発想なので、私好みだ。)

 (2) 一般の人

 地元で仕事のある人は、移住したくてもできない。では、どうすればいいか? ── これについては、これまでの3項目を読めばいい。特に、前項の最後にある 【 追記 】 の箇所を参照。
 まとめると、次のようになる。
  ・ あまり寒くならない沿岸地方では、エアコン暖房でいい。
   ただし、気密性,断熱性のよい建物であることが条件。
  ・ 内陸部では、極寒になるので、石油ファンヒーター。
   ただし、パイプの自動給油が必須。ポリタンクは不可。
  ・ 沿岸地方でも、断熱性の悪い建物では、内陸部と同様。


 安全性を重視すれば、電気が有利なので、上記のような結論となる。(なるべくエアコン優先。)
 一方、安全性よりも、高熱量や経済性を重視するなら、「石油ファンヒーター + パイプの自動給油」となる。これは、安全性を軽視したもので、次善の策となる。(気候しだいでは、総合的には最有力となる。)

 他の方式は、安全性が著しく劣るので、ダメだ。
  ・ 昔ながらの灯油ストーブ
  ・ 石油ファンヒーターに手動給油 (ポリタンクで)

 これらはどちらもダメだ。
 
 今回の火災は、石油ファンヒーターに手動給油(ポリタンクで)という方式を取っていた。このことから、ひどい大災害となったようだ。灯油タンクに燃え移ったせいで、火災警報が鳴ってから5分間で、途方もない大被害となった。
  → 猛火「避難1分遅ければ…」 札幌 11人死亡火災:朝日新聞 2018-02-03

 灯油タンクを使う方式(昔ながらの灯油ストーブ/石油ファンヒーター)は、集合住宅では禁止した方がいいだろう。
 かわりに、次の三者択一だ。
  ・ エアコン暖房 (寒冷地仕様のこともあり)
  ・ 石油ファンヒーター + パイプによる自動給油
  ・ ガスファンヒーター (かなり高コスト)


 このいずれもできない 集合住宅 は、おおむね居住禁止にするべきだ。つまり、「全面的に居住禁止」にするか、「高齢者は居住禁止」にするか、どちらかにするべきだ。……これは、寒冷地に限らず、本州のどの地域にも適用していいだろう。危険性は、気候とは関係ないからだ。
( ※ この規制は、集合住宅に限られる。個人住宅は適用外。個人住宅なら、死ぬのは自分の家族だけとなるからだ。他人に迷惑をもたらさないので、犯罪性はない。金をケチって自殺する権利はある。)
( ※ だけど、よく考えてみたら、自分の家族が死ぬのは、自殺じゃなくて、無理心中だよね。勝手にしろ、と放置していいことにはならない。やはり、規制するべきだろう。……というわけで、強く禁止はしないまでも、積極的に規制を推進した方がよさそうだ。火事で延焼する可能性もあるしね。)
( ※ ポリタンク方式の灯油だけに高額課税することは可能だ。ポリタンク方式の灯油は、ガソリンスタンドで買う。屋外タンク方式の灯油は、業者が自動車で配達する。販売経路が異なるので、前者だけに高額課税することは可能だ。ちなみに、北海道の生協では、後者の方が2円安い。)



 [ 付記1 ]
 エアコン暖房は、かなり低コストである。マイナス 10度ぐらいでも、石油とほぼ同程度。マイナス 10度というのは、厳冬期の最低気温(明け方)なので、厳冬期の日中や、厳冬期以外では、もっと暖かくなる。
 日中には、零度前後にまで上がることも多い。前項の図を再掲しよう。


hokkaido.png
出典:Yahoo 天気予報


 厳冬期でさえ、気温は一日のうちの大半で零下 10度以上なので、エアコン暖房は石油ファンヒーターと同程度のコストで済む。厳冬期以外なら、エアコン暖房の方が低コストとなる。
 また、設置費は、かなりかかるように見えるが、夏場の冷房機能もあるのだから、「夏用のエアコンを設置する」と思えば、(どうせその分の金は必要なので)、暖房機器の代金は実質的にはゼロとなるのも同然だ。つまり、無料で暖房機器を設置できるわけだ。
 正確に言えば、エアコンを「寒冷地仕様」にする分の上乗せがあるので、その分(数万円)の加算はありそうだ。だが、それを言うなら、灯油だって、屋内タンクと室内パイプを設置するのに、数万円がかかる。だから両者に特に差があるわけではない。
 なお、エアコンの室外機には、屋根を設置する必要がありそうだが、これは、工夫次第でどうにでもなるだろう。(自作ならば費用ゼロ。)
 
 結局、エアコン暖房は、「難点がまったくない」というわけではないのだが、いろいろと対処すれば、難点をクリアできることも多いわけだ。あとは、ケース・バイ・ケースだ。(居住地や個人的条件に依存する。)

 [ 付記2 ]
 昔ながらの灯油ストーブは、実は、暖房という点では、最強である。
  ・ FF(強制吸排気)方式と違って、熱が外に逃げない。
  ・ 水蒸気を大量に発生するので、加湿機能がある。
  ・ 火から赤外線を発するので輻射熱の暖かさがある。

