2018年01月25日

◆ 少子化と外国人労働者

 少子化への対策で、外国人労働者で労働力を補充しよう……という発想があるが、そこには重要な点が抜けている。

 ──

 少子化が続くと、労働力が不足して、国全体の生産力が低下する。それを補うために外国人労働者を導入しよう……という発想がある。
 特に企業の側は、「外国人労働力を低コストで導入すると、コスト低下によって利益を見込める」と思って、導入を推進したがっているようだ。
 
 しかし、この発想には、難点がある。
 「外国人労働者は、低賃金であるせいで、社会的な負担金を支払っていない」
 ということだ。
 具体的には、納税額が少ない割りには、多大な社会福祉を得ている。そのせいで、日本人全体としてみれば、外国人労働者に金をプレゼントしていることになるのだ。

 ──

 これと似たことを言っている人もいる。
 《 低賃金の外国人労働者は納税額が小さいため財政にはマイナス 》
 短期的には人手不足解消や人件費の削減により外国人労働者を雇い入れた企業はメリットを享受する。しかし、長期的には彼らのための住宅対策、失業対策、子弟の教育対策など莫大な社会コストが全国民に跳ね返ってくる。
( → NEWSポストセブン

 これは、移民排斥の右派的な偏見ではない。同じ記事には、こういう話もある。
「ドイツがこんなに苦しんでいるのに、なぜ日本は同じ轍を踏もうとするのか」
 経済企画庁総合計画局で労働政策に携わっていた1980年代半ば、ドイツの政策担当者に言われたその言葉を私は忘れることができない。
 ドイツでは1960年代、高度成長期にトルコから大量の労働者を受け入れた。それにより不足した労働力を補うことはできたが、高度成長が終わると状況は一変し、彼らのための社会コストが増大した。

 つまり、上の懸念は、ただの空想上の懸念ではなくて、ドイツで現実化したことなのだ。

 ──

 ただ、上の記事では、「住宅対策、失業対策、子弟の教育対策など莫大な社会コスト」というふうに抽象的に述べている。これでは、「コストが多大だ」ということを示すだけであって、「デメリットがメリットを上回る」(差し引きして赤字だ)ということを定量的に示していない。
 「住宅対策、失業対策、子弟の教育対策など莫大な社会コスト」というものがどれほど多額であろうと、それを上回るメリットがある(差し引きして黒字である)のならば、問題ないはずだ。
 では、その差し引きは、どうか? 

 このことは、別の統計で、明らかとなっている。

zeihutan.png
日本の所得税負担の実態(財務省)


 上位 5%の人々が所得税の半分を払っている。20人に1人が、全体の半分を払っていて、残りの 19人が、残りの半分を払っているわけだ。

 要するに、日本の税負担の大部分は、少数の高所得者に負っている。大多数の人は、払う金よりも、受け取るもの(金やサービス)の方が、ずっと多い。低所得者ほど、その傾向が強い。

 ──

 では、外国人労働者は? その大部分は貧困とも言える低所得者だ。これらの人々は、当然ながら、払う税額はごく小額だ。それでいて、サービスはたっぷりと受け取る。
  ・ 健康保険の公的負担分
  ・ 失業保険や労災保険の公的負担分

 これらは税金でたっぷりと補填される。だから、少額の支払いで、たっぷりとサービスを受けられる。
 たとえば、いくらか働いてから、失業すると、失業保険をもらえる。税金を払うどころか、遊んでいて金をもらえるわけだ。
( ※ 直感的に言うなら、「社会保障のただ乗り」みたいなものだ。)

 ま、これが日本人であれば、「同じ日本人同士だから、低所得者には援助してあげる」というのも、わかる。
 しかし、「経済的に日本を助けてもらうために導入する」はずの外国人労働者が、日本を助けるどころか、日本の金で援助してもらうのでは、本末転倒というものだ。
 比喩的に言うなら、「ケガをしたから救急車を呼ぶ」というつもりで 119番をかけたら、やって来たのはケガ人だらけの救急車。そこにいっぱいいるケガ人を救助するために、自分の方で自家用車を提供し、かつ、ケガ人を自分で助ける羽目になった、というようなものだ。助けてもらうつもりが、助ける羽目になるわけだ。主客転倒。
 もっと厳しく言えば、「犯罪者に襲われたときに、警官を呼んだら、パトカーから現れたのが、泥棒だった」というようなものだ。

