2018年01月24日

◆ 関節リウマチの特効薬

 難病とされる関節リウマチの特効薬があるそうだ。

 ──

 前項の話では、出典となる番組(のサイト)を紹介した。
  → NHKスペシャル「人体」 命を支える“神秘の巨大ネットワーク”

 この番組(のサイト)には、別の話もある。
 「難病とされる関節リウマチの特効薬がある」
 という話だ。

 趣旨は下記の通り。
 「難病とされる関節リウマチは、治療が困難だったが、近年、画期的な治療薬が出た。これを使うと、症状が劇的に改善する。これまではどんな治療薬を使っても治療が非常に困難だったが、この新しい薬を使うと、ほぼ完全に治癒することが多い。
 新薬の作用機序は次の通り。
 関節リウマチは、免疫細胞の情報エラーによって起こる。敵がいないのに、『敵が来た』という間違った情報を出す。その情報は、メッセージ物質として出される。免疫細胞の間で、そのメッセージ物質を大量に出しあうので、炎上状態となる。あげく、免疫細胞が巨大化して破骨細胞となり、骨を破壊する。
 そこで、『免疫細胞の間で、そのメッセージ物質を大量に出しあう』という状況を止めるために、阻害するための薬を投与すると、炎上状態が収まって、破骨細胞もなくなる」

 ──

 この話を読んだあとで、「前にも本サイトで言及したはずだ」と思って調べたら、下記にあった。
  → サイトカイン・ストームと薬: Open ブログ

 ここでは、インフル冤罪における「サイトカイン・ストーム」という話が出ているが、ついでに、リウマチの話もしている。
 そして、ここで言う「サイトカイン」というのが、上記の「メッセージ物質」のことだ。
 このサイトカインの大量放出による炎上状態を止めるのが、「サイトカイン・ブロッカー」または「サイトカイン阻害剤」と呼ばれるものだ。
 


 【 関連サイト 】
 細かい話は、NHK のサイトにある。一部抜粋しよう。
 なお、下記で「TNFα」と記されているものが、サイトカインである。
 この画期的な薬は、関節リウマチを引き起こす原因の一端が解明されたことによって、生み出されました。
 関節リウマチの患者の関節内では、本来体を守る役割のマクロファージと呼ばれる免疫細胞に異常が起きており、自分の体の一部である関節の組織を「攻撃すべき敵」と見なしてしまっています。そうして敵もいないのに活性化し、"戦闘モード"になったマクロファージから、「TNFα」という物質が大量に放出されていることがわかりました。
 この物質、いわば「敵がいるぞ!」という警告メッセージを仲間の免疫細胞に伝える働きがあり、これを受け取った他の免疫細胞も次々と活性化して、"誤った警告メッセージ"を拡散していきます。
 大量の免疫細胞は、体の一部である関節の組織を攻撃し、破壊。さらに、活性化したマクロファージ同士が合体して、「破骨細胞」と呼ばれる別の細胞に変化し、骨まで壊してしまうのです。
( → 国内患者数70万人・治療困難な関節リウマチに特効薬!

 「TNFα」という物質については、下記の説明がある。
 腫瘍壊死因子(TNF)とは、サイトカインの1種であり、狭義にはTNFは TNF-α、TNF-β(リンホトキシン(LT)-α)および LT-βの3種類である。
 TNF-αは主にマクロファージにより産生され、固形がんに対して出血性の壊死を生じさせるサイトカインとして発見された。腫瘍壊死因子といえば一般にTNF-αを指していることが多い。

 慢性炎症性疾患である関節リウマチは 関節破壊などの臨床症状を有し、TNF-α は IL-6 などと並んで関節リウマチの病態形成において中心的な役割を果たすサイトカインの1つである。
( → 腫瘍壊死因子 - Wikipedia

 下記の説明もある。
  「インターロイキン」という用語が誕生したのが平成元年。以後現在に至る15 年間にわたって、インターロイキンを含めたさまざまな「サイトカイン」が同定され、それらの機能が次々に解明されてきた。そして、多くの疾患においては、一部のサイトカインの機能や発現量の異常が深く関与していることが分かってきた。
 そこで、サイトカインの機能や発現量の異常を是正すれば疾病の治療に結びつくと考えるのは当然の流れである。たとえば、過剰に発現したTNF-αを抗体や可溶性受容体でトラップする治療法が、クローン病(Crohn'sdisease;CD)や関節リウマチ(rheumatoid arthritis ; RA)において成功をおさめつつある。
 CD とRA は一見全く異なる疾患のように見えながらも、T 細胞やマクロファージの病態への関与の仕方は両者で驚くほど似ている。特に、活性化マクロファージがTNF-αを分泌して自分自身を活性化し、炎症を遷延化せしめる機構はCD とRA において中心的な役割を演じる。だからこそTNF-αをブロックすることで、CDとRA の炎症を強く抑えることが可能なのである。
( → サイトカイン制御の15年:医薬の門




 [ 付記1 ]
 ただし、難点もある。コストだ。
 この薬は、工場で化学的に作る化学的製剤ではなくて、生物学的にバイオ技術で作る生物学的製剤と呼ばれるものであって、コストが非常にかさむそうだ。
 生物学的製剤は最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品で、関節リウマチに対しては2003年から国内での使用が開始されています。これまでの抗リウマチ薬に比べて薬剤費が高価ですが、有効性にかなりの期待ができる薬剤で、特に関節破壊抑制効果に優れていることが知られています。
( → 生物学的製剤
 劇的な治療効果を上げている生物学的製剤ですが、課題もあります。化学合成される一般的な薬とは異なり、生物学的製剤は大量生産することが難しいため、薬価が高くなります。薬剤によって異なりますが、月に数万円ほどの費用負担がずっと続くようなこともあり、経済的な理由から治療に踏み切れないという声もあります。
( → 国内患者数70万人・治療困難な関節リウマチに特効薬!

 かなりコストがかかるが、癌に比べれば、コスパはいいと言えるだろう。癌にかかるのは高齢者が多くて、たとえ治療に成功しても、延命効果は大きくない。そもそも、すでに寿命をまっとうしたと言えるぐらい長く生きた人が多いので、治療する意義も多くない。
 それに引き替え、関節リウマチにかかる人は、中年以前の人も多い。番組の例では、この女性は、治療したおかげで、子供を持つこともできるようになったそうだ。
 この女性も、生物学的製剤を使い始めてから劇的に症状が改善し、あきらめていた「子どもを持つ」という夢をかなえることができたと言います。

 これはとても意義のあることだ。数千万円もかかるガンの免疫治療よりは、ずっと有意義だと言えるだろう。

 [ 付記2 ]
 ちょっと思ったのだが、このような薬を併用すると、子宮頸がんワクチンの被害を予防できないかな? サイトカイン・ブロッカーを使うことで、脳の関門が緩まるのを予防できるかもしれない。(かもね、という話だが。)



 【 関連動画 】



 
posted by 管理人 at 19:00| Comment(1) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
慢性関節リウマチに対しては、
別の系統ですが、同じく生物学的な製剤で、TNFα阻害機能を有する薬があります。市場規模としては、後者が前者の数倍以上あります。
両者とも、リウマチの進行を特効的に抑え込むことが可能な場合が多いと聞いています。
しかしながら、発症原因が不明な病気ですので、特効性には限界があると思っています。
Posted by yomoyamapage at 2018年01月24日 22:32
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