 このように高機能・高効率だし、その分、コストも大幅に下がる。暖房機能とコスト面では、最強と言える。
 しかしながら、その一方で、排ガス(燃焼ガス)による空気の汚染もあるし、火事を起こしやすいという危険性もある。
 「安全性を代償とした低コストの商品」
 というわけで、命を安売りする貧乏人向けの商品と言えるだろう。
 昔ならばそれも仕方なかっただろうが、今では、低コストのエアコン暖房もあるし、石油ファンヒーターもある。何十年も前の昔の暖房方式は、今では捨てた方がいいだろう。「火災は延焼の危険もある」ということを考えれば、なおさらだ。
 少なくとも、「自治体の経費でスプリンクラーを設置する」なんていう見当違いの方針に比べれば、ずっといいはずだ。
( ※ そもそも、スプリンクラーを設置するとなると、貧困の高齢者だけでなく、日本の全世帯が対象となる。それほど多数の住宅にスプリンクラーを設置するのは、超巨額の費用がかかるので、現実的でない。ここはやはり、「火事が起こっても大丈夫」なようにするよりは、「火事が起こりにくい」という根源対策をするべきだろう。その方がずっと低コストで住むし、火災発生率を下げることで、統計的には死者を多く減らせる。)



 【 関連サイト 】

 北海道の暖房費用は? 灯油ベースだと、冬季は月1万円アップの2万円弱ぐらいで済むそうだ。電気を使うと、もう少しかかる。(単身ではなく家族住まい)
  → 北海道の暖房費(電気代、灯油代)は?値段の割に、部屋はとても暖かいんです

  ※ この人の居住地は、札幌・江差・函館。
     → 本人の記事(道内転勤族だという)
posted by 管理人 at 14:03| Comment(9) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 名前を詐称した人がコメントしてきたので、コメントを削除して、書き込み禁止にしておきました。
Posted by 管理人 at 2018年02月03日 16:22
たぶん、誤読ですと言いそうだけど、
寒冷地の暖房のあり方とスプリンクラーの設置云々は絡めない方が良いんじゃないかな
火災の出火原因については、放火・タバコ・炊事等多岐にわたっていて、
スプリンクラーは出火原因にかかわらず出火時の被害(人的・物的)の軽減に効果があるので設置が奨励・義務化がうたわれているわけだし....

誤解の無いように言っとくけど、管理人さんの寒冷地の暖房のあり方については特に反対しているわけじゃないからね。
Posted by どら猫 at 2018年02月03日 18:24
> 奨励・義務化

 これは多数の人の集まる施設の場合。人数からして頭割りにすればコストは高くない。また、費用は施設の自己負担。
 一方、個人住宅だと、利用者は自分の家族だけ。また、本項で提案されているのは行政による公的負担。費用は兆円単位で莫大。増税でまかなうなら、1世帯あたり数十万円。自分で数十万円を払って自分の自宅に据えつけるようなもの。コスパがすごく悪い。
 一方、発火しなくする方法なら、コストはすごく低くて、効果も大きい。

 そういうコスパの話をしました。本文では。
 ちょっと説明不足かな、と思ったが、書かなかったので、ここで書き足しておきます。
Posted by 管理人 at 2018年02月03日 20:43
蛇足で...
火災の出火原因でストーブ関係って意外と割合低いんだよね〜
Posted by どら猫 at 2018年02月03日 20:54
> 火災の出火原因

 次項のコメント欄で返信しておきました。次項の方が適しているので。
Posted by 管理人 at 2018年02月03日 23:28
北国のお年寄りが移住するならやはり千葉県がおすすめですな。
冬は温暖で夏は関東内陸部ほど暑くならないし。
気候の良さを重視するなら南房総エリア、都市生活を送りたいなら京葉エリアかな。
Posted by まりも at 2018年02月04日 01:51
千葉県は関東の中でも雪が少ない方だしおすすめです。夏場のゲリラ豪雨も少ないですし気候的には穏やかな場所です。
Posted by まりも at 2018年02月04日 01:53
ロシアのシベリアなど冬は-50℃とか-60℃とかなる土地でも普通に現地住民は日常生活を送っているけどね。勿論老若男女問わずして。単純にロシア人は寒さに強くて、日本人は寒さに弱すぎるのでしょうかね?
寒いのは着込めばしのげるが、暑いのは脱いでも暑い(脱ぐにしても限界があるし)という理論はどうなんだろう?
もっとも寒さに抵抗力の弱いお年寄りは温暖な関東以西に移住する意見には賛同しますが。
私個人としては暑がりですので寒冷地大歓迎ですけどね。
Posted by まりも at 2018年02月04日 02:12
 ロシアの極寒の地では、住民は困っているそうですよ。
  → https://irorio.jp/endomayu/20180116/432966/
  → http://osoroshian.com/archives/36096385.html

 店に買い物に行くのも大変だろうし、お年寄りが一人暮らしをするのは困難でしょう。支えあいで生きているのかな。
 なお、暖房は炭と薪だそうです。
  → https://matome.naver.jp/odai/2136162688972046701?page=2
 スイッチ一つで暖房、という具合には行かないわけ。不便さを受け入れるから、暮らしていける。
Posted by 管理人 at 2018年02月04日 07:19
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