 ──

 こういう馬鹿げたことを避けるには、どうすればいいか? 簡単だ。
 「外国人労働者は、多額の税負担をする人に限る」

 
 これを換言すれば、こうだ。
 「外国人労働者は、高所得者に限る」


 ところが、現実に政府が推進しているのは、こうだ。
 「外国人の技能実習生を中心に、奴隷レベルの低賃金で雇用する。税負担はほとんどゼロ」


 それどころか、もっとひどい例も横行する。
 「悪質な企業は、社会保険料の企業負担分を支払わない。(ばっくれる。)その一方で、外国人労働者にも、それらの社会保険を受ける権利がある。すると、企業がばっくれた分を、国が支払う。結局、外国人労働者については、悪質な企業側の負担の分を、他の国民がかわって負担する」


 こういう馬鹿げたことが起こるのも、「外国人の技能実習生を、奴隷レベルの低賃金で雇用する」という状況があるからだ。
 そして、そういうことを避けるには、
 「外国人労働者は、高所得者に限る」
 というふうにするべきなのだ。つまり、現状の政府の方針とは、正反対の方針にするべきなのだ。
 そうすれば、高所得の外国人労働者が、多額の納税をしてくれるようになるので、日本人一般にとっても有利になるだろう。

 ──

 まとめ。

 「外国人労働者を低コストで導入すれば、日本全体にとって有利だろう」と思っていたら、実は、大損だった、というわけ。ケチな奴ほど、得をしようとして、損をする。舌切り雀の強欲婆さんみたいだ。……それが、日本。というより、自民党政府。

( ※ 経済学的に言えば、低賃金労働というのは、生産性が低いのと等価だ。生産性の低い仕事を増やせば、日本全体で生産性が低下するのは当然だ。低賃金労働を必要とする産業は、日本には不要なのだから、そういう産業や会社はさっさと消滅・倒産するのが最善だ。推進するのは、もってのほかだ。)



 [ 付記1 ]
 「外国人労働者は、高所得者に限る」
 というための方策には、いろいろと基準が考えられるが、
 「日本語能力が十分にあること」
 という条件を加えるのは、きわめて有意義だろう。日本語もろくにできない人であれば、低所得になるのは必然だからだ。

 [ 付記2 ]
 外国人労働者が失業保険をもらえる……という点については、疑問に思う人もいるだろう。そこで、下記ページを紹介しておこう。詳しくは、そちらを参照。
  → 外国人が日本で失業した場合 / 外国人相談専門事務所



 【 関連項目 】
 外国人労働者を選ぶ基準として、「日本語能力」を取れ……という話を、前にしたことがある。下記項目の最後。
  → 外国人労働者の技能移転の問題: Open ブログ



 【 関連サイト 】

 技能実習生という制度が、現代の奴隷制であることをを示した記事。
  → 移民はダメだが「技能実習生」なら受け入れる! 激しい日本の搾取に中国人もベトナム人も怒った

 ──

 新たな記事。(2018.5.3)
 《 生活保護の外国人最多、16年度 月平均4.7万世帯 》
 生活保護を受けている外国人が 2016年度に月平均で 4万7058世帯に上り、過去最高に達したとみられることが2日、政府の調べで分かった。日本語能力の不足で職につけない外国人が多いことなどが理由とみられる。
 06年度(3万174世帯)からの10年間で56%増えた。(グラフあり)
 外国人の生活保護受給が増えている背景には、バブル期の人手不足で労働者として大量に入ってきた日系南米人などが、リーマン・ショックなどによる景気悪化で解雇後、日本語が話せないため就職が難しいことだとされる。
( → SankeiBiz(サンケイビズ)

 その実状は次の記事で。
  → 移民を受け入れた群馬県大泉町、生活保護受給者の25%が外国人に
 
posted by 管理人 at 23:45| Comment(3) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
36計逃げるに如かず
Posted by 都会者 at 2018年01月26日 10:20
>「同じ日本人同士だから、低所得者には援助してあげる」というのもわかる。

政権を批判(非難ではない)すると「非国民(チョン)は半島に帰れ。」と言い出す層も多いですからどうでしょう。

Posted by アラ還オヤジ at 2018年01月26日 17:20
アラ還オヤジさまへ

ネトウヨはほっときましょう。
関わるだけ疲れますよ。
Posted by 反財務省 at 2018年02月13日 02:17
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